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HSPとストレスの関係~繊細な気質を持つ人のためのストレス対策~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングの実例より~

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HSPとストレスの関係~繊細な気質を持つ方のためのストレス対策~

HSPとストレスの関係~繊細な気質を持つ方のためのストレス対策~

2025/01/31

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、日々の生活の中で音や光、人の感情の変化に敏感に気づき、「ちょっとしたことでもすぐに疲れてしまう」と感じることはありませんか?

 

それは、Highly Sensitive Person(HSP:非常に敏感な人)と呼ばれる気質によるものかもしれません。

 

HSPの型は、繊細な感受性を持っており、周囲の刺激を人一倍強く受け取る傾向があります。

 

この特性は、創造性や共感力の高さといった長所を持つ一方で、ストレスを感じやすく、心身の不調につながることもあります。

 

そこで、「The Highly Sensitive Person: Stress and Physical Symptom Reports」という研究論文を参考に、HSPの特性がストレスや身体症状とどのように関連しているのかを見ていきたいと思います。

 

また、この研究をもとにHSPの方がストレスをうまく管理し、心身の健康を保つための方法について詳しく解説します。

 

1. HSP(Highly Sensitive Person)とは?


HSP(Highly Sensitive Person:非常に敏感な人)は、心理学者エレイン・アーロンによって提唱された概念で、環境や感情の刺激に対して人一倍敏感に反応する気質を持つ方を指します。

 

研究によると、人口の約15〜20%の人がこのHSPの特性を持っているとされています。

 

HSPの方は、音や光、人の感情の変化に敏感であり、深く思考し、他者に共感しやすいという特徴があります。

 

しかし、その繊細さゆえに、ストレスを感じやすく、環境の影響を強く受けることが多いという傾向があります。

 

1-1. HSPの4つの特徴


HSPは、「DOES」と呼ばれる4つの特性を持っているとされています。

 

① 深い情報処理(Depth of Processing)


HSPの方は、物事をじっくり考え、深く情報を処理する傾向があります。

 

例)物事の背景や細かいニュアンスを敏感に察知し、熟考する


メリット

→問題解決能力が高く、創造的な思考を持っている
デメリット

→考えすぎて行動に移すのが遅くなる、決断に時間がかかる


② 過剰な刺激を受けやすい(Overstimulation)


HSPの方は、強い音や光、人混み、雑然とした環境などでストレスを感じやすく、疲れやすいという傾向をお持ちです。

 

例)騒がしい場所や長時間の会話で消耗しやすい


メリット

→静かな環境では集中力を発揮できる
デメリット

→社交的な場面ではストレスを感じやすく、疲れやすい


③ 感情の共鳴が強い(Emotional Reactivity and Empathy)


HSPの方は、他人の気持ちを敏感に察知し、共感する能力が高いという特徴をお持ちです。

 

例)相手の感情の変化にすぐに気づき、深く共感する


メリット

→人の気持ちを理解し、サポートする能力が高い
デメリット

→他人の感情に引きずられ、自分の感情を抑え込んでしまうことがある


④ 些細な刺激に気づきやすい(Sensitivity to Subtleties)


HSPの方は、環境の変化やわずかな音、におい、温度の変化にも敏感に反応します。

 

例)他の人が気づかないような細かい音や光の変化にも気づく


メリット

→美的感覚が鋭く、芸術やデザインに優れる
デメリット

→ちょっとした刺激でもストレスを感じやすい


1-2. HSPの方が抱えやすいストレスの種類


HSPの方は、環境や人間関係に敏感なため、以下のようなストレスを抱えやすい傾向があります。

 

① 人間関係のストレス


HSPの方は相手の気持ちを敏感に察知し、配慮しすぎるため、対人関係で疲れやすいという傾向をお持ちです。

 

・相手の感情の変化をすぐに察知し、「嫌われたのではないか」と不安になる
・他人の期待に応えようと無理をしてしまう
・衝突を避けるために、自分の意見を言えない


② 環境のストレス


HSPの方は、騒がしい場所や混雑した環境では、過剰な刺激を受けて疲れやすいのが特徴です。

 

・騒音や強い光、雑然とした場所が苦手
・仕事や学校などで人が多い場所に長時間いると消耗する
・人混みや大勢の中にいると緊張し、ストレスが増す


③ 仕事や学業に関するストレス


HSPの方は、完璧主義になりやすく、細かい部分まで気を配るため、仕事や学業でストレスを感じてしまいます。

 

・責任感が強く、ミスを極端に恐れる
・他人の目を気にしすぎて、自分の意見を言いづらい
・過剰に準備をしたり、完璧を求めすぎる


④ 変化へのストレス


HSPの方は、新しい環境や変化に対する適応が難しいことがあります。

 

・新しい仕事や転職、引っ越しなどが大きなストレスになる
・突然の予定変更や予測不能な状況に動揺しやすい
・変化に対する不安が強く、新しいことに挑戦しづらい


1-3. HSPは「気質」であり、病気ではない


HSPは、生まれつきの気質であり、病気ではありません。

 

そのため、HSPだからといって特別な治療が必要なわけではなく、自分に合った環境を整え、心理的なケアとストレスを管理することが重要です。

 

また、HSPの特性は、創造性が高い、直感が鋭い、人の気持ちを理解する能力が高いといった強みとしても活かすことができます。

 

そのため、自分のHSPの特性を受け入れ、自分に合ったライフスタイルを築くことが大切です。

 

2. HSPとストレスの関係


この論文では、HSP(Highly Sensitive Person:非常に敏感な人)の気質とストレス反応の関係について詳しく分析されています。

 

特に、HSPの方は環境の影響を受けやすく、ストレスによる身体的・心理的症状が出やすいことが指摘されています。

 

HSPの方は、日常生活の中でさまざまなストレス要因に敏感に反応し、その影響が蓄積することで、心身の不調につながることがあるとされています。

 

ここでは、論文が示したHSPとストレスの関係について詳しく解説します。

 

2-1. ストレスがHSPの方に与える影響


HSPの方は、ストレスを受けると、身体的・心理的な影響を受けやすいことが研究で明らかにされています。

 

① 身体的な影響


HSPの方は、ストレスを感じると、自律神経が過剰に反応し、以下のような身体的な不調を起こしやすい傾向があります。

 

・慢性的な疲労(エネルギー消耗が激しく、疲れやすい)
・頭痛や胃痛(ストレスによる筋肉の緊張や消化不良)
・不眠症(刺激に敏感なため、寝つきが悪く、睡眠が浅い)


特に、HSPの方は、ストレスがたまると「体が重い」「倦怠感が抜けない」と感じやすいことが報告されています。

 

② 心理的な影響


HSPの方は、ストレスによって心理的な不調を感じやすいことが研究で示されています。

 

・不安感が強くなる(些細なことでも気になり、不安を感じやすい)
・抑うつ状態になりやすい(過度なストレスが持続すると、気分が沈みやすい)
・自己批判が強まる(小さなミスでも「自分はダメだ」と思いやすい)


特に、HSPの方は「周りに迷惑をかけたくない」「完璧にこなさなければいけない」というプレッシャーを感じやすく、それが心理的なストレスを増幅させる原因となります。

 

2-2. HSPとストレスの関係を悪化させる要因


HSPの方が特にストレスをためやすい状況として、以下のような環境が挙げられます。

 

① 過度な刺激のある環境


・オフィスやカフェなどの騒がしい場所で働くことが多い
・強い照明やエアコンの温度変化に敏感
・一度に大量の情報を処理しなければならない状況


② 感情的な負担が大きい人間関係


・職場や家庭での対立や争いを強く感じる
・人の期待に応えようとしすぎる(Noと言えない)
・他人の感情を受け取りすぎ、自分の感情を押し殺してしまう


③ 変化への適応が難しい


・環境の変化(転職、引っ越しなど)が大きなストレスになる
・スケジュールの変更に対してストレスを感じやすい
・予測できない状況に置かれると、不安が増す


このような要因が重なると、HSPの方はストレスを蓄積しやすく、心身の不調を感じることが多くなります。

 

3. HSPのストレス対処法を詳細に解説


HSP(Highly Sensitive Person:非常に敏感な人)の特性を持つ方は、環境や人間関係の影響を強く受けやすく、ストレスが蓄積しやすい傾向があります。

 

しかし、適切な対処法を取り入れることで、ストレスを軽減し、快適に過ごすことが可能です。

 

ここでは、HSPの方が実践できるストレス対処法(コーピング)を詳しく解説します。

 

3-1. 環境を整えることでストレスを軽減する


HSPの方は、音や光、気温、空間の広さなどの外部環境に敏感なため、自分の身を置く環境を工夫することで、ストレスを減らすことができます。

 

① 刺激を減らす工夫をする


● 静かな環境を確保する

・仕事や読書など集中したいときは、ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓を活用する。
・可能であれば、カフェやコワーキングスペースなどの騒がしい場所よりも、落ち着いた環境を選ぶ。
・照明や温度を調整する

 

● HSPの方は強い光や温度の変化に敏感なことが多い。


・間接照明を取り入れる、温度調整しやすい服装を選ぶなど、自分にとって快適な空間を整える。
・視覚的な刺激を減らす

・部屋が散らかっていると、それだけでストレスが増すことがある。
・シンプルなインテリアにする、必要なものだけを周囲に置くなど、視覚情報を減らす工夫が有効。


3-2. 人間関係のストレスを軽減する


HSPの方は、他人の感情に敏感で、共感しすぎることが多いため、人間関係のストレスを減らす工夫が必要です。

 

① 境界線を意識する(バウンダリー設定)

 

・HSPの方は、「人を傷つけたくない」「頼まれると断れない」と感じることが多い。
・しかし、自分の心の健康を守るために、必要なときには距離を取る、断ることを意識する。


例)こんなときにどうする?

「忙しいのに、つい頼まれごとを引き受けてしまう」
→「今は難しいけれど、〇〇日ならできるよ」と柔軟に伝える。
「友人の愚痴を聞いていると、自分まで疲れてしまう」
→「今日は疲れていて、また今度話を聞くね」と正直に伝える。


② 一人の時間を確保する


● HSPの方は、人と長時間一緒にいると、感情の影響を受けすぎて疲れやすい。
・仕事や家族の予定の合間に、短時間でも一人でリラックスできる時間を作る。

・カフェや公園で一人の時間を楽しむ
・お風呂やストレッチなどのリラックスタイムを確保する
・スマホの通知をオフにして、情報を遮断する


3-3. 感情をうまくコントロールする


HSPの方は、小さなことを気にしすぎたり、感情を抑え込んでしまうことが多いため、感情のコントロールが重要です。

 

① 感情を書き出して整理する(ジャーナリング)


・HSPの方は、考えがぐるぐると巡りやすいため、書き出すことで気持ちを整理するのが有効。

・「何にストレスを感じたのか?」「今の自分の感情は?」などを書き出してみる。


例)ジャーナリングの書き方

今日の出来事で気になったことは?
そのとき、自分はどんな気持ちだった?
その気持ちをどう解釈すればいいか?

 

これを習慣にすることで、自分のストレスパターンを理解しやすくなる。

 

② 「今」に意識を向ける(マインドフルネス)


・HSPの方は、過去の出来事を気にしすぎたり、未来を心配しすぎることがある。
・そんなときは、「今、この瞬間」に意識を向けることが大切。


● マインドフルネスの実践方法

・呼吸に意識を向ける
・ゆっくり深呼吸し、空気が体に入る感覚に集中する。
・五感を使って今を感じる
・食べ物の味や香りを意識する。
・風の感触や、足の裏の感覚に注意を向ける。


このような「今、ここ」に意識を向ける実践を続けることで、HSPの方が感じるストレスを軽減できる。


3-4. 専門家のサポートを活用する


HSPの方は、ストレスを抱え込みやすいため、一人で解決しようとせずに、専門家のサポートを受けるのも一つの方法です。

 

● 心理カウンセリングを活用する

・HSPの特性を理解したカウンセラーと話すことで、ストレス対処のヒントを得られる。

● 認知行動療法(CBT)を試す

・HSPの方が陥りがちな「過剰な思考」や「自己批判的な考え方」を修正するのに役立つ。

 

まとめ


HSPの方は、環境や人間関係に敏感であるため、ストレスを感じやすく、それが心身の不調につながることがあります。

 

今回紹介した論文では、HSPの特性とストレス、身体症状との関係が明らかになりました。

 

しかし、HSPは単なる「敏感すぎる性格」ではなく、深い共感力や洞察力といった強みを持つ特性でもあります。

 

大切なのは、自分の気質を理解し、それに合ったストレス対処法を取り入れることです。

 

もし、HSPの特性によるストレスや不安が大きいと感じる場合は、専門的なカウンセリングを受けることも一つの方法です。

 

上手くHSPの特性とお付き合いして、快適な毎日を過ごすようにしてくださいね。

 

参考論文

The Highly Sensitive Person: Stress and physical symptom reports

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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