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愛着理論から読み解く不安と抑うつの関係~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングサービスの実例より~

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愛着理論から読み解く不安と抑うつの関係

愛着理論から読み解く不安と抑うつの関係

2024/12/25

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、皆さんは…

 

「なぜ私はいつも不安を感じやすいのだろう?」

「対人関係で自分の気持ちをうまく伝えられない……」

 

こういった悩みを抱えていませんか?

 

これらの心の問題は、幼少期の愛着形成感情調整能力にルーツがあるかもしれません。

 

つまり、幼少期の親子関係において適切な関りがなかったがゆえに、大人になってから心理的・精神的な苦痛を抱えてしまっている可能性があるということです。

 

最新の研究では、愛着スタイル感情調整の困難さが、抑うつ全般性不安障害(GAD)に深く関係していることが示されています。

 

そこでこの記事では、「Adult attachment, emotion dysregulation, and symptoms of depression and generalized anxiety disorder」という研究論文を元に、愛着理論と心理的症状の関連性について詳しく解説し、改善に向けた具体的なアプローチをご紹介します。

 

1. 愛着理論とは?~心の土台を築く愛着スタイルについて~

 

1-1. 愛着理論とは?

 

愛着理論(Attachment Theory)は、イギリスの精神分析医ジョン・ボウルビィ(John Bowlby)が提唱した理論で、人間関係の形成や感情調整の基盤を説明する重要な概念です。

 

この理論では、幼少期の養育者との関係が、成人後の対人関係やストレス対処能力、感情のコントロールに大きく影響すると考えられています。

 

特に、生まれたばかりの赤ちゃんは自分だけでは生存できないため、親や養育者に守られ、安心感を得ることが必要です。

 

この親密な絆(愛着)が、心理的な安全基地となり、将来の人間関係や心の安定を築く土台になるとされています。

 

1-2. 幼少期の愛着形成とその役割

 

幼児期の愛着形成は、ストレス時に安心感を得るための基盤として重要です。

 

1. 安心基地と探索行動

 

・親や養育者を「安心基地」として信頼できると、子供は外の世界を探索する意欲を持ちます。

 

・不安を感じたときには「安全な避難場所」として親に頼ることで心の安定を保ちます。

 

2. 愛着が心の発達に与える影響

 

愛着形成は、自己肯定感他者への信頼感を育む重要な役割を果たします。

 

・健全な愛着はストレスに強い心を育て、感情調整能力を高めます。

 

・不安定な愛着は、対人関係の不安や感情調整困難を引き起こしやすくなります。

 

1-3. 大人の愛着スタイルと特徴

 

幼少期に形成された愛着スタイルは、成人期の人間関係やストレスへの対処法に引き継がれます。

 

そして、成人の愛着スタイルは、安全型愛着不安定型愛着の2つに分類されます。

 

1. 安全型愛着(Secure Attachment)

 

特徴
→安心感や信頼を基盤にした健全な対人関係を築ける。

 

行動パターン:
→他者に頼ったり、助けを求めることができる。
→ストレスを感じても適切に対処できる。

 

心理的影響
→不安や抑うつのリスクが低く、感情調整能力が高い。

 

2. 不安定型愛着(Insecure Attachment)

 

① 不安型愛着(Anxious Attachment)

 

特徴
→他者からの拒絶や評価を過度に恐れる傾向がある。

 

行動パターン
→愛情や承認を得るために過度に相手に依存する。
→分離への恐怖や嫉妬が強く、不安定な関係を繰り返す。

 

心理的影響
→不安障害や抑うつを発症しやすく、ストレスへの耐性が低い。

 

② 回避型愛着(Avoidant Attachment)

 

特徴
→他者との親密な関係を避け、自立を強調する傾向がある。

 

行動パターン
→感情を表に出さず、距離を保とうとする。
→親密な関係を拒否し、孤独を選びがち。

 

心理的影響:
→抑うつのリスクが高く、感情を抑え込むことでストレスが蓄積する。

 

1-4. 愛着スタイルと感情調整の関係性

 

愛着スタイルは、感情の処理や表現にも強く影響を与えます。

 

1. 安全型愛着と感情調整

 

安全型愛着を持つ人は、感情を適切に理解し、表現したり抑制したりすることが得意です。

 

そのため、ストレスへの対処能力が高く、不安や抑うつに陥りにくい傾向があります。

 

2. 不安型愛着と感情調整

 

不安型愛着の人は、感情を過剰に表出することが多く、ストレスや不安をコントロールすることが難しいとされています。

 

例えば、他者に必要以上に依存し、自分の感情を相手に強く投影することがあります。

 

3. 回避型愛着と感情調整

 

回避型愛着の人は、感情を抑え込み、他者に頼ることを避けます。

 

これにより、一見安定しているように見えるものの、内面的には孤独や抑うつを抱え込みやすくなります。

 

1-5. 愛着スタイルが抑うつや不安障害に与える影響

 

最新研究では、愛着スタイルと抑うつ・不安障害との関連性が明確に示されています。

 

不安型愛着
→他者への依存や評価への過敏さから、不安障害やパニック発作を引き起こしやすい。

 

回避型愛着
→感情を抑え込むことでストレスが蓄積し、抑うつ症状を発症しやすい。

 

安全型愛着
→感情調整スキルが高いため、ストレスや不安への耐性が高く、心理的な問題に陥りにくい。

 

2. 感情調整困難とは?~ストレスと心のバランスの崩れ~

 

感情は、私たちの心と体を守り、行動を導く大切な役割を果たします。

 

しかし、その感情をうまくコントロールできないと、ストレスや対人関係の問題が悪化し、抑うつ不安障害などの心理的な症状が引き起こされることがあります。

 

ここでは、感情調整とは何か、その困難さがどのように心に影響を与えるのかについて、最新の研究や臨床的な知見を踏まえて詳しく解説します。

 

2-1. 感情調整とは?

 

感情調整とは、湧き上がる感情を認識し、それを適切に管理・表現する能力を指します。

 

このスキルは、ストレスや困難な状況に対処し、心のバランスを保つために欠かせません。

 

感情調整の役割

 

感情の認識: 自分がどのような感情を抱いているかを理解する。

 ↓

感情の評価: その感情が妥当かどうかを判断する。

 ↓

反応の選択: 感情に適切に反応し、衝動的な行動を抑える。

 

このプロセスを通じて、人は自己制御を保ち、他者との関係を円滑に築くことができます。

 

2-2. 感情調整困難とは?~心のバランスを崩すメカニズム~

 

感情調整困難とは、感情を適切に処理し、表現することができない状態を指します。

 

この状態では、些細な出来事に過剰反応したり、感情を抑え込みすぎてストレスをため込んだりする傾向が見られます。

 

1:感情調整困難の主な特徴

 

感情認識の難しさ
→自分が何を感じているのか分からない。
→感情を言葉で表現できない(アレキシサイミア)。

 

衝動的な反応
→怒りや悲しみに支配されて衝動的に行動する。
→感情の爆発や自己破壊的な行動が起こる。

 

感情の抑圧
→不快な感情を押し殺し続けることで、内面にストレスを蓄積。
→結果として抑うつや不安が慢性化する。

 

持続的な否定的感情
→感情の切り替えがうまくできず、長時間ネガティブな気分にとらわれる。

 

2-3. 感情調整困難と心理的問題の関連性

 

1. 抑うつとの関連性

 

感情を抑え込む傾向が強い人は、以下のような心理的プロセスを経て抑うつ症状を発症しやすくなります。

 

自己否定的思考の強化: 自分は価値がないと感じやすくなる。

 

喜びや達成感の喪失: 感情を抑え続けることでポジティブな感情も薄れる。

 

無力感の蓄積: ストレスに対処できずに行動が制限され、無気力に陥る。

 

2. 不安障害との関連性

 

不安を適切に調整できない人は、次のような症状を経験しやすくなります。

 

過覚醒状態: 常に警戒しているため、集中力が低下し、不眠が続く。

 

過剰な心配: 未来への恐怖や不確実性に対する不安が抑えられない。

 

回避行動: 不安から逃れるために、社会的な場面や責任を避ける。

 

3. 愛着スタイルと感情調整困難の関連性

 

研究では、不安型愛着回避型愛着を持つ人は感情調整困難を抱えやすいことが示されています。

 

不安型愛着: 感情を過剰に表出し、対人関係で相手の反応に過敏になる。

 

回避型愛着: 感情を抑え込み、親密な関係を避けることで孤立感が強まる。

 

3. 不安や抑うつへの心理療法とアプローチ

 

3-1. 認知行動療法(CBT)

 

CBTは、ネガティブな思考パターンや感情の歪みを修正し、感情調整スキルを向上させる効果が期待できます。

 

3-2. 弁証法的行動療法(DBT)

 

DBTは感情調整のトレーニングに特化した療法で、特に感情が乱れやすい人に有効です。

 

まとめ~心のバランスを取り戻そう~

 

不安や抑うつは、感情調整の困難さや愛着スタイルの問題と深く結びついています。

 

しかし、これらの課題は決して一人で抱え込む必要はありません。認知行動療法(CBT)弁証法的行動療法(DBT)など、科学的に効果が証明された心理療法を活用することで、感情を整理し、心のバランスを取り戻すことができます。

 

また、心理カウンセラーとの対話を通じて、自分の気持ちを整理し、ストレスへの対処法を学ぶことは、回復への大きな一歩となります。

 

さらに、必要に応じて専門医による診断や薬物療法を併用することで、より安定した治療効果を得ることも可能です。

 

もし皆さんが心の不調を感じたときは、専門家とともに安心して回復の道を歩んでいきましょう。

 

一人で悩まず、皆さんの心の健康をサポートする専門医や心理カウンセラーに相談することが、未来の明るい生活への第一歩です。

 

まずは気軽にご相談ください。不安や抑うつで苦しまれている方の回復を心から応援します。

 

参考論文

Adult attachment, emotion dysregulation, and symptoms of depression and generalized anxiety disorder

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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