なぜ理由もなく不安に?心と身体に刻まれた記憶を癒やすステップ
2025/03/18
みなさん、こんにちは。
神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて…
突然不安を感じるのに、はっきりとした理由が思い当たらない…
何だかわからないけど、不安で仕方がない…
…こうした体験をされる方も珍しくありません。
こうした「原因不明の不安」に悩む方は意外と多くみられます。
実は、この背景には「感情の記憶」や「トラウマ記憶”と呼ばれる現象が関わっているかもしれません。
1. 理由のない不安は「感情メモリー」が原因かもしれない
突然、理由もなく胸がドキドキしたり、不安感や恐怖感に襲われたりすることはありませんか?
もしかしたら、過去のつらい体験が無意識に呼び起こされる「感情メモリー(感情の記憶)」が関係しているかもしれません。
1-1.「感情メモリー(感情の記憶)」とは?
人間の脳は、強いストレスやトラウマとなるような出来事を経験すると、そのときの「状況や感情」を五感を通じて記録する性質があります。
ときには、それが本人の意識下にのぼらないまま深いレベルで記憶されることもあるのです。
① トリガー(手がかり)
当時の場面を想起させる「匂い」「景色」「音」などを偶然目撃・体験することで、脳が「過去に危険だった」と判断し、体に警報を出します。
② 意識は覚えていなくても、体が反応する
いわゆる顕在的な記憶(頭で明確に覚えている記憶)がない場合でも、トリガーによって脳が潜在的に警戒モードに入り、自律神経を刺激してドキドキ感や息苦しさを引き起こすことがあります。
1-2.具体例:なぜ体は反応するのか?
● 匂いがトリガー(引き金)になるケース
✔たとえば、昔、大きなトラウマを抱えたときに感じた香水や食べ物の匂いを、現在の生活でたまたま嗅いだ場合。
✔本人は「なんだか急に落ち着かない」としか感じないが、実は当時の記憶が呼び起こされており、体が「逃げろ」という指令を出す。
● 景色や場所がトリガー(引き金)になるケース
✔過去に辛い出来事が起こった場所、あるいは似た雰囲気の場所に足を踏み入れたとき、急に不安定になることも。
✔観光先で昔の記憶を思い出し、不意に動悸やパニックが生じる…いわゆる「フラッシュバック」の一種とも言えます。
1-3.体が先に「危険を感じ取る」仕組み
「どうして意識していないのに体が反応するのか?」を説明する鍵は、「脳の構造」にあります。
脳には、大きく分けて「理性を司る領域」と「感情や本能を司る領域」があり、強い恐怖やトラウマ体験があったとき、感情を司る部分が優先的に働くことで、「自分を守るために素早く警戒を発動」するのです。
● 海馬と扁桃体の関係
扁桃体は感情や恐怖反応の処理を担当し、海馬は記憶を司っています。
強烈なショックを受けた記憶が海馬に正しく整理されないまま扁桃体に残っていると、些細なトリガーでも強い感情が引き起こされる可能性があります。
● 理性が追いつかないほど早く警戒が走る
「意識していないのに」という感覚は、脳の防御システムが思考より先に動くために起こります。
1-4.まとめ:原因不明の不安には「感情メモリー」を疑う
「パニックや不安感があるのに、なぜか思い当たる理由がない」と感じるとき、実は過去の記憶が無自覚に蘇っているのかもしれません。
頭のなかでは忘れているつもりでも、体や脳の奥深くは当時の記憶を保ったまま、似たような状況を“危険”と判断してしまいます。
✔まずは、不安を覚えた場面や状況を記録する
✔思い当たるトリガー(匂いや視覚的要素、音など)を探ってみる
✔必要であれば専門家の助けを借り、心身への負担を減らすアプローチをする
こうしたステップを踏むだけでも、「わけもなく不安になる」状況が少しずつ理解しやすくなるでしょう。
しっかり原因に目を向けることで、解決策やケアの方向性が見えてくる可能性が高くなります。
2. 「感情メモリー」への対処法
「なんとなく理由がわからないまま不安になる」
「不安が大きすぎて生活に支障をきたす」
こういった状態が続く場合は、一度「感情メモリー」を疑ってみるのも一つの方法です。
ここでは、対処のステップを3つに分けて詳しく見ていきましょう。
(1)状況を詳細に記録する
まずは「なぜ不安になったのか」を客観的に振り返るために、できる限り具体的に状況をメモしてみてください。
ノートやスマホのメモアプリを活用すると、後から見返しやすくなります。
● どこで不安を感じたのか
屋内なのか屋外なのか、または職場や自宅など、場所をはっきり書いておきます。
● いつ起こったのか
その日や時間帯、前後に何か特別なイベントがあったかどうかも重要です。
● 何を見聞きしていたのか
周囲の音や色、光の加減など、五感に入ってきた刺激をなるべく詳細に記録してみましょう。
● 匂いや気温、天候など
思わぬ匂いや湿度、肌に当たる風などが潜在的なトリガーになっている場合もあります。
こうした情報を積み重ねることで、潜在的に結びついているトリガーを見つけやすくなり、漠然とした不安に対して「もしかして〇〇が原因かもしれない」という仮説を立てることができるようになります。
(2)専門的な医療サービスやセラピーを受ける
もし記録を続けても原因が明確にならず、不安が深刻なレベルに達している場合は、医療サービスや心理カウンセラーによるセラピーや治療を検討してみましょう。
というのは、トラウマ体験や極度のストレスが関係している可能性があるからです。
(3)自己判断で対処せず、専門家と相談する・信頼できる方に相談する
「なんとか自分だけで乗り越えよう」と我慢を重ねてしまうと、かえって心身への負担が大きくなる場合があります。特に、感情メモリーが日常生活に深刻な影響を及ぼしていると感じるなら、専門医や心理カウンセラーの力を借りることが大切です。
● 周囲への相談
友人や家族に話すだけでも気持ちが整理されることがあります。
人に打ち明けにくい内容であっても、孤立せず少しずつ頼れる先を見つけることが回復への近道です。
まとめ
「感情メモリー」による不安や恐怖は、自分では理解しきれないほど深いレベルで体に刻まれた反応と言えます。
まずは日々の記録を取り、トリガーを探すことから始め、それでも症状が続くようなら専門的なサポートを検討してみてください。
適切な治療やカウンセリングを受けることで、過去の記憶に振り回されず、心穏やかな日々を取り戻す道が開けるようになるでしょう。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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