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「優しさ」が心理的健康をもたらす理由:怒りとコンパッション(思いやり)の研究より~神戸市、芦屋市、西宮市のカウンセリングの実例より~

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「優しさ」が心理的健康をもたらす理由:怒りとコンパッション(思いやり)の研究より

「優しさ」が心理的健康をもたらす理由:怒りとコンパッション(思いやり)の研究より

2025/06/21

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて…

 

「ついイライラしてしまう」

「優しくなりたいのに、怒りに飲まれて後悔する」

 

こうした感情のゆらぎは、日常の誰しもが感じるものです。

 

でも実は、「怒り」と「コンパッション(思いやり)」は、私たちの心だけでなく、体にも大きく異なる影響をもたらします。

 

今回は、HeartMath Instituteによる科学的研究をもとに、感情と健康のつながりをお伝えしたいと思います。

 

1.怒りとコンパッション~心と体への「見えない影響」とは~


1-1怒りがもたらす「ストレス反応」


怒りは、「自分や大切なものが脅かされた」と感じるときに自然に湧く感情です。

 

しかしこの怒りが長く続くと、交感神経が優位になり、心身は「闘争・逃走モード」へと切り替わります。

 

具体的には…

 

✔脈が速くなる、血圧が上がる

✔筋肉が緊張し、呼吸が浅くなる

✔コルチゾール(ストレスホルモン)が分泌され、免疫力が低下する

✔感情のコントロールが難しくなり、人間関係でトラブルが起きやすくなる

 

こうした反応が続くと、心身にとって大きな負担となり、「慢性的なストレス」「生活習慣病」「うつ症状」など、さまざまな不調のリスクが高まることが研究で明らかになっています。

 

1-2.コンパッションが生み出す「癒しと安定」


一方、コンパッション(他者への思いやり・優しさ)は、心身に逆の作用をもたらします。


論文では、思いやりを意識的に持った時、次のような変化が観察されました。

 

✔心拍変動(HRV)が高まり、自律神経のバランスが整う

✔副交感神経が活性化し、心身がリラックスした状態になる

✔ストレスホルモンが減り、免疫機能や回復力が向上する

✔安心感や幸福感、自己肯定感が高まり、対人関係も良好になる

 

つまり、優しさや共感を持つことは、自分の心の安定だけでなく、身体的な健康維持や回復にも大きく役立つことが科学的に証明されているのです。

 

2.論文が示す「生理的メカニズム」~心臓・神経・ホルモンへの影響~

 

では、論文の研究結果を、もう少し詳細に見ていきたいと思います。


HeartMath Instituteの研究は、私たちの感情体験が、どれほどダイレクトに身体に影響を及ぼすかを科学的に明らかにしました。

 

特に「怒り」と「コンパッション(思いやり)」という対照的な感情が、心拍、神経、ホルモンバランスにどのような違いをもたらすのか、その細かな生理反応を分析したのです。

 

2-1.怒りの時の体の反応~「戦闘モード」に陥る心と体


私たちが「怒り」の感情を思い浮かべたり、実際に怒りを体験したとき、次のような生理的な変化が生じることが確認されました。

 

● 心拍が早く乱れる・呼吸が浅くなる
怒りは交感神経を活性化させ、心臓はドキドキと速く不安定に動き出します。

呼吸も浅く、速くなり、体が「闘争・逃走反応(fight or flight)」の準備を始めます。

 

● 血圧が上昇し、筋肉が固くなる
体全体が緊張状態に入り、肩や首、背中などがこわばります。

血管が収縮して血圧が上がり、頭痛や肩こりを引き起こしやすくなります。

 

● ストレスホルモン(コルチゾール・アドレナリン)の増加
怒りはコルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンの分泌を促進します。

これが続くと免疫力が下がったり、糖尿病・高血圧など生活習慣病リスクも高まります。

 

● 脳の扁桃体が活性化
扁桃体は「危険信号」に素早く反応し、警戒や恐怖、怒りなどの強い感情を生み出す部分です。

扁桃体が過剰に働くと、感情が爆発しやすく、理性的な判断が難しくなります。

 

こうした状態が繰り返されることで、自律神経のバランスが崩れやすくなり、慢性的な緊張、不眠、胃腸障害、さらにはうつや不安障害といったメンタル不調も引き起こされやすくなります。

 

2-2.コンパッション(思いやり)の時の体の反応~「癒しと回復モード」への転換~


逆に、「コンパッション(思いやり)」の感情を体験すると、体にはまったく異なる変化が起こります。

 

具体的には…

 

● 心拍が穏やかになり、呼吸が深くなる
副交感神経が優位になり、心臓のリズムが整い、深く安定した呼吸が促されます。

心臓と脳が“協調的なリズム”で働くようになり、体全体がリラックスします。

 

● HRV(心拍変動)が安定し、自律神経の働きが整う
HRVとは、心拍の間隔がどれだけ柔軟に変動するかを示す指標です。

思いやりを感じているとき、このHRVが高まり、自律神経のバランスが回復しやすくなります。これは、ストレスに強い「しなやかな心身」を意味します。

 

● ストレスホルモンが減少し、セロトニンなど「癒しの神経伝達物質」が増加


コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌が抑えられ、心を落ち着かせるセロトニンや、前向きな気分を生むドーパミンといった「幸せホルモン」が増えることが確認されています。

 

● 前頭前野が活性化し、共感・冷静さが高まる
前頭前野は思考や感情のコントロール、共感や倫理的判断を担う部位。思いやりを感じているとき、ここが活発に働くことで、相手の立場に立つ力や冷静な判断力も高まります。

 

 

このように、「思いやり」は単なる「優しい気持ち」にとどまらず、体全体の回復と安定を促す「健康的なセルフケア」そのものなのです。


上記のように科学的に見ても、思いやりを持つことは自分の心と体を守り、人生を豊かにする最善の方法のひとつといえるでしょう。

 

3.思いやりの「心理的な効果」~怒り・思いやりと「人生の質」の関係~


怒りに飲まれがちな状態は…

 

「自分を責める」

「人との関係がギスギスする」

「孤独を感じる」

 

…といった心理的な悪循環が生まれやすいものです。

 

一方で、コンパッションを意識的に持つと…

 

✔他者に対して優しくなれる

✔対人関係が円滑になりやすい

✔自己肯定感や幸福感が高まる

✔ネガティブな感情に飲み込まれにくくなる

 

…という、心理面での好循環が起きやすくなります。


これは自分自身の安心・安定だけでなく、家族や職場、友人関係など身近な人にも良い影響を波及させます。

 

4.コンパッション(思いやり)を日常に育てるために~今日からできる4つの実践~


怒りや焦りが強い現代社会のなかで、「コンパッション(思いやり)」をどう育て、日々の暮らしに根づかせていけば良いのでしょうか。


論文や心理学の知見、臨床の現場でも実際に効果が確認されている具体的な実践法をご紹介します。

 

4-1. 自分自身に優しくする~セルフ・コンパッションの習慣~


他人には優しくできても、自分には厳しい言葉ばかりかけてしまう…

 

そうした方も多いのではないでしょうか。


しかしセルフ・コンパッションとは「自分にも思いやりを向けること」です。

 

失敗した時や落ち込んだ時こそ、「ダメだ」「またやってしまった」ではなく…

 

「大丈夫、よく頑張ってるよ」

「これくらい誰にでもあることだよ」

「今日はつらかったね、ゆっくり休もう」

 

…と、自分自身にあたたかい言葉をかけてあげる習慣です。


こうした自己への優しさが、心の安定や自己肯定感の回復にじわじわと効いてきます。

 

4-2. 呼吸や心拍を整える~マインドフルな「深呼吸」のチカラ~


感情が揺れ動いたときこそ、まずは呼吸に意識を向けてみましょう。


静かな場所でゆっくりと深呼吸をし、息を吸うごとに「温かい光」や「安心感」が胸に満ちていくイメージを持ちます。

 

吐く息ごとに、緊張や怒り、不安が体から出ていくのを感じてみてください。

 

このとき、「自分や誰かを大切に思う気持ち」を意識的にイメージすると、心身のリラックスがより深まります。

 

呼吸や心拍を整えることは、実は自律神経を安定させ、怒りやストレスから回復するという「科学的なセルフケア」でもあります。

 

4-3. 相手の立場に立って考える~「まずは理解しよう」の一歩~


つい私たちは自分の感情や都合を優先しがちな日常ですが、意識的に「この人はどんな気持ちでいるのかな」「なぜこうしたのかな?」と相手の立場や状況に思いを寄せる習慣を持つことが、コンパッション(思いやり)の土台です。

 

具体的には…

 

✔怒りを感じたときは、一呼吸おいて「この人にも何か理由があったのかも」と考えてみる

 

✔家族や同僚、友人など身近な人との小さなコミュニケーションで、相手の表情や言葉に丁寧に耳を傾ける

 

こうした心がけが、対人関係のトラブルや孤独感を和らげる大きな助けとなります。

 

4-4. 感謝やねぎらいの言葉を口にする~「思いやりを伝える」大切さ


「ありがとう」

「助かったよ」

「お疲れさま」


…このような言葉を、思ったときにためらわず口に出すことは、相手だけでなく自分自身の心も温めてくれます。

 

ポジティブな言葉は、脳内の「幸せホルモン」も分泌しやすくなることがわかっています。

 

感謝を伝えることで、職場や家庭など周囲の雰囲気も優しくなり、自分のストレスも自然と軽減されていきます。

 

日常のささやかな「ありがとう」を意識して増やすだけでも、心の温かさが広がっていくのです。

 

まとめ


こうした小さな実践の積み重ねが、「怒りや不安のスパイラル」から少しずつ自分を救い出し、心身の安定や幸福感をじわじわと育ててくれます。


忙しい日常の中でも、「自分と他者に優しいまなざしと思いやり」を忘れずに過ごしてみてください。


それが、自分自身の健康と、周囲との豊かなつながりを支えてくれる大きな力になります。

 

参考論文

The Physiological and Psychological Effects of Compassion and Anger

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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