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「感情的同調性」が築く、深いパートナーシップの心理学

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「感情的同調性」が築く、深いパートナーシップの心理学

「感情的同調性」が築く、深いパートナーシップの心理学

2025/04/23

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、恋愛や夫婦の関係で…


気持ちや思いをを伝えたのに「なんでわかってくれないの?」という寂しさを感じた経験がある方は多いのではないでしょうか?

 

感情のやりとりは、言葉以上に深い次元で私たちの心をつなげています。そして、その「感情の橋」を築く力が「感情的同調性(Emotional Attunement)」です。


本記事では、John Gottmanの研究を踏まえつつ、感情的同調性が恋愛や夫婦といったカップル関係や親密な対人関係に与える影響、そしてその実践方法について、詳しくお伝えしていきます。

 

1.情的同調性とは?~「心の微細な動き」に寄り添う力~


「感情的同調性(Emotional Attunement)」とは、単に相手の言葉を聞くということではありません。


それは、相手の心の動き―ときに言葉にならないほど繊細な感情—に気づき、その意味を理解し、共感的に応答する能力を指します。

 

感情的同調性とは、以下のようなプロセスを含んでいます

 

✔相手の小さな表情の変化や沈黙に敏感であること(気づき)

✔相手の視点や背景を想像しながら理解を試みること(理解)

✔適切なタイミングで、温かく共感的な反応を返すこと(応答)

 

このようなやりとりが繰り返されることで、「自分は大切にされている」「理解されている」という安心感と信頼が深まっていきます。

 

1-1.感情的同調性と「信頼の2つの次元」


研究では、「感情的同調性の土台」には「信頼がある」ことが明確になっています。


そしてこの信頼には、以下の2つの側面があるとしています。

 

① 信頼(Trust)


「あなたは私の利益を大切にしてくれる」「あなたは私を傷つけない」という心の前提です。


これは、関係性の基礎にある「安心して心を開ける土台」とも言えます。

 

② 裏切り(Betrayal)


「あなたは自分の利益のために、私の気持ちを軽んじるかもしれない」という疑いの視点です。


これは、感情のすれ違いが続いたときや、共感的な応答が繰り返し得られなかったときに生じやすくなります。

 

つまり…

 

✔感情的同調性の積み重ねが信頼を育む構造

 

✔同調性の欠如が裏切り感を強めるという構造

 

この2つが日常のやりとりの中で繰り返されているのです。

 

1-2.信頼はどう築かれるのか?~「信頼の扇(3つの文脈)」~


感情的同調性は、信頼の構築とも密接に関係しています。


研究では、信頼が育まれる3つの文脈「信頼の扇(The Trust Fan)」と呼んでいます。

 

① 日常のやりとりの中で


最も基礎的な文脈です。

 

例えば…

 

✔小さな「助けて」のサインに気づいて応答する

✔疲れているときにそっと労わる

✔「大丈夫?」というひと言で気持ちを汲む

 

このような何気ないやりとりの蓄積が、安心と信頼の土台になります。

 

② 感情的な場面で


怒りや悲しみ、ストレスなど、強い感情が動く瞬間にこそ、信頼は試されます。


たとえば、パートナーが落ち込んでいるときに「何かあった?」と寄り添えるかどうか。


また、怒りをぶつけられたときに、防衛せずに「つらかったんだね」と受け止められるか。

 

ここで同調性が発揮されると、「この人には安心して気持ちを出せる」と感じるのです。

 

③ 修復の場面で


どんなに仲の良い関係でも、すれ違いや衝突は起こります。


大切なのは、その後どう修復しようとするか。

 

✔自分の非を認めて謝る

✔相手の痛みを理解しようとする

✔「またやり直そう」と歩み寄る

 

こうした修復の試みも、信頼を深める重要な要素です。

 

1-3.感情に応えることは、関係性に応えること


感情的同調性は、「テクニック」ではなく、「相手を大切に思う姿勢」のあらわれです。


表情のゆらぎに目をとめ、感情の意味を考え、温かく言葉を返す…。

 

その一つひとつの行為が、パートナーシップを育てる「見えない架け橋」になっていきます。

 

日々のやりとりの中で、「感情に丁寧に向き合うという姿勢」を持つことこそが、信頼とつながりを深める第一歩です。

 

2.感情に寄り添う実践的ステップ~ATTUNEの原則~


夫婦や恋愛といったパートナー間の関係において、「気持ちが通じ合っている」と感じられることは、安心や信頼の土台になります。


しかし、実際のコミュニケーションでは、つい感情を見落としたり、タイミングを逃してしまうこともあるのではないでしょうか。

 

そこでJohn Gottman博士が提唱しているのが「ATTUNE(アチューン)」の原則です。


これは、「Emotional Attunement=感情的同調性を実践するための6つのステップ」であり、関係性をより深めるための「日常の指針」ともいえるものです。

 

A:Awareness(気づき)~「小さな変化に目を向ける」~


感情に寄り添う最初のステップは、「相手の心のサインに気づくこと」です。

 

たとえば…

 

✔いつもより元気がない

✔声のトーンが沈んでいる

✔目を合わせたがらない

 

こうした「微細な変化」に気づく力が、関係性の深さを左右します。


何気ない表情やしぐさの変化が、実は「気づいてほしい」という無言のメッセージであることも少なくありません。

 

T:Turning Toward(向き合う)~「無視しない、小さな応答」~


感情に気づいたら、次は「反応すること」が大切です。


ここでいう反応とは、大げさな対応ではなく「向き合う姿勢を示すこと」です。

 

たとえば…

 

✔「大丈夫?」とひと言かける

✔相手のそばに静かに座る

✔話しかけやすい雰囲気をつくる

 

こうした応答は、「あなたのことを大切に思っているよ」という無言のメッセージとなります。

 

T:Tolerance(寛容さ)~「ネガティブな感情も拒まない」~


相手の怒りや悲しみに触れると、つい「それは違うよ」と否定したくなったり、「また怒ってる」と距離を取りたくなることがあります。

 

けれども、感情は「良い・悪い」で判断すべきものではなく、ただ「そこにあるもの」です。

 

寛容さとは、相手のネガティブな感情にもオープンでいようとする態度のこと。

 

✔「怒ってるんだね。何があったのかな」

✔「つらい気持ち、ちゃんと受け止めたい」

 

こうした関わりが、感情の表現に安全な場を提供し、信頼関係の深まりへとつながります。

 

U:Understanding(理解しようとする姿勢)~「相手の立場に立ってみる」~


「理解」とは、相手の言っていることを正しく「説明する」ことではありません。


大切なのは、「相手の感じている世界を、自分の立場ではなく、相手の目線で眺めてみること」です。

 

たとえば…

 

「私だったらそんなことで怒らない」と考えるのではなく…

 

「この人にとっては、それだけ大きな意味があるんだな」と捉えること

 

理解しようとする姿勢は、相手の感情を受け止めるための土台になります。

 

N:Nondefensive Listening(防衛的でない聴き方)~「言い訳せず、まず聴く」~


人は、責められたと感じると「でも、そっちだって…」と反論したくなります。


しかし、それでは「感情のやりとり」が成り立ちません。

 

防衛的な聴き方をやめて、「まずはその気持ちを受け止めよう」という意識で耳を傾けることが大切です。

 

たとえば…

 

✔「そんなふうに感じたんだね」

✔「言ってくれてありがとう。つらかったよね」

 

このような対応は、「自分の気持ちを安心して話せる相手だ」という信頼感を育てます。

 

E:Empathy(共感)~「気持ちに寄り添う応答を」~


最後のステップは、共感的な言葉を返すことです。


これは、「感情に対する最も直接的なつながりのサイン」です。

 

たとえば

 

✔「それは本当に大変だったね」

✔「つらかったんだね。気づけてなかった、ごめんね」

 

ここでの共感は、問題解決ではありませんし、それを目指すものでもありません。


むしろ「わかってくれる人がいる」と感じてもらい、カップルのつながりの中で癒しを作っていくものなのです。

 

2-1.ATTUNEを日常に取り入れることの意味


感情のやりとりは、毎日の中で何十回も、無意識に起きています。


そこでの小さな反応、つまり「気づき、応答、理解、共感」の積み重ねが、「信頼」と「つながり」を築いていきます。

 

ATTUNEは、特別な時間にだけ使うものではありません。

 

✔食事中の何気ない会話

✔忙しいときのすれ違い

✔疲れている日の沈黙

 

こうした日常の中で、少し意識するだけで、関係性はゆっくりと温かい方向へ変化していきます。

 

3.まとめ:感情を通して、関係は深まっていく


私たちは、日々のささやかな感情のやりとりを通して、相手との信頼を育んでいます。


だからこそ、「ちゃんと伝わっている」「わかってくれている」と感じられることは、何よりも心をあたためてくれるのです。

 

この研究の理論が示すように、「感情的同調性(Emotional Attunement)」は、関係を長く健やかに保つための鍵となります。

 

相手の感情に気づくこと、応答すること、そして共に感じること。


これらの積み重ねが、安心感のある関係性を築き、「ふたりでいる心地よさ」へとつながっていきます。

 

もし、今の関係にすれ違いやモヤモヤを感じているなら、感情に優しく目を向けてみてくださいね。

 

参考論文

The science of trust: Emotional attunement for couples

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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