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不安に対する対処法~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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不安は「扱い方」で変わる:不安に対する感情調整の効果

不安は「扱い方」で変わる:不安に対する感情調整の効果

2025/08/20

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、日々のカウンセリングにおいて不安に苦しんでいる方は珍しくありません。

 

その不安に対する研究では、不安の「強さ」そのものだけでなく、「不安をどう扱うか(=感情調整)」が症状や日常機能を大きく左右することが、行動・生理・脳の各レベルから示されています。

 

そこで、この記事では、その研究知見をわかりやすくまとめ、臨床(心理療法)やセルフケアでどう活かすかを具体的に解説したいと思います。

 

1.感情と「感情調節」は別物です

 

 

不安と向き合う上で大切なのは、「不安を生み出す回路」と「不安を調節する回路」は別物だということです。

 

少し複雑かもしれませんが(汗)、そのメカニズムを解説をいたしますね。

 

1-1.土台:「三反応系」ってなに?

 

不安や恐怖の反応は、つぎの3つのチャンネルに現れ、これを「三反応系」と呼びます。

 

✔行動(Behavior)

→逃げる・固まる・早口になる・視線をそらすなど

✔思考(Cognition)

→「失敗したら終わりだ」「みんなに笑われる」といった自動思考(瞬時に脳に現れる思考)

✔生理(Physiology)

→心拍上昇・呼吸の浅さ・手汗・筋緊張など

 

重要なのは、この3つは常に同じ強さで連動しません。

 

例えば…

 

「心臓はドキドキしているのに、頭の中は案外静か」

「不安な考えは出るけれど、体は落ち着いている」

 

…といった「ズレ」は普通に起こります。

 

そして、このズレは状況(文脈)や個人差で組み合わせで変わるものです。

 

例えば…

 

【具体例(職場で上司に呼ばれたとき)】

 

✔行動

→資料を取りに席を立つが、歩くスピードが速くなる

✔思考

→「ミスを指摘されるかも」「評価が下がるかも」

✔生理

→手汗・心拍アップ


こうした反応も、別の方では思考が「大丈夫、確認だろう」に切り替わり、生理は落ち着くこともありえます。

 

つまり、人や場面で出方が変わる、がポイントです。

 

1-2.「感情調整(ER)」とは?

 

「感情調整(Emotion Regulation; ER)」は…

 

どの感情を、いつ、どう経験・表出するかを変える工夫での感情調節


の総称です。

 

実際に感情調節の方法はたくさんあります。

 

代表的なものを「使うタイミング」で整理すると分かりやすいでしょう。

 

① 事前に手を打つタイプ

 

✔状況選択

→不必要な負荷の場を避ける/支えのある場を選ぶ

✔状況修正

→打合せの人数を絞る・資料を先に共有するなど環境を少し変える

✔注意の向け方

→人の視線ではなく資料や議題に注意を向ける

✔再評価(リフレーミング)
→「評価面談=非難される」という思考を「進捗の棚卸しと今後の調整の場」のように意味づけを組み替える

 

② 反応が出た「あと」の調整

 

✔受容

→湧いてきた不安を押し返さず、安全な枠の中で感じさせる

✔抑制

→表情や涙をこらえる、動揺を隠す

✔回避

→その場から離れる・先延ばしする

 

これらの方法があるのですが、「正解の一手」という発想ではなく「状況に合った道具箱」を持つイメージを持つとよいでしょう。

 

つまり、抑える・考え直す・受け入れる…どれも「使いどころ」次第なんですね。

 

ただし、後述する「対処の上手い・下手」というものがあるので、どの方法をどのように使うかは注意が必要です。

 

2.研究が示す、不安の「うまい扱い方/下手な扱い方」

 

 

不安に対しては、扱い方の「上手い・下手」があります。

 

その説明の前に、軽く脳の仕組みをご紹介しますね。

 

2-1.不安に関連する脳の部位

 

まずは関連する脳の部位を超シンプルに言うと…

 

✔扁桃体(へんとうたい)

→危険をいち早く検知する「警報器」。不安や恐怖の信号を強めます。

✔前頭前野

状況を「考え直す」司令塔。意味づけを更新して、扁桃体の過剰反応にブレーキをかけます。

✔自律神経(交感神経)

→いざという時の「体のアクセル」。心拍上昇・発汗などの「緊張モード」を作ります

 

これらの点を踏まえて、不安の扱い方の「上手い・下手」を見ていきましょう。

 

2-2.研究が示す「うまい扱い方/へたな扱い方」


● うまい扱い方


①  再評価(見方の組み替え)

 

ネガティブな出来事やイメージに別の解釈を与えると…

 

前頭前野がしっかり働く→扁桃体の過剰反応が下がる→不快感も下がる

 

というメカニズムが働きます。


つまり、「事実」と「解釈」を分けて、解釈を柔らかくし直すイメージです。

 

②  受容(感じるままに『居場所』をつくる)

 

不快な体感や感情を押し返さず、そのまま「感じるスペース」を作ると…

 

交感神経の昂ぶりが落ち着きやすくなる→回復も早まりやすくなる

 

というメカニズムが働きます。

 

しかし、「居場所を作る」というのは、イメージしにくいですよね。

 

居場所を作るというのは、簡単に言うと不安という感情に「椅子」を用意することです。

 

つまり、追い出そう(抑える)とも、席を譲って運転席を渡す(のまれる・巻き込まれる)ともせず、同じ部屋に一緒にいながら自分が舵取りを続ける状態を指します。

 

では、我慢や放置と何が違うのでしょうか?

 

具体的には以下のようになります。

 

✔我慢

→押し返す。短期的に静かでも、体は緊張(交感神経)しやすい。

✔放置/反芻

→感情に引きずられ、思考が堂々巡りになりがち。

✔居場所づくり

→感情の存在を認めて「置き場」を決め、自分は価値に沿った行動を続ける。


研究結果では、パニック傾向のある課題でも、受容は我慢より生理反応に有利でした。

 

心理療法のACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)では、次のような比喩で説明しています。

 

✔バスの運転手

→乗客(不安や怒り)は騒ぐけれど、ハンドルは自分自身が握る。

✔空と雲

→感情(不安)は雲。雲は流れるが、空(あなたの意識や心)は広さを保つ。

✔椅子の比喩

→感情が来たら椅子を出す。「座ってていいよ、でも私は作業を続けるね」というスタンスを取る

 

では次に不安に対する「下手な扱い方」を見ていきましょう。

 

● 下手な扱い方


① 抑制(表情や反応を『こらえる』)

 

感情を隠す/抑え込むやり方は…

 

主観的不快を下げにくいのに、心拍や発汗などの緊張サイン(交感神経)はむしろ上がりやすい

 

という結果になります。

 

つまり、抑制(我慢)は、逆に不安の身体反応を高めてしまうのです。


そのため、短期的な体裁は保てても、長期的な有効性には問題が残ります。

 

② ネガティブ再評価(最悪想定)

 

「もっと悪く考える」、つまり最悪の状態を想定してしまう方向の思考は…

 

前頭前野も扁桃体も活動が上がり、不快が直線的に増える傾向

 

という結果になります。


同じ「考える」でも「再評価」と異なり、「ネガティブ再評価」は脳の偏桃体も前頭前野も同時に活発になるので、不安はさらに増幅されるのです。

 

3.不安に対するセルフケアの方法

 

 

では、実際に不安に対してどのようなセルフケアがあるのかをご説明したいと思います。

 

私の専門は認知行動療法(CBT)とACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)ですので、その中からセルフケアに役立つ方法をご紹介いたします。

 

セルフケアを効果的にするために、「紙とペン」を事前に用意することをお勧めいたします。

 

3-1.60秒の「解釈スイッチ」

 

まず、付箋を1枚用意しタイマーを60秒にセットして、以下の手順で進めてください。

 

① 事実(15秒)
目で見た/耳で聞いたことだけを1行書きます。
例)「上司に修正を頼まれた」

② 解釈(15秒)
最初に浮かんだ受け止めを1行書きます
例)「私の仕事はダメだ」

③ 別の見方(30秒)
「可能性」として、自分に対してやさしい解釈を1行書きます。
例)「初回で不確実さが高いだけかも」「品質を上げる提案かも」

 

このように3段階(事実/解釈/別の見方)で並べると、頭の中の映像が整理されます。

 

3-2.たった3分の「受容呼吸」

 

まずイスに座り、片手を胸・もう片手をお腹においてください。

 

そしてタイマーを3分にセットして、以下のワークを行います。

 

① 名づける(30秒)
体の場所+強さで一言。
例)「胸のザワザワ 6/10」「喉のつかえ 4/10」

② スペースを作る呼吸(2分)
吸う:鼻からゆっくり(3カウント)
止める:1カウント
吐く:口から長め(6カウント)
吐くときに、胸とお腹が「外側に円が広がる」イメージで感情の居場所を確保します。

③ ひとこと許可(30秒)
「ここにいていいよ。でも私は私の用事を続けるね」

 

このように不安を押し返すのではなく、椅子を用意する感覚です。

 

こうすることによって、体の緊張(交感神経)が落ちやすくなります。

 

3-3.「不安の中での1ミリ行動」プラン

 

不安が強い状態でも「1分だけなら着手」できる超ミニ作業を事前にリスト化してください。

 

例えば…

 

✔メール

→宛名だけ入れる/件名だけ書く

✔書類

タイトル1行だけ決める

✔片付け

→机の右上だけ整える

✔学習

→テキストを見出し1つ読む

✔体調

→コップ1杯の水を飲む/肩回し10回を行う

 

そして次に、「もし→ならの形」で小さな活動を行います。

 

例えば…

 

「もし」不安が強い状態なら、見積書のタイトルだけ書く(1分)

「もし」心臓がドキドキなら、先述した「受容呼吸」を3サイクルしてから、メールの宛名だけ入れる

 

ゴールは「完璧」ではなく不安があっても前進できたという事実です。

 

そして、終わったら自分自身に「よくやったね」と口に出して終了します。

 

おわりに:不安の「扱い方」は練習で変えられる

 

不安そのものを「消す」ことは困難であり、また無理に消そうとすると不安は逆に強まってしまいます。


大切なのは、不安との距離・向き合い方を自分でデザインし直すこと、これが感情調整です。

 

感情調整は生まれつきの才能ではなく、反復で身につくスキルです。

 

筋トレや楽器の基礎練習と同じで、短い練習を積み重ねるほど「とっさの場面で自然に出る型」が育っていきます。

 

上手く不安を上手に扱ってくださいね。

 

参考論文

Emotion Regulation and the Anxiety Disorders

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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