うつ病が交友関係に与える影響とは?
2025/03/22
みなさん、こんにちは。
神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さてうつ症状というと、気分が落ち込んだり、やる気が出ないといったイメージがありますが、それだけではなく、人間関係にもさまざまな影響を与えることが明らかになっています。
そこで今回のブログでは、うつ病と交友関係に関する研究をもとに、「うつ状態がどのように人間関係に影響を与えるのか」について詳しく解説していきます。
なぜ人間関係が悪化してしまうのか、そしてどのようにすれば改善できるのかを見ていきたいと思います。
1.うつ症状の特徴と人間関係の悪循環
うつ症状というと、「気分が落ち込む」「何事にも興味がわかない」などの心理的なつらさがよく知られています。
しかし、うつ症状が及ぼす影響はそれだけではなく、私たちの人間関係にも深刻な影響を及ぼすことが最新の研究で明らかになっています。
具体的には交友関係がネガティブな方向に向かっていく、あるいはうつ病を抱えているご本人が社会的孤立に陥ってしまう、というものです。
また、今回の参考論文では交友関係にスポットを当てていますが、うつ病を抱えているご家族との関係にも同じような問題が発生しやすくなります。
そして、こうした問題はうつ病の初期、つまりまだご本人が自分はうつ病なのだという認識を持っていない段階で多く発生します。
ただ、ここで非常に大切なのは、決してご本人が「悪い」「自分で関係を壊してしまった」と責める必要はないということです。
うつ症状による特有の行動パターンが無意識のうちに起きてしまい、それが人間関係を難しくしているだけなのです。
では、うつ症状によって具体的にどのような行動パターンが現れやすく、それがどのように人間関係の悪循環を生んでしまうのかを詳しく見ていきましょう。
1-1.ネガティブな自己評価を繰り返す
うつ症状を抱えると、多くの方が「自分には価値がない」「どうせ自分は誰にも必要とされていない」など、自己否定的な考えを繰り返す傾向があります。
こうした考え方は、自分自身の内面で感じているだけでなく、無意識のうちに周囲に対しても口にしてしまうことがあります。
例えば…
✔「私なんてどうせ役に立たない」
✔「私がいると迷惑をかけるから」
といった言葉を頻繁に口にしてしまうことがあります。
このようなネガティブな自己評価を周囲が何度も耳にすると、最初は励ましやサポートを提供しようとしますが、次第にそのやり取りに疲れてしまったり、「何を言っても本人に届かない」と感じて距離を取ってしまうことがあります。
結果として、ご本人はますます「やっぱり自分は必要とされていない」と感じてしまい、人間関係が悪循環に陥ってしまうのです。
ただ、これは決してご本人の性格や人間性の問題ではありません。
うつ症状によって引き起こされるネガティブな認知の偏り(物事の捉え方の偏り)によるものであり、症状が改善されれば、自然と自己評価も回復していく可能性があります。
1-2.周囲に頻繁に慰めや励ましを求めてしまう
うつ状態にあると、ご本人は常に心のつらさを抱えています。
そのため、無意識のうちに周囲の人からの安心感やサポートを頻繁に求めるようになりがちです。
例えば…
✔「本当に大丈夫かな?」
✔「私は嫌われていないかな?」
といった確認や、相手に慰めを求めるような言動を繰り返してしまうことがあります。
もちろん周囲の友人や家族も、最初は共感を示し、励ましや慰めを提供しようとしますが、こうしたやり取りが日常的に繰り返されると、次第に心理的に負担を感じるようになる場合があります。
結果として、ご本人はますます孤独や不安を感じ、「誰も自分を理解してくれない」と感じてしまうことになります。
しかしここでも、問題の本質はうつ症状にあります。
ご本人の人格や意図の問題ではなく、症状がそうさせているだけだと理解することが重要です。
1-3.人間関係を避けてしまい、消極的・受け身になる
うつ症状の特徴の一つに、「人と交流するエネルギーが低下する」という点があります。
その結果、人との交流やコミュニケーションを避けるようになり、受け身で消極的になりがちです。
例えば…
✔友人からの誘いに応じず、何度も断ってしまう
✔グループで集まる場面を避ける
✔会話の中でも口数が減り、自ら発信しなくなる
こうした状態が続くと、周囲から見ると「関わりたくないのかな」「興味がないのかな」と誤解を招くことがあります。
その結果、周囲の人が徐々に距離を取り始めてしまい、ご本人はさらに孤立を感じてしまいます。
ここでも大切なのは、ご本人に悪意があるわけではなく、エネルギーが枯渇した状態で「他者と交流する力が出ないだけ」だということです。
1-4.まとめ
こうしたうつ病が交友関係に悪影響を与えるというのは、うつ病の初期段階で多く見られる現象です。
この段階ではご本人がうつ病と気が付いていない状態で、そのため知らず知らずのうちに交友関係の悪循環が始まりやすくなります。
うつ症状が人間関係に与える影響は深刻ですが、それはあくまでも「症状が引き起こしている悪循環」であり、ご本人が責められるべき問題ではありません。
適切なサポートを受け、症状が改善されれば、人間関係も再び良好な方向に戻っていきます。焦らず、少しずつ自分を受け入れながら、回復を目指していきましょう。
2.うつ症状改善がもたらす友達関係への好影響
うつ症状はご本人にとって非常につらいものですが、同時に周囲との人間関係にも大きな影響を与えることが分かっています。
ここでは、うつ症状が改善された場合に、友達関係がどのように良好になるのか、またその結果どのような好循環が生まれるのかについて、詳しく解説していきます。
2-1.適切なケアによるうつ症状の改善と友達関係の変化
研究では、うつ症状に悩む若者たちを対象に、認知行動療法(CBT)によるグループ介入を行いました。その結果、次のような非常に興味深い現象が確認されました。
✔認知行動療法を受けてうつ症状が改善した方々たちは、友達からの社会的サポートをより強く感じられるようになった
✔うつ症状の改善そのものが、友達関係の回復や友達からの支援を増やす効果を生んでいる
ここで重要なのは、うつ症状が改善すると、単に症状が楽になるだけではなく、「周囲との関係性が良くなる」という効果もあるという点です。
2-2.うつ症状改善による友達関係の回復が生む「好循環」
研究で最も重要な発見の一つは、「うつ症状が改善すると、友達からの社会的サポートが自然と増え、それがさらにうつ症状を改善する好循環を生み出す」ということでした。
これはどういうことか具体的に見てみましょう。
まず、適切なケア(研究では認知行動療法)などを通じてうつ症状が緩和されると…
①本人のネガティブな発言が減り、自己肯定的な言動が増える
②人間関係への積極性や自信が戻ってくる
③コミュニケーションがスムーズになり、自然な交流が増える
④自己肯定感や充実した時間が多くなり、それがうつ病の改善に好影響を与える。
といった変化が起きます。
その結果、周囲の方々は…
✔「最近あの人は明るくなった」「話しやすくなった」
✔「一緒にいると楽しい」と感じ、再び積極的に交流をするようになる
✔励ましやアドバイスなどの支援も自然と増える
…といった変化を見せます。
ここで増えた「友達からの社会的支援」は、ご本人の心理的な安定感や自己肯定感を高め、さらにうつ症状の回復を促す効果があります。
2-3.この好循環を具体例で考えると…
例えば、Aさんといううつ症状を抱えた方がいるとしましょう。
以前のAさんはうつ症状の影響で、「自分はダメだ」と繰り返し口にし、周囲の友達に頻繁に慰めを求めていました。
その結果、友達は距離を取り始め、Aさんはますます孤独を感じてしまいました。
しかし、適切な心理療法を受けて症状が少しずつ改善したことで、Aさんは以前より前向きなコミュニケーションができるようになりました。
友達は再びAさんとの交流を楽しめるようになり、Aさんを誘ったり、励ましたり、自然なサポートを与えるようになりました。
友達からのこうしたサポートは、Aさんの自己肯定感をさらに高め、自信につながり、精神的な安定感を生みます。
すると、Aさんのうつ症状がさらに改善される、という好循環が生まれるのです。
2-4.うつ症状に悩む方へのメッセージ~これはあなたのせいではありません~
何度も強調したいのは、こうした人間関係の悪循環や好循環は、あなたの性格や人格が原因ではないということです。
すべては、うつ症状という一時的な「症状」が引き起こしているものです。
症状が改善されれば、あなた本来の魅力的で愛される存在に自然と戻っていきます。
まとめ:うつ症状改善が人間関係と症状改善の好循環を生む
研究からはっきり分かったのは、「うつ症状を改善することで友達関係が回復し、そこから得られる社会的サポートがさらに症状の改善を促す」という好循環が存在するということです。
うつ病を抱えている方の孤独や苦しさは決してあなたのせいではありません。
ぜひ、適切な治療と支援を活用して、このポジティブな好循環を生み出していきましょう。
参考論文
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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