ストレスと上手にお付き合いする方法
2025/02/16
みなさん、こんにちは。
神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて、ストレスや不安は、私たちの生活から完全に消し去ることはできません。
なぜなら、人は常に何かしらの悩みを抱えており、その対象が変化しているだけだからです。
仕事、人間関係、将来の見通しなど、問題の種類は違っても、不安という感情自体は誰しもが経験するものといえるでしょう。
私自身、心理カウンセラーとして相談を受けていると、多くの方が「ストレスや不安がなくなれば、もっと楽に暮らせるのに…」とおっしゃいます。
そのお気持ちはごもっともです。
しかし、先述した通り、ストレスを完全になくすことを目指すのは無理があります。
むしろ、「ストレスと上手く付き合う」ことが現実的なアプローチです。
そこで、ストレスと上手にお付き合いする方法をお伝えいたします。
1.「過去の自分」を見直すメリット
私たちは、いま抱えている不安や悩みを「初めての出来事」だと思いがちです。
しかし、振り返ってみると似たような状況で悩んでいたことがあるケースは意外と多いものです。
以下では、過去の自分を見直すことで得られる具体的なメリットを掘り下げてみましょう。
1-1.対処法を再発見できる
以前に同じような不安を抱えていた際、どのように行動したか思い返すことで、今の問題に役立つヒントを得られます。
「誰かに相談した」「情報を収集してから決断した」など、自分にとって有効だった方法があれば、再度試してみる価値があります。
1-2.克服のプロセスを明確にする
過去に乗り越えた不安は、行動や時間の経過によって自然に薄れていった場合もあるでしょう。
「あのときはこうやって解決した」「気づいたら意外と心配する必要がなかった」といった事実が確認できると、新たな不安に直面しても「時間が解決してくれる部分もある」と気持ちが楽になります。
1-3.解決していない課題を洗い出せる
過去の不安を書き出してみると、「まだ引きずっている」「ちゃんと解決できていなかった」という問題点がはっきりすることがあります。
今は忙しくて棚上げしている悩みでも、改めて向き合うことで思わぬ糸口が見つかるかもしれません。
1-4.ポジティブな自己評価につながる
「あのときは本当に大変だったけれど、なんとかやり過ごせた」「結果的に大きなトラブルにはならなかった」などの成功体験を思い出すと、「自分は意外とやれる」と自信を取り戻しやすくなります。
心配や不安を抱える自分自身に対しても、「以前も苦しかったけれど乗り越えた」という肯定的な見方ができるようになるでしょう。
1-5.未来への勇気を得られる
過去の成功体験だけでなく、「こうすればもっと早く解決できた」という反省や学びも、次に同じような不安が起きたときに生きてきます。
過去から得られる情報をしっかりと活かせば、「次はもっとスムーズに対処できるかもしれない」という前向きな姿勢を持てます。
1-6.自分を客観視するきっかけになる
過去を振り返ると、「当時はどうしてあんなことで悩んでいたんだろう?」と笑い話にできるケースも少なくありません。
このように、今の自分から見れば小さく感じる不安もあれば、逆にまだ根本的に対処しきれていない大きな問題もあると、客観的に区別できるようになります。
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過去の自分と向き合うことは、単に昔のことを思い出すだけではなく、「今の悩み」や「これからの課題」を整理するための大きな手がかりになります。
忙しい日々の中でも、過去の不安や悩みを振り返る時間を作ってみると、意外な気づきが得られ、前向きな気持ちが湧いてくるでしょう。
2.心配ごとを「可視化」する方法
人は不安や心配が頭の中で堂々巡りすると、なかなかそれを整理できず、思考もネガティブに傾きがちです。
そこで効果的なのが、「目に見える形に書き出す」という「可視化」の手法です。
以下では、その具体的な方法やメリットを詳しく紹介します。
1. メモアプリで「不安リスト」を作成する
(1)リスト形式で思考を整理する
スマートフォンやPCなど、いつでも手軽に開けるメモアプリを活用し、不安に感じていることをリストアップします。
思いつくままに書き出していくことで、頭の中のモヤモヤを「言葉」に変換しやすくなり、自分が何を怖れているのかを客観的に把握できます。
(2)取り消し線を入れるメリット
新しい不安を追記するときに、以前のリストを見返し、「もう気にならなくなった不安」には取り消し線を入れるのがポイントです。
取り消し線が増えるほど「これだけの不安を解消してきた」という達成感を得られます。
心配事がなくなるタイミングや経緯を思い出すことで、「あのときはこうやって克服したんだ」というポジティブな振り返りにもつながります。
(3) 継続しやすさ
メモアプリは手書きに比べて、いつでもどこでも編集しやすいメリットがあります。
通勤・通学の途中や休憩時間など、すきま時間に不安を追加・修正できるため、習慣化しやすいでしょう。
2. 紙のノートや手帳を活用する
(1)1ページに書き出すだけでも効果的
紙に書くと、頭の中の思考が文字として「形」を持つため、ただ漠然と不安を抱えていた状態から一歩前進した感覚が得られます。
1ページを「不安専用ページ」にするだけでも、今抱えている心配事が明確になります。
(2)振り返りが容易
手書きの場合は、書いた文字やメモのレイアウトなど、当時の感情がより強く記憶に結びつきやすい特徴があります。
「前はこんなことを心配していたけど、今は大丈夫」と紙面で振り返ると、解決の度合いや変化を実感しやすくなります。
(3)書く行為自体の心理的効果
ペンを使って紙に文字を記す行為は、脳科学の観点からもストレス軽減に役立つとされています。
紙と向き合うことで、ゆっくり落ち着いて自分の内面を見つめ直す時間が作りやすいというメリットもあります。
3. 「可視化」がもたらすプラスの効果
● 思考の整理
頭の中だけで考えていると、不安がどこまでも膨らんでしまいがちです。
文字化すると「これとこれは同じ種類の悩みだ」といった共通点や、優先度が見えてきます。
● 客観的な視点を獲得
書かれた文字を読むことで、第三者の視点で自分の不安を眺められます。
結果、「実はそこまで深刻ではない」と気づいたり、「取り組めば解決できそうだ」と感じたりしやすくなります。
● 自己肯定感の向上
取り消し線やチェックマークで「解決済み」の不安が増えていくと、「自分はこれだけのことを乗り越えた」という事実を実感できます。
過去の自分が抱えた心配事と向き合い、それを克服してきた過程が明確になるほど、「自分は思っているよりも強い」といったポジティブな自己評価につながるでしょう。
● 不安の再発防止や早期発見
リストやノートをこまめに見返すと、「以前はこれに悩んでいたのに、また同じことで落ち込んでいる」という再発に早めに気づけます。
似た不安が再び出てきた場合は、過去に克服した方法を参考にして、早めに対処することができます。
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不安や心配事を可視化する方法は、頭の中のあやふやなイメージを、具体的かつ客観的にとらえ直すための強力な手段です。
メモアプリを利用するか、紙のノートを使うかは好みに合わせて選んでかまいません。
大切なのは、書き出しと見直しを習慣化し、自分の変化や解決の度合いを実感する機会をつくることです。
一見手間に思える作業かもしれませんが、不安が整理されると心の負担が軽くなり、前向きに行動しやすくなります。
ぜひ日々の生活に取り入れて、ストレスとの付き合い方を上手に磨いていきましょう。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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