双極性障害の気分の波の周期を穏やかにするためのヒント
2025/07/18
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて、双極性障害を抱えている場合…
「最近、気分の波が早くなっている気がするけど大丈夫かな?」
「このままの受診内容で意味があるのかな?」
…そんな不安を感じている方も少なくないと思います。
双極性障害の気分の周期についての一般の情報は意外と少ないものです。
そこでここでは、双極性障害における気分の波や周期の特徴、そして自分自身と穏やかに付き合うためのヒントをお伝えします。
1. 双極性障害の周期は人それぞれ
双極性障害とは、気分が大きく変動する特徴を持つ精神疾患であり、主に躁状態と抑うつ状態(あるいは軽躁状態と抑うつ状態)を周期的に繰り返すことが特徴です。
しかし、その「周期や波の長さ」は、実際には一人ひとり大きく異なります。
例えば、双極性I型は典型的には本格的な躁状態とうつ状態が現れ、双極性II型では軽躁状態とうつ状態を繰り返します。
そして、それぞれの症状の特徴と周期は、一般的には以下のように分類できます。
1-1.双極I型障害Ⅰ型
● 特徴
本格的な躁状態(1週間以上持続し社会生活・職業生活に大きな影響が出る)が見られ、これと抑うつ状態が数か月から数年単位という比較的長い周期で繰り返されることが特徴です。
● 典型的な周期
・躁とうつの波が数か月~数年ごと
・最初の発症以降、4~5年程度あくこともあり
・未治療の場合は周期が短縮することもある
・ラピッドサイクラー(急速交代型)では1年に4回以上切り替わるケースもある
1-2.双極障害II型
● 特徴
軽躁状態(躁より症状が軽い状態、少なくとも4日間続く)と重いうつ状態が繰り返される。
うつ状態が目立ちやすい。
● 典型的な周期
・軽躁とうつの波が数か月で切り替わることが多い
・30代の場合、3ヶ月周期も報告されている
・1年に複数回(2~3回)気分が切り替わるケースもよくある
・Ⅰ型に比べ気分の波がやや短い(頻繁)傾向
1-3.急速交代型(ラピッドサイクラー)について
双極性障害Ⅰ型・Ⅱ型ともに該当するが、1年に4回以上の気分エピソードの切り替えが生じるタイプ。
まれに1日単位で波が現れることもある
1-4.実際の周期について
実際には、双極性障害の周期やパターンには個人差が非常に大きく、同じ人でも時期や環境、治療の状況などによって周期が変化することがあります。
数カ月~数年単位で波が訪れる方もいれば、比較的短い期間で変動を経験する方もいます。
また、気分の波は躁状態とうつ状態がはっきりと入れ替わるだけでなく、混合状態と呼ばれる、躁と抑うつが同時に出現する複雑なケースも存在します。
この混合状態では、エネルギーが高い状態にもかかわらず気分は落ち込むといった矛盾した症状が見られ、心身ともに大きな負担となります。
このように、双極性障害は「型」や「平均的な周期」だけでは語れないほど多様であり、「自分は平均より短い(長い)」といった比較はあまり意味を持ちません。
周期や波の長さには明確な正解がなく、無理に他の人のケースや一般的な基準に当てはめようとして悩む必要はありません。
自分自身の症状やペースに合わせて、主治医や心理カウンセラーと一緒に対応策を考えていくことが大切です。
2. 気分の波が切り替わるきっかけは?
双極性障害における気分の変動、つまり躁状態やうつ状態への切り替わりには、「これが必ず引き金になる」という決まった原因はありません。
つまり当事者の方によっても、同じ人でも状況によっても、そのタイミングやきっかけは異なります。
例えば、ある時は大きなストレス(仕事や人間関係のトラブル、引越し、家族の出来事など)がきっかけとなる場合も少なくありません。
しかし、同じような出来事があったとしても、別のタイミングでは気分の変動につながらないことも多いのです。
また、季節の変わり目や体調の変化、睡眠リズムの乱れ、生活環境の変化(引越し、転職、入学・卒業など)など、さまざまな要因が複雑に影響し合うこともあります。
加えて、双極性障害の気分の波は、周期やパターンが固定的ではないケースは珍しくありません。
例えば、過去には数ヶ月ごとに気分の波が来ていた人でも、今後は周期が長くなったり短くなったりすることがあります。
つまり、同じきっかけで毎回同じように気分が変動するとは限らないのです。
このため、「前回はこの出来事がきっかけだったから、今回も同じように変化するだろう」と思い込まずに、今の自分の状態を客観的に観察することが大切です。
小さな変化や違和感に気づくためには、自分の気分や体調、生活のリズムなどを日記やアプリなどで記録してみるのも役立ちます。
その時その時の生活環境やストレスの度合いによって反応が異なることを理解し、無理に「パターン化」しようとせず、柔軟に自分を見守っていくことが、気分の波と上手に付き合う第一歩です。
3. 周期を穏やかに保つためにできること
3-1.服薬管理を大切にする
双極性障害の治療では、継続的な服薬が非常に重要です。
気分が安定していると「もう大丈夫かな」と思ってしまいがちですが、自己判断で薬を減らしたり中断したりすることは、症状の再発や悪化につながるリスクがあります。
薬の種類や量は、その時々の状態に合わせて主治医が調整してくれます。
たとえ副作用が気になった場合も、自分だけで判断せず、必ず医師と相談することが大切です。
「調子がいい時こそ、今の治療が合っているサイン」と捉え、勝手にやめずに継続しましょう。
服薬管理は、気分の波を小さくし、生活の安定を支える土台となります。
3-2.生活リズムを整える
双極性障害の気分の波は、日々の生活リズムと密接に関係しています。
特に、睡眠の乱れは気分の不安定さを招く大きな要因の一つです。
例えば、就寝や起床の時間がバラバラになったり、睡眠不足が続いたりすると、躁状態やうつ状態を引き起こしやすくなります。
できるだけ毎日決まった時間に寝起きし、休日も極端な寝だめは避けましょう。
また、疲れを感じたときは無理をせず、しっかり休息をとることも大切です。
ストレスフルな出来事があった際は、意識して生活リズムを崩さないよう工夫することが、再発予防にもつながります。
3-3.無理をしない勇気を持つ
うつ状態から調子が上向いてくると、「もう少し頑張れそう」と感じて、つい予定や仕事を詰め込みがちになります。
しかし、この「あと少しだけ」という無理が、知らず知らずのうちに心身に負担をかけ、再び波が大きくなる引き金になることも少なくありません。
自分の「もうちょっと…」という気持ちにブレーキをかけ、「今はここまでにしておこう」と意識的にセーブすることは、とても勇気がいることです。
しかし、心の健康を守るためにはとても大切なことです。
判断に迷うときは、家族や信頼できる友人、心理カウンセラーの意見を聞きながら、自分のペースを尊重してください。
3-4.悩みを抱え込まない
気分の波が大きい時期やストレスが強い時には、不安や悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人や主治医、心理カウンセラーに相談することも非常に大切です。
話すことで、気持ちが整理されたり、意外な気づきを得たりすることがよくありますし、症状そのものの緩和や改善を見込むこともできるようになります。
誰かに話すことは、「弱さ」や「迷惑」と思われるかもしれませんが、自分を守るための大事なセルフケアです。
カウンセラーや医師、あるいは同じ経験を持つ仲間に相談することで、孤立感が和らぎ、前向きな気持ちを取り戻しやすくなります。
おわりに
双極性障害の周期や気分の波は個人差が大きく、「これが正解」というものはありません。
自分のペースで、信頼できる医療者や身近な人に相談しながら、穏やかな毎日を目指しましょう。
小さな変化に一喜一憂しすぎず、自分の状態を受け入れることが、安定した生活への第一歩になることでしょう。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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