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双極性II型障害の本当のつらさを知る:記憶や集中力の変化とその対処法~神戸市、芦屋市、西宮市のカウンセリングの実例より~

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双極性II型障害の本当のつらさを知る:記憶や集中力の変化とその対処法

双極性II型障害の本当のつらさを知る:記憶や集中力の変化とその対処法

2025/05/06

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

今日は「双極性II型障害」の話をしたいと思います。

 

名前は知っているけれど、「気分の波がある病気」という程度の理解で止まっている方が多いのではないでしょうか。

 

しかし、実はこの障害は私たちが想像する以上に「認知機能」、つまり、記憶力、注意力、思考の柔軟性など──にも大きな影響を及ぼしているのです。

 

今回は、Cambridge University Pressに掲載された査読付き論文「Cognitive Impairment in Bipolar II Disorder」の内容を踏まえつつ、双極性障害をのように理解し、支援していけるのかを考えてみたいと思います。

 

1.双極性II型障害とは?~「見えにくい苦しさ」を伴うもうひとつの双極性障害~


双極性障害には大きく分けて I型(タイプ1) と II型(タイプ2) の2つの型があります。

 

それぞれの違いを簡単に解説すると、次のようになります。

 

1-2.双極性I型障害


このタイプでは、明らかな躁(そう)状態とうつ状態が交互に現れます。

 

躁状態はエネルギーが異常に高まる状態で、例えば以下のような症状が見られます。

 

✔異常なほど気分が高揚する

✔睡眠を取らなくても平気になる

✔話し続ける、アイデアが止まらない

✔衝動的な行動(過度な買い物や性的逸脱)を取る

 

このような「極端なハイテンション状態」が周囲にもわかりやすいため、診断が比較的つきやすいのがI型の特徴です。

 

1-2.双極性II型障害


一方、II型では「軽躁状態」とうつ状態を繰り返します。

 

● 軽躁状態とは?


✔気分は高揚しているものの、社会生活を著しく損なうほどではない

✔一見すると「元気そう」「調子が良さそう」と誤解されやすい

✔本人にとっては、創造的で活動的な時期と感じることもある

 

しかし、軽躁状態の後に深刻なうつ状態が続くという点では、生活に及ぼす影響は非常に大きく、「うつ病として誤診されやすい」というリスクが高いのです。

 

1-3なぜ誤診されやすいのか?


双極性II型障害のうつ状態は、気分の沈み・意欲の低下・不眠など、典型的な大うつ病とよく似ています。

 

そのため、軽躁状態のエピソードを本人が「症状」と自覚せずに見逃したり、医師に伝えられなかったりすることがあります。

 

結果として…

 

①抗うつ薬だけが処方される

②気分の波がさらに悪化する

③軽躁とうつを繰り返して慢性化する

 

2.認知機能のどこが低下しているのか?~日常生活に現れる「見えにくい障害」~


今回紹介している論文(Christina Bora et al., Cognitive impairment in bipolar II disorder)では、双極性II型障害を抱える方々の「認知機能の低下」について、通常の方との比較を通じて具体的に検討されています。

 

「認知機能」とは、私たちが日常を送るうえで必要な考える・記憶する・判断する・注意を向けるといった精神的な処理能力を指します。

 

研究では以下のような主要な領域が調査されました。

 

2-1.評価された認知機能の領域


● 記憶力(言語的・視覚的)

 

✔「言語的記憶」…会話の内容を覚えておく、指示を記憶する

✔「視覚的記憶」…見たものの位置や形を覚える、地図を思い出す

 

● 注意力と反応のスピード

 

✔一つの対象に集中し続ける力

✔複数の刺激の中から必要な情報を見つけ出す力

 

● 反応の速さや正確さ(処理スピード)

 

✔実行機能(Executive Function)

✔計画的に物事を進める力

✔状況に応じて柔軟に考えを切り替える力

✔目標に向かって行動を調整する能力

 

2-2.研究結果が示すこと:特に「実行機能」と「注意力」が弱まりやすい


この研究で特に注目すべきだったのは、双極性II型障害の方は、「実行機能」と「注意力」において健常者と比較して有意な低下が見られたという点です。

 

● 実行機能の低下


✔物事の優先順位がつけづらい

✔一度に複数のことを考えると混乱してしまう

✔思い通りに段取りを進められない

 

● 注意力の低下


✔話を聞いている途中で別のことを考えてしまう

✔周囲の刺激(音、人、スマホ)にすぐ気がそれる

✔作業に集中してもすぐ疲れてしまう

 

2-3.日常生活にどう影響するのか?


このような認知機能の低下は、診察室では見落とされがちですが、実際の生活には深刻な影響を与えることがあります。

 

例えば…

 

仕事でのミスや効率低下
→ マルチタスクがうまくできない、注意がそれてしまう

人間関係での誤解
→ 話を聞き逃していたり、言動が一貫しないように見えたりする

自己評価の低下
→ 「こんなこともできない自分はダメだ」といった自己否定に陥る

 

つまり、これらの「認知のつまずき」は、うつ症状が落ち着いている時期にもなお残る困難であり、見過ごしてはならない重要なテーマなのです。

 

2-4.なぜII型では「気分が安定していても生きづらい」と感じやすいのか


双極性II型障害では、うつ状態の期間が長く、軽躁状態は「異常な元気」として見逃されがちです。

 

そのため、ご本人も周囲も「今は元気に見えるし、大丈夫そう」と思いがちです。

 

しかし、実際にはその「元気な状態」でも、集中力が続かない・頭の中が整理できない・段取りができないといった認知面の問題が残っているケースが多く、本人にとっては「なんとなくうまくいかない」という日々の連続になりやすいのです。

 

3.カウンセリングでできること


心理カウンセリングを通したケアでは、双極性II型障害の認知機能の低下に対して以下のようなアプローチが有効となります。

 

3-1. 認知リハビリテーション的支援


✔情報整理のスキルを身につける

✔タイムマネジメントの工夫

✔「段取り」や「メモ」などの補助ツールの活用

 

3-2. 感情との付き合い方を整える


認知機能の低下はストレスによってさらに悪化します。

 

そのため、マインドフルネスやACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)を通して、「今、ここ」に意識を戻す練習も効果的です。

 

3-3. 自己理解の促進


「私の脳は、こういう特徴がある」と理解することは、自分を責めないための大切な第一歩です。

 

4.支援には「気づき」と「理解」が必要です


双極性II型障害は、「軽躁」と「うつ」が交互にやってくる病気と理解されがちですが、実際には「気分が安定しているときにも脳が疲れている」という側面があります。

 

周囲の方々やカウンセラーができるのは、まずこの「見えにくい困難」に気づくことになります。

 

最後に

 

「うつが長引いている」「自分の状態がよくわからない」「日常生活に支障を感じる」といった悩みをお持ちの方は、専門的なケア、つまり主治医への相談や心理カウンセラーの支援を検討してみてください。

 

「うまくいかない理由」を一緒に見つけ出し、心の柔軟性を取り戻していきましょう。

 

参考論文

Cognitive Impairment in Bipolar II Disorder

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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