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大人の発達障害~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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大人の発達障害にまつわる併存症と、そのケアとは?

大人の発達障害にまつわる併存症と、そのケアとは?

2025/08/31

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、最近は大人の発達障害が注目されていますが、大人の発達障害で見逃せないのが併存症です。

 

厚生労働科研の調査では、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)と診断されている成人の約8割が、精神的・身体的な不調を経験しているという現実が明らかになりました。

 

例えば、発達障害を持っておられて、併存症として「うつ病」と診断された人は約半数、「不眠」の症状を病院で受診した経験がある人は4割近く確認されています。

 

そこでこのブログでは、心理カウンセラーの視点を交えて、研究結果をわかりやすく整理しながら、「自分らしく生きるための心と体のサポート」を考えていきたいと思います。

 

1.目に見えないつらさ

 

 

発達障害を抱える成人の方からは、外からは元気に見えても…

 

「心が落ち着かない」

「体調が整わない」

「日常が思うように回らない」

 

…といった声をよく伺います。

 

こうした「見えないつらさはご本人にとって深刻な負担ですが、周囲には理解されにくいため孤独感を深めてしまうこともあります。

 

厚生労働科研の調査では、発達障害のある成人の方が抱える精神的・身体的な症状や日常生活の困難さが具体的な数字として示されています。

 

ここでは、その研究結果を心理カウンセラーの視点からわかりやすく整理し、「数字が語るリアルな生活のつらさ」に目を向けていきます。

 

1-1.研究のポイントと数字で見る「見えないつらさ」

 

ここでは、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)を持つ方が併存しやすい症状や問題をご紹介したいと思います。


● 精神症状

 

62.9%の人が「気分や感情の浮き沈みが激しい」と感じて病院を受診していました。
→ これは、10人に6人以上が「気分の安定の難しさ」で医療を頼っているということです。

日常の中で気分が乱高下すると、仕事や人間関係に影響しやすく、「安定できない自分」に対する不安や自己否定感を強めてしまいます。

 

54.5%が「自己肯定感が低い」と回答しており、半数以上の方が「自分は価値のある存在だ」と思いにくい状態にあると分かります。
→ 自尊感情の低さは抑うつや不安と密接につながり、「どうせ私なんて」と挑戦を避けてしまったり、人との関わりをあきらめやすくなることがあります。

 

● 身体症状でよく受診されたもの

 

✔不眠症:37.9%

✔頻繁な頭痛:24.5%

→眠れないことや頭痛は「体の問題」と思われがちですが、実際には心の疲れとも密接に関連しています。

睡眠不足は気分の不安定さを悪化させ、頭痛は集中力や意欲を奪い、社会生活に大きな支障をきたします。

 

● 精神疾患・身体疾患の診断歴(医療による診断)

 

うつ病:45.9%と最も多く、2人に1人近くが診断を受けています。

不眠障害:23.9%

自律神経失調症:24.7%

アトピー性皮膚炎:21.2%

 

発達障害のある方は、精神面だけでなく身体面でもさまざまな症状を併発しやすい傾向があります。

特に自律神経や皮膚症状はストレスとの関連が強く、心理的な負担が体に表れやすいことを示しています。

 

● 現在もっとも困っていること(回答上位3つ)

 

人間関係の難しさ:35.8%
→ 職場や友人関係での誤解や衝突、孤立感。発達障害の特性が「理解されにくい」ために起こりやすい困難です。

 

日常生活のしづらさ:33.4%
→ 家事、移動、予定管理などのタスク処理の難しさが、日常生活全般の負担感を増やしています。

 

経済的困窮:31.7%
→ 就労の不安定さや継続困難に直結しており、生活基盤が揺らぐことは心身の健康をさらに悪化させるリスクになります。

 

1-2.数字の背景にある「生活の声」

 

これらの数字は単なる統計ではなく、一人ひとりの生活に潜むリアルな声を映し出しています。

 

「気分の浮き沈み」

「眠れない」

「人間関係がつらい」

 

それは単純な精神的な弱さではなく、発達障害の特性と心身の不調が絡み合った「見えないつらさ」なのです。

 

2.セルフケアの視点からみた「意味と支えの糸口」

 


2-1. 「気分や浮き沈み」をセルフモニタリングする

 

気分の波や自己肯定感の低さは、ただ「性格」や「弱さ」のせいではありません。

 

多くの場合、それは「自分がうまくやれていないのでは」という不安から始まります。

 

そのため、セルフケアとしておすすめなのは、「気分の記録」です。

 

具体的には以下のようなものです。

 

✔朝・昼・夜に、自分の気分を0〜10で数値化する

✔その日の出来事とあわせて簡単にメモする

 

こうすることで「落ち込むのは特定の場面で起きている」と気づきやすくなります。

 

大切なのは、「うつかもしれない」と自己診断することではなく、「気分の動きに気づき、言葉にしていく」ことです。

 

これはセルフケアとしての第一歩であり、必要に応じて医療やカウンセリングにつなげるサインにもなります。

 

2-2. 睡眠・頭痛・自律神経を「小さな習慣」で整える

 

眠れない・頭が重いといった体の不調は、心の疲れと表裏一体です。

 

そのため、セルフケアの観点では「自分で調整できる小さな工夫」を生活に取り入れることが効果的です。

 

● 具体例

 

✔呼吸法:

→1分間、ゆっくり吸って長く吐く呼吸を繰り返す

✔ストレッチ:

→肩や首を5分伸ばすだけでも血流が改善し、頭痛や緊張が軽減する

✔光環境:

→朝は自然光を浴び、夜は照明を落として体内時計を整える

✔寝具調整:

→枕の高さや布団の硬さを見直すことで眠りの質が改善することが多い

 

これらはどれも大きな努力を必要としませんが、「自分で体を整えられる」感覚が心の安心感にもつながるのでおススメです。

 

3-3. 人間関係・家事・経済は「小さな一歩」から

 

人間関係や日常生活、経済的な悩みは「自分が弱く問題があるから」と捉えてしまいやすいですが、実際には誰にとっても大きなストレス要因です。

 

そのためセルフケアとしては、「すぐに全部を解決しようとせず、小さな一歩を積み重ねる」ことが大切です。

 

● セルフケアの工夫

 

✔人間関係

→すべての人に気を遣うのではなく、「安心して話せる人」を一人見つける

✔家事

→完璧を目指さず「今日は洗濯物をたたむだけ」のように小分けにする

✔経済

→ 収支をすべて管理しようとせず、「1日の支出をメモする」から始める

 

このように、「生活を整えどき」と考え、小さな成功体験を積むことが回復の土台になります。

 

3-4. 合併症があるからこそ、安心のネットワークを

 

発達障害をもつ方は、うつ病・不眠・自律神経の不調など、複数の課題を抱えることが珍しくありません。

 

セルフケアの観点では、「一人で抱え込まず、頼れる窓口をあらかじめメモしておく」ことが役立ちます。

 

例えば、心理的な状態が悪化したら精神科や心療内科、そして持続的な気持ちのつらさを解決するために心理カウンセリングを利用する、と言ったことです。

 

このように、「どこか相談できる場所がある」というものがあるだけでも安心感が増し、セルフケアの一部になります。

 

3-5.セルフケアは「安心を積み重ねる習慣」

 

セルフケアとは、何も特別なことをするのではなく、「安心できる小さな行動」を毎日の中に少しずつ増やすことです。

 

✔気分の波を言葉にする

✔呼吸やストレッチで体を整える

✔生活の困りごとを小さく分ける

✔相談先をあらかじめ用意しておく

 

これらの積み重ねは、「自分には整えていける力がある」という実感につながります。

 

そして必要なときには専門的な支援を取り入れながら、安心の幅を広げていくことが、セルフケアをより確かなものにします。

 

ぜひ、一人で抱え込まずに上手く発達障害の併存症に対応していけるようにしていきましょう。

 

参考論文

厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業 成人の発達障害に合併する精神及び身体症状・疾患に関する研究

 

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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