やる気が出ない時は「やる気を手放す」から始めよう
2025/07/04
みなさん、こんにちは。
神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて、どんなに好きな仕事でも、「今日は全くやる気が起きない…」という日が誰にでもあります。
そんな時、多くの方は「もっとモチベーションがあれば…」「自分を鼓舞しなきゃ」と自分を追い込んでしまいがちです。
しかし、実は「やる気を出さなきゃ」と意識することが、余計に前へ進むのを難しくしている場合が珍しくありません。
つまり、「やる気さえ出れば動けるのに」と思い詰めれば詰めるほど、「今の自分にはやる気がない」と感じ、そのギャップに圧倒されてしまうようになってしまいます。
1.やる気やモチベーションがなくても「今の自分」で動き出す~ACT的アプローチ~
「どうしてもやる気が出ない」
「もっと前向きになりたいのに気持ちがついてこない」
…そんな時、多くの方は「やる気」や「前向きな感情」を無理に作ろうとしてしまいがちです。
しかし、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)という心理療法では、こうした「感情のコントロール」にこだわりすぎることが逆に苦しさを強めることを指摘しています。
1-1.そもそも「ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)」って何?
ACT(アクト)は、「気持ちや考えを無理に変えようとせず、ありのまま受け入れる」こと、そして「自分にとって大切なことに向かって小さな一歩を踏み出す」ことを大切にする心理療法です。
● 主な特徴は3つ
✔感情や思考と「うまく付き合う」練習
「不安」「やる気が出ない」「イライラ」など、つい追い払いたくなる気持ちも、「ダメなもの」とせず、「今、こんな気持ちがあるな」とやさしく気づき、認めていきます。
✔「今ここ」の自分に意識を向ける
過去や未来の心配ではなく、「今、目の前の自分」「今できること」に意識を向けるマインドフルネスも取り入れています。
✔自分の「価値」を大切にした行動
「本当は何が大切?」「どんな自分でいたい?」を考えながら、たとえ気分が乗らない日でも、“自分らしい行動”を少しずつ選んでいきます。
● ポイント
✔気持ちを変えようとしなくていい
✔「今の自分」でOK
✔できる範囲の小さな行動から始める
「無理にポジティブになる必要はない」
「気持ちが乗らなくても、少しだけ『なりたい自分』に向かって動いてみる」
そんな「優しい心理療法」がACTです。
1-2.感情の「操作」にこだわるほど、うまくいかない
さて、ACTの観点から「やる気が出ない問題」を見ていきたいと思います。
「もっとやる気を出さなきゃ」「前向きにならなくちゃ」と自分に言い聞かせると、瞬間的には気合が入るかもしれません。
しかし、その気合は残念ながら長続きしない場合がほとんどです。
実際は「やる気が起きない自分」を意識することは避けられないので、「できない自分」への否定感や無力感が増していきます。
ACTでは、「感情をコントロールしようと努力するほど、逆にその感情が強調される」という現象(いわゆるコントロールの逆説)がよく知られています。
つまりネガティブな感情を無理にコントロールしようとすると、逆にネガティブな感情というものは大きくなってしまうのです。
1-3.「感情に逆らわず、行動を選ぶ」~ACTの実践~
ACTが大切にするのは、「今ここにある自分の感情や思考を、そのまま認めて受け入れること(アクセプタンス)」です。
つまり、「やる気が出ないな」「今日は何もしたくない」と思っても、「そんな自分も今ここにいる」と気づき、否定せずにそのままにしておきます。
そして、「どんな気分であっても、自分が大切にしたい行動を選ぶ」というコミットメント(意志的行動)に目を向けてみます。
例えば…
「今日は全然やる気が出ないけど、5分だけ取りかかってみよう」
「気分は乗らないけど、自分が大切にしたい仕事だから一歩だけ進めてみよう」
このように「気持ちが乗るのを待つ」のではなく、「気持ちはそのままに、できる行動を選ぶ」ことが、結果的に前に進む力を生み出します。
1-4.行動が気持ちを後から「動かす」ことも
ACTでは「心理の柔軟性」を重視します。
やる気がないままでも、小さな行動を積み重ねることで、徐々に気持ちがついてくることも珍しくありません。
「気分が変わるのを待つ」のではなく、「気分がどうであっても、自分の価値や目標にそった行動を選ぶ」
この姿勢が、苦しい時期の「しなやかで柔軟な心」を支えてくれます。
2.「やる気がないまま始めてみる」~ACTの心理的柔軟性~
私たちはしばしば「やる気が出たらやろう」「気分が乗ってから動こう」と考えがちです。
しかし、ACTでは異なる考え方をします。
つまり、ACTの考え方では「やる気がなくてもまず動く」という選択肢を大切にします。
これは、「今の気持ちをコントロールしようとせず、そのまま受け入れながら行動する」というACTのコアな実践です。
2-1. 感情に逆らわず、今できる小さな行動を選ぶ
例えば、仕事や勉強に取り組む気分になれないとき…
「やる気が出たら始めよう」と待つのではなく、「今は気が進まないけど、まずは1ページだけ書いてみよう」と「行動のハードル」をぐっと下げてみます。
ACTでは、「感情や思考に引きずられず、『今ここ』で自分が大切にしたい行動を選ぶ力(心理的柔軟性)」が幸福感や人生の充実度につながるとされています。
つまり、やる気がなくても・気分が落ち込んでいても、「このままの自分」で一歩踏み出すことが、結果的に幸福感や人生の充実度、そして自己否定から自分を守るという心理的なケアに通じうるというものです。
2-2. 「気持ちがあるままでも動ける」という自己受容
上記のような考えをACTは行うため、ネガティブな気持ちやモヤモヤが消えないときも、「こんな自分じゃダメだ」と自己否定するのではなく…
「この気持ちがあるままでも、少しだけ手をつけてみよう」と自分を受け入れてみるということを大切にします。
この「受容」が、ACTの「アクセプタンス(受け入れ)」のエッセンスです。
気分や感情は直接的にはコントロールできません。
しかし、行動であればコントロール可能です。
そして、ネガティブな気持ちに巻き込まれた状態のままだと、ネガティブな感情や自己否定はどんどんと強くなっていきます。
つまり、ACTの発想は「やる気がなくてもやれ!」というスパルタ的な発想ではなく、「やる気ないを優しく受け止めながら、しかし、それに巻き込まれない」という立場をとるのです。
これは、「やる気がない」ということとの「付き合い方」を変えるということを意味します。
「やる気がない」に巻き込まれてしまった状態だと当然行動もできませんし、あとに残るのは自己否定や後悔です。
しかし、「やる気がない」という思いと「距離を取る」ということをすれば、巻き込まれなくても済みます
ACTは「やる気がない」を消そうとしません。
なぜなら、「やる気がない」という気分や感情は直接消すことができないからです。
その代わり「やる気がない」に対して、そっと距離を取り、小さなことからでも行動することを大切にします。
その結果、自己肯定感が高まり、ネガティブな感情に対する耐性が高まります。
この「どんな気持ちでも、自分の価値にそった行動を選べる」という柔軟さが、日々の積み重ねを支えてくれるのです。
3.「やる気が出ない自分」を優しく受け入れる~ACTのアプローチ~
私たちは、やる気が出ない自分や「何もしたくない」と
感じる日があると、「ダメだな」「もっと頑張らないと」と自分を責めてしまいがちです。
しかしACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、「今の自分の気持ちや状態を否定せず、まず優しく認めてあげること」をとても大切にしています。
3-1.「やる気が出ない」も自然なこと
人は誰しも、気分が落ち込む日や何もやる気が起きない日があります。
ACTでは、こうした「人間らしい感情や状態」を排除しようとせず、「そう感じている自分」を受け入れることから始めます。
「今日は気持ちが乗らないな」「今は疲れているな」と、そのままの自分に優しく気づき、認めてあげること。
この「自己受容」が、心に余裕や安心感を生み出してくれるのです。
3-2.ACTは「行動の強制」ではありません
よく「行動しなければ!」と焦ったり、自分を追い込んでしまう人もいますが、ACTは決して「無理やり動くこと」を推奨しているわけではありません。
むしろ、「今の自分の状態を優しく認め、受け入れる」ことがスタート地点です。
頑張ることが苦しいときは、「今日は何もしなくてもいい」と自分を許すのも大切な選択です。
そして、もし少しでも動く余裕があれば、「今できる、ほんの小さな一歩」、たとえば、机の上を片づける、窓を開けて深呼吸をするなど、簡単なことから始めてみるということを大切にしています。
3-3.「今の自分」でOK~小さな一歩から~
ACTの実践では、「大きな目標」よりも「今この瞬間の自分ができること」に目を向けます。
「完璧にやる」「無理して頑張る」のではなく、「今の自分にできる、小さな行動」に集中してみることが、気持ちを少しずつ前向きにしてくれます。
まとめ
やる気が出ないとき、「やる気を出すこと」をゴールにするのではなく、「やる気がないまま、できることから始めてみる」…。
この柔軟な姿勢が、実は前に進む力になります。
もしも今、「どうしてもやる気が出ない」と悩んでいるなら、そのままの自分を認め、一歩だけ何かやってみてみましょう。
完璧じゃなくても大丈夫ですし、むしろ完璧さに対するこだわりは自分自身を苦しめるだけです。
その一歩が、マインドを健全でポジティブなものにし、明日への小さな自信や自己肯定感につながっていくのです。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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