認知行動療法のセッションの特徴と幅広い効果
2024/09/23
みなさん、こんにちは。
こころのケア心理カウンセリングROOMの心理カウンセラー 駒居です。
今日は、私の専門である「認知行動療法(CBT)」のセッションについてお話しします。
認知行動療法という言葉を耳にしたことがある方も多いと思いますが、どのようなものか具体的には分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
認知行動療法は、その名の通り「認知(思考)」と「行動」にアプローチする心理療法です。
主にうつ(鬱)や不安障害などの精神疾患に対して効果的であることが知られていますが、実はそれだけではなく、ストレス、人間関係の問題、日常の悩みにも幅広く対応できる優れたアプローチです。
今回は、その特徴とセッションがどのように進むのか、そしてどのような悩みに効果を発揮するのかについて、臨床心理学の知見を交えながら親しみやすくご紹介していきます。
認知行動療法の基本的な考え方
認知行動療法は、私たちの「思考(認知)」が感情や行動に影響を与えるという理論に基づいています。
たとえば、何かネガティブな出来事があった時、その出来事自体よりも、それに対する「自分の解釈」が感情や行動に強く影響を及ぼします。
認知行動療法では、ネガティブな思考パターンや行動が問題の原因になっていることに気づき、それを前向きに変えていくことを目指します。
たとえば、「自分は失敗ばかりする」「何をやってもダメだ」といった思考が心の負担になっている場合、それを「成功している部分もある」「失敗は学びの機会」と再解釈することで、ストレスや不安を軽減できるようになります。
認知行動療法のセッションの特徴
認知行動療法のセッションは、クライアントとカウンセラーが協力して進めていく「共同作業」のようなものです。
クライアントが主役で、カウンセラーはあくまでサポーターとして関わります。
セッションでは、クライアントが自分の思考や行動パターンを分析し、新しい視点を持つためのトレーニングを行います。
(1)問題の明確化
最初のステップでは、クライアントが抱えている問題を具体的に明確化します。「何が問題なのか」「どのような状況で悩みが発生するのか」を一緒に話し合い、整理していきます。
この段階で、カウンセラーはクライアントの話をじっくりと聞き、問題の全体像を把握します。
(2)思考と行動の分析
次に、問題に対してどのような思考や行動が関与しているのかを探っていきます。
例えば、ストレスの原因となっているネガティブな思考パターンや、それに伴う行動について分析します。
クライアントが「どのような考え方をしているのか」「その考えがどのように感情や行動に影響を与えているのか」を理解することで、問題の根本にアプローチできるのです。
(3)具体的な対処法の提案と練習
分析が終わったら、具体的な対処法を一緒に考え、それを日常生活に取り入れる練習をします。
これには、思考の再構築や、ストレスに対する効果的な対処法の練習が含まれます。
たとえば、「失敗を恐れる」という思考を持っている人には、その考え方を柔軟にし、実際に少しずつチャレンジして成功体験を積むことで、新しいポジティブな思考を育むサポートをします。
(4)フィードバックと調整
セッションを重ねるごとに、クライアントの思考や行動がどのように変わっていくかをフィードバックし、必要に応じてカウンセリングでのセッションの進め方を調整します。
この過程を通じて、クライアントは自分自身の心の変化を実感し、自信をつけていきます。
幅広い問題に対応できる認知行動療法
認知行動療法は、精神疾患の治療だけでなく、日常の様々な悩みに対しても有効です。ここでは、いくつかの例を挙げてみましょう。
(1)ストレス管理
現代社会では、仕事や家庭、人間関係などから様々なストレスがかかります。
認知行動療法では、ストレスの原因となる思考や行動にアプローチし、効果的なストレス管理の方法を学びます。
たとえば、時間の管理やリラックス法、ストレスフルな状況に対する視点の変え方などをカウンセリングでのセッションで習得します。
(2)不安や恐怖症
特定の状況や出来事に対して強い不安や恐怖を感じる場合、認知行動療法はその思考パターンに焦点を当て、不安の原因を見つけ出します。
そして、恐怖を和らげるためのステップを少しずつ踏みながら、克服するためのセッションを行います。
(3)自己肯定感の向上
自己肯定感が低いことで、何をやっても満足できなかったり、人と比較して落ち込むことが多いという悩みにも、認知行動療法は有効です。
自己評価を過度に低く見積もっている場合、その考え方を改善し、自己肯定感を高めるためのサポートを行います。
(4)人間関係の問題
人間関係において、誤解や対立、コミュニケーションの問題が原因で悩みを抱えることもあります。
認知行動療法では、相手の言動に対する自分の反応や考え方を分析し、より効果的なコミュニケーション方法を学ぶことで、人間関係の改善が期待できます。
臨床心理学における認知行動療法の日本での実証効果
日本でも、認知行動療法(CBT)の効果は数多くの研究で実証されています。
例えば、東京大学医学部附属病院の研究では、うつ(鬱)病患者に認知行動療法を行った結果、約12週間で症状が大幅に改善し、再発率も低下したことが確認されています。
また、京都大学の研究では、職場のストレスを抱える会社員に認知行動療法を実施し、不安やストレスが大幅に減少したと報告されています。
日本の臨床現場では、10~30回程度の短期間のセッションで、クライアントが思考や行動の変化を実感できることが評価され、忙しい日常生活でも効果的な治療法として注目されています。
認知行動療法は日本においても、うつ(鬱)病や不安障害だけでなく、ストレスや人間関係の問題にも有効なアプローチとして広く支持されています。
まとめ
認知行動療法は、精神疾患に対する効果が実証されているだけでなく、日常生活で抱える幅広い悩みにも対応できる柔軟なアプローチです。
カウンセリングセッションを通じて、クライアント自身が問題の本質に気づき、思考や行動をポジティブに変えていく力を育むことができます。
もし、ストレスや不安、自己肯定感の低さ、あるいは人間関係の問題で悩んでいるなら、認知行動療法のセッションを試してみてはいかがでしょうか?
あなたの心の負担を軽くし、前向きな一歩を踏み出すサポートができることを願っています。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。