家庭内の問題を乗り越える:ダブルABCXモデルで見るストレスと適応
2024/11/05
みなさん、こんにちは。
神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて、家族は日々さまざまな問題に直面し、時には大きなストレスや困難な出来事に悩まされることがあります。
このブログでは、家族がストレスや困難を乗り越えるための「ダブルABCXモデル」について、心理カウンセラーの視点から解説します。
家族内でのストレス対策に役立つ理論として知られ、このモデルは多くの家族カウンセリングの現場でも活用されています。
神戸、芦屋、西宮エリアでのカウンセリングサービスをご検討の方も、ぜひ参考にしてみてください。
1. ダブルABCXモデルとは?家族のストレスと調整のプロセス
ダブルABCXモデルは、家族がストレスフルな出来事に対してどう向き合い、適応していくかを解説するモデルです。
ストレスフルな状況が訪れると、家族はそれに対処し、適応していく必要がありますが、その過程で役立つのがこのモデルです。
モデルの基本は、4つの要素で構成された「ABCXモデル」から始まります。
これは、家族が困難に対してどう対応するかを理解する枠組みです。
A(ストレッサー):
家族が経験するストレスの原因です。家庭内不和や家族の病気や失業、事故などがこれに当たります。
B(リソース):
家族がストレスに対応するために利用できるリソースで、家庭内や地域からのサポート、財政的な安定性などが含まれます。
C(認識):
家族がストレッサーをどう捉えるかです。楽観的に乗り越えられると感じるか、あるいは無力感を感じるかで状況が大きく異なります。
X(ストレスと危機):
家族がストレスを受けた結果、家族全体が体験する危機のレベルです。A、B、Cの相互作用で危機の深刻度が変わります。
これらの要素がどのように作用するかにより、家族がその出来事を乗り越える準備が整うか、危機にさらされるかが決まります。
2. ダブルABCXモデルで見る家族の適応プロセス
さらに、ABCXモデルを発展させた「ダブルABCXモデル」は、長期的なストレスや連続する問題への家族の適応を説明するための要素を追加しています。
これにより、ストレスが重なった際の家族の調整と適応プロセスがより深く理解できます。
aA(積み重なるストレッサー):
一度のストレスが他の問題も引き起こし、問題が次々と複雑になることがあります。
たとえば、失業により家計が悪化し、それが家庭内の緊張や孤独感を増大させることがあります。
bB(新しいリソース):
新たな困難に対応するため、家族は新しいサポートやスキルを求めることが必要になります。
地域での支援を探したり、自己成長を促したりすることが、対処に役立ちます。
cC(変化する認識):
つらい状況でも、家族はその出来事を再評価することで捉え方を変え、前向きな意味を見つけられるようになります。
逆境を通じた学びや成長の機会と捉えることが、家族の精神的負担を軽減します。
xX(調整と適応):
家族は積み重なるストレッサーに対して最終的に適応しようとします。
適応が成功すれば、家族の関係が強化されることがありますが、不適応のままでは精神的な負担が増してしまう場合もあります。
3. 家族が困難を乗り越えるための実践方法
ダブルABCXモデルに基づいて、当事者でも取り組める実践方法をコンパクトにまとめました。
この方法は、日常の中でストレスを管理し、家族での調整と適応を支えるためのものです。
1. ストレッサー(A)の明確化
まずは、家庭で発生しているストレスの要因を具体的に洗い出してみましょう。
家族全員が感じている不安や心配事を共有する時間を設けると、問題点が明確になりやすくなります。
実践方法:
・家族会議を定期的に開き、各自の悩みや困難を共有する時間を確保する。
・家族が感じるストレスや不安を具体的にリスト化する。
2. リソース(B)の活用
家庭内外で利用できる支援やサポート(リソース)を見直し、積極的に活用してみましょう。
家族内での役割分担や、友人、地域の支援などを含めて、頼れるサポートを確認しておくことが重要です。
実践方法:
・家族でできる役割分担を決め、各自の負担を軽減する。
・家族の外にも、相談できる友人やコミュニティのサポートに頼る。
3. 認知・認識(C)の再評価
同じ出来事でも、捉え方によって心の負担が軽減することがあります。
ストレッサーに対する捉え方を、ポジティブな視点で見直してみましょう。
実践方法:
・日記やノートに、ポジティブに捉えられる視点を毎日書き出す。
・家族で「ストレスの原因をどう乗り越えるか?」と話し合い、前向きなアイデアを出す。
4. 小さな目標を設定し、少しずつ適応を目指す(xXの実践)
一度にすべての問題を解決するのは難しいため、小さな目標を立てて、一歩ずつ前進するようにしましょう。
達成感が生まれやすくなり、家族全体の協力も得やすくなります。
実践方法:
・「今週は家族全員で一緒に夕食をとる日を増やす」「不安を感じたときに深呼吸をする」などの小さな目標を設定する。
・進展があったときはお互いに褒め合い、適応のプロセスをポジティブに評価する。
このように、ダブルABCXモデルを日常に取り入れることで、ストレスへの対処が少しずつ可能になります。
4. ダブルABCXモデルの実践的な意義とカウンセリングの重要性
ダブルABCXモデルを用いることで、カウンセラーや支援者は、家族が困難な状況にどう対処すればよいかを考えられます。
家族がどのようなリソースを活用できるかを見極めたり、コミュニケーションを改善するための支援を行ったりすることで、家族のサポートが可能です。
神戸、芦屋、西宮エリアでのカウンセリングサービスでは、このようなモデルを参考に、家族全体の精神的な健康を支えています。
家族内のつながりを強め、安心できる環境でストレスに向き合うためには、プロフェッショナルによるカウンセリングの利用がとても有効です。
おわりに
家族が経験するストレスや困難にどう対処し、乗り越えていくかは、家庭の環境や支援体制によって異なります。
ダブルABCXモデルは、家族がストレスに対してどのように調整し、適応するかを体系的に理解するための重要な枠組みです。
家族内での協力や地域からの支援を受けることで、困難を乗り越える力が育まれます。
カウンセリングでは、このモデルを活用しながら、一人ひとりが安心して話せる場を提供しています。
神戸、芦屋、西宮エリアでのカウンセリングサービスは、家族全体の健康と幸せを支えるための手助けとなるでしょう。
参考論文
The family stress process: The double ABCX model of adjustment and adaptation
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こころのケア心理カウンセリングRoom
兵庫県芦屋市浜芦屋町1-27 サニーコート浜芦屋302号
電話番号 : 090-5978-1871
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。