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全般性不安障害の効果的な治療法とは?~神戸市、芦屋市、西宮市のカウンセリングの実例より~

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全般性不安障害の効果的な統合的治療法とは?

全般性不安障害の効果的な統合的治療法とは?

2025/02/19

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

不安が尽きることなく続き、頭の中が心配事でいっぱいになってしまう…。


このような状態が長く続くと、日常生活に大きな影響を及ぼし、心身ともに疲弊してしまいます。

 

全般性不安障害は、特定の出来事に対する一時的な不安とは異なり、過度な心配や不安が慢性的に続く状態を指します。

 

近年、全般性不安障害の治療では、従来の認知行動療法(CBT)に加え、マインドフルネスやアクセプタンス(受容)を取り入れたアプローチが注目されています。

 

そこでこのブログでは、論文「Expanding our conceptualization of and treatment for generalized anxiety disorder: Integrating mindfulness/acceptance-based approaches with existing cognitive-behavioral models」を踏まえて、全般性不安障害に対する効果的な治療法について詳しく解説していきます。

 

1. 全般性不安障害(GAD)とは?


1-1. 全般性不安障害の特徴


全般性不安障害(GAD)は、日常的な出来事に対して過剰な不安や心配を感じることが特徴の精神疾患です。

 

全般性不安障害を抱えている方は、特定の出来事に関する一時的な不安ではなく、長期にわたり広範囲にわたる不安を抱え続けます。

 

● 主な症状


✓過剰な心配がコントロールできない
✓不安による集中力の低下
✓睡眠障害(寝つきが悪い、途中で目が覚める)
✓筋肉の緊張や全身の疲労感
✓落ち着かない感覚(そわそわする、イライラする)

 

全般性不安障害は慢性的に続くため、適切な治療を受けないと、生活の質が低下し、仕事や対人関係にも影響を及ぼす可能性があります。

 

2. 全般性不安障害の効果的な統合的治療アプローチ


全般性不安障害(GAD)の治療には、これまで認知行動療法(CBT)が広く用いられてきました。

 

しかし、近年の研究では、マインドフルネスやアクセプタンス(受容)を取り入れたアプローチがより効果的であることが示されています。

 

従来の認知行動療法だけでは不安が解消しきれないケースにおいて、マインドフルネスやアクセプタンスを活用することで、より柔軟な対処が可能になると考えられています。

 

2-1. 認知行動療法(CBT)の役割


認知行動療法(CBT)は、全般性不安障害の治療において高い効果が認められている心理療法の一つです。

 

認知行動療法では、「不安を引き起こす思考のパターンを修正し、現実的な視点を持つこと」を目的としています。


全般性不安障害の方は、「最悪の事態を想定してしまう」「常に不安がつきまとう」といった特徴を持つことが多いため、認知行動療法ではこれらの思考パターンを見直し、不安と上手に向き合えるようにサポートします。

 

● CBTの主な治療法


認知再構成(Cognitive restructuring)
→ 「最悪の事態を想定してしまう」思考を現実的な視点に修正する
・具体例

→「もし失敗したらどうしよう」と考えるのではなく、「実際に起こる確率はどのくらいか?」と冷静に分析する

 

行動実験(Behavioral experiment)
→ 「実際に不安を感じる状況に身を置いてみる」ことで、不安が過剰であることを学ぶ
・具体例

→「人前で話すのが怖い」と思っていても、実際にやってみると「思っていたほど恐ろしいことではなかった」と気づく

 

リラクゼーション法
→ 深呼吸や筋弛緩法を取り入れ、不安を和らげる
具体例

→腹式呼吸を意識し、ゆっくりと深く呼吸することで、自律神経を整え、緊張を緩和する

 

認知行動療法は多くの方に効果があるとされていますが、一部の方にとっては、「思考を修正すること自体がストレスになる」ことも指摘されています。

 

例えば、「不安をなくさなければならない」「この思考を正さないといけない」とプレッシャーを感じることが逆に不安を助長してしまうケースもあります。


そこで、最近ではマインドフルネスやアクセプタンス(受容)を組み合わせた治療法が注目されています。

 

2-2. マインドフルネスとアクセプタンス(受容)の統合アプローチ


● マインドフルネスとは?


マインドフルネスとは、「今この瞬間に意識を向け、評価や判断をせずに受け入れること」を指します。

 

全般性不安障害を抱える方は、未来のことを過度に心配したり、過去の出来事を何度も反芻する傾向があります。

 

そのため、マインドフルネスを取り入れることで、「今ここ」に意識を集中し、不安にとらわれにくくすることができます。

 

● マインドフルネスの実践方法


呼吸に意識を向ける
→ 目を閉じて、ゆっくりと深く呼吸をし、「吸っている」「吐いている」と自分の呼吸に意識を向ける

 

思考や感情をジャッジせずに観察する
→ 「私は今、不安を感じている」とラベリングし、不安を無理に消そうとしない

 

不安をなくそうとするのではなく、「そこにあるもの」として認識する
→ 「不安がある=悪いこと」と決めつけず、「不安も自然な感情の一部」と捉える

 

● アクセプタンス(受容)とは?


アクセプタンス(受容)は、「不安やネガティブな感情を完全に排除しようとせず、『この感情があっても大丈夫』と受け入れるアプローチ」です。


全般性不安障害を抱える方は、不安を「消そう」としたり、「感じてはいけない」と思いがちですが、アクセプタンスでは「不安を感じるのは自然なこと」と認識し、過剰に抵抗しないというアプローチを取ります。

 

● アクセプタンスの実践方法


「不安をなくす」のではなく「共存する」
→ 「不安を感じているけれど、今やるべきことに集中しよう」と意識を向ける

 

ネガティブな感情を過度にコントロールしようとしない
→ 「不安があっても、私の価値や人生の全てを決めるわけではない」と考える

 

不安があっても行動を続ける
→ 「不安だからできない」ではなく、「不安でもできることを探す」視点を持つ

 

2-3. 認知行動療法(CBT)とマインドフルネス&アクセプタンスの統合


CBTとマインドフルネス・アクセプタンスを組み合わせることで、以下のようなメリットが得られると考えられています。

 

思考の修正(CBT)+ 受け入れる力(アクセプタンス)
→ 不安に振り回されることなく、柔軟な思考を持つことができる

 

不安を抑え込むのではなく、適切に向き合う
→ 「不安をなくさなければならない」というプレッシャーを減らし、不安があっても生活を続ける力を養う

 

自分自身を責めるのではなく、優しく接する
→ 「私はこう感じているんだな」と受け止め、自分を否定せずにケアする

 

従来の認知行動療法に加え、マインドフルネスやアクセプタンスを取り入れることで、全般性不安障害の治療がより柔軟で効果的になると期待されています。

 

全般性不安障害は、適切なアプローチを取り入れることでコントロールできる症状です。

 

そのため、医師や心理カウンセラーと相談しながら、自分に合った治療法を見つけることが大切です。

 

3. 統合アプローチの具体的な実践方法


マインドフルネスと認知行動療法を統合することで、より柔軟な不安対処が可能になります。ここでは、実践的な方法をご紹介します。

 

3-1. 5分間マインドフルネス呼吸法


①静かな場所に座る
②目を閉じ、呼吸に意識を向ける
③「吸っている」「吐いている」と心の中で唱える
④雑念が浮かんでも否定せず、「ただ流れていくもの」と認識する


3-2. 不安を受け入れる練習


①不安が湧いてきたら「今、不安を感じているな」と言葉にする
②その感情を評価せず、「ただ感じている」と受け止める
③「この不安は永遠に続かない」と意識する


3-3. 認知再構成のワーク


①「今、不安に思っていること」を紙に書く
②「それは本当に100%起こることなのか?」と問いかける
③「過去に似た経験があったか?どう乗り越えたか?」を振り返る

 

まとめ


全般性不安障害(GAD)は、過剰な心配や不安が長く続く状態を指します。

 

従来の認知行動療法(CBT)に加え、マインドフルネスやアクセプタンスを取り入れることで、より効果的なアプローチが可能になります。

 

✓不安をコントロールしようとせず、受け入れる
✓「今この瞬間」に意識を向けることで、不安を減らす
✓ストレスフルな認知(考え、思考)を修正して、現実的な視点を持つ

 

全般性不安障害に悩んでいる方は、ぜひマインドフルネスや認知行動療法を活用したアプローチを試してみてくださいね。

 

参考論文

Expanding our conceptualization of and treatment for generalized anxiety disorder: Integrating mindfulness/acceptance-based approaches with existing cognitive-behavioral models

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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