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境界性パーソナリティー障害と家族、パートナーの関係~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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境界性パーソナリティ障害(BPD)と共に生きるパートナーと家族のありかたとは?

境界性パーソナリティ障害(BPD)と共に生きるパートナーと家族のありかたとは?

2025/08/17

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、大切なご家族やパートナーが境界性パーソナリティ障害(BPD)を抱えているとき、そのそばで支えている方ご自身も、日々さまざまな気持ちに揺れたり「私も疲れているのかもしれない」と感じたりすることがあると思います。

 

そのため、このブログでは境界性パーソナリティー障害(BPD)を持つ方を支える家族やパートナーの体験について研究したJan Giffin氏(2008)の内容をもとに、境界性パーソナリティー障害を持つ方の家族やパートナーが直面する問題やあり方についてお伝えしていきます。

 

1. 境界性パーソナリティー障害を持つ方の家族やパートナーが直面する現実とは?

 

 

Jan Giffin氏の質的研究(2008年)では、境界性パーソナリティー障害を抱える人を支える家族やパートナーの体験が深く掘り下げられています。

 

境界性パーソナリティー障害は、感情の不安定さ、人間関係の激しい揺れ動き、衝動的な行動などを特徴とする精神的な困難さを含む障害です。

 

そのため、支える側も日常的に強いストレスや不安定さに巻き込まれることが少なくありません。

 

特に研究では、以下の3つの大きなテーマが浮かび上がってきました。

 

1-1.慢性的かつトラウマ的なストレス

 

境界性パーソナリティー障害を持つ方との関係は、日々の生活において緊張感を伴いやすい傾向があります。

 

些細な出来事が大きな衝突に発展したり、感情の波に翻弄されたりするため、支える側は常に「次は何が起きるのか」という不安を抱えやすいのです。

 

このような不確実性や緊張感は、長期にわたり積み重なることで心身に深い疲労やトラウマを残すことがあります。

 

1-2. 家族・パートナー間での役割のゆらぎや関係性のひび割れ

 

境界性パーソナリティー障害を持つ人を支える過程で、家族やパートナーは本来の役割以上の責任を背負うこともあります。

 

例えば、伴侶でありながら支援者としての役割を担ったり、親としての立場と「感情のコントロール役」としての立場を同時に求められたりします。

 

このように境界線が曖昧になると、支える側が「私は伴侶なのか、支援者なのか」と混乱し、自分自身の立ち位置が揺らぐことがあります。

 

その結果、家族間や夫婦間の関係性にも摩擦やひび割れが生じやすくなります。

 

1-3.医療や支援機関との関係がうまく築けない現実

 

研究では、家族やパートナーといった支援者の多くが「医療者や専門機関に十分に理解されていない」と感じていることも報告されています。

 

これは、診断に至るまでの過程が長く不透明であったり、支援者自身の声が軽視されたりする経験が、孤立感を深める要因になっているのです。

 

また、境界性パーソナリティー障害に対する知識や理解が不足している現場も多く、「専門家に相談しても解決につながらなかった」という失望感を抱く家族やパートナーも少なくありません。

 

このように、境界性パーソナリティー障害のある方を支える家族やパートナーは、日常的なストレス、役割の混乱、支援機関とのすれ違いという複数の負担を同時に抱えていることが明らかになっています。

 

2.現代の研究から見えてきた「家族・パートナーの負担」

 

 

境界性パーソナリティー障害を抱える方を支える家族やパートナーの経験は、近年の研究によっても繰り返し確認されています。

 

Giffin氏の先行研究に続き、その後の量的研究でも、支える側が直面する大きな負担やサポートニーズが改めて示されています。

 

例えば、Seigermanら(2020)の調査では、境界性パーソナリティー障害の特徴を持つ若者を抱える家族は、他の疾患と比較しても心理的苦痛が顕著に高い傾向があります。

 

またケアの体験に否定的感情を伴いやすく、さらに非適応的なコーピング(対処行動)に陥りやすいことが報告されています。

 

これはつまり、支える家族やパートナー自身の心の健康が危機にさらされやすい、という深刻な現実を示しています。

 

2-1.家族自身の心の健康への影響

 

さらに、Guillénら(2023)の研究では、境界性パーソナリティー障害を抱える人の親が抱える心理的特徴に注目しています。

 

その結果、抑うつや不安のレベルが高く、感情表出が過剰になりやすい一方で、生活の質(QOL)は低下していることが明らかになりました。

 

驚くべきことに、親の半数がパーソナリティ障害の診断に該当する可能性がある、という深刻なデータも示されています。

 

これは「誰かを支える」という役割が、時に支える側自身の心のバランスを崩し、二次的な問題を生み出してしまう危険性を示唆しています。

 

3.家族やパートナー自身もサポートが必要

 

 

境界性パーソナリティー障害を持つ大切な方を支えることは、日常の中で大きな心理的・身体的負担を伴います。

 

そのため、支援する側である家族やパートナーが疲弊し、心身の限界を感じてしまうのは決して珍しいことではありません。

 

特に、感情の起伏に付き合い続ける中で、支える側が「常に緊張している」「いつ次に強い反応が起きるのか不安」といった慢性的なストレスを抱えることがあります。

 

3-1.心理的サポートの必要性

 

このような状況では、家族やパートナー自身も心理的な支援を受けることがとても重要です。

 

専門的なカウンセリング等を利用することで、抱えている気持ちを安心して語り、共感や理解を得ることができます。

 

また「支えてくれる人がいる」という事実は孤独感を和らげ、精神的な安定につながります。

 

3-2.居場所づくりと安心感

 

家の中や地域に、自分自身が安心できる「居場所」を確保することも支援の一つです。

 

例えば、趣味の活動や友人との交流、安心して気を抜ける時間を大切にすることで、心に余裕を取り戻しやすくなります。

 

支える側が健やかであることは、結果的に境界性パーソナリティー障害を抱える本人にとっても大きな助けになります。

 

3-3.知識とスキルの習得

 

また、Psychoeducation(心理教育)を通じて、境界性パーソナリティー障害に関する正しい知識を持つことは、家族やパートナーが不必要に不安を感じすぎないために大切です。

 

さらに、感情の高ぶりへの対応方法や、自分の気持ちを守るためのコミュニケーションスキルを身につけることで、「振り回される」感覚を軽減し、よりバランスのとれた関わり方が可能になります。

 

支える側である家族やパートナーが倒れてしまっては、長期的に関係を保つことはできません。

 

だからこそ、「自分自身も支援を受けていい」 という視点を持ち、安心できるつながりや支援を積極的に活用することを検討してみてください。

 

さいごに

 

境界性パーソナリティー障害を持つ方と共に生きるのは、決して「支える人」だけの責任ではありません。

 

研究が示すように、家族やパートナー自身がサポートを必要とするのは自然なことであり、それは弱さではなく、むしろ人間らしい反応だと言えます。

 

そのため、カウンセリングや心理教育プログラムなどを通じて、「支える人」自身のケアを整えることは、当事者にとっても大切な環境づくりの一部です。

 

研究の成果は、家族やパートナーが「孤独に抱え込むべきではない」ことを強く伝えてくれています。

 

ぜひ、適切なサポート資源を活用してくださいね。

 

参考論文

Family Experience of Borderline Personality Disorder

 

A study comparing the experiences of family and friends of young people with borderline personality disorder features with family and friends of young people with other serious illnesses and general population adults

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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