親の養育による心の負担とその克服~心理カウンセリングとセルフケアの方法について~
2024/09/27
みなさん、こんにちは。
こころのケア心理カウンセリングROOMの心理カウンセラー 駒居義基です。
さて、私たちは、成長の過程で親からの養育を受けて育ちますが、親の養育が適切でない場合、子供は心に大きな負担を抱えることがあります。
こうした心の負担は、大人になってからも長く影響を残すことがあり、自己肯定感の低下や人間関係の問題、不安障害などの精神的な問題につながることがあります。
今回は、親の養育に問題があった場合に子供が受ける影響と、それに対して心理カウンセリングでどのように対応できるのか、さらに自分自身で行えるセルフケアについて詳しく解説します。
親の養育が子供に与える影響
親の養育スタイルや家庭環境は、子供の心身の発達に大きな影響を与えます。
特に、愛情の不足や過度なコントロール、厳しすぎる期待などが子供に与える影響は深刻です。
以下に、その具体的な影響を挙げます。
1. 自己肯定感の低下
親からの厳しい批判や過度な期待、不十分な愛情は、子供の自己肯定感に大きな影響を与えます。
「自分は価値がない」「何をしても認めてもらえない」といった感情を持つようになり、それが大人になっても続くことがあります。
自己肯定感が低いと、社会生活や人間関係で常に自信を持てず、チャレンジを避けるようになることが多くあります。
2. 不安やストレス
親の感情的な不安定さや過干渉、過度な期待は、子供にとって大きなストレス源となります。
親が常に否定的な態度を取ったり、感情的に不安定だったりする環境では、子供は常に親の機嫌を伺い、不安な状態が続きます。
このようなストレスは、成長過程で蓄積され、不安障害やうつ(鬱)病につながるリスクを高めます。
3. 健全な人間関係の構築が難しくなる
親との関係が不安定であったり、過度に支配的であった場合、大人になってからの人間関係に大きな影響を与えることがあります。
心理学の研究では、幼少期の親子関係が、その後の人間関係における信頼やコミュニケーション能力の基盤を形成することが示されています。
親から愛情を十分に受け取れなかったり、過度に管理されたりした子供は、他人との信頼関係を築くことが難しくなり、人間関係に問題を抱えやすくなります。
心理カウンセリングでのケアと対応
親の養育によって生じた問題に対して、心理カウンセリングは有効な解決策をご提供する事が出来ます。
カウンセリングでは、過去の経験を整理し、現在の自分にどのように影響を与えているかを理解することからスタートします。
それによって、より健全な自己認識を取り戻すプロセスを進めることができます。
以下、心理カウンセリングでのケアのアプローチの方法をご紹介します。
1. スキーマ療法
スキーマ療法は、子供時代に形成された「スキーマ」(認知的な枠組みやパターン)が、現在の問題行動や感情にどのように影響しているのかを探るアプローチです。
例えば、「自分は愛されない存在だ」というスキーマが、親からの不適切な養育で形成された場合、それが成人後の人間関係に影響を与えることがあります。
スキーマ療法では、このような深層的な思考パターンを特定し、それを修正するための方法を心理カウンセリングで検討し実践していきます。
この療法を通じて、過去の経験に基づいたネガティブな思考パターンを認識し、今の自分に合った新しい考え方や行動を取り入れることで、心理的な負担を軽減することができます。
2. 認知行動療法(CBT)
認知行動療法(CBT)は、思考と行動のつながりに焦点を当てた治療法で、特に不安やストレスに対して効果的です。
親の影響で形成されたネガティブな思考パターンを特定し、それを修正するための具体的な方法を提供します。
たとえば、「何をしても親に認められないから、誰にも認めてもらえない」という考え方に対して、CBTではその思考の根拠を検討し、現実的で前向きな視点に変えるようにアプローチをします。
CBTは短期間で効果が現れやすく、親の養育に関連した自己否定的な思考を修正することで、自己肯定感の回復やストレスの軽減が期待できます。
3. エモーション・フォーカスド・セラピー(EFT)
エモーション・フォーカスド・セラピー(EFT)は、感情に焦点を当てたアプローチで、抑圧された感情を解放し、それを適切に表現する方法を学びます。
親からの養育で抑圧されてきた感情(怒り、悲しみ、孤独感など)に向き合い、それをカウンセリングの場で表現することで、心理的な負担が軽減されます。
感情を整理し、自分が何を感じているのかを明確にすることで、親から受けた影響を乗り越え、より前向きな感情処理ができるようになります。
自分でできるセルフケア
カウンセリングと併せて、セルフケアも重要な役割を果たします。
自分自身で日常的にできる対策を取り入れることで、心理的な負担を軽減し、心の健康を維持することが可能です。
以下、そのセルフケアの方法をご紹介します。
1. マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、今この瞬間に意識を集中させ、過去の出来事や未来の不安にとらわれない心の状態を作り出す技法です。
特に、親からの養育によって引き起こされた不安やストレスを和らげるのに効果的です。
毎日短時間でも瞑想を行うことで、心の平穏を保つことができ、感情のコントロールがしやすくなります。
2. 日記をつける
自分の感情や思考を日記に書き出すことは、感情を整理するのに非常に効果的です。
特に、親との関係で感じたことや、その影響で今抱えている問題について書き出すことで、感情の整理が進みます。
また、日記を振り返ることで、感情の変化や改善のプロセスを確認できるため、セルフケアの一環として取り入れることができます。
3. 健康的なライフスタイルを保つ
心と体は密接に関係しています。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけることで、心の健康も保ちやすくなります。
親の養育による影響で抱える不安やストレスを軽減するためには、日常的な体のケアも忘れないことが重要です。
最後に
親の養育に問題があった場合、その影響は長く続くことがありますが、心理カウンセリングやセルフケアを通じて、過去の問題を乗り越えることが可能です。
スキーマ療法や認知行動療法、エモーション・フォーカスド・セラピーなどを通じて、自分自身を理解し、自己肯定感を取り戻すプロセスを進めていくことが大切です。
もし、親からの養育による心の負担を感じているなら、専門家のカウンセリングを受けてみることをおすすめします。
カウンセリングは、過去の体験やそれによって形成された思考パターンを深く理解し、日常生活におけるストレスや不安を軽減するための有効な手段です。
また、セルフケアも併せて行うことで、自己管理能力が向上し、心の健康をより良好に保つことができます。
私たちは、自分の過去や育った環境を変えることはできませんが、そこからどのように立ち直り、前向きな人生を築いていくかは選択することができます。
心理カウンセリングやセルフケアを通じて、自己理解を深め、より健全で前向きな人生を歩む一歩を踏み出してみませんか?
あなたの心の健康は、今後の人生の質に直結しています。
まずは、自分を大切にする一歩を踏み出しましょう。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。