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幼少期の心の傷とパートナーシップ:複雑性トラウマが親密な関係をどう変えるのか~神戸市、芦屋市、西宮市のカウンセリングの実践より~

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幼少期の心の傷とパートナーシップ:複雑性トラウマが親密な関係をどう変えるのか

幼少期の心の傷とパートナーシップ:複雑性トラウマが親密な関係をどう変えるのか

2025/05/24

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて…

 

「親密なパートナーとの関係がなぜかうまくいかない」

「愛したいのに、心のどこかで不安や警戒心が拭えない」

「幸せな恋愛・結婚生活を送りたいのに、なぜか繰り返し同じパターンで傷ついてしまう」


…こうしたご相談は珍しくなく、私は「幼少期の心の傷(トラウマ)」が大人の親密な関係にどれほど深く影響するかを、日々痛感します。

 

そこで今回ご紹介するのは、複雑性トラウマ(complex trauma)と大人の親密な関係についてまとめられた論文を踏まえた複雑性トラウマとパートナーシップについての解説です。


「なぜ、うまく愛せないのだろう?」という生きづらさの背景を知ることは、回復への第一歩です。一人で悩まないでほしい…。

 

そんな気持ちでこの記事を書きたいと思います。

 

1. 複雑性トラウマとは何か~慢性的な心の傷がもたらすもの~


まず「複雑性トラウマ(complex trauma)」について解説したいと思います。

 

これは、単発的な事故や災害によるトラウマとは異なり、「幼少期から長期にわたり繰り返される虐待・ネグレクト・心理的な無視や支配」などによって生じる深い心の傷のことを指します。

 

このトラウマは「愛着障害」や「慢性的な自己否定感」「安心感の欠如」「自分の価値がわからない」といった、人格形成の根本にかかわる深刻な影響を及ぼします。


たとえば、親からの愛情が十分にもらえなかったり、家庭内で安全・安心な居場所がなかった場合、子どもは「自分は愛される価値がない」「他者は信頼できない」といった信念を抱きやすくなります。

 

このような「慢性的なストレス環境」に長期間さらされると、脳や自律神経系の発達にも影響が出やすく、大人になってからも無意識のうちに「自己防衛的な心のパターン」を繰り返す傾向が生まれます。

 

2. 幼少期のトラウマは、なぜ大人の親密な関係に影響するのか?


私たちが人とどんなふうに関わるのか…

相手をどれくらい信頼できるのか…

心の距離感をどれだけ詰められるのか…

愛情や不安をどんなふうに表現するのか…

 

こうした「親密な関係」の土台となるのが、幼少期の愛着体験です。

 

2-1.愛着スタイルとは?~「人間関係の設計図」~


心理学では「愛着スタイル(attachment style)」という言葉が使われます。


これは、乳幼児期に両親や主な養育者との関係から身につける「他者との関わり方のパターン」を指します。

 

安全基地として守られ、愛されて育つことで「人は信頼できる」「自分も大切にされる価値がある」という感覚(安全型愛着)が芽生えます。

 

一方、虐待・ネグレクト・冷たい対応など、安心感が持てない環境で育つと、「いつか裏切られる」「自分は本当は愛されない」という思い(不安型・回避型などの不安定な愛着スタイル)が形成されやすくなります。

 

2-2.複雑性トラウマがもたらす「心のジレンマ」


複雑性トラウマ、つまり、長期的・繰り返しの心の傷を経験した人は、心の奥底に「愛されたい」「誰かと深くつながりたい」という強い願いを持っています。

 

それと同時に、「でもどうせ拒絶される」「裏切られるに決まっている」「心を開いたら絶対に傷つく」という強烈な警戒心や不信感も抱えてしまうのです。

 

この「愛されたいけれど怖い」という心のジレンマが、大人の親密な関係、つまり恋愛、結婚、パートナーシップにさまざまな形で表れてきます。

 

3. 幼少期のトラウマは、なぜ大人の親密な関係に影響するのか?~愛着の傷がもたらす「心のクセ」と大人のパートナーシップ~

 

私たちは誰しも、人生の最初の「他者」との関係、つまり幼少期の養育者との関わりを通して、「人は信頼できる存在か」「自分は愛される価値があるのか」といった「心の設計図」を形作っていきます。


この設計図は、心理学で「愛着スタイル」と呼ばれ、私たちが大人になってから恋愛やパートナーシップ、夫婦関係でどのように他者と関わるかの「無意識のガイド」となります。

 

3-1.複雑性トラウマと愛着スタイルのゆがみ


幼少期に虐待やネグレクト、無関心や心理的な否定など、慢性的なトラウマ体験を受けた場合、子どもは本来なら「安心できる・信じられる人」がいるはずの場所で、心の傷や不安を積み重ねます。


このような体験は…

 

「どうせ本気で愛されたり、受け入れられることはない」

「大事な人もいつか自分を裏切るかもしれない」

「心を開いたら傷つくだけ」

 

…といった「警戒心や不信感」を強く残します。

 

同時に、「本当は愛されたい」「誰かと分かち合いたい」「親密になりたい」という「強い欲求」も心の奥に残り続けます。


この「愛されたいけど怖い」「近づきたいけど拒絶されるのが不安」といった、相反する感情が心のなかで常に揺れ動くようになるのです。

 

3-2.の関係に現れる「愛着の傷」の具体的パターン


こうした幼少期の体験は、大人になってからの親密な関係(恋愛・結婚・同棲・深い友情など)に、さまざまな形で影響を及ぼします。

 

具体的に言うと…

 

● 親密さに憧れながらも「距離」をとってしまう

→本当は相手と深くつながりたいのに、無意識に距離をとってしまったり、親密な場面になると「逃げ」や「壁」を作ることが多くなります。

 

● 相手に依存しすぎたり、逆に突き放す「アンビバレント(両価的)」な行動

→相手に強く頼りすぎたり、ちょっとしたことですぐ「もういい!」と突き放したりと、愛着への“過度な期待”と“防衛的な引きこもり”の間を揺れ動くパターンです。


たとえば、相手からの返信が少し遅れただけで極端に不安になったり、突然冷たくしてしまったり…

 

その一つ一つが「裏切られる怖さ」や「見捨てられる不安」に起因しています。

 

● 無意識の「自己否定的スキーマ(思い込み)」が強化される

→「自分は愛されるに値しない」「幸せにはなれない」といった、根深い自己否定の思い込みが、恋愛や結婚生活のなかでますます強くなりがちです。


相手のちょっとした言葉や態度も「やっぱり自分はダメだ」と受け止めてしまい、良好な関係を築く妨げになります。

 

3-3.防衛パターンがコミュニケーションを難しくする


このような「心のクセ」は、無意識のうちにパートナーとの健全なコミュニケーションや信頼の形成を阻みます。

 

例えば…

 

✔本音や弱さを見せることが怖くて心を閉ざす

✔相手の好意や優しさを素直に受け取れない

✔相手の行動を過剰に疑ったり、試すような言動をしてしまう


…など、さまざまな「親密さへの壁」となって現れます。

 

結果として、どれだけ愛されても「満たされない」「不安が消えない」「すぐに関係が壊れてしまう」といった、繰り返しの生きづらさに苦しむことになりがちです。

 

3-4.それは「努力不足」や「性格」のせいではない


ここで大切なのは、これらのパターンは「努力や性格の問題」ではなく、「幼少期の愛着体験やトラウマの影響」である、ということです。


自分を責めたり、恥じたりせず、「これは自分の心を守るための「識の防衛反応」だったのだ」と気づくことが、癒しや回復への第一歩となります。

 

4.どんなパターンがみられるのか?~親密な関係の「障壁」として現れる症状~


複雑性トラウマを抱える方の親密な関係では、以下のような特徴・パターンがしばしば見られます。

 

● 強い見捨てられ不安

→相手のちょっとした態度や言葉にも「拒絶された」「愛されていない」と過敏に反応しやすい

 

● 過剰な自己犠牲・自己否定

→自分の欲求や感情を抑えすぎてしまい、関係がアンバランスになる

 

● 極端な依存・回避の揺れ

→「愛されたい」と思う一方で、親密になりすぎると急に距離を取ったり、冷たくしたりする

 

● 怒りや不安のコントロール困難

→ささいなことで感情が爆発したり、逆に自分の感情がわからなくなったりする

 

● パートナーへの過度な疑念・警戒心

→裏切りや見捨てを予期し、無意識に相手を試す行動が増える

 

こうしたパターンは、本人の「努力不足」や「性格のせい」ではなく、幼少期の慢性的なトラウマ体験が深く影響している結果と言えるでしょう。

 

 5.回復と癒しの道~まずは「気づき」と「自己理解」から~


複雑性トラウマによる「生きづらさ」や親密な関係での困難を解決する第一歩は、「自分の反応やパターンに気づくこと」「それがトラウマ体験と結びついていることを理解すること」です。

 

例えば…

 

✔「なぜパートナーに強く依存してしまうのか?」

✔「なぜ親密になりすぎると逃げたくなるのか?」

✔「なぜ小さなことで傷つきやすいのか?」

 

こうした問いに丁寧に向き合い、「自分が悪いわけではなく、過去の心の傷が影響しているのだ」と気づくことが、回復の扉を開くきっかけになります。

 

まとめ


幼少期の複雑性トラウマは、大人の親密な関係や恋愛・結婚生活に大きな影響を与えることがあります。


しかし、その「生きづらさ」の背景を理解し、回復へのプロセスを歩むことで、人は必ず癒しと新しい親密さを手に入れることができます。

 

困ったとき、苦しいときは、一人で抱え込まずにカウンセラーや信頼できる人に相談してください。


心の傷に気づき、受け止め、回復に向かうプロセスこそが、あなた自身の価値と人生を取り戻す一歩となるでしょう。

 

参考論文

Complex trauma and intimate relationships: The impact of child sexual abuse, attachment and psychopathology on romantic relationship functioning

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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