安心感が育む、健全なカップル関係のつくり方とは?
2025/04/19
みなさん、こんにちは。
神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて…
「どうしたらパートナーと、もっと安心して向き合えるのか」
「幸せな関係を長続きさせるには何が必要なのか?」
…恋人や夫婦といったカップルとして過ごす日々の中で、ふと浮かんでくるこんな問いに、明確な答えが見つからず悩む方も多くおられます。
そこで今回は、カップル関係の質に注目した心理学の研究をもとに、健全で幸せな関係性を築くための「心のプロセス」についてご紹介したいと思います。
1.安心感を基盤にした関係性のプロセス
この研究では、「自分たちは健康的な関係にある」と自己認識しているカップルへのリサーチを通して、健全な関係性に共通する「心の流れ」が明らかにされました。
その中で浮かんできた中心的なキーワードは「安心感(security)」です。
カップルの関係性が「安全である」と感じられるとき、そこには4つの要素、つまり…
認知(perceptions)・期待(expectations)・関係性のやりとり(interactions)・気づき(awareness acquisition)
…という要素がバランスよく機能しています。
2.関係性を育む4つのプロセス~心理的安心感の循環とは?~
今回参考にした研究によって明らかにされた、「健康的なカップル関係の心理的プロセス」では、健全な関係性は以下の4つの心理的要素の相互作用によって支えられているとされます。
それぞれの要素は一方向ではなく、相互に影響し合いながら循環する構造になっており、どこか1つが強くなれば、他の要素にも自然と良い変化が生まれます。
①認知・認識~お互いに相手をどう見ているか?~
ここでの「認知」とは、自分自身、パートナー、そしてふたりの関係性についての「見方や印象」のことを指します。
健全なカップルに共通していたのは、次のような2種類の視点を持っていることが多くみられます。
● サポートとしてのパートナー像
たとえば「この人は、つらいときには支えてくれる」「感情的に安定させてくれる」など、身体的・情緒的・実際的な安心感があるという認識。
● 全体としてのパートナー像
「小さな欠点もあるけど、総じて信頼できる人」というように、一部ではなく全体像で相手を見ることができている状態。
この「どう見ているか?」は、次にご紹介する「期待」とも深く関わっています。
② 期待~ふたりの関係に、どんなルールがあるか?
期待とは、「パートナーに何を望んでいるか」「ふたりの関係において、何が当然だと感じているか」といった、暗黙のガイドラインのようなものです。
研究では、以下の2つに分類されています。
● 基礎的期待
誠実であること、思いやりがあること、楽しい時間を共有できることなど、関係性のベースを支える期待です。
● 日常的期待
家事の分担や、話し合いの仕方、ケンカのときの対処など、実生活における具体的な期待です。
なかでも注目したいのは「衝突の処理」に関する期待です。
どのタイミングで話し合うか、どんな言葉づかいを使うか、どこで話すか…。
こうした要素は当事者によって大きく異なり、期待がすれ違うと、信頼にヒビが入ることもあります。
③ 相互作用・行動~言葉や行動は、期待に応えているか?~
関係における実際の言動は、ふたりの期待や認知が表に出てくる「実際の関係がある場」です。
行動が期待通りであれば、「やっぱりこの人は信頼できる」という気持ちが強化されます。
反対に期待にそぐわない行動が続けば、相手への認知が揺らぐことになります。
ただし、良好な関係を維持しているカップルは一度の期待外れを「割引く」柔軟性も持っています。
● 期待に合致する行動
→ 認知が強化され、安全感・信頼感が深まる
● 期待とズレた行動
→ 「今日は疲れてたのかな?」といった補足的解釈で、関係の継続を可能にする
つまり、「行動が完全である必要はないけれど、期待とのズレが続くと関係に影響する」という繊細なバランスが存在するのです。
④ 気づきの獲得~ふたりの関係を、「ふたりで見る」という視点~
この最後の要素は、関係性を深めるうえで非常に大切な「気づきの力」です。
これは、次の2つの方法で生まれるとされています。
● 比較的気づき
過去の恋愛や、他人の関係性と現在の自分たちの関係を比較することで、「この関係って居心地がいいかも」と自覚するプロセス。
● メタ・コミュニケーション
「私たちって、ケンカのときどうしてる?」「最近ちゃんと向き合えてるかな?」など、「関係性そのもの」について対話することで、気づきが育まれていきます。
このような「気づき」は、再び認知や期待を見直すきっかけとなり、ふたりの関係をより安全で柔軟なものへと導きます。
大切なのは「ずっと変わらない関係」ではなく、「一緒に育てていく関係」
健全なカップル関係とは、「最初から完璧な相性」であることではありません。
むしろ、期待や認知を行動で確かめながら、少しずつ気づき合っていく循環の中で育まれていくものです。
もし今、関係性の中で行き詰まりやすれ違いを感じているなら、それは「気づきのサイン」かもしれません。
3.安心感がつなぐ「循環のしくみ」
健やかなカップル関係には、目に見えない「心理的な循環」があります。
その中心にあるのが、「安心感」です。
安心感とは、言い換えれば「この人と一緒にいて大丈夫」「私の気持ちはここでちゃんと尊重される」という感覚のことです。
それは単なる優しさや好きという気持ちだけではなく、関係性そのものに対する信頼から生まれます。
3-1.安心感はどうやって育まれる?
研究で示されたのは、「安心感こそが認知・期待・行動・気づきという4つの要素の循環を支える中核的な力になっている」ということでした。
この4つのプロセスは、それぞれが独立しているわけではなく、安心感を介して連動し、関係性の中で絶えず影響を与え合っています。
たとえば、こんな流れを思い浮かべてください。
● 安心感が生むポジティブな循環の一例
①相手を信頼している(認知)
→「この人は私の話をちゃんと聞いてくれる」「私の気持ちをわかろうとしてくれる」と感じられている状態です。
②信頼を前提に期待を持つ(期待)
→「今日も帰りに連絡をくれるはず」「困ったときには支えてくれるだろう」というポジティブな期待が自然に生まれます。
③相手が期待に応えてくれる(相互作用)
→実際にそのような行動(たとえば気遣いの一言や、そっと寄り添う態度)をパートナーが見せてくれることで、関係に具体的な安心が加わります。
④その行動を受け取って納得する(気づき)
→「やっぱりこの人は信頼できる」「この関係は大切にしていきたい」と実感できる。
⑤さらに信頼が強まる(認知が強化される)
→次のコミュニケーションでも、より安心して本音を言えたり、遠慮せず頼れたりするようになります。
このように、安心感は関係の中で何度も往復する「心のリズム」を作り出してくれる存在なのです。
そしてこの循環が起こっていると、カップルは大きな衝突やすれ違いがあっても、「話し合って乗り越えられる関係」として再びつながっていけます。
4.恋愛関係やパートナーシップを健やかにするヒント
上記の内容は、現在のパートナーシップを見直すうえで、多くの示唆を与えてくれます。
①「お互いの見方」はどう育まれているか?
②「ふたりの期待」は共有されているか?
③「行動と期待」のギャップをどう埋めているか?
④「ふたりで気づき合う」対話があるか?
こうした問いをふたりで振り返ってみることで、より深くつながるための一歩を踏み出すことができます。
ぜひ、4つの要素、そして安心感を形成して、良好な恋愛やパートナーシップを作ってくださいね。
参考論文
The Relationship Process in Healthy Couple Relationships: A Grounded Theory
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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