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自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の方が抱える様々なリスクと対処法~神戸市、芦屋市、西宮市のカウンセリングの実例より~

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自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の方が抱える様々なリスクと対処法

自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の方が抱える様々なリスクと対処法

2025/06/10

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて…

 

「どうしてこんなに生きづらいのだろう」

「気持ちが落ち込んだり、不安でいっぱいになるけれど、周りに分かってもらえない」


自閉症スペクトラム症(アスペルガー障害)によって、こうした悩みや孤独感を抱えながら日々を過ごしている方は、実はとても多くいらっしゃいます。

 

また、ご家族や支援者の方も、「どう寄り添えばいいのだろう」と悩む場面が少なくありません。

 

自閉症スペクトラム症(アスペルガー障害)の特性によって、社会の中で「自分だけが違う」と感じたり、人とのやりとりや環境にうまくなじめず、心が疲れ切ってしまうこともしばしばあります。


今回は、科学的知見「Anxiety and Depression in Adults with Autism Spectrum Disorder: A Systematic Review and Meta-analysis」をもとに、大人の自閉症スペクトラム症(アスペルガー障害)と「不安・うつ・強迫性障害」の問題、その背景、そして私たちにできる支援について、できるだけやさしく解説していきます。

 

1.自閉症スペクトラム症とアスペルガー障害の「呼称」について

 

恐らく、多くの方にとって自閉症スペクトラム障害よりアスペルガー障害という言葉がより一般的だと思われます。

 

以前は、自閉症スペクトラム症(ASD)とアスペルガー障害(アスペルガー症候群)は、かつては別々の診断名として使われていましたが現在は診断基準の変更により同じ枠組みで扱われています。

 

その違いと現在の位置づけについて解説します。

 

2013年以降、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)において、「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害(PDD)」などはすべて「自閉症スペクトラム症(ASD)」として統合されました。

 

つまり、自閉症スペクトラム症の中にアスペルガー障害が含まれるというイメージです。

 

そのため、現在は「アスペルガー障害」という診断名は公式には使われていませんが、日常会話や説明の中で旧診断名として登場することがあります。

 

そうした経緯があるため、この記事では以下、「自閉症スペクトラム症」という名称で統一して解説していきたいと思います。

 

2.自閉症スペクトラム症(ASD)成人における不安・うつ・強迫性障害の高さ~なぜ「心の苦しさ」が強くなるのか~


自閉症スペクトラム症(ASD)を持つ成人の方々は、不安やうつ、強迫性障害といったメンタルヘルスの困難を非常に高い割合で経験していることが、今回ご紹介する論文からも明らかになっています。

 

自閉症スペクトラム症の特性そのものが生きづらさを生み出しやすいことに加えて、社会の中で感じる孤独や挫折、周囲からの誤解なども、心の苦しさをさらに強くしています。

 

2-1.数字が示す「困難」と「生きづらさ」


● 不安障害の経験率が約40%

 

自閉症スペクトラム症の成人の約40%が、生涯の中で何らかの不安障害(パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害など)を経験するという研究報告があります。

 

これは一般の成人と比較して、2~3倍という非常に高いリスクです。

 

● うつ病も30%以上の高頻度で発生

 

うつ状態や抑うつエピソードを経験する人も、自閉症スペクトラム症の成人では30%を超える頻度で見られます。

 

● 強迫性障害のリスクも

 

自閉症スペクトラム症の方が強迫性障害を発症するリスクは一般の方よりも25%高くなります。

 

また自閉症スペクトラム症の方が強迫性障害を併発した場合は、強迫観念よりも強迫行動を行う場合が多くみられます

 

こうした高いリスクは、正式に自閉症スペクトラム症と診断を受けている人だけでなく、診断には至らない「グレーゾーン」の方々にも広く当てはまる傾向が見られます。


つまり、「自分ははっきりと診断が出ていないから大丈夫」と安心できるものではなく、「周囲に合わせにくい」「日々の生活がなんとなく苦しい」と感じている方の中にも、メンタルヘルスの問題が隠れていることが少なくありません。

 

3.自閉症スペクトラム障害の方の具体的な症状と困りごと


自閉症スペクトラム症(ASD)の成人が経験しやすい「不安」「うつ」「強迫性障害(OCD)」には、以下のような具体的な症状や日常生活上の困難が現れやすいことが分かっています。

 

3-1.強い自己否定と落ち込み

 

自閉症スペクトラム症を抱えている場合、ほんの些細なミスや対人関係での小さな行き違いも、「自分はダメだ」「また失敗してしまった」と過剰に自分を責めてしまう傾向があります。

 

このように一度否定的な気持ちが強まると、なかなか気持ちを切り替えられず、深い落ち込みや無気力感に陥りやすくなります。

 

3-2.予定の見通しが立たない不安、環境変化への脆さ


自閉症スペクトラム症の方は予定やスケジュールがはっきりしない時や、予期しない変化が起こると、強い不安やパニック、時には絶望感に襲われることもあります。

 

つまり「先が見えない」という感覚が、不安や抑うつ、教派性障害をさらに悪化させてしまうのです。

 

3-3.慢性的な緊張と身体への影響


自閉症スペクトラム症があると、どうしても常に周囲を気にしていたり、感覚過敏が続いたりすることで、慢性的な緊張状態が続きやすい傾向があります。

 

その結果、頭痛や腹痛、吐き気、肩こり、不眠など、身体にもさまざまな不調が現れることがあります。

 

3-4.強迫性障害(OCD)に見られる症状


先述しましたように自閉症スペクトラム症の方は強迫性障害(OCD)を併発しやすいという報告も多くあります。

 

具体的には「何度も手を洗う」「鍵を何度も確認する」「頭の中で同じ言葉や数字が繰り返される」など、強いこだわりや反復行動が見られます。

 

こうした強迫的な思考や行動が日常生活に大きな負担となり、不安や緊張、疲労をさらに強めてしまうことも少なくありません。

 

また強迫性障害が強い場合、「やめたくてもやめられない」苦しさや、「自分はおかしいのでは」という二次的な自己否定も深まりやすくなります。

 

3-5.支援への諦めと孤立感

 

自閉症スペクトラム症の方の中で少なくない方が、孤立的な状況に置かれがちになります。


例えば…

 

「どうせ分かってもらえない」

「助けを求めても迷惑をかけるだけだ」

 

…というように感じてしまい、支援を受けること自体を諦めてしまう方も少なくありません。

 

結果として、悩みを抱え込んだまま孤立しがちになり、症状が長期化・悪化しやすくなります。

 

3-6.失感情症(アレキシサイミア)による「自分の気持ちがわからない」苦しさ


自閉症スペクトラム症の方には「アレキシサイミア(失感情症)」傾向、つまり自分の感情をうまく言葉にできない、あるいは何を感じているのか自分でもよくわからない、という特徴を持つ人が多くいます。

 

統計的には、自閉症スペクトラム症の方の37%~42%の方がアレキシサイミア傾向を持ち、これは一般の方よりも4倍も高いリスクとなっています。

 

このアレキシサイミア傾向があるため…

 

「苦しいのに何がつらいのか説明できない」

「誰かに相談したくても、どう伝えればいいかわからない」

 

…といった「生きづらさ」が重なります。

 

4. 大人の自閉症スペクトラム症のメンタルヘルス支援~大切な3つの視点~


(1) 「違い」を責めない・比べない


自閉症スペクトラム症は「努力不足」や「わがまま」ではなく、脳の特性によるものです。


本人や家族も「普通になろう」と無理せず、その人らしさを認めてあげることが回復や安心の第一歩となります。

 

(2) 環境調整と安心できる居場所づくり

 

自閉症スペクトラム症の方が安心して生活するためには、以下の工夫が有効です。


✔感覚過敏や自閉症スペクトラム症が持つ「こだわり」等を配慮した環境(静かな場所、決まったルーティンなど)

 

✔「困ったときに頼れる人」がいること

 

✔適切な周囲の理解

 

(3) 心理的サポートと専門的ケア

 

自閉症スペクトラム症の方が安心して暮らせるためには、以下の支援が有効です。


✔自閉症スペクトラム症の方に対する心理カウンセリングによる心理療法

 

✔併発してしまったうつ病や不安障害、強迫性障害に対する医療機関での治療や薬物療法

 

また自己肯定感を育てるプログラムや、ストレスコーピングスキルのトレーニングも有効です

 

まとめ


自閉症スペクトラム症を持つ大人の方が感じる「不安」や「うつ」「強迫性障害」は、社会的・感覚的な困難、周囲との違いからくるストレスや自己否定などさまざまな要因が複雑に絡み合ってしまった結果です。

 

まずは「一人じゃない」「理解しようとしてくれる人がいる」ということを心に留めてください。


そしえ心理的なサポートや環境調整、周囲の理解が、少しでも生きやすさにつながることを願っています。

 

参考論文

Anxiety and Depression in Adults with Autism Spectrum Disorder: A Systematic Review and Meta-analysis

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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