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うつ病の脳科学~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングサービスの実例より~

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うつ病の脳科学

うつ病の脳科学

2024/12/22

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、皆さんは…

 

「朝起きるのがつらい」

「何をしても楽しいと感じられない」

 

…このような気持ちを抱えながら、毎日を過ごしていませんか?

 

うつ病は、誰にでも起こりうる心の病気です。しかし、その原因や治療法についてはまだ知られていないことも多く、悩んでいる方の中には「この苦しみは一生続くのでは」と不安に思う方もおられるかもしれません。

 

このブログでは、最新の研究論文「Major depressive disorder: new clinical, neurobiological, and treatment perspectives」の内容を踏まえて、うつ病のメカニズムや治療法について解説します。

 

1. うつ病とは?—その特徴と症状の理解

 

1-1. うつ病とは何か?

 

うつ病は、「気分障害」と呼ばれる精神疾患の一種で、持続的な悲しみや興味・喜びの喪失を特徴とします。

 

単なる気分の落ち込みとは異なり、日常生活や社会生活に支障をきたすほどの状態が続きます。

 

厚生労働省による調査では、日本人のおよそ15人に1人が一生のうちにうつ病を経験すると報告されています。

 

また、年齢や性別を問わず発症する可能性がありますが、特に女性は男性の約2倍の割合でうつ病を経験することが多いとされています。

 

うつ病は、精神的な症状だけでなく身体的な不調も伴うことが多く、早期発見と適切な治療が必要です。

 

1-2. うつ病の主な症状

 

うつ病は、精神的・身体的・行動的な側面で以下のような症状を示します。

 

1. 精神的な症状

 

抑うつ気分

ほとんどの時間、気分が落ち込んでいる。何をしても気持ちが晴れず、絶望感を感じることが多い。

 

興味や喜びの喪失

趣味や好きだったことへの関心が失われ、楽しめなくなる。

 

自己否定感や罪悪感

「自分には価値がない」「自分は周囲に迷惑をかけている」と強く感じる。

 

→思考力や集中力の低下: 物事を考えたり、決断するのが困難になる。

 

2. 身体的な症状

 

睡眠障害

夜眠れない(不眠)、朝早く目が覚めてしまう、逆に過眠になるなどの症状が現れる。

 

疲労感や倦怠感

体が常に重く、疲れが抜けない感覚が続く。

 

食欲や体重の変化

食欲不振による体重減少や、過食による体重増加が見られる。

 

身体の痛み

頭痛や腹痛、肩こりなど、原因不明の痛みが続く場合もある。

 

3. 行動的な症状

 

活動量の低下

外出や人付き合いを避け、自宅に閉じこもることが多くなる。

 

涙もろくなる

小さなことで涙が止まらなくなる。

 

自傷行為や希死念慮

「死んでしまいたい」「消えてしまいたい」という考えが浮かぶことがある。

 

2. なぜうつ病は起こるのか?

 

うつ病は、単に「気持ちの落ち込み」や「心の弱さ」から生じるものではなく、脳や身体の生理的な働きの変化環境的・心理的な要因が複雑に絡み合って発症します。

 

ここでは、最新の研究や脳科学の知見をもとに、うつ病が起こる原因について詳しく解説します。

 

1. 脳内神経伝達物質の異常

 

うつ病の最もよく知られている原因のひとつが、脳内神経伝達物質のバランスの乱れです。

 

1-1. セロトニンの不足

 

セロトニンは、「幸せホルモン」と呼ばれる脳内物質で、気分や感情を安定させる働きを持っています。

 

うつ病の方は、このセロトニンが不足し、不安感や抑うつ感が強くなることがわかっています。

 

1-2. ノルアドレナリンの減少

 

ノルアドレナリンは、やる気や集中力を高める働きを担う神経伝達物質です。

 

この物質が不足すると、無気力感や疲労感が生じ、日常生活に支障をきたします。

 

1-3. ドーパミンの低下

 

ドーパミンは、快感や報酬を感じる脳内物質で、楽しさや達成感をもたらします。

 

ドーパミンが不足すると、興味・喜びの喪失意欲の低下につながります。

 

これら3つの神経伝達物質が互いに連携して脳内で働いていますが、バランスが崩れることで、うつ病の症状が現れると考えられています。

 

2. 脳の構造や機能の変化

 

最新の脳科学研究では、うつ病に関連する脳の部位や機能異常が明らかになっています。

 

2-1. 扁桃体の過活動

 

扁桃体は感情や恐怖の処理を担う脳の部位です。

 

うつ病患者では扁桃体が過剰に反応し、不安感や悲しみを過剰に感じやすくなっています。

 

2-2. 前頭前野の機能低下

 

前頭前野は意思決定や思考のコントロールを担う脳の部位です。

 

うつ病では、この部分の働きが低下し、集中力や判断力の低下を引き起こします。

 

2-3. 海馬の萎縮

 

海馬は記憶やストレス反応を管理する重要な役割を果たします。

 

うつ病患者の海馬は萎縮していることが多く、ストレス耐性の低下記憶力の悪化に関連しています。

 

3. ホルモンバランスの乱れとストレス反応

 

うつ病は、ストレスに対する体の反応にも深く関係しています。

 

3-1. コルチゾールの過剰分泌

 

コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれ、ストレスを受けたときに分泌されるホルモンです。

 

うつ病では、慢性的にコルチゾールの分泌量が高くなり、脳へのダメージ炎症反応を引き起こします。

 

3-2. 自律神経の乱れ

 

ストレスによって交感神経(緊張を高める神経)が優位になり、リラックスを促す副交感神経が機能しにくくなることで、不眠や疲労感が慢性化します。

 

4. 環境的・心理的要因

 

うつ病の発症は、生活環境や心理的なストレスとも密接に関連しています。

 

4-1. 大きな喪失体験やストレス

 

愛する人を失ったり、仕事を失ったりする経験は、うつ病の発症リスクを高めます。

 

4-2. 対人関係の問題

 

家族や職場の人間関係の悪化が、孤独感や不安感を引き起こします。

 

4-3. 完璧主義や自己批判的な性格傾向

 

自分を過度に責める性格の人は、ストレスをため込みやすく、うつ病になりやすい傾向があります。

 

脳科学とカウンセリングの役割

 

うつ病の治療には、薬物療法と心理療法(カウンセリング)が重要な役割を果たします。

 

特に認知行動療法(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)は、脳科学の研究によってその効果が裏付けられており、多くの治療現場で用いられています。

 

ここでは、脳科学の視点から認知行動療法の効果を詳しく解説し、うつ病の改善にどのように役立つのかを掘り下げます。また、カウンセリングがうつ病治療で果たす役割についてもお伝えします。

 

1. 認知行動療法(CBT)とは?

 

認知行動療法は、思考のクセや行動パターンを変えることで感情や気分を改善する心理療法です。

 

うつ病の方は、次のような「認知の歪み」を抱えることが多いとされています。

 

自己否定

「私は価値がない」「何をやってもダメだ」

 

極端な予測

「失敗するに決まっている」「うまくいくはずがない」

 

過度の一般化

「一度失敗したから、これからもすべてうまくいかない」

 

認知行動療法では、こうした考え方の偏りを修正し、現実的で柔軟な思考パターンを身につけることで、感情や行動の改善を目指します。

 

2. 脳科学から見た認知行動療法の効果

 

2-1. 扁桃体の過活動を鎮める

 

うつ病患者の脳では、扁桃体という部位が過剰に反応しています。

 

扁桃体とは?
→扁桃体は感情を処理し、不安や恐怖に反応する役割を持つ脳の部位です。

 

うつ病では?
→ストレスや否定的な思考に対して扁桃体が過敏に反応し、ネガティブな感情を強化してしまいます。

 

認知行動療法によって思考パターンを変えることで、扁桃体の過活動が鎮まり、不安や抑うつ感が軽減されることが脳科学の研究で示されています。

 

2-2. 前頭前野の機能回復を促す

 

前頭前野は、論理的思考や自己制御を司る脳の部位です。

 

うつ病では?
→前頭前野の活動が低下し、ネガティブな思考を抑制できなくなります。また、集中力や判断力も低下します。

 

認知行動療法の効果

 

認知行動療法では、客観的に自分の思考を整理し、柔軟な考え方を取り入れるアプローチを行います。

 

この過程で前頭前野が活性化し、思考の整理や自己制御機能が回復することが研究で確認されています。

 

2-3. 海馬の萎縮を改善する

 

海馬は、記憶やストレス応答に関係する脳の部位です。

 

うつ病では?
→慢性的なストレスによって海馬が萎縮し、ストレス耐性が低下することでうつ症状が悪化します。

 

認知行動療法の効果

 

認知行動療法を受けたうつ病を抱えている方では、海馬の神経可塑性(神経細胞の再生能力)が高まり、ストレスへの耐性が強化されることが明らかになっています。

 

この効果は、認知行動療法によるストレスの軽減と、思考の整理による安心感が神経細胞の回復を促すことによるものと考えられています。

 

2-4. セロトニンやドーパミンなど神経伝達物質の増加

 

認知行動療法は、脳内の神経伝達物質にも直接的な影響を与えます。

 

セロトニン
→ポジティブな思考や安心感を生み出す神経伝達物質で、不足すると抑うつ感が強まります。

 

認知行動療法を通じてネガティブな思考を修正することで、セロトニンの分泌が促されることが示されています。

 

ドーパミン

→快感や達成感に関連する神経伝達物質で、意欲やモチベーションを高めます。

 

認知行動療法による小さな成功体験の積み重ねがドーパミンの分泌を増やし、意欲回復につながるとされています。

 

ノルアドレナリン

→集中力や覚醒を高める物質で、認知行動療法によって不安が和らぐと分泌が安定し、注意力や思考力が向上します。

 

まとめ—うつ病を脳科学と適切な治療、カウンセリングで乗り越える

 

うつ病は、脳の神経伝達物質や構造的な変化、ストレス反応の異常などが複雑に絡み合って発症します。

 

しかし、最新の研究では**認知行動療法(CBT)が脳の機能を改善し、思考や感情を柔軟に整える効果が科学的に証明されています。

 

カウンセリングは、安心できる環境で感情を整理し、具体的な行動変容をサポートする大切な役割を果たします。

 

また、医療機関での薬物療法と併用することで、より効果的に症状の改善を目指すことができます。

 

うつ病は早期に対処することで回復の可能性が高まります。

 

一人で悩まず、医療サービスやカウンセリングを積極的に活用しながら、心と身体のバランスを取り戻す一歩を踏み出しましょう。

 

参考論文

Major depressive disorder: new clinical, neurobiological, and treatment perspectives

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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