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突然の不安と動悸:パニック障害・PTSDの「症状の不安定性」とは?~神戸市、芦屋市、西宮市のカウンセリングの実例より~

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突然の不安と動悸:パニック障害・PTSDの「症状の不安定性」とは?

突然の不安と動悸:パニック障害・PTSDの「症状の不安定性」とは?

2025/03/29

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、パニック障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱えている方の多くは、症状の「不安定さ」に苦しんでいることが近年の研究から明らかになっています。

 

症状の「不安定性」は日常生活や人間関係に深刻な影響を与えることがありますが、意外と注目されてこなかった側面でもあります。

 

そこで今回は、最新の研究結果を踏まえつつ、「不安定性」とは具体的にどのようなものか、またそれがパニック障害やPTSDの方の生活にどんな影響を与えるのかを分かりやすくご紹介していきます。

 

1.不安症状の「不安定性」とは?~パニック障害やPTSDで顕著にみられる症状の特徴~


一般的に、不安障害やその関連疾患(パニック障害やPTSD)の治療や研究では、「症状がどのくらい重いのか」、つまり「症状の強さ(重症度)」に焦点が当てられることがほとんどでした。

 

しかし近年、症状が「どれほど安定しているか」あるいは「どれほど不安定で予測困難であるか」という側面も重要であることが明らかになっています。

 

特に、パニック障害やPTSDを抱える方にとって、この症状の「不安定性」はとても深刻な問題です。

 

というのは、症状がいつ襲ってくるのかを予測できないという特性が、不安をさらに強め、日常生活を難しくさせているからです。

 

1-1.「不安定性」の具体的な特徴とは?


不安症状の「不安定性」とは、症状が現れる頻度や強度が日常的に激しく変動することを指します。

 

これは次のような具体的な特徴を持っています。

 

① 症状の発生が予測できない(予測困難性)


パニック障害やPTSDの症状には、動悸、呼吸困難、めまい、発汗、震えなどの身体的な不安症状があります。

 

こうした症状は突然起こることが多く、いつどんな状況で現れるのか、まったく予測できません。

 

そのため、本人は常に「次にいつ症状が出るのか」という不安にさらされ、安心感を得ることが困難になってしまいます。

 

② 症状の強度が急激に変化する(激しい変動性)


不安障害、特にパニック障害やPTSDでは、症状の強さが安定せず、数時間や1日の中でも激しく上下することがあります。

 

例えば、午前中は穏やかに過ごせても、午後には突然激しい不安やパニック発作が襲ってきて、夜にはまた落ち着くといったような変動が頻繁に起こります。

 

このように症状が急に強くなったり弱くなったりするため、本人は「自分自身の身体や精神状態をコントロールできない」という感覚を強く持ちやすくなります。

 

③ 症状の再発が頻繁である(再発性)


一度症状が落ち着いたとしても、再びすぐに症状が出てくることがあります。

 

例えば、ある不安発作が落ち着き、一息ついても、短時間でまた同じような発作が起こることがあります。

 

このような繰り返しは、特にPTSDを抱える方でよく見られ、トラウマ体験の記憶やフラッシュバックが、安心感を得られる隙間を与えずに繰り返し襲ってくることもあります。

 

2.パニック障害とPTSDにおける不安定性の特徴


今回ご紹介する研究(Pfaltz et al., 2010)では、パニック障害およびPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱える方の日常生活における「身体的な不安症状(動悸、息苦しさ、めまい、発汗、ふるえなど)」の不安定さ、つまりどれほど症状が急激に現れたり消えたりするかについて、詳細な分析が行われました。

 

その結果について、詳しく見ていきましょう。

 

① 症状の不安定性はパニック障害やPTSDを抱える方に共通する特徴


まず、この研究で明らかになった重要なポイントの一つは、パニック障害やPTSDを抱える方の多くが、健康な人と比べて非常に強い「症状の不安定性」を示すということでした。

 

症状の不安定性とは、症状が安定的に持続するのではなく、日常生活の中で突発的に現れたり、急激に悪化したり、あるいは突然改善したりするという、症状の「変動の激しさ」を指します。

 

具体例としては…

 

● 動悸や心拍数の急激な変動

 

日常的な生活の中で、何の前触れもなく突然激しい動悸が起こり、その後数分〜数十分で自然と収まることがあります。

 

ご本人は突然起きた身体の異変に驚き、不安を感じ、パニック状態になってしまう場合があります。

 

● 突然の息苦しさとその回復

 

通常通りに過ごしている最中に、突然呼吸が困難になるような息苦しさが襲ってくることがあります。

 

ご本人にとっては非常に恐ろしい体験ですが、これも数時間、場合によっては数分で、まるで何事もなかったかのように症状が収まることがあります。

 

このような突発的で激しい変動が繰り返されると、パニック障害やPTSDを抱える方が自分の身体を信用できなくなってしまいます。

 

その結果、「次にいつ症状が襲ってくるのだろうか?」という慢性的な予期不安を抱え続け、常に緊張状態が続いてしまうのです。

 

② PTSDはパニック障害よりも症状が不安定になりやすい


この研究のもう一つの興味深い発見は、PTSDを抱える方はパニック障害の方よりも、身体的な不安症状の変動(不安定性)がさらに顕著であることが確認された点です。

 

より具体的に言えば、PTSDを持つ方は、身体症状が全くない「安定した時間」や「平穏な時間」が極めて短い傾向にありました。

 

パニック障害の方でも症状が突然現れたり消えたりしますが、PTSDを抱える方の場合はより頻繁かつ予測不可能に症状が変動することが分かりました。

 

これは、PTSDの方は日常的にトラウマ記憶やフラッシュバックなどによる再体験症状、強い警戒心(過覚醒状態)による常時の緊張感がベースにあるためです。

 

そのため、常に身体症状が激しく揺れ動き、「症状を自分でコントロールできない」という強い無力感や絶望感を感じることが多くなります。

 

③ 不安定性が高まることで生じる深刻な影響


症状の不安定性が高くなると、ご本人にとってのストレスや困難さは、症状そのものよりもさらに深刻になる場合があります。

 

研究では、この不安定性がパニック障害やPTSDを抱える方の心理面・社会面に以下のような深刻な影響を及ぼすことが明らかになっています。

 

● 日常生活の制限や社会的引きこもり

 

いつ症状が現れるかわからないという恐怖心から、「症状が起きたら困るから外出しない」「公共の場や人が多い場所に行けない」といった状況が生まれやすくなります。

 

結果的に仕事や学業、外出、人付き合いが困難となり、生活の質が著しく低下します。

 

● 慢性的な予期不安と緊張感

 

症状がいつ再び起きるのか予測がつかないため、慢性的に「次に症状が出たらどうしよう」という不安にさいなまれることになります。

 

これにより、常に身体や精神が緊張状態に置かれ、リラックスする時間がほとんど持てなくなります。

 

● 孤立感と自己否定感の増加

 

症状の不安定性を周囲の人に理解してもらうのは難しく、「またすぐに良くなるでしょ」といった無理解な反応をされることも少なくありません。

 

そのため、パニック障害やPTSDを抱える方は次第に周囲からの理解を諦め、自分の問題を一人で抱え込むようになり、孤立感や自己否定感が強まります。

 

こうした影響は、症状そのものの苦しさを超えて、ご本人さんの人生や自己イメージ、人間関係を根本から揺るがすことがあります。

 

不安定性がご本人さんにもたらす「予測できないストレス」は、パニック障害やPTSDの苦痛を一層深刻化させる重大な要素であることを強調する必要があります。

 

④不安定性を理解し、適切な対処をしていくことの重要性


こうした研究結果から分かることは、「症状の不安定性」を理解し、それに適切に対処することが、パニック障害やPTSDを抱える方の生活改善に非常に重要だということです。

 

不安定性をコントロールする方法(カウンセリングや心理療法、薬物療法、リラクセーション法の活用など)を取り入れることにより、症状を完全になくすことが難しくても、その影響を最小限に抑えることが可能になります。

 

症状の不安定性に苦しむ方々には、「あなたが感じる不安はあなたのせいではない」ということをぜひ理解していただき、専門的なサポートを活用しながら一緒に回復に向けて取り組んでいただければと思います。

 

参考論文

Instability of physical anxiety symptoms in daily life of patients with panic disorder and patients with posttraumatic stress disorder

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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