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毒親と恋愛~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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毒親の影響は恋愛関係にどう現れる?

毒親の影響は恋愛関係にどう現れる?

2025/08/29

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

「どうして私は恋愛が長続きしないんだろう」
「信じたいのに、パートナーを疑ってしまう」

 

カウンセリングの現場でよく耳にする言葉ですが、その背景には、子ども時代の親との関係が影響しているケースが少なくありません。

 

特に深刻なのが「毒親(toxic parent)」と呼ばれる存在、つまり過度に支配的、無関心、感情的に不安定、あるいは依存的な親との関係は、大人になってからの恋愛・パートナーシップに色濃く影を落とすことがあります。

 

そこで今回は毒親と恋愛に関する研究(Eichelberger-Searcy, 2025)を踏まえつつ、毒親が恋愛に与える影響についてみていきたいと思います。

 

1.研究結果~3つの「壊れた体験」~

 

 

研究では、毒親との関わりの影響を受けた人々に共通して見られる体験を整理すると、「壊れ(Brokenness)」というテーマが浮かび上がりました。

 

これは、心の深い部分に刻まれた「傷つきの形」のようなもので、その中に3つの特徴的なパターンが見出されました。

 

1-1. 壊れた受容(Broken Acceptance)

 

● 意味

→子どもが「どんな自分でも愛されている」と感じる経験が欠けていた場合に生じます。

 

● 心理的な影響
→無条件に受け入れられなかった方は…

 

「私はそのままでは価値がない」

「ありのままでは愛されない」

 

…という思いを抱えやすくなります。

 

● 恋愛での現れ方

✔「もっと認めてもらわないと不安」と、パートナーに過剰に承認を求める

✔逆に、「どうせ愛されない」と心を閉ざし、距離を置いてしまう

 

● イメージ例
「私が相手にとって完璧じゃないと、すぐに嫌われてしまうのでは」と感じ、いつも相手の顔色を伺ってしまう。

 

1-2. 壊れたコントロール(Broken Control)

 

● 意味

→子どものころ、親が過剰に支配的で「自分で選んだり決めたりする自由」を奪われて育った場合に形成されます。

 

● 心理的な影響


「相手の期待に応えなければ」

「見捨てられてしまうかもしれない」

 

…という恐怖を抱きやすい傾向が出やすくなります。

 

● 恋愛での現れ方

✔相手に尽くしすぎて自分を見失う

✔反対に「二度と支配されたくない」と過剰に距離をとる(極端な独立心)

 

● イメージ例
恋人が少し連絡を返さないだけで「嫌われたのでは」と不安になり、必要以上に尽くしたり謝ったりしてしまう。

あるいは逆に「誰にもコントロールされたくない」と心を固く閉ざしてしまう。

 

1-3. 壊れた選択(Broken Choice)

 

● 意味

→子ども時代に「自分で決める」経験をさせてもらえず、常に親に選択を管理された場合に起こります。

 

● 心理的な影響
大人になっても「自分の判断は間違っているのでは」という不安がつきまとい、意思決定に自信が持てません。

 

● 恋愛での現れ方

✔「自分では選べない」という思いから、支配的な相手を選んでしまう

✔間違った相手と関係を続けてしまう

✔依存的な恋愛パターンを繰り返す

 

● イメージ例
「自分の判断は信用できない」と感じ、結果として同じような有害な相手を選び続けてしまう。

 

1-4.まとめ

 

研究が示す「3つの壊れた体験」は、親子関係での傷が大人の恋愛にどう影響を及ぼすかを具体的に表しています。

 

単純化すると…

 

壊れた受容 → 「私は愛されないのでは」という不安

壊れたコントロール → 「相手を喜ばせないと捨てられる」という恐れ

壊れた選択 → 「自分で選んではいけない」という不信感

 

しかし、これは「一生治らない」ことを意味するのではありません。カウンセリングやセルフケアを通じて自分のパターンを理解し、新しい関係の築き方を練習することで、少しずつ「壊れた部分」を癒し、健全な愛の形へと変えていくことができます。

 

2.愛着スタイルと社会的学習理論

 

 

この研究の枠組みはボルビィの「愛着スタイル」とバンデューラの「社会的学習理論」から成り立っています。

 

その枠組みから毒親が恋愛に及ぼす影響を考えると、次の事が言えるのではないかと思います。


2-1.愛着理論の観点

 

毒親との関係は、子どもの心に深く影響を残し、「愛着スタイル」と呼ばれる人との関わり方の型に影響を与えることがあります。

 

そして、その影響は「不安定愛着」と「回避型愛着」という形で現れます。

 

● 不安型愛着

 

幼少期に「いつ親に見捨てられるかわからない」「愛されているのか不安」という体験が多いと、どうしても不安型の愛着が形成されやすくなってしまいます。

 

そのため、大人になってからは、恋人や配偶者に対して「相手を失うのではないか」という恐怖が強くなり、過剰にしがみついたり、束縛的になったりする傾向が強くなりがちになります。

 

例えば、「今すぐに返事が来ないと不安でたまらない」「相手の行動を常に確認したい」という気持ちが出たり、そうした行動に出てしまうというのが、まさに典型例です。

 

● 回避型愛着

 

幼少期に「甘えても拒絶される」「親は頼りにならない」と学んだ子どもは、自分の気持ちを閉じ込めて「誰にも頼らない」と決めるようになりがちになります。

 

これは、大人になってからは「親密さは危険だ」と感じ、過度に自立を強調したり、相手と距離をとり続けるということで現れます。

 

例えば、「一緒にいるのにどこかよそよそしい」「相手に弱みを見せることができない」という形で現れることがあります。

 

このように、幼少期の愛着スタイルの問題は、大人の恋愛関係において「安定した絆を築くことの難しさ」として現れるのです。

 

2-2.社会的学習理論の観点

 

もうひとつの側面は、「学習」という観点です。

 

子どもは親の行動を観察し、そこから「愛とはこういうものだ」「人間関係はこう築くものだ」と学びます。

 

これが「社会的学習理論」の基本的な考え方です。

 

例えば、家庭で親同士が喧嘩をするときに暴力や大声で解決していた場合、子どもはそれを「人間関係での普通の解決法」として学んでしまいます。

 

逆に、親が不機嫌になると沈黙や無視で相手をコントロールしていたなら、子どもはそれを「問題が起きたら黙って相手を遠ざければいい」と学んでしまいます。

 

こうして身につけた「人間関係の誤ったモデル」は、大人になってからの恋愛でも無意識に再現されてしまうことがあります。

 

たとえ本人が「こんなやり方は嫌だ」と頭では思っていても、深層心理に刻み込まれた行動パターンが出てきてしまうのです。

 

3.毒親の影響から大切な恋愛を守るためのセルフワーク

 

 

今まで見てきましたように、毒親(toxic parent)と呼ばれる親との関係は、大人になってからの恋愛やパートナーシップにまで影を落とすことが研究によって明らかになっています。

 

しかし、ここで大切なのは「過去の体験がすべてを決めてしまうわけではない」ということです。

 

私たちは、自分を見つめ直す小さな練習を通じて、「親から学んでしまったパターン」を手放し、より健やかな愛のかたちを育んでいくことができます。

 

そこで、ここでは、カウンセリングの臨床的知見を踏まえたセルフワークをいくつか紹介します。

 

3-1.セルフワーク:自分らしい愛を育むための練習


(1)「親の声」と「自分の声」を切り分けるワーク

 

このワークは、ノートを以下のように2列に分けて書きます。

 

左列:「親からよく言われた言葉」や「今でも心に残っている否定的な声」

右列:「本当は自分が望んでいる声」や「自分にかけてあげたい言葉」

 

● 具体例

 

左:「お前は何をやってもダメだ」

右:「私は小さなことでも積み重ねて成長できる」

 

このワークを繰り返すことで、「親の声」と「自分の本当の声」を区別する感覚が育っていきます。

 

(2)小さな「選択の練習」を重ねる

 

毒親体験のある方は「自分で決めること」に不安を感じやすい傾向を持つ方が珍しくありません。

 

そのため、毎日の生活の中で「小さな選択」を意識してみましょう。

 

例えば…

 

✔今日飲むお茶の種類を自分で決める

✔帰り道を少し変えてみる

✔見たい映画を自分の直感で選ぶ

 

大切なのは「大きな決断」ではなく、「小さな選択を繰り返して『自分で決めても大丈夫』『陣で決めることができる』という感覚を積み上げる」ことです。

 

(3)セルフコンパッションの実践

 

自分に厳しすぎる方、具体的には自分をつい責めてしまう方は、パートナーに対しても「完璧さ」を求めてしまうことがあります。

 

そのため、1日1回、自分に向けて優しい言葉をかけてみてください。

 

● 具体例

 

「今日はよく頑張ったね」

「不安になるのも自然なことだよ」

 

こうした小さなセルフコンパッションの積み重ねが、安心できる関係を築くための基盤になります。

 

(4) 健康的な人間関係モデルを探す

 

「人間関係は苦しいもの」という学習をしてきた方は、どうしても健全な関係のイメージが持ちにくくなってしまいます。

 

そのため、本や映画、周囲の人間関係などから「尊重し合う関係」の具体例を探し、観察してみましょう。

 

そして「その関係のどこに安心感があるのか」を言葉にしてみると、新しい関係モデルを自分の中に取り入れやすくなります。

 

3-2.まとめ

 

研究が示した「壊れた受容」「壊れたコントロール」「壊れた選択」は、恋愛の中で繰り返されるパターンとして現れやすいものです。

 

しかしながら、セルフワークを通じて少しずつ「自分の声を取り戻す」「小さな選択に自信を持つ」「自分に優しくする」練習を積み重ねることで、そのパターンを変えていくことは十分に可能です。

 

どうか一人で抱え込まず、もしも必要でしたら心理カウンセラーのサポートを得ながら「自分らしい愛のかたち」を育んでいってくださいね。

 

参考論文

FAMILY POISON: A PHENOMENOLOGICAL STUDY OF THE ROLE OF TOXICPARENTAL  INFLUENCE ON ROMANTIC RELATIONSHIPS

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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