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自分と他人を守る心の境界線:健全な関係を築くための実践法~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングの実例より~

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自分と他人を守る心の境界線:健全な関係を築くための実践法

自分と他人を守る心の境界線:健全な関係を築くための実践法

2024/12/29

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、最近は私たちの職場環境や働き方は劇的に変化し、その結果新たな課題も加わり、多くの方々が心の余裕を失っています。

 

また、社会全体がストレスやプレッシャーにさらされ、他人の権利や自由を侵害する行動が増加しているように感じます。

 

そのため職場やプライベートの人間関係においても、他人を非難し、自分の考えを押し付ける活動が目立つ昨今、社会の不安定さが一層深刻化しているのです。

 

この状況下で、私たちはかつてないほどの長期間にわたりストレスに晒されてきました。

 

加えて、例えば職場内でのハラスメントが問題視されるようになり、パワハラ、マタハラ、モラハラなどが引き起こす心身のダメージが社会問題として浮き彫りになっています。

 

これらの問題の根底にあるのは、「自分と他人の境界線が曖昧になっている」ことです。

 

ここで言う「境界線」とは、皆さんの心と他人の心との境目を意味します。

 

境界線が曖昧になると、他人の感情や思考が過度に自分に影響を与えやすくなり、反対に自分の感情や思考が他人に侵入してしまうこともあります。

 

この状態が続くと、相手に自分を操られていると感じたり、過剰な影響を受けてしまうことになります。

 

少し極端かもしれませんが、パワハラのケースを見てみましょう。

 

厚生労働省では、パワーハラスメントを以下のように定義しています。

 

① 優越的な立場を利用し

② 業務の範囲を超えた言動により

③ 就業環境を害すること(身体的・精神的苦痛を与えること)

 

ここで重要なのは、上下関係が対等ではなく、一方的に相手の心や思考、感情に過剰に干渉していることです。

 

パワハラが発生する原因の一つは、この「自他の境界線が越えられている」状態にあります。

 

そして受け取る側の感情や反応によっても影響が大きく異なり、同じ状況でも感じ方は人それぞれです。

 

私たちの周りでは、上司から業務を押し付けられたり、恋人から過度な要求をされたり、家族から過剰な助言を受けることがあります。

 

これらは些細に見えるかもしれませんが、場合によっては不快感やストレスを引き起こし、心身に影響を及ぼします。

 

こうした感情を無視し続けることは、心のバランスを崩す原因になることがあるため、適切に対処する必要があります。

 

他人の境界線を侵害され、不快に感じた場合には、どのように対処すべきかを考えることが大切です。

 

1. アサーティブコミュニケーションを意識する

 

アサーティブコミュニケーションとは、自己主張をしつつも相手の立場や感情を尊重する、バランスの取れたコミュニケーションスタイルです。

 

この方法を意識することで、自分の感情や意見を押し付けずに伝えられ、他人の境界線を尊重しながら自分も守ることができます。

 

1.自己主張と他者尊重のバランス

 

アサーティブコミュニケーションの基本は「自分も相手も大切にする」という考え方です。

 

つまり、自己主張と相手への配慮を同時に行い、自分の感情や意見を適切に表現します。

 

例えば、職場で過度な業務を与えられた場合、「これ以上の業務を引き受けることができない」と正直に伝えつつ、相手の立場や状況も考慮することが重要です。

 

例えば次のように伝えることができます。

 

例1

「この仕事の量は、定時内に終わらせるのが難しいです。もう少し内容を減らしていただけますか?」


このように自分の立場をはっきりと伝え、相手にも調整をお願いすることがアサーティブです。

 

この場合、自分の権利を主張しつつ、相手を尊重することが重要になります。

 

2.「I’m OK, you’re OK」の考え方

 

アサーティブコミュニケーションでは、相手に対しても自分に対しても敬意を払う「I’m OK, you’re OK」の考え方が根底にあります。

 

この考え方は、あなたも相手も大切で、双方の意見や感情を尊重し合うという前提に立っています。

 

例2

「この方法で進めると私はかなり忙しくなりますが、あなたがこの方向で進めたい理由はわかります。何か他に方法はありますか?」


ここでは自分の気持ちを正直に表現し、相手の意図や理由にも理解を示しています。

 

このように、相手を否定せずに自分の立場を明確に伝えることがアサーティブのポイントです。

 

3.アサーティブでないコミュニケーションの例

 

アサーティブコミュニケーションを実践できていない場合、以下のような反応が見られることがあります。

 

自己犠牲型(「I’m not OK, you’re OK」)

→自分の意見を言わずに相手に合わせすぎる

「わかりました、何でもやります。」


自分の限界を超えて我慢し続けることは、心身の負担を増やす原因になります。

 

攻撃型(「I’m not OK, you’re not OK」)

→相手を攻撃することで自己主張する

「なんでこんなに無理な仕事を押し付けるんですか?」


このように感情的に反応すると、相手との関係が悪化し、問題解決にはつながりません。

 

アサーティブコミュニケーションは、感情を押し殺すことなく、相手を攻撃せず、かつ自分の立場をしっかりと伝える方法です。

 

このバランスを取ることで、自己尊重を保ちながら、他者との良好な関係を築くことができます。

 

4.アサーティブコミュニケーションを実践するために

 

アサーティブにコミュニケーションを取るためには、以下の点に注意して練習を重ねることが大切です。

 

(1)自分の感情に気づく


まず、自分が何を感じているのか、どう思っているのかを意識することが重要です。

 

自分の気持ちを理解し、どのように伝えるかを考えることで、より効果的な自己主張ができます。

 

(2)「私」を主語にする


自分の意見や感情を伝える際には、「私は」と言うことで、自分の立場や気持ちを表現できます。

 

これにより、相手に責任を押し付けるのではなく、自分の感情を率直に伝えやすくなります。

 

(3)具体的に伝える


抽象的ではなく、具体的な状況や行動について話すことで、相手が理解しやすくなります。

 

具体的な言葉を使うことで、誤解を避けることができます。

 

アサーティブコミュニケーションは、自己主張と他者への配慮を両立させる方法です。

 

これを実践することで、心の境界線を守りつつ、人間関係をより良いものにすることができます。

 

2.物理的・心理的距離を取る

 

物理的距離心理的距離を適切に取ることは、自分の心の境界線を守り、他人からの過度な影響を避けるために非常に重要です。

 

特に、相手が自分の境界を侵害するような場合や、ストレスが強くなる状況では、この方法が効果的です。

 

物理的な距離と心理的な距離を取ることで、自分を守り、心の安定を保つことができます。

 

1. 物理的距離を取る

 

物理的距離を取るというのは、文字通り「相手から離れる」ことを指します。

 

自分が物理的に相手から距離を取ることで、相手からの影響を軽減することができます。

 

これには、直接的な接触を避けたり、会話を控えたりすることが含まれます。

 

例えば、職場でパワハラやマタハラを受けている場合、できるだけその人との距離を置くことが有効です。

 

会話をする際には、適度に自分の距離を取ることで、無理な要求や攻撃的な言動を避けることができます。

 

(1)実例

 

会議や仕事での接触

もし上司が無理な要求をしてくる場合、会話の際に席を少し遠くに移動することで、物理的な距離を作り、自分を守ることができます。

 

家族や友人との距離

過度に干渉してくる家族や友人から離れ、しばらく会わないようにすることも一つの方法です。

 

物理的に距離を取ることで、相手の影響力が減少し、自分の感情や思考に対するスペースが増えます。

 

特に、感情的に疲れている時やストレスを感じている時には、物理的な距離を取ることが非常に有効です。

 

2. 心理的距離を取る

 

物理的な距離が取れない場合や、直接的な接触を避けることができない場合には、心理的距離を取ることが大切です。

 

心理的距離とは、相手の言動や感情に対して心の中で距離を置き、感情的に巻き込まれないようにすることです。

 

心理的距離を取ることで、相手の感情や思考に過剰に反応せず、自分自身の感情や価値観を守ることができます。

 

これは、特に職場や家庭、学校などの関係が密接であったり、長時間接触しなければならない場合に役立ちます。

 

(1)実例

 

感情的な反応を避ける

相手が強く怒っている時や攻撃的な言動をしている時に、感情的に反応してしまうのではなく、自分の気持ちを落ち着け、冷静に対応するよう心がけることが大切です。

「この人が怒っているのは私のせいではない」と自分に言い聞かせることで、心理的な距離を取ります。

 

思考の切り替え

例えば、相手が自分を批判してきた場合、その批判に自分の価値をリンクさせないようにすることです。

「この批判はその人の意見であって、私の全てを語っているわけではない」と心の中で自分を守るフレーズを使うことが有効です。

 

心理的距離を取るためには、自分の感情や思考を観察し、相手の影響を受けすぎないようにすることが必要です。

 

これは、意識的に自分の心の領域を守り、相手の言動に振り回されないようにする実践的な方法です。

 

3. 両者を組み合わせて実践

 

物理的距離と心理的距離は、組み合わせて実践することが最も効果的です。

 

例えば、ストレスの元となる人物と話す必要がある場合、まず物理的に距離を取り、可能な限り冷静な態度で相手と接するようにします。

 

そして、心理的にも「この状況は一時的なもの」と割り切り、感情的な反応を最小限に抑えます。

 

(1)実例

 

職場での会話

自分にとって苦手な上司と会話をしなければならない場合、まずは物理的に少し距離を取る(例えば、座る位置を変える)、その上で心理的に「この会話は業務に必要なこと」と思い込み、自分が感情的にならないよう心がけます。

 

物理的・心理的距離を適切に取ることで、自分の心を守り、他人の感情に巻き込まれにくくなります。相手の影響を受けすぎることなく、自分の思考や感情を大切にすることができるようになります

 

まとめ

 

自分と他人の境界線を守ることは、心の健康を保つために非常に重要です。

 

アサーティブコミュニケーションを使い、物理的・心理的な距離を取ることで、無駄なストレスを減らすことができます。

 

また、必要に応じてカウンセラーなどの第三者に相談することで新たな視点を得て、冷静に対処する力が養われます。

 

皆さんの心を守るために、できるだけ健全な方法で境界線を保ち、よりよい人間関係を築いていきましょう。

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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