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うつ病等によって生じる「ぐるぐる思考(反芻思考)とは」:その影響とケア

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うつ病等によって生じる「ぐるぐる思考(反芻思考)」とは:その影響とケア

うつ病等によって生じる「ぐるぐる思考(反芻思考)」とは:その影響とケア

2024/10/18

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、うつ病を抱える方々の中には、思考が同じ場所をぐるぐる回り続ける「反芻思考(はんすうしこう)」に悩まされることがよくあります。

 

この反芻思考は、「ぐるぐる思考」とも呼ばれ、自分の過去の出来事や失敗を繰り返し考え、悩み続ける状態を指します。

 

例えば、「あの時、あんなことを言わなければよかった」とか、「あの日の行動が原因で、今の状況に至ってしまった」といった思考に囚われることが典型です。

 

このように、反芻思考は自分を責め続けることに繋がり、気分の落ち込みや不安感を一層強める要因となります。

 

反芻思考が続くと、メンタルヘルスにさまざまな悪影響を及ぼすことが知られています。

 

例えば「Rumination and the default mode network(2020)」という論文では、反芻思考はうつ病の長期化や悪化を引き起こし、思考能力の低下や睡眠障害、慢性的なストレスの原因になることが示されています。

 

また、「Rumination across depression, anxiety, and eating disorders in adults(2024)」の研究においては、反芻思考がうつ病、不安障害、摂食障害において重要な役割を果たすことを示しており、評価、診断、治療のアプローチに影響を与える可能性を示しています。

 

このような状態に陥ると、日常生活においてさまざまな困難が生じることがあります。

 

しかし、反芻思考に対する理解と、適切なセルフケア、さらには心理カウンセリングを受けることで、症状の改善が期待できます。

 

反芻思考のメカニズムを理解し、自分自身の思考を整理する手段を学ぶことで、心の健康を取り戻す一歩を踏み出すことが可能になります。

 

反芻思考がメンタルヘルスに与える悪影響

 

反芻思考は、特にうつ病や不安障害の症状として現れることが多く、メンタルヘルスにさまざまな悪影響を与えることが研究によって示されています。

 

以下に、その具体的な悪影響を詳述します。

 

1. うつ病の悪化と長期化

 

反芻思考は、過去のネガティブな出来事を繰り返し考えることによって、うつ病の症状を悪化させる要因となります。

アメリカ心理学会の研究によれば、反芻思考はうつ病の回復を妨げ、長期的な悪化を招く可能性があるとされています 。

 

2. 思考能力の低下

 

反芻思考に陥ることで、思考が固定化し、柔軟性が失われます。

 

この状態では、新しい情報を受け入れにくくなり、問題解決能力や意思決定能力が低下することがあります。

 

実際、反芻思考は注意力や集中力の欠如を引き起こし、日常生活や仕事におけるパフォーマンスを妨げる要因となります 。

 

3. 睡眠障害の引き起こし

 

反芻思考は、寝る前に考えがぐるぐる回ることで、入眠を妨げることがよくあります。

 

睡眠不足は、さらにストレスを増幅させ、心の健康に悪影響を及ぼすことが多いです。

 

睡眠の質が低下することで、身体的な疲労感も増し、日中の活動に支障を来すことがあります 。

 

4. 慢性的なストレスの増加

 

反芻思考が続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加します。

 

これは、身体にさまざまな健康問題を引き起こす可能性があり、心身のバランスを崩す要因となります。

 

慢性的なストレスは、心臓病や高血圧などの身体的健康問題を引き起こすこともあります 。

 

5. 自己評価の低下

 

反芻思考は、自分を過度に責める思考パターンを助長します。

 

これにより、自己評価が低下し、自己効力感が失われることがあります。

 

自己評価の低下は、うつ病や不安の症状をさらに悪化させる要因となり、自信を喪失させることにつながります 。

 

6. 社会的孤立感の強化

 

反芻思考により、孤独感や疎外感が増し、他者とのコミュニケーションを避けるようになることがあります。

 

社会的なサポートが不足すると、メンタルヘルスの問題はさらに深刻化しやすくなります 。

 

反芻思考のセルフケア

 

反芻思考に対するセルフケアは、心の健康を保つために非常に重要です。

 

以下に、具体的なセルフケアの方法を詳細に説明します。

 

1. ネガティブな思考の認識と記録

 

反芻思考が始まると、自動的に否定的な思考に囚われがちです。

 

まずは、その思考を意識し、記録することが大切です。

 

思考日記をつけて、何を考えているのかを書き出し、自分の思考パターンを理解しましょう。

 

これにより、ネガティブな思考を客観的に見ることができ、反芻思考に対する対策を考えやすくなります。

 

2. 変えられないことを見極める

 

反芻思考の多くは、変えられない過去の出来事に対する後悔や自責から来ています。

 

自分が過去の出来事をどうにかできないことを理解し、今できることに焦点を当てるようにしましょう。

 

具体的には、未来に向けた小さな目標を設定し、達成可能な行動計画を立てることが重要です。

 

3. マインドフルネスや瞑想

 

マインドフルネスや瞑想は、心を落ち着け、現在の瞬間に意識を集中させる技法です。

 

これにより、反芻思考を抑え、感情のバランスを取り戻す手助けができます。

 

呼吸に集中することや、周囲の音や景色に意識を向けることで、思考の輪から抜け出すことが可能になります。

 

4. 身体を動かす

 

運動は、心身のストレスを軽減し、反芻思考を減少させる効果があります。

 

特に、外でのウォーキングやジョギングは、自然に触れることで気分がリフレッシュされ、思考が明晰になります。

 

運動中は脳内にエンドルフィンが分泌され、ポジティブな感情を引き出すことができます 。

 

5. 趣味や創造的活動に取り組む

 

興味のある趣味や創造的な活動に取り組むことで、心を別の方向に向けることができます。

 

絵を描く、音楽を演奏する、料理をするなど、何かに没頭することで、反芻思考から離れる時間を持つことができます 。

 

6. サポートを求める

 

友人や家族と話すことで、反芻思考を和らげることができます。

 

信頼できる人と感情や思考を共有することで、自分の思考がどれだけ現実的かを見直すきっかけになります。

 

場合によっては、専門家のカウンセリングを受けることも有効です。

 

カウンセリングでは、反芻思考を効果的に扱う方法を学ぶことができます 。

 

 

反芻思考は、うつ病や不安障害において一般的に見られる症状ですが、これに対処するためのセルフケアは多岐にわたります。

 

自分の思考を理解し、意識的に行動を変えることで、心の健康を守ることができます。

 

もし反芻思考が続く場合は、無理をせず専門家に相談することをお勧めします。

 

反芻思考に対するカウンセリングの効果

 

反芻思考に対してカウンセリングが有効な対処法になるメカニズムは、いくつかの心理的および生理的な側面から説明できます。

 

以下にその主要なメカニズムを示します。

 

1. 思考の整理と再構築

 

カウンセリングでは、反芻思考が引き起こす否定的な思考パターンを特定し、整理する手助けをします。

 

心理カウンセラーは、クライアントがどのような状況で反芻思考に陥るのかを探り、感情や思考を言語化することで、問題を明確にする手法を用います。

 

これにより、思考の整理が進み、ネガティブな感情を軽減することができます。

 

研究によれば、認知行動療法(CBT)は、反芻思考を減少させるのに効果的であることが示されています 。

 

2. 情動の受容と表現

 

カウンセリングは、感情を受け入れ、表現するための安全な場を提供します。

 

反芻思考はしばしば感情の抑圧や否認に関連しているため、感情を自由に表現することで、思考の循環を断ち切ることができます。

 

心理カウンセラーは、クライアントが自分の感情を適切に表現できるようサポートし、情動の処理を促進します 。

 

3. 視点の転換

 

カウンセリングでは、クライアントが自分自身や状況に対する見方を変える手助けをします。

 

反芻思考に陥ると、自分の過去の行動や結果を過度に責めることが多くなりますが、カウンセラーは新しい視点や解釈を提供することで、クライアントの思考を広げます。

 

これにより、より柔軟な思考が促され、反芻思考からの脱却が期待できます 。

 

4. ストレスコーピング(ストレス対処)スキルの向上

 

カウンセリングでは、ストレス管理やコーピングスキルの向上を目的とした具体的な方法を学ぶことができます。

 

クライアントは、反芻思考を引き起こすトリガーを特定し、それに対する対処法を学ぶことで、再発を防ぐ力を養います。

 

スキルとしては、リラクセーション技術や問題解決技法が含まれます 。

 

5. サポートネットワークの構築

 

カウンセリングは、クライアントが周囲との関係を見直し、支援を得る手助けをします。

 

孤立感が反芻思考を悪化させることが多いため、サポートネットワークを構築することは非常に重要です。

 

カウンセラーは、クライアントが信頼できる友人や家族とのコミュニケーションを強化する方法を模索し、精神的な支えを得る道を開きます 。

 

 

反芻思考は、メンタルヘルスに深刻な影響を与えることがありますが、カウンセリングによってその問題を効果的に解決することができます。

 

カウンセリングは、思考の整理、情動の受容、視点の転換、ストレスコーピングスキルの向上、サポートネットワークの構築など、多面的なアプローチを通じて反芻思考を軽減する手助けを行います。

 

まとめ

 

うつ病に伴う反芻思考は、私たちの心に大きな影響を及ぼすことがあります。

 

しかし、その影響を理解し、適切な対策を講じることで、少しずつ心の負担を軽減することが可能です。

 

カウンセリングを通じて、反芻思考を乗り越え、より健やかなメンタルヘルスを手に入れるためのサポートを受けることは非常に重要です。

 

皆さんが抱える悩みや不安に対して、一歩踏み出す勇気を持っていただけることを願っています。

 

もし、心の問題で困っているなら、ぜひ専門家に相談してみてください。

 

神戸市、芦屋市、西宮市には、あなたの心の健康を支える多くのリソースがあります。

 

心のケアを通じて、新しい可能性を見出し、豊かな人生を歩んでいきましょう。

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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