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誰にも言えない悩みを抱えることが心を蝕むメカニズムとは?神戸、芦屋、西宮のカウンセリングの臨床より

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誰にも言えない悩みを抱えることが心を蝕むメカニズムとは?

誰にも言えない悩みを抱えることが心を蝕むメカニズムとは?

2024/11/22

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、悩みを誰にも打ち明けられず、一人で抱え込んでしまった経験はありませんか?

 

その悩みが頭から離れず、不安や気分の落ち込みに繋がることも少なくありません。

 

特に、日常的に抱えるストレスやトラウマと結びついた悩みは、私たちの心理的な健康に大きな影響を与える可能性があります。

 

今回は、「Why Keeping Secrets Heightens Anxiety and Depression」という研究をもとに、「悩みを抱え込むことが心理的にどのような影響を与えるのか」について解説します。

 

また、カウンセリングを通じて悩みを解きほぐす重要性についても触れ、皆さんがより軽やかな心で日々を過ごせるヒントをお届けします。

 


悩みを抱え込むことの心理的影響


悩みを誰にも相談できず、一人で抱え込むことは、心理的な健康に多大な影響を及ぼします。

 

「Why Keeping Secrets Heightens Anxiety and Depression」という研究では、悩みを抱え込むことがどのように不安や抑うつを引き起こし、悪化させるかが詳しく分析されています。

 

以下では、その具体的な心理的影響を深く掘り下げて解説します。

 

1. 持続的なストレスの蓄積


悩みを抱え込むことで、脳は常にその問題に意識を集中し、解決しようとします。

 

しかし、解決策が見えない場合、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増え、以下のような状態を引き起こします。

 

(1)慢性的なストレス反応


ストレスによるコルチゾールの過剰分泌は、体が常に緊張状態になる原因となります。

 

この緊張状態が続くと、身体的な症状(頭痛、胃腸の不調、疲労感)や精神的な症状(不安、集中力の低下)が現れます。

 

(2)心のリソース(資源、エネルギー)の枯渇


悩みを抱え続けることは、心のエネルギーを消耗させます。

 

これにより、他の課題や活動に集中する余裕がなくなり、全体的な生活の質が低下します。

 

2. 自己否定感の増大


悩みを抱え込む人は、以下のような否定的な自己認識に陥りやすいです。

 

(1)「誰にも話せない自分は弱い」という自己批判


悩みを話せない理由を、自分の弱さや無力さに結びつける傾向があります。

 

これにより、自己評価がさらに低下し、抑うつの引き金となります。

 

(2)「他人に迷惑をかけたくない」という思い込み


他者に相談することで負担をかけてしまうという思い込みから、さらに孤立感が深まるケースが多いです。

 

この孤立感が、不安や抑うつを悪化させる要因になります。

 

3. 反すう思考(ぐるぐる思考)の悪循環


反すう思考(ぐるぐる思考)とは、過去の出来事やネガティブな状況について繰り返し考え続ける思考パターンのことです。

 

悩みを抱え込む人は、この反すう思考に陥りやすく、以下のような悪循環が生まれます。

 

(1)解決の難しい問題に囚われる


同じ悩みを何度も考え直すことで、問題の大きさが誇張され、さらに解決が困難に感じられるようになります。

 

(2)ネガティブ感情の強化


「なぜこうなったのか」「どうして自分がこんな目に」といった思考が、怒り、不安、悲しみといったネガティブ感情を増幅させます。

 

4. 孤立感と社会的サポートの欠如


悩みを話せないことによって、他者とのつながりが弱まる、または完全に断たれてしまうことがあります。

 

(1)孤立感の増大


他者と気持ちを共有できないことで、「自分だけがこのような状況にある」と感じ、孤立感が強まります。

 

(2)社会的サポートの欠如


悩みを相談しないことで、友人や家族、同僚といった周囲のサポートを受ける機会を失い、心理的な負担が増します。

 

5. 身体的症状の出現


心理的な影響は、身体的な症状として現れることも少なくありません。

 

悩みを抱え込むことが長期化すると、以下のような身体症状が報告されています。

 

●睡眠障害(入眠困難、早朝覚醒、悪夢)
●食欲の変化(過食や拒食)
●慢性的な痛み(頭痛、筋肉痛、胃腸の不調)


これらの症状がさらにストレスを増幅させ、心身の悪循環が生じる可能性があります。

 

6. 長期的な心理的影響


悩みを抱え込むことは、一時的な問題だけではなく、長期的な心理的影響を及ぼす可能性があります。

 

(1)抑うつ症状の発展


抑うつ症状は、時間とともに深刻化し、専門的な治療が必要なうつ病に進行するリスクがあります。

 

(2)不安障害の増悪


常に悩みを考え続けることで、慢性的な不安状態が強まり、日常生活に支障をきたす可能性があります。

 

悩みを抱え込む理由とは?


人が悩みを抱え込む理由は、心理的、社会的、個人的な要因が絡み合った結果であり、個々の状況によって異なります。

 

研究では、悩みを抱え込む行動に影響を与えるいくつかの要因が詳しく分析されています。

 

以下では、その理由を深掘りして解説します。

 

1. 他者への迷惑を避けたいという気持ち


多くの人は、悩みを共有することで他者に負担をかけたくないという思いから、自分だけで解決しようとします。

 

この心理的要因には以下の特徴があります。

 

(1)自己犠牲的な思考


「他人を巻き込みたくない」「自分の問題は自分で解決すべき」という考えが強く、他者への負担を最小限に抑えようとします。

 

(2)相手の反応に対する不安


相談を持ちかけたときに、「重たい話題だと思われるかもしれない」「相手に嫌がられるかもしれない」といった不安が、悩みを話すことへの障壁となります。

 

2. 弱さを見せたくない心理


社会的な価値観や自己イメージが関係し、「悩みを話すことは自分の弱さをさらけ出すことだ」と考える場合があります。

 

(1)完璧主義の影響


完璧主義的な人は、他者から弱い部分を見られることを極度に嫌います。

「自分は強くあるべき」「問題を抱える自分を知られたくない」という信念が、悩みを抱え込む要因になります。

 

(2)文化的な要素
特に日本のような「自己責任」の文化が根強い社会では、「問題を他人に相談することは甘えだ」という偏見が、悩みを共有する行動を抑制します。

 

3. 恥や罪悪感


悩みの内容が個人的な失敗や間違いに関連している場合、それを他者に話すことで恥や罪悪感を感じることがあります。

 

(1)過去の失敗の影響


例えば、仕事でのミスや人間関係のトラブルが原因の悩みでは、「自分の過ちを認めることになる」と感じ、話しづらくなることがあります。

 

(2)社会的な評価を気にする


他者から「無能だと思われる」「頼りにならないと思われる」といった恐れが、悩みを隠す動機となります。

 

4. 他者の反応への恐怖

 

もしかしたら、悩みの抱え込みについては、これが非常に大きく影響しているかもしれません


悩みを話した際に相手がどのように反応するかが予測できないため、相談をためらうケースも多いです。

 

(1)否定される恐れ


「それくらい大したことない」と言われたり、真剣に受け止めてもらえなかったりすることへの恐れが、話すことを阻みます。

 

(2)評価の変化への不安


相談した相手からの評価が下がること(「弱い人間だ」「面倒な人だ」と思われる)が怖く、悩みを抱え込んでしまう場合があります。

 

5. 自分で解決しなければならないという思い


人は誰しも、問題を自分で解決しなければならないと考えがちです。

 

しかし、それが過剰になると、悩みを抱え込む原因となります。

 

(1)自己効力感の誤解


自分で解決することで「成長できる」と信じる一方で、困難な状況に直面すると、自分の限界に気づけないことがあります。

 

(2)相談は失敗の証と考える


他者に頼ることを「自分の無力さを認める行為」と捉え、相談を避ける傾向があります。

 

6. 過去の相談経験が影響する場合


過去に誰かに相談した際、ネガティブな経験をしたことがある場合、悩みを話すことに対して抵抗感が強くなります。

 

(1)相談が逆効果だった経験


「話しても助けにならなかった」「逆に責められた」といった経験が、再び相談する意欲を削いでしまいます。

 

(2)秘密が漏れた経験


信頼した相手に話した内容が他人に知られた場合、信頼が損なわれ、悩みを話すことへの不安が強まります。

 

7. 解決方法が見つからないという絶望感

 

これも非常に多くみられる傾向です。


悩みの内容が深刻で、明確な解決策が見えない場合、「話しても無駄だ」という感覚が生じ、抱え込むことにつながります。

 

(1)複雑な問題


人間関係やキャリアの選択など、簡単に解決できない問題は、他者に相談しても答えが得られないと考えることがあります。

 

(2)感情の絡み


感情的な問題が絡む場合、言葉にすること自体が難しいため、結果的に抱え込む形になることがあります。

 

8. 自分自身を守りたい心理


悩みの内容が非常に個人的なものである場合、他人に話すことで自分自身の領域が侵害されることを恐れることがあります。

 

(1)信頼できる相手がいない


自分のプライバシーを守りながら相談できる相手がいないと感じる場合、悩みを話すことが難しくなります。

 

(2)自分の領域を守りたい


他者との距離を保つために、内面的な悩みを明かさないことを選ぶケースもあります。

 


悩みを抱え込む理由は、個人の価値観や過去の経験、社会的な背景など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

 

これらの理由が、悩みを外に出す行動を抑制し、結果として心理的な負担を増加させることが多いのです。

 

悩みを解きほぐすための第一歩


悩みを抱えているとき、その重さに圧倒され、一歩を踏み出すのが難しく感じることがあります。

 

しかし、悩みをそのまま放置してしまうと、心や体に悪影響を及ぼし、生活全般の質が低下する可能性があります。

 

ここでは、悩みを解きほぐすための第一歩について、具体的かつ実践的な方法を解説します。

 

1. 悩みを自覚する


(1)悩みの正体に気づく


悩みを解きほぐすための第一歩は、「自分が悩みを抱えている」ということを自覚することです。

 

多くの場合、人は悩みの存在を無意識のうちに隠したり、小さく見積もろうとする傾向があります。

 

(2)悩みの存在を否定、無視するリスク


悩みを無視したり否認すると、それは時間とともに大きな負担となり、ストレスや不安感が増す可能性があります。

 

まずは、「自分には今、解決したい悩みがある」という事実を受け入れましょう。

 

(3)シンプルな自己チェック


日記やメモに「今、何が気になっているか」「何が引っかかるのか」を書き出してみましょう。

 

このプロセスは、頭の中で漠然としていた悩みを具体的な形にする助けになります。

 

2. 自分の感情を整理する


(1)感情を言葉にする


悩みが絡まる背景には、強い感情が伴うことが多いです。

 

例えば、不安、恐れ、怒り、悲しみなどが複雑に絡み合っている場合があります。

 

それらを整理することが、悩み解消の鍵となります。

 

(2)感情を書き出す


「何に対して不安を感じているのか」「何が悲しいのか」といった具体的な感情を、メモやノートに書き出してみましょう。

 

(3)感情を評価する


感情に点数をつけることで、その強さを視覚化できます(例:「不安:10点中8点」)。

 

これにより、何が自分を一番苦しめているかを把握しやすくなります。

 

3. 問題を小分けにする


(1)悩みを細分化する


大きな悩みは、その全体像を捉えるだけで圧倒されることがあります。

 

そのため、悩みを小さなパーツに分解していくことが重要です。

 

分解の例


例えば、「仕事がつらい」という悩みを持つ場合

 

●「仕事量が多すぎる」
●「上司との関係がうまくいっていない」
●「将来への不安がある」


といった具合に細かく分けることで、それぞれに適した対応策を考えやすくなります。


(2)優先順位をつける


悩みを細分化した後は、どれが最も優先的に解決すべき問題かを考えてみましょう。

 

一度に全てを解決しようとするのではなく、取り組みやすいところから始めることが大切です。

 

4. 信頼できる人に話してみる


(1)悩みを共有することで得られる効果


悩みを他人に話すことで、自分一人で抱え込む負担が軽減されます。

 

誰かと話すことで、自分の考えを整理し、異なる視点からのアドバイスを得られることもあります。

 

(2)誰に話すべきか


信頼できる友人、家族、またはカウンセラーなど、安全で安心できる環境を提供してくれる相手を選びましょう。

 

(3)話す際のポイント


自分の悩みを具体的に伝えるために、前もって何を話すかを考えておくとスムーズです。

 

ただし、悩みを話す相手が心理カウンセラーの場合は、逆に前もって整理せずに、悩みや感情を思いつくまま話をする方法が効果的です。

 

また、相手に解決を求めるのではなく、「話を聞いてほしい」という姿勢で話し始めると、気軽に相談できることがあります。

 

5. 行動計画を立てる


(1)小さな一歩を決める


悩みを解決するための行動を計画する際には、小さく具体的なステップから始めることが重要です。

 

例:仕事のストレスの場合

 

●「今週末は仕事から完全に離れてリラックスする」
●「上司に相談するためのアポイントを取る」
●「1日30分、リラクゼーションのための時間を確保する」


(2)進捗を記録する


行動を記録し、小さな成功を積み重ねることで、自分の悩みが少しずつ軽くなっていく感覚を得られます。

 

6. 自分を責めない


(1)自己批判を和らげる


悩みを抱えることは誰にでも起こることであり、それ自体が「弱さ」を示すものではありません。

 

「悩んでいる自分を責める」という行為を手放すことが、解決への大切な一歩となります。

 

(1)思考を転換する


「どうしてこんなにダメなんだ」ではなく、「今、少しずつ対処法を探している」とポジティブに捉え直しましょう。

 

(2)自分を肯定する


悩みを抱えつつも解決しようと努力している自分を認めることが、心の支えになります。

 


悩みを解きほぐす第一歩は、「自覚」「整理」「行動」の3ステップから始めることが効果的です。

 

自分一人で解決することが難しい場合でも、悩みを細分化し、行動計画を立てることで、少しずつ状況が改善していきます。

 

もし悩みが複雑で解決が難しいと感じたら、信頼できる専門家に相談するのも選択肢の一つです。

 

神戸、芦屋、西宮のカウンセリングサービスでは、安心して話せる環境を提供し、悩みを整理し解決への道をサポートします。

 

悩みを抱えたままではなく、少しずつでも前に進むための一歩を踏み出していきましょう。

 

参考論文

Why Keeping Secrets Heightens Anxiety and Depression

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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