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「よく生きる」とは何か?生きづらさ・努力・失敗の心理学と哲学

「よく生きる」とは何か?生きづらさ・努力・失敗の心理学と哲学

2025/07/29

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて…

 

✔「どうしたら幸せになれるのだろう」

✔「私の人生はこれでいいのだろうか」

 

…というように、自分の生き方に悩む方も大勢おられると思います。

 

私たちが生きている社会では、誰もが「よく生きる”こと=自分らしい人生の実現」が推奨されています。

 

しかし、その目標を目指しながらも、その道のりに多く方が「生きづらさ」を感じています。


今回ご参照にするのは、「よく生きる(the good life)」とは何か、そして「努力」や「失敗」がその実現にどう関わるのかを、哲学・心理学の観点から掘り下げたJesse Alexander Moore氏の論文です。

 

この論文は、「生きづらさの克服」という観点から、「努力と失敗」という、誰もが避けては通れないテーマを扱っています。

 

失敗や困難に直面しながらも、自分の人生に納得できる「よく生きるとは何か」…?

 

この記事では、そのヒントを一緒に探っていきたいと思います。

 

1. 「よく生きる」とは何か~古今東西の問い~

 


論文は冒頭で、「多くの人が『よく生きたい』と願いながらも、その実現はとても難しい」と率直に指摘します。


✔「幸福になりたい」

✔「自分の価値を感じたい」

✔「充実した人生を送りたい」

 

…これらの問いは、すべて「よく生きる」ことへの関心から生まれます。

 

しかし現実には、私たちの多くは生きづらさや葛藤に直面し、「思うように生きられない」ことのほうが多いのです。

 

そして、その結果「生きづらさ」を感じるに至ってしまいます。

 

哲学的には、「よく生きる」とは、その人にとって本当に価値あるもの(友情・愛・快楽・自律・健康など)を大切にし、それらを実現する人生を指します。

 

しかし、その実現には「大きな困難」が付きまとう…

 

ここに本論文の着眼点があります。

 

2. なぜ「よく生きる」ことは難しいのか?~努力と生きづらさの必然~

 


本論文の著者は、「よく生きることが難しい最大の理由は、『努力と困難』が必ず人生につきまとうからだ」と述べています。


この指摘は、私の環境や私たちが触れるネット等の情報絵で多くの人が直面する「生きづらさ」の根本に迫るものです。

 

2-1.努力が求められる人生と生きづらさ


「よく生きる」ためには、まず…

 

✔「自分はどんな人生を送りたいのか」

✔「何を大切にしたいのか」

 

…という価値観や目標を見つけ、その実現に向けて一歩一歩努力し続ける必要があります。

 

しかし、現実には「自分のやりたいことがわからない」「目標を持つこと自体がしんどい」と感じる方も少なくありません。


また、現代の社会構造や価値観の多様化により、「これが正しい」という明確な指標がなく、迷いの中で生きざるを得ない…

 

これ自体が大きな生きづらさの要因となっています。

 

「ただ与えられたものだけを受け取って、楽な方に流されていく」

 

…こうした生き方では、表面的な快楽や安定は得られるかもしれませんが…


「私は本当にこの人生でよかったのだろうか」

「自分らしく生きていると言えるだろうか」

 

…という根源的な問いに直面したとき、多くの方が「虚しさ」や「物足りなさ」を感じてしまいます。

 

2-2.なぜ「楽な道」ではダメなのか?


本論文は、「努力のない人生」「困難を避け続ける人生」は、いずれ「生きる意味の喪失」や「自己価値の低下」につながると指摘します。


もし全てが思い通りになり、失敗も挫折もなく、努力をせずとも成功が手に入る…

 

そんな人生を想像してみてください。


最初は楽で快適かもしれませんが、やがて「私は何のために生きているのか?」「自分にはどんな力があるのか?」という空虚さに飲み込まれてしまうでしょう。

 

私たちが本当に「自分の人生に誇りを持てる」と感じられるのは、困難にぶつかり、悩み、葛藤しながらも、その中で努力を重ね、時に失敗しながらも少しずつ前に進んでいるときです


この「努力の積み重ね」こそが、自分の人生に意味を与え、たとえ生きづらさを感じる日々の中でも「自分は頑張っている」「ここまで来たんだ」と実感できる原動力になるのです。

 

2-3.生きづらさの本質


現代の「生きづらさは、実は多くの方が感じるものです。


努力してもなかなか報われない社会構造、不安定な人間関係、自己責任論の蔓延など…

 

こうした外的な要因が絡み合い…


✔「どれだけ頑張っても前に進めない」

✔「努力すらできない」

 

…と感じる方も増えています。

 

それだからこそ、「小さな努力の積み重ね」や「困難を乗り越えようとする姿勢」が、「よく生きる」ための確かな土台になることを教えてくれます。


生きづらさを感じる時こそ、自分自身の価値観を見つめ直し、無理のない範囲で「できる努力」を続けていく…


それが「本当に納得できる人生」「よく生きる人生」への道につながるのです。

 

3. 失敗と「生きづらさ」の肯定~失敗の意味を問い直す~

 

 

多くの方は…

 

✔「失敗=悪いこと」

✔「できれば避けたいもの」

 

…というように捉えがちですが、心理学的な視点では、失敗を肯定的に捉えることが「生きづらさの克服」につながる大切なプロセスだと考えられています。

 

今回参照にしている論文でも、「失敗こそが生きづらさを乗り越える最大のヒント」として位置付けられています。

 

3-1.失敗からしか得られない「自己理解と「成長」


心理学では、失敗体験は自己理解や自己受容を深める貴重な機会とされます。

 

人は完璧ではなく、常に…

 

✔「できること・できないこと」

✔「得意・不得意」

✔「限界や弱さ」

 

…というものを持って生きています。

 

つまり失敗は、そうした自分自身の特性や限界を知るための鏡ともいえるでしょう。

 

例えば…

 

✔「なぜ自分はこの課題でつまずいたのか?」

✔「失敗した時、自分はどんな気持ちになったか?」

✔「その出来事から、自分にとって本当に大切なものは何だったのか?」

 

…このように失敗を振り返ることで…

 

✔「自分の価値観」

✔「本当に望むこと」

✔「自分の苦手やストレスのパターン」

 

というものに気づくことができます。

 

これは成功だけでは決して得られない、「失敗独自があるからこその学び」です。

 

3-2.失敗と自己効力感~「やり直し」体験の重要性~


心理学者アルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感(self-efficacy)」の理論では、「失敗から立ち直った経験」が、その後の人生で困難を乗り越える「自信の土台」になるとされています。

 

一度の失敗で落ち込んだとしても、「もう一度やってみよう」「工夫してみよう」と再挑戦することで、「自分はやり直せる」「困難を乗り越える力がある」という感覚が育ちます。

 

これが、ストレス耐性やレジリエンス(心の回復力)の強化にもつながるのです。

 

3-3.反省が新たな成長の源泉


失敗を「単なるダメな出来事」として終わらせるのではなく…

 

✔「なぜうまくいかなかったのか」

✔「どうすればよりよくできるか」

 

という方向を考え、行動を見直す(リフレクション)ことが、心理学的にも非常に重要です。

 

このプロセスには、以下のような効果があるとされています。

 

✔認知的柔軟性の向上

→失敗をきっかけに「違う考え方・やり方もある」と柔軟に考えられるようになる

✔自己受容の深化

→弱さや欠点も「自分の一部」として受け入れやすくなる

✔目標設定の見直し

→自分にとって本当に意味のある目標に気づく

 

こうした反省を通じて、人は「単に成功を目指す」のではなく、「自分らしい人生」「納得できる生き方」に近づいていくことができるのです。

 

3-4.生きづらさと失敗の「新しい意味」


私たちが目にする多くの情報では、「失敗を許されない空気」や「ミスを責められる文化」が蔓延しており、私たちにさらなる生きづらさをもたらしています。

 

しかし、心理学は一貫して「失敗は成長の種である」と伝えています。

 

失敗を責める必要はありません。

 

失敗が自責になってしますのであれば、それこそ本末転倒です。

 

むしろ、そこから「自分なりの気づき」や「今後の工夫」を見つけ出すことが大切です。

 

そうやって、失敗した自分にもやさしい目を向け、自己否定せずにいられる力を育てる…

 

この姿勢こそが、生きづらさを和らげ、より豊かな人生への一歩になるのです。

 

4. どうすれば「生きづらさ」を乗り越えられるか?~ACT(アクト:アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の視点から

 


4-1.ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)とは?


ACTは、Acceptance and Commitment Therapyの略で、認知行動療法の第三世代と位置付けられるものです。


ACTの特徴は、「嫌な気持ちや思考を無理に消そうとせず、あるがままに受け入れ(アクセプタンス)、自分にとって本当に大切な価値や目標(バリュー)に向かって、一歩踏み出す(コミットメント)」ことを重視する点にあります。

 

ACTでは、「人は誰でも痛みや不安、失敗、自己否定の気持ちを持つもの」と考えます。

 

それらを無理に「消す」のではなく、「それがあっても自分らしく生きる力=心理的柔軟性」を高めることが、より充実した人生への近道とされます。

 

4-2.ACTで考える「生きづらさ」の乗り越え方


(1)「自分にとって本当に大切なもの(価値)」を明確にする


ACTの基本は、「自分にとっての価値(value)」をはっきりさせることです。

 

つまり…

 

✔どんな人生を送りたいか?

✔何を大切にしたいか?

✔どんな人でありたいか?

 

こうした問いにじっくり向き合い、「社会の常識」や「他人の目」ではなく、「自分だけの目標・生きる軸」を見つけることが大切です。

 

● ヒント


例えば…

 

「家族との絆を深めたい」

「正直な自分でいたい」

「困っている人の力になりたい」

 

…など、小さなことでも構いません。自分の心が動く方向を大切にしてください。

 

(2)楽な道より自分の価値に沿った道を選ぶ


人生には、逃げたい・避けたいと思う困難やストレスが必ず現れます。

 

ACTでは、「痛みや不安があるからやめる」「失敗したくないから挑戦しない」ではなく、「自分の価値」に従って行動を選びます。

 

✔「やりがいのある仕事に挑戦したいけど、不安だ」

✔「人とつながりたいけど、傷つくのが怖い」

 

こうしたとき、「楽な道」を選ぶのではなく、「自分にとって本当に大切なこと」のために、不安や困難を抱えたままでも、小さな一歩を踏み出すことがACTの大きな特徴です。

 

● ヒント


「勇気を出して誰かに話しかける」「失敗しても続けてみる」など、小さな行動から始めましょう。

 

その一歩が、充実感や達成感、自己成長につながります。

 

(3) 失敗やネガティブ感情を「自己否定」ではなく、「自己理解」の材料にする


ACTでは、「失敗=悪いこと」ではなく、「失敗や不安も、自分らしい人生を生きるための経験」と捉えます。

 

「また失敗してしまった」「自分はダメだ」と感じた時も、それを否定せず、「なぜ自分は失敗を怖れるのか?」「本当はどうありたいのか?」と自分の気持ちを丁寧に観察します。

 

こうすることで、「自分の弱さ」や「うまくいかないときのパターン」を知り、次にどう工夫できるか、何を大切にしたいかが見えてきます。

 

● ヒント


ノートに…

 

「今の自分の気持ち」

「やりたいこと」

「本当はどうしたいのか」

 

…を書き出すだけでも、心が整理されてきます。

 

4-3.「ACT的」生きづらさ克服”のまとめ


生きづらさは、「痛みをゼロにすること」ではなく、「どんな気持ちも持ちながら、自分の価値に向かって一歩ずつ進んでいくこと」で和らいでいきます。

 

アクセプタンス(受け入れる)

→不安や失敗、苦しさを否定せず、「今の自分」をそのまま受け入れる。

コミットメント(一歩踏み出す)

→「自分にとって本当に大切なこと」に向かって、小さくても一歩踏み出す。

 

ACTのこうした考え方は、心理カウンセリングだけでなく、日々の生活でも大きなヒントになります。


「自分は何を大切にしたいか」「それに向かって今日は何ができるか」…


この問いを日々繰り返すことが、生きづらさの中でも自分らしい人生を切り開く力になるでしょう。

 

参考論部

THE DIFFICULTY OF LIVING WELL

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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