反芻思考(ぐるぐる思考)が心に与える影響とセルフケア
2025/07/25
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて、うつ病や不安障害、あるいは抑うつ状態や不安が強い状態だと発生しやすいのが「反芻思考(ぐるぐる思考)」です。
これはネガティブなことを考え込んでしまい、思考が文字通りぐるぐるしてしまう状態です。
反芻思考(ぐるぐる思考)は、誰しもが経験するものですが、この「ぐるぐる思考(反芻思考)」は、ストレスやうつ状態を長引かせる大きな要因の一つであることが、近年の心理学研究からも明らかになっています。
そこで今回はNolen-Hoeksema博士による論文を踏まえつつ、ぐるぐる思考が心にどんな影響をもたらすのか、そしてそこから抜け出すための実践的なヒントをお伝えしたいと思います。
1. ぐるぐる思考(反芻思考)とは何か

「ぐるぐる思考(反芻思考)」とは、ある悩みやネガティブな出来事、嫌な感情にとらわれ、何度も頭の中で繰り返し考えてしまう心の状態やクセを指します。
この思考パターンでは、「なぜこうなったのか」「自分が悪かったのでは」といった問いが延々と浮かび、現実的な解決策や前向きな行動に結びつかなくなりがちになるのが特徴です。
今回参照している論文では、反芻思考がうつや不安を悪化させる心理的メカニズムとして重要視されています。
2. ぐるぐる思考が心を苦しめる仕組み~なぜ抑うつや不安を大きくしてしまうのか?~

今回参照にしている論文が明らかにしているのは、反芻思考(ぐるぐる思考)は「考えても解決しない」どころか、むしろ「抑うつや不安を強めてしまう」という点です。
2-1:悩み続けるほど、気分が沈んでいく
反芻思考は、頭の中で「なぜ自分はこんなにダメなんだろう」「どうしてこんなことが起こったのか」と繰り返し考え続けるクセや状態です。
そして、これは元々私たちが持っている心(脳)の仕組みによって発生します。
つまり、心(脳)は反芻思考を生み出すメカニズムをはじめから持っている、ということです。
しかし、実はこの反芻思考の過程で、否定的な感情や自己評価がどんどん強まってしまいます。
具体的には…
「自分には価値がない」
「何もできない」
「また失敗するかも」
…という自己否定的な考えが増え、そして気分はますます落ち込みやすくなり、やる気や希望、未来への前向きな気持ちも持ちづらくなるのです。
2-2:思考の悪循環が苦しみを長引かせる
ぐるぐる考えることで、一見「問題に向き合っている」ように思えますが、実際には建設的な解決や行動には結びつきません。
その結果…
「現実にできること」を見失う
↓ ↓ ↓
ただ苦しい感情だけが大きくなる
↓ ↓ ↓
不安やイライラ、不眠など心身の不調が強まってくる
…という悪循環が生じてしまいます。
2-3:「問題解決」ではなく「感情の増幅」に
反芻思考が危険なのは、無意識のうちに「考え続ければ何か解決するかもしれない」と思ってしまう点です。
つまり、考え続けることによって「解決をしようとしている」という気持ちになってしまう、ということです。
しかし実際には、同じことを繰り返し考えても「答え」は出ません。
その間に…
「あの時こうしていれば…」「もう取り返しがつかない」という後悔や絶望が膨らむ
↓ ↓ ↓
「自分は変われない」という無力感が強くなる
↓ ↓ ↓
「不安や抑うつ」の感情がさらに増幅してしまう
…という結果に至ってしまいます。
2-4:行動のエネルギーが奪われる
ぐるぐる思考にとらわれると、現実的な一歩を踏み出すためのエネルギーや集中力も失われがちになります。
その結果、「今できる小さなこと」に目を向けたり、誰かに相談する、あるいはリフレッシュする行動をとったりする気力も削がれてしまいます。
その結果的に、「苦しい状態から抜け出せない」「心のループ」が続いてしまうのです。
このように、反芻思考(ぐるぐる思考)は「気持ちを整理したい」「なんとかしたい」というポジティブな動機から始まることが多いのですが、実際には抑うつや不安の悪循環を生みやすい心の状態なのです。
3.ぐるぐる思考が続くときのリスク~広範囲に及ぶ深刻な影響~

今回参照にした論文では、反芻思考が心と体の両面に及ぼす悪影響を多くの研究データで裏付けています。
3-1. うつ病や不安障害のリスクが高まる
反芻思考が強い人ほど、「うつ症状の持続・悪化」や「不安障害の発症率が高い」ことが、一貫して報告されています。
ぐるぐる思考は「感情の切り替え」が難しくなり、落ち込みや不安が慢性化しやすいのが特徴ですので、このようにうつ病や不安障害のリスクを高めてしまうのです。
3-2. ストレス・トラウマからの回復を妨げる
また研究では、反芻思考がストレスやトラウマ体験からの「自然回復」を大きく妨げることも示しています。
これは、頭の中で「どうして自分だけ」「なぜこんなことに」と何度も繰り返すことで、記憶や感情が「過去の痛み」に縛られ続けることによって生じます。
そして過去の出来事のイメージや感情が、時間が経っても色あせず、心の傷として残ってしまうことを意味します。
3-3. 心身の不調を引き起こす
反芻思考は、心理的なストレスだけでなく身体症状も引き起こすことが、複数の研究で実証されています。
例えば…
✔睡眠障害や不眠:悩みが頭から離れず、夜も寝付けない・眠りが浅い
✔慢性的な頭痛や胃腸障害:心の緊張が体に現れやすくなる
✔疲労感や倦怠感:日中のエネルギーが枯渇しやすい
3-4. 社会的孤立と自己否定感の強化
ぐるぐる思考が続くことで、「人と関わるのが怖い」「自分はダメだ」といった社会的孤立感や自己否定感を強くしてしまいます。
例えば…
✔「誰にも相談できない」「理解されない」と感じやすい
✔自分を責め続けることで、周囲から距離を取ってしまう
こうした孤立や「ひとりぼっち感」が、さらに反芻思考を強める悪循環を生み出してしまうのです。
3-5. 「今ここ」を生きる力が失われる
論文では、反芻思考の人は「過去の失敗」や「自分ではコントロールできない出来事」に囚われ続ける傾向が強いと指摘されています。
その結果、現在できる「小さなチャレンジ」や「新しい体験」に目を向けることが難しくなります。
また当然ですが喜びや達成感は反芻思考によって遠ざかってしまいます。
加えて、心が「今ここ」にいないため、日常の充実感や楽しみが減少するという結果も生み出します。
4.ぐるぐる思考から抜け出す実践ヒント~「ぐるぐるの状態」を優しく整えるコツ~

反芻思考が強いと、「頭ではやめたい」と思っても、なかなか止められず苦しくなりがちです。
しかし、日々の小さな工夫を積み重ねることで、ぐるぐる思考が生じやすくなっている「心のクセ」を和らげていくことができます。
4-1.「今」に意識を向ける練習
反芻思考は「過去の失敗」「将来の不安」のように、「今ここにいない時」に強くなります。
そのため、呼吸に意識を向けたり、手足の感覚を感じたりすることで、頭の中のぐるぐるから「今、ここ」に戻るきっかけをつくれます。
● 具体例
✔ゆっくり深呼吸し、「今、吸っている空気の温度は?」「手足はどんな感覚?」と自分の身体に意識を戻す。
✔マインドフルネス瞑想や、首・肩を回すストレッチをする。
4-2.考える時間に「区切り」をつける
どうしても反芻思考が生じて、長時間考え込んでしまう…
そんな時は、「悩みタイム」と「休憩タイム」を自分で作ってみるのもおススメです。
● 具体例
✔タイマーを使って「10分だけ考える」「終わったら散歩に出る」など、悩む時間を短く区切る。
✔「今は考えなくてもいい」「また明日で大丈夫」と、意識して自分にストップをかける
4-3.小さな行動から抜け出す
頭の中で考えが止まらなくなったら、あえて「体を動かす」ことが切り替えのきっかけになります。
● 具体例
✔「10分だけ外を歩く」「コーヒーやお茶をいれる」
✔「好きな音楽を一曲聴く」「窓を開けて空気を入れ替える」
✔誰かに一言でも違う話題で話をする
「行動による気分転換」は、思考のループを中断し、心を落ち着かせる実感につながりやすくなるという効果もあります。
4-4.「考えなくていい自分」を許す
反芻思考に囚われてしまう方の多くは、非常にまじめな性格が多い傾向があります。
そしてまじめな方ほど、「悩むこと=現実と向き合うこと」と思いがちです
しかし、先述しましたように反芻思考は「解決を導き出してくれない」という問題があるため、「いまは何も考えなくていい」と自分に許可を出すことも大事です。
● 具体例
✔「がんばっている自分も大切だけど、休んでいる自分もOK」「今は何もしなくていい」と優しく声をかける。
✔「考え続けなきゃ…」と自分を責めそうになったら、「いまはお休み」と切り替える
4-5.「悩み」をアウトプットする
頭の中でぐるぐる考えているだけでは、ネガティブな気持ちはどんどん膨らんでしまいます。
そのため、「書き出す」「話す」など、悩みを「外に出す(これを認知行動療法では『外在化』と呼びます)ことが、思考の整理や感情の解放に大きな効果があります。
● 具体例
✔紙に悩みや思いをそのまま書いてみる(ジャーナリング等)
✔信頼できる方やカウンセラーに「こんなことで悩んでいる」と口に出してみる
このように、悩みを「見える化」することで、「自分は何に困っているのか」「何が本当は不安なのか」が明確になり、心が少しずつ落ち着いてきます。
まとめ
強調したいのは、反芻思考とは元々心(脳)が持っている性質であり、そのため誰もが陥ってしまいます。
しかし、「今できること」「自分に優しくする工夫」を重ねていくことで、少しずつ心のループを断ち切ることができるようになっていきます。
小さな変化の積み重ねが、「反芻思考(ぐるぐる思考)」から抜け出し、穏やかな心を取り戻す第一歩となります。
参考論文
The Role of Rumination in Depressive Disorders and Mixed Anxiety/Depressive Symptoms
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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