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「不安に対する不安」がパニック発作を引き起こす?:不安感受性とその対処法~神戸市、芦屋市、西宮市のカウンセリングの実例より~

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「不安に対する不安」がパニック発作を引き起こす?:不安感受性とその対処法

「不安に対する不安」がパニック発作を引き起こす?:不安感受性とその対処法

2025/02/01

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、今日のブログはパニック障害についてです。

 

パニック発作は、多くの方が一度は経験する可能性のある現象ですが、それが頻繁に起こると「パニック障害」と診断されることもあります。

 

「Anxiety sensitivity as a predictor of the development of panic symptoms, panic attacks, and panic disorder: a prospective study」という研究では、「不安感受性(Anxiety Sensitivity)」が、パニック症状やパニック発作の発症リスクを高める要因であることが示唆されています。

 

不安感受性とは、「不安そのものや、不安による身体的・精神的反応を過度に恐れる性質」のことを指します。

 

そこで、このブログでは不安感受性とは何か? それがどのようにパニック発作につながるのか? そして、不安感受性を軽減するための方法について詳しく解説していきます。

 

1. 不安感受性とは?~「不安に対する不安」が引き起こす問題~


不安感受性(Anxiety Sensitivity)とは、不安そのものや不安によって生じる身体的・精神的な変化に対して、過剰に恐れを抱く心理的特性のことを指します。

 

簡単に言うと、「不安になること自体が怖い」と感じる傾向のことです。

 

この特性が強い方は、不安やストレスを感じたときに、それを通常よりも大きな脅威として認識しやすく、その結果、パニック発作やパニック障害を引き起こすリスクが高まります。

 

1-1. 不安感受性の仕組み


不安感受性を持つ方は、以下の3つの要素に対して過敏に反応する傾向があります。

 

① 身体的症状への過敏性


不安やストレスによって心拍が速くなったり、息苦しさを感じたりすると、「このまま倒れるかもしれない」「心臓発作を起こすのではないか」と強く恐れてしまいます。

 

このような身体反応を「危険なもの」として認識すると、不安がさらに増幅され、実際にパニック発作を引き起こすことがあります。

 

具体例

「動悸がする=心臓に異常があるのでは?」
「息が苦しい=窒息してしまうのでは?」


② 認知的症状(思考)への過敏性


思考の混乱や集中力の低下を感じたときに、「自分はおかしくなってしまうのではないか」「このままコントロールを失うのでは?」と過度に恐れることがあります。

 

これが強くなると、不安がさらなる不安を呼び、過剰な警戒状態に陥ることがあります。

 

具体例

「頭が真っ白になった=気が狂ってしまうのでは?」
「集中できない=脳に何か問題があるのでは?」


③ 社会的影響への過敏性


人前で緊張したときに「顔が赤くなったら恥ずかしい」「動揺していることを周囲に悟られたらどうしよう」と過剰に恐れ、社交不安が強くなることがあります。

 

結果として、人前での発言や対人関係を避けるようになり、社会的孤立につながる可能性もあります。

 

具体例

「声が震えたらどうしよう=恥をかくのでは?」
「他人に不安な様子を見られたら=嫌われるのでは?」


1-2. 不安感受性がもたらす影響


不安感受性が高いと、不安に対して過剰に反応しやすくなるため、以下のような問題が生じやすくなります。

 

① パニック発作のリスク増大


不安感受性が強い方は、ちょっとした身体の変化を「危険なもの」と捉えやすく、その結果、パニック発作を起こす可能性が高くなります。

 

例えば、運動後の動悸や息切れを「異常なもの」と捉えてしまい、それがさらなる不安を引き起こす悪循環に陥ることがあります。

 

② パニック障害への進行


不安感受性が高い方が繰り返しパニック発作を経験すると、「また発作が起きるのではないか?」という予期不安が生まれ、パニック障害へと発展することがあります。

 

これにより、外出を避けたり、人混みを恐れるようになったりと、日常生活に支障をきたす可能性があります。

 

③ 社交不安や回避行動の強化


不安感受性が高いと、人前での発言や緊張を避けるために、社会的な場面を避けるようになります。

 

その結果、対人関係が希薄になり、孤立感が強まることがあります。これが続くと、抑うつ症状を伴うようになることも少なくありません。

 

④ 身体症状の悪化


ストレスや不安が続くと、自律神経が乱れ、頭痛、胃痛、めまいなどの身体症状が現れることがあります。

 

不安感受性が高い方は、これらの症状を「深刻な病気かもしれない」と捉えやすいため、過度に心配し、医療機関を頻繁に受診するケースもあります。

 

2. 研究論文が示す不安感受性とパニック発作の関係


この論文では、不安感受性(Anxiety Sensitivity)がパニック発作やパニック障害の発症にどのように関与するかを詳細に分析しています。

 

研究結果によると、不安感受性が高い方は、パニック発作を経験する可能性が高く、その結果としてパニック障害に進行するリスクも増大することが示されています。

 

2-1. 不安感受性がパニック発作を引き起こすメカニズム


パニック発作は、突然の強い不安と身体的な反応を伴うエピソードであり、以下のような症状が特徴です。

 

・動悸、心拍数の急上昇
・息切れ、過呼吸
・めまい、ふらつき
・発汗、震え
・胸の圧迫感、窒息感
・強い恐怖感(「このまま死ぬのではないか」「気が狂ってしまうのではないか」など)


このような症状が出る背景には、不安感受性が大きく関与していると考えられています。

 

不安感受性が高い方は、通常の身体反応を「危険なもの」と解釈し、それによってさらに不安が増幅され、結果としてパニック発作が引き起こされるという悪循環に陥るのです。

 

2-2. 研究が示す不安感受性とパニック発作の関係


論文では、不安感受性がどのようにパニック発作を引き起こし、パニック障害へと進行するかを、以下の3つの側面から分析しています。

 

① 身体的感覚への過剰反応


不安感受性が高い方は、身体のちょっとした変化に対して過剰に敏感になります。

 

例えば、軽い動悸や息切れを感じたときに、「これは心臓発作の前兆ではないか?」と考えてしまい、その結果、不安が急激に高まります。

 

こうした不安の増大が、実際のパニック発作を引き起こす引き金となるのです。

 

● 研究結果

・不安感受性の高い人は、通常のストレス状況でも心拍数や呼吸数が急激に上昇しやすい。
・パニック発作を経験したことがある人の多くは、不安感受性が平均よりも高い。


● 具体例

・運動後の動悸を「異常なもの」と捉え、強い不安を感じる。
・エレベーター内で息苦しさを感じ、「このまま窒息するのではないか」とパニックに陥る。


② 「不安に対する不安」が予期不安を生み出す


パニック発作を一度経験すると、「また発作が起きるのではないか?」という強い不安(予期不安)が生じます。

 

この予期不安が強いほど、実際にパニック発作を再発しやすくなることが研究によって示されています。

 

● 研究結果

・不安感受性が高い方ほど、「また発作が起こるかもしれない」という予期不安を抱きやすい。
・予期不安が強いと、実際にパニック発作が起こる確率が高まる。


● 具体例

・「人混みに行くとまた発作が起きるかもしれない」と考え、外出を避けるようになる。
・「心拍数が少し上がっただけで発作になるかもしれない」と恐れ、些細な身体変化にも過敏になる。


③ パニック発作の悪循環とパニック障害への進行


不安感受性が高い方は、一度パニック発作を経験すると、それを「二度と経験したくない」と強く恐れるようになります。

 

この恐れが強いほど、避け行動(回避行動)が増え、生活の質が低下する傾向があります。

 

● 研究結果

・パニック発作を繰り返す方は、日常生活の中で回避行動を取ることが多い。
・避け行動が増えると、パニック発作がより頻繁に起こる悪循環が生じる。


● 具体例

・「電車の中で発作が起きたら怖い」と考え、電車に乗ることを避ける。
・「一人のときに発作が起きたら対処できない」と思い、外出を控える。


こうした回避行動が長引くと、パニック発作が日常的な問題へと発展し、最終的にパニック障害へと進行するリスクが高まります。

 

2-3. 不安感受性を下げることがパニック発作の予防に


この論文では、不安感受性が高い方は、パニック発作を経験しやすく、それが慢性化するリスクも高いことが示されています。

 

しかし、不安感受性は適切な介入によって低減できることも明らかになっています。

 

① 認知行動療法(CBT)の有効性


認知行動療法では、以下のようなアプローチを用いて、不安感受性を軽減することができます。

 

● 認知の修正

→「動悸がする=危険」ではなく、「運動したから心拍数が上がっただけ」というように、より現実的な解釈を得る。


● 曝露療法

→不安を感じる状況に徐々に慣れることで、身体的感覚に対する過剰な恐れを軽減する。


② 呼吸法やリラクゼーション法の活用


不安感受性が高い方は、ストレスを感じたときに過呼吸になりやすいため、腹式呼吸やマインドフルネスを実践することで、パニック発作の予防が期待できます。

 

まとめ


この論文では、不安感受性がパニック発作の引き金となること、そしてそれが予期不安を生み出し、最終的にパニック障害へと進行するリスクが高いことが示されています。

 

不安感受性の高い方は、通常の身体的変化を「危険」と捉えやすく、避け行動が増えることでパニック発作の頻度が高まる傾向にあります。

 

しかし、不安感受性は適切な治療やセルフケアによって改善可能です。

 

認知行動療法やリラクゼーション法を取り入れ、身体的感覚への過剰な恐れを和らげることで、不安をコントロールしやすくなります。

 

パニック発作が気になる場合は、専門家と相談しながら、自分に合った対策を講じることが大切です。

 

上手く不安感受性を軽減して、パニック発作やパニック障害をケアしていきましょう。

 

参考論文

Anxiety sensitivity as a predictor of the development of panic symptoms, panic attacks, and panic disorder: a prospective study

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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