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心を苦しめる「思考のクセ」との付き合い方~認知行動療法の視点より~

心を苦しめる「思考のクセ」との付き合い方~認知行動療法の視点より~

2025/09/18

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、私たちは日常生活の中で、思い通りにいかない出来事に直面することが多々あります。

 

失敗、人間関係のすれ違い、孤独感…。

 

そんな場面では…

 

「もうダメだ」

「きっと上手くいかない」

 

…という否定的な考えが、頭の中に瞬時に自動的に浮かんでくることがあります。

 

こうした瞬時に自動的に浮かぶ考えを、心理学的に「自動思考」と呼ばれます。

 

自動思考は誰にでも自然に生じるものですが、ときに現実を歪めて捉えさせ、心を苦しめる原因となることがあります。

 

そこで、この記事では、自動思考がもたらす影響と、その付き合い方について解説していきたいと思います。

 

1.自動思考とは?~認知行動療法が重要視する「心のクセ」~

 

 

自動思考…といっても多くの方にとっては聞きなれない言葉ではないかと思います。

 

そこでまずは自動思考の解説から始めたいと思います。


1-1.自動思考の正体

 

自動思考は、出来事に触れた「その瞬間」に、ほぼ「反射的に頭に浮かぶ考え」です。

 

自動思考は、私たちが意識して選んだわけではないのに、瞬時に脳裏に沸き起こり、そしてまるで事実のような説得力を帯びて感じられるのが特徴です。

 

分かりやすい例で言うと、ドアが閉まりかけている電車に乗ろうと走っている人を見て…

 

「間に合うのかな?」

「危ないな」

「次の電車を待てばいいのに」

 

という考えが自動的に浮かんできますよね。

 

これが自動思考というものです。

 

もう少し具体例を挙げると、職場で何か問題があった場合に…

 

✔「失敗ばかりしている」

✔「完璧じゃないと意味がない」

✔「あの人は、きっと自分を嫌っている」

 

という考えが瞬時に浮かび、そしてその考えに囚われてしまうということです。

 

ここで大切なポイントは、考え=事実ではないということです。

 

これは「心のクセ(認知の偏り)」にすぎません。

 

しかし、その瞬間は本当に正しいように思えてしまいます。

 

その結果、視野が狭くなり、感情(不安・怒り・落ち込み)や行動(回避・攻撃・固まる)を強く左右します。

 

1-2.よく見られる自動思考のパターン(考えのゆがみ)

 

自動思考の多くは適正なものではなく、偏ったものの見方を持つという性質を持っています。

 

具体的には…

 

✔全か無か思考

→「完璧じゃなければ失敗」

✔過度の一般化

→「一度のミス=私はいつもダメ」

✔心の読み過ぎ

→「返信が遅い→嫌われたに違いない」

✔破局化

→「この失敗で人生が終わる」

✔べき思考

→「~すべき」「~であるべき」が過剰

✔レッテル貼り

→「自分は無能だ」と一言で断定

✔感情的決めつけ

→「不安だ=危険だ」「罪悪感がある=悪いことをした」

 

どれも「瞬時に浮かぶ解釈」であり、そのまま信じてしまうと心理的な問題を生じやすくしてしまいます。

 

2.自動思考に囚われたときの心の影響

 

 

自動思考は、出来事に対して瞬間的に浮かんでくる「心のクセ」のような思考です。

 

表面的には単なる考えに見えますが、実際には感情や行動を大きく左右し、気づかないうちに心の健康を消耗させていきます。

 

以下では、その代表的な心理的影響を詳しくみていきたいと思います。

 

2-1. 「決めつけ」が生む自己否定感や無力感

 

「自分はいつも失敗する」

「どうせうまくいかない」

 

…といった決めつけは、どうしても現実の一部を誇張して受け止めてしまうものです。

 

具体的には、以下の問題が生じます。

 

✔心理的影響

→自分の努力や成功体験が見えなくなり、自己評価が低下する。

✔結果

→無力感が強まり、「やっても無駄」という気持ちが行動を制限し、挑戦する意欲を奪ってしまう。

 

2-2. 「べき思考」がもたらす罪悪感や焦燥感

 

「こうあるべき」

「こうすべきではなかった」

 

…という思考は、一見正しさを追求しているように見えます。

 

しかしその基準は多くの場合、過度に厳格で現実的ではありません。

 

✔心理的影響

→基準を満たせない自分に強い罪悪感を抱き、常に焦りやプレッシャーに晒される。

✔結果

→心身が休まることなく、慢性的なストレス状態を生み出しやすい。

 

2-3. 「相手の心の深読み・先読み」が強める対人不安と孤立感

 

「相手はきっと私を嫌っている」

「あの態度には裏がある」

 

…といった深読み・先読みは、相手の気持ちを推測して決めつけてしまうパターンです。

 

これは、以下の問題を生じさせます。

 

✔心理的影響

→人間関係に不信感が芽生え、安心して関わることが難しくなる。

✔結果

→本来は誤解や一時的な出来事にすぎないのに、距離を取ってしまい孤立感を強める。

 

2-4. 自動思考がもたらす「現実の歪み」

 

これらの自動思考に囚われると、目の前の現実が実際よりも困難で悲観的に見えてしまいます。

 

✔問題が「解決不能」に思えてしまう

✔選択肢が見えなくなり、行動が制限される

✔さらに不安や落ち込みが強まり、悪循環に陥る

 

2-5.まとめ:自動思考に気づくことが第一歩

 

自動思考そのものは人間の自然な心の働きです。

 

しかし、それに無自覚で囚われると、ネガティブな感情が増幅し、心がどんどん追い詰められてしまいます。


そのため、「今、私はどんな考えに囚われているのか?」 と気づくことが、自己否定や孤立の連鎖を断ち切る第一歩になります。

 

3.自動思考との付き合い方~考え方を「調整」する視点~

 

 

私たちの頭に浮かぶ自動思考は、完全に消すことはできません。

 

むしろ、それは人間として自然な反応です。

 

大切なのは「気づき」と「調整(整え直し)」です。

 

考えを少しずつ整えていくことで、心が追い詰められにくくなり、柔軟に生きやすくなります。

 

以下は、その具体的な方法です。

 

3-1. 「これは自分の決めつけかもしれない」とラベルをつける

 

自動思考の特徴は、事実のように思えてしまうことです。


たとえば「自分は失敗ばかり」と思ったとき、それが「本当に事実」なのか、それとも「単なる解釈」なのかを分けてみてください。

 

「これは事実? それとも私の決めつけ?」とラベルを貼るだけで、心に少し余裕が生まれます。

 

3-2. 良い可能性を意識的に想像する

 

自動思考は多くの場合、「どうせダメだ」という悲観的な方向に働きます。


そこで意識的に「もう一つの可能性」を想像してみることが大切です。

 

具体的には…

 

✔「また失敗するかも →「でも、今度はうまくいく可能性もある」

✔「相手に嫌われているかも」→「単に疲れているだけかもしれない」

 

このように考えを整えることで、行動の幅が広がり、前向きな気持ちを持ちやすくなります。

 

3-3. 落ち込んでいる自分を責めない

 

自動思考に流されやすいときは、体調や気分が落ち込んでいることが多いものです。


そんなときに「自分は弱い」「ダメだ」とさらに自分を責めると、心の重荷が増すだけです。

 

そのため…

 

「今はしんどいけれど、これは一過性のプロセスかもしれない」
「落ち込む自分も、人として自然な反応だ」

 

このような見方に切り替えることで、苦しい気持ちを抱えながらも少しずつ立ち直る力が育ちます。

 

3-4. 根拠を探す練習をする

 

自動思考は多くの場合、「証拠のない決めつけ」です。


そこで、「その考えを裏づける事実はあるか?」と問いかける練習をしてみましょう。

 

例えば…

 

「いつも失敗している」→「本当に『いつも』なのか? 成功した場面もあったはず」

「あの人は私を嫌っている→「直接そう言われたことはある?」

 

こうして検証を重ねることで、考え方は現実に近い形へと整っていきます。

 

まとめ

 

自動思考は避けられないものですが、気づき・調整・受け止め直しによって、その影響を和らげることができます。


考えを完全に消そうとするのではなく、柔軟に整えながら付き合うことが、ストレスやネガティブ感情から回復する力を高める第一歩になります。

 

ぜひ、自動思考に「気づき」、そして「適切な形へ置き換える」ということを習慣化し、大切な心を守ってくださいね。

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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