感情が偏りすぎると危険!? 自分を救う「第二の感情」の見つけ方
2025/02/27
みなさん、こんにちは。
神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて、日々の生活で私たちが感じるイライラや不安、落ち込み…
これらの感情には、それぞれ役割や意味があります。しかし、多くの人は特定の感情に偏りがちで、それが続くと心が疲れてしまう原因にもなります。
そこで注目したいのが「感情スタイル」。
つまり、どの感情を一番感じやすいか、どの感情に支配されやすいか、というものです。
「どの感情をいちばん感じやすいか、支配されやすいか」を把握することで、自分に合ったストレス対策やメンタルケアを見つけられやすくなります。
この記事では、感情スタイルを知り、それをどう活かすかをご紹介します。
1.支配的な感情を見極める
私たちが日常で抱く感情には、誰もが特に強く感じやすい「支配的な感情」が存在します。
たとえば、何かがうまくいかなかったときに、すぐに「怒り」が沸騰する人もいれば、「不安」や「悲しみ」が先立つ人もいるという具合です。
まずは自分がどの感情に偏りがちなのかを知ることが、より柔軟でバランスの良いメンタルを手に入れる第一歩です。
1-1.自分の思考パターンを振り返る
● トラブル時の初動感情をチェック
「予期せぬ問題が起こったとき、どんな感情が最初に湧いてくるか?」を意識してみましょう。
怒りに近い苛立ちか、不安や緊張なのか、あるいは無力感に似た絶望なのか…。
こうした問いを自分に投げかけることで、自分の支配的な感情を探るヒントが得られます。
● 感情の出発点を整理する
たとえば、「小さなミスでも胸の奥がザワザワして落ち着かなくなる」タイプなら、不安が支配的な可能性があります。
一方、「誰かがミスをするとついイライラがこみ上げる」タイプなら、怒りや攻撃性が優勢なスタイルかもしれません。
1-2.状況解釈のクセを知る
● 自己責任と他責のバランス
何か問題が起こったときに、「全部自分が悪い」と思い込んでしまう方は、不安や自己否定の感情を持ちやすいスタイルといえます。
反対に、周囲のミスや環境のせいだと考えることが多いなら、怒りや攻撃性を抱きやすいタイプかもしれません。
● 拡大解釈や過小評価に注意
トラブルや失敗を「これで全部が終わりだ」と大げさに捉えてしまう場合は、悲観的な感情が支配的になっている可能性があります。
逆に、自分のミスを過小評価してしまう場合は、責任逃れの傾向や他人への攻撃的な感情を含んでいる場合があります。
1-3.まとめ
自分の「支配的な感情」がどれに当たるのかを見極めることは、メンタルバランスを保つうえで非常に重要です。
日常の些細なトラブルや失敗にどう反応するかを丁寧に振り返ることで、感情の偏りに気づきやすくなります。
もし、いつも同じ感情ばかりが強くなると感じるなら、それが何であるかをまず把握することが、次のステップ(対処や改善)へ進むための鍵となるでしょう。
2.なぜ「偏りすぎた感情」は負担になるのか
感情にはそれぞれ役割があり、必要に応じて私たちの行動を促したり、状況を客観的に捉える手がかりを与えたりしてくれます。
しかし、1つの感情だけが際立って強い状態が続くと、心身のバランスを崩しやすくなるのも事実です。
また、私たちが抱える感情は複数の要素が入り混じっていることが多いため、もし根底にある本当の感情を見落としてしまえば、その問題に対して適切に対処できなくなります。
2-1.視野が狭くなり、誤った判断をしがち
● 不安だけにとらわれるケース
何でも不安と結びつけて考えてしまうと、せっかくのチャンスにも「リスクが高いから」と躊躇し、可能性を閉ざしてしまうことがあります。
また、必要以上に用心深くなりすぎて、結局何も行動できずに後悔することも少なくありません。
● 怒りだけで突っ走るケース
些細な出来事でも怒りを爆発させる習慣があると、人間関係に深刻な亀裂が入る恐れがあります。
本当は寂しさや悲しみが根底にあって怒りを引き起こしている場合でも、その「裏の感情」に気づかずに相手を責めたり、自分を追い詰めてしまう結果につながることがあります。
2-2.必要な別の感情が育たない
● 本来は悲しむべき場面で怒りばかりを感じる場合
本当は辛い気持ちや悲しみがあるのに、表面上は怒りのみが突出してしまうことがあります。
こうなると、「なぜ自分はこんなに怒っているのか?」という疑問を深められず、根本的な解決策にたどり着きにくくなります。
● 表面と根底の感情の食い違い
多くの感情は、悲しみと不安、怒りと罪悪感など複数同時に存在しています。
もし表面化した感情ばかりに目を向けていると、根底の感情が見落とされ、「本当は何に対して悲しんでいるのか」「なぜ不安に感じているのか」という重要な気づきを得る機会を失います。
2-3.根底にある感情を見落とすリスク
● 適切な対処ができなくなる
たとえば、「人間関係でうまくいかずにイライラする」という状況でも、その裏には「認められたい」という欲求や「拒絶されるのが怖い」という恐れが隠れているかもしれません。
こうした根底の感情を把握していないと、一時的な怒りへの対応だけに終始してしまい、本質的な問題を解決できません。
● 自己理解が深まらない
自分の中の複数の感情を見過ごすと、「自分が本当は何を望んでいるのか」がわからなくなり、自己理解や自己肯定感を高めるチャンスを逃しがちになります。
2-4.まとめ
どんな感情も大切なサインであり、本来は役割を果たすために存在しています。
しかし、一つの感情だけが強く出続けると、視野が狭くなり判断を誤ったり、他の大切な感情を育てられないままになってしまう可能性が高まります。
さらに、多くの場合、私たちが感じる感情は表面と根底で複数入り混じっているため、表に出てきた感情だけを鵜呑みにすると、問題に適切に対処できなくなるリスクがあります。
バランスを保つためには、自分が抱いている感情の「表層」と「裏側」にも目を向ける習慣をつけることが大切です。
これによって、本当の気持ちを把握しやすくなり、より適切かつ柔軟な行動や解決策を見いだせるようになるでしょう。
3.偏りを自覚したら:小さな「別の感情」を探す方法
一つの感情が優勢になりすぎていると感じたときは、意図的に「他の感情」に目を向けることが効果的です。
これは、思考の偏りを緩和して新たな視点を得るための方法ともいえます。
ここでは、2つの具体的なアプローチを解説します。
3-1.意図的に別の感情をイメージする
強い不安に支配されがちな人が、あえて「少し悲しみを感じてみる」「わずかでも怒りを探ってみる」といった方法をとることで、普段は意識していない感情に気づける可能性があります。
● 感情ワードを声に出す
「悲しみ」「怒り」「寂しさ」「戸惑い」など、自分が普段あまり目を向けていない感情をあえて口に出してみましょう。
声に出すと、その感情が自分の中でどのように存在しているのか、身体のどこに影響が現れているのかを感じ取りやすくなります。
たとえば、「悲しみ」と言った瞬間に胸のあたりがぎゅっと締まるような感覚があるかもしれません。
あるいは「怒り」と唱えたときに、手や肩に力が入るのを感じるかもしれません。
● 体の感覚に注目する
感情は思考だけではなく、身体反応として表れることも少なくありません。
胸が詰まる、背中が重くなる、肩に力が入る、目が熱くなる…。
こうした変化は「あなたの中に別の感情が潜んでいる」サインととらえられます。
具体的には、「悲しみ」と呟いたときに涙が出そうになるのであれば、普段意識していない悲しみが背後にあるのかもしれません。
逆に、「怒り」と言ったときに拳を握りしめたり、息が荒くなる場合は、抑え込んでいた怒りの感情が存在している可能性があります。
3-2.状況解釈を変える
自分の思考のクセを逆手に取り、あえてふだんとは違う解釈を試してみるのもおすすめです。
● 「自分が悪い」と思いがちな人の場合
普段は「何かがうまくいかないのは全部自分の責任」と考えてしまう方は、「もしかしたら相手にも原因があるかもしれない」と思い切って考えてみると、また違った感情が湧いてくることがあります。
たとえば、他人のミスによって発生したトラブルを、すべて自分のせいだと感じるクセがある場合、「本当はチーム全体の連携不足だったのでは?」と捉えてみるなど。
そうすると、実は怒りや落胆、あるいは別の感情が潜んでいたことに気づけるかもしれません。
● 怒りが先行する方の場合
何かトラブルが起こるとすぐに怒りが込み上げる方は、「もしかして自分の本当の感情は悲しみや疲労感かもしれない」と視点を変えることが大切です。
「上司の指示で残業続き=自分が不当に扱われている」という怒りの裏に、「本当はつらさや疲れを何とかしてほしい」という気持ちが隠れている可能性があります。
このように解釈を変えることで、これまで見落としていた感情を発見しやすくなります。
3-3.まとめ
感情が偏りすぎていると感じたときは、自分の中にある別の感情にあえて意識を向けることで、心のバランスを取り戻すチャンスが生まれます。
その際、感情の言葉を口に出したり、体の反応に注意を払ったりすることで、普段意識できていない感情を探り当てるきっかけをつくれます。
さらに、「いつも自分が悪いと思う」「いつも他人が悪いと思う」といった思考のクセから一度離れてみることで、新しい解釈や気づきが得られるかもしれません。
こうした方法を習慣化すると、自分自身の多面的な感情をより豊かに理解し、必要に応じてより適切な対処ができるようになるでしょう。
4.別の感情を感じるメリット:新たな視点と休息
ひとつの感情に長く支配されると、どうしても視野が狭まり、同じ行動パターンや考え方にとらわれがちです。
しかし、あえて「別の感情」を認めてみると、自分の思考や行動に新たな余裕が生まれ、次のようなメリットを得られます。
4-1.心理的な休息が得られる
● ペースダウンのきっかけになる
たとえば、「常に不安や焦りに駆られている」タイプの人が、意図的に「少し悲しみ」を感じてみると、自然とペースダウンして状況を見つめ直す時間が生まれます。
● 持続的な緊張感からの解放
ずっと走り続けるように追い詰められていた思考が一時的にオフになり、「本当に今必要なことは何だろう?」と客観視する機会を作れます。結果として、心が休まり、ストレスや疲労を軽減しやすくなるのです。
4-2. 新しい発想が生まれる
● 異なる感情が視点を変える
いつも「もう少し頑張らないと」「ミスをしないように」と前に進むだけの思考に固まっていると、現状に対して別の可能性を考えにくくなります。
しかし、あえて悲しみや怒りといった普段抑え込んでいる感情を認めることで、「このまま突き進むのではなく、一旦方向転換すべきかもしれない」など、新たな気づきが得られる場合があります。
● 柔軟な思考が促進される
1つの感情に縛られていると「こうすべき」という固定観念が強くなる一方、異なる感情を受け入れることで思考の幅が広がります。
たとえば、「怒り」を感じる人が少し「悲しみ」を受け入れると、自分や周囲への見方が変化し、思いがけないアイデアや解決策が浮かぶ可能性があります。
4-3.まとめ
いつもの自分とは異なる感情を少しだけ意識して感じてみると、心理的な休息と新しい発想の両面でプラスの効果が期待できます。
たとえば、焦りや不安が強いときにわずかな「悲しみ」や「寂しさ」を認めるだけで、思考のペースを落とすきっかけになり、結果として疲弊していた心をひと休みさせられることも。
また、その過程で普段なら思い付かない行動方針やアイデアが浮上し、状況を打開するヒントを得られるケースも少なくありません。
気づいたときに別の感情に目を向ける習慣を身につけると、より柔軟でバランスのとれたメンタルを育むことができます。
5.バランスを取る具体的なポイント
5-1.感情日記をつける
1日の終わりに「今日はどんな感情が多かったか」を振り返り、場合によっては「感じにくかった感情」を書き出します。
これを続けるだけでも、自分の偏りを客観視しやすくなります。
5-2.複数の感情を同時に認める
たとえば、怒りと同時に悲しみや不安を抱くことは不思議ではありません。
あえて「両方あるんだな」と受け止める練習をしてみると、心の中で多面的な捉え方ができるようになります。
まとめ:自分の感情スタイルを味方にする
支配的な感情を否定する必要はありません。
それ自体が、あなたを行動させたり、問題を解決するエネルギーになっている面もあるからです。
ただし、「一つの感情ばかり」では行き詰まる可能性が高まります。
● 休息や見直しのきっかけ
強い感情を緩めるために、あえて別の感情に意識を向ける時間を持つと、意外な形で前向きな変化が訪れることがあります。
● 多角的な視点を得る
様々な感情をバランスよく活用できれば、仕事でもプライベートでも柔軟な対応がしやすくなり、思わぬ突破口が見えてくるでしょう。
もし自分の支配的な感情がストレスや疲れの原因となっていると感じたら、このアプローチを試してみてください。
自分の中のいろいろな感情を受け入れ、活かしていくことで、日々のストレスを軽減し、より生きやすいメンタルバランスを築きましょう。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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