株式会社ユナイテッド

自尊心が幸福につながる理由~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

お問い合わせはこちら

自己肯定だけじゃ足りない?「自分らしさ」と「自尊感情」の違いが幸福につながる理由

自己肯定だけじゃ足りない?「自分らしさ」と「自尊感情」の違いが幸福につながる理由

2025/08/26

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

「私は私であることを、心から感じたい」

「毎日をちょっとでも楽しく、自信を持って過ごしたい」

 

こうした思いを持っておられる方は珍しくありません。

 

心理学には「ウェルビーイング(well‑being)」、つまり心理的にもっと豊かに、健やかに生きる感覚に関する研究がたくさんあります。

 

中でも2005年に発表された研究では、「自尊感情(self‑esteem)」だけでなく、「本来感(Sense of Authenticity)」と呼ばれる「自分らしさを感じる感覚」を明確に測り、そのそれぞれが幸福感や人生への満足感にどう関わっているかを丁寧に分析しています。

 

この記事では、その研究結果を踏まえつつ、自尊感情と本来感、そしてウェルビーイングについて解説していきいたいと思います。

 

1.研究の目的と背景~「本当らしさ」「自尊心」「ウェルビーイング」とは?

 

 

まず簡潔に研究目的と「自分らしさ」「自尊心」「ウェルビーイング」について解説したいと思います。


1-1.研究の狙い

 

この研究の中心テーマは、「本当らしさ(オーセンティシティ、本来感)」という概念を心理学的に測定し、その意義を検討することでした。

 

そこで新しく開発されたのが、「本来感尺度(Sense of Authenticity Scale=SOAS)」です。

 

これを用いて、「自分らしく生きられている」という実感が、「自尊感情(self-esteem)」や「ウェルビーイング(well-being)」とどのようにつながっているのかを調べました。

 

1-2.自分らしさ(本来感)とは何か?

 

「自分らしさ」とは、自分の気持ちや価値観に沿って行動できている感覚を指します。


例えば…

 

✔「本当はこうしたい」と思ったことを素直に選べたとき

✔周囲に合わせるだけでなく、自分の大事にしたい価値観を表現できたとき

✔無理をせず、自然体で人と関われていると感じたとき

 

これらの体験は、「私は私でいいんだ」という安定した安心感を生みます。

 

心理学的にはこれを「本来感(オーセンティシティ)」と呼びます。

 

重要なのは、本来感は「自己中心的に振る舞う」ことではなく、「自分を偽らずに存在すること」です。

 

周囲と調和しつつも、自分の価値や気持ちを大切にする姿勢が、本来感の土台になります。

 

1-3.自尊感情(セルフエスティーム)との違い

 

一方で「自尊感情」は、自分に対して抱く肯定的な評価を指します。

 

✔「自分は価値ある存在だ」

✔「自分は役に立つ人間だ」

✔「私は大切にされるべきだ」

 

…といった気持ちが強いほど、自尊感情が高いとされます。

 

ただし、自尊感情はしばしば他者からの評価や比較に影響されやすいという側面もあります。

 

例えば、成績が良い、褒められる、成功体験をすることで一時的に高まりますが、逆境に弱い場合があります。

 

ここで大切なのが「自分らしさ(本来感)」です。

 

本来感は、外からの評価に左右されにくく、「ありのままの自分」に根ざした安定感を支えます。

 

つまり…

 

✔自尊感情

→「自分をどう評価するか」

✔本来感

→「自分とどれだけつながっていられるか」

 

…という側面だといえます。

 

1-4.ウェルビーイングとの関係

 

「ウェルビーイング(well-being)」は、単なる快楽的な幸福感ではなく、「心理的に充実している感覚」を含みます。

 

心理学者キャロル・リフ(Ryff)が提唱した心理的ウェルビーイングには、以下の要素があります。

 

✔自己受容

→ありのままの自分を受け入れる

✔自律性

→自分の判断で行動できる

✔人生の目的

→生きる方向性や意味を感じる

✔対人関係の積極的な関わり

→深く支え合える人間関係を持つ

✔環境制御

→環境を自分らしく整えていく力

✔自己成長

→学びや挑戦を通じて成長し続ける感覚

 

この研究では、自尊感情と本来感の両方が、こうしたウェルビーイングのさまざまな側面に関わっていることが示されました。

 

ただし影響の仕方には違いがありました。

 

✔自尊感情

→人生への満足感や幸福感を強く支える

✔本来感

→自己成長や対人関係の豊かさ、不安の低減、自律性の促進に寄与する

 

つまり、ウェルビーイングを高めるためには…

 

「自分を大切に思える気持ち(自尊感情)」

「自分らしく生きている感覚(本来感)」

 

この両方が必要なのです。

 

2.本来感と自尊感情、それぞれのチカラ

 

 

では、本来感と自尊感情がウェルビーイングにどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。


2-1.両方ともウェルビーイングに効果的

 

研究では、共分散構造分析を使って検討されました。

 

その結果…

 

本来感(「私は私らしく生きている」という感覚)

自尊感情(「私は価値ある存在だ」という感覚)

 

このどちらも、「主観的ウェルビーイング(幸福感や満足感)」「心理的ウェルビーイング(自律性・目的意識・対人関係の豊かさなど)」に、プラスの影響を与えていることが明らかになりました。

 

つまり、「自分らしくある」ことと「自分を大切に思える」ことは、両輪のように働いて心の健康を支えるということです。

 

2-2.しかし役割は異なる

 

研究の詳細な分析では、両者が同じように効いているわけではなく、それぞれの得意分野があることが分かりました。

 

● 抑うつや人生の目的

 

本来感・自尊感情のどちらもプラスの影響を与えます。

 

つまり、「自分を大切にできること」と「自分らしく生きられている感覚」の両方が、落ち込みを軽減し、「生きる意味」や「目標感」を支えてくれます。

 

● 不安・自己成長・対人関係

 

ここでは本来感のみがプラスの影響を与えました。

 

自分らしくいられる人は、他者との関係で無理をせず自然体で関わりやすく、安心感を得やすい傾向というがあります。

 

また、「新しいことに挑戦して成長したい」という気持ちも、自分らしさに根ざしているからこそ育まれます。

 

● 人生への満足感

 

ここでは自尊感情のみがプラスの影響を与えていました。

 

これは、「私は価値のある存在だ」という感覚が強いほど、人生そのものを「まあまあうまくいっている」と前向きに受けとめやすくなることを示しています。

 

● 自律性(自分で選び、自分で行動する力)

 

本来感はプラス自尊感情は逆にマイナスという結果になりました。

 

興味深いのは、自尊感情が強すぎると「他人の評価に依存してしまい、自分で自由に選べない」という側面が出る可能性です。

 

一方で「自分らしくある」ことは、周囲の期待に縛られず、より自分軸で生きる力を高めると考えられます。

 

3.心理カウンセラーの視点で読み解くと…

 


3-1. 「本当の自分を生きている(本来感)」から生まれる安心と自立

 

「人の期待に応えるため」や「周囲に合わせるため」ではなく、自分の気持ちや価値観に沿った行動ができるとき、人は深い安心感を覚えます。

 

その安心感は、自分の中で「私は私で大丈夫」という安定した感覚を育てます。

 

また、自分らしさ(本来感)を尊重できる人は、無理に人に合わせる必要がなくなるため、人間関係の緊張や不安も和らぎやすくなります。

 

さらに、安心できる土台の上に「新しいことに挑戦してみよう」「もっと成長してみたい」という前向きな気持ちが生まれやすくなります。

 

「本来感」が不安や対人関係、自己成長に強く関連していたのは、このような心のプロセスが背景にあると考えられます。

 

「本当の自分でいる」ことは、自立や成長の出発点になるのです。

 

3-2. 「自分を大切に思える」土台としての自尊感情

 

一方で、「私は価値のある存在だ」と思える感覚(自尊感情)は、人生全体を前向きに捉える力につながります。

 

例えば、同じ出来事に直面しても「私はダメだ」と思っている人と、「私は意味のある存在だ」と感じられる人では、受け止め方も回復力も大きく変わります。

 

特に、落ち込みが強い方にとっては、「自分には価値がある」という気持ちを取り戻すことが重要な回復のステップになります。

 

これは、生きていくエネルギーそのものの源になるからです。

 

つまり、自尊感情は「人生への満足感」という大きな評価軸を支える力として機能している、と理解することができます。

 

3-3. 自律性との逆方向の関係に注目する意味

 

興味深いのは、自尊感情が高いほど必ずしも自律的になれるわけではないという点です。

 

時には「他人にどう見られているか」という外部評価に依存してしまい、気づかないうちに他人の期待に沿って行動してしまう人もいます。

 

つまり、自尊感情が強くても「他人軸」で動いてしまう場合があるのです。

 

その結果、自分で決めているつもりでも、実際には外部の評価や承認に左右されやすいということがあります。

 

対照的に、「本来感」は自分の感覚や価値観に根ざしているため、自律性を強く支える力になります。

 

自分らしさを大切にできる人は、たとえ周囲の期待があっても「私はこうしたい」という選択を尊重できるからです。

 

まとめ:「本来感×自尊感情=自分らしく幸せな生き方」への道

 

✔本来感(自分らしくあること)

→不安・対人関係・自己成長・自律性の支えに。

✔自尊感情

→人生への満足感の促進剤に。

 

これらを組み合わせることで、「自分を大切にする力」と「自分らしく生きる力」が相乗効果で育ちます。

 

どうぞ、ご自身の「本当に大切なもの」に気づくヒントとして、ご活用いただけたら幸いです。

 

参考論文

伊藤正哉 & 小玉正博 (2005) 自分らしくある感覚 (本来感) と自尊感情が well-being に及ぼす影響の検討.

----------------------------------------------------------------------
こころのケア心理カウンセリングRoom
兵庫県芦屋市浜芦屋町1-27   サニーコート浜芦屋302号
電話番号 : 090-5978-1871

お問い合わせはこちら


----------------------------------------------------------------------

この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

プロフィールはこちら

カウンセラー紹介

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。