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ADHDの症状~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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ADHDを詳しくみると…?:サブタイプと併存症から見た支援のあり方

ADHDを詳しくみると…?:サブタイプと併存症から見た支援のあり方

2025/09/19

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、多くの方は「ADHD(『注意欠陥多動性障害』または『注意欠如・多動症』)」をご存じの方も多いかと思います。

 

「片付けようと思ったのに気づいたら別のことをしていた」

「大事な予定を忘れてしまった」「つい相手の話を遮ってしまう」


…こうした経験は誰にでもありますが、日常生活に繰り返し現れて困難が大きくなるのがADHDの特徴です。

 

ADHDの問題は子どものころに発見されることもあるのですが、大人の方がADHDの問題を抱えているというケースは決して珍しくなく、、むしろ「大人のADHD」が最近注目されることが多くなっています。

 

そこで今回は、米国マサチューセッツ総合病院のADHD外来で行われた研究もとに、大人のADHDの症状の特徴やサブタイプ、そして臨床での意味合いについて分かりやすく解説したいと思います。

 

1.ADHDの中核的症状とは?

 

 

成人ADHDの大きな特徴は、不注意(集中力や記憶のコントロールの難しさ)にあります。

 

これは単に「ぼんやりしている」ということではなく、脳の注意をコントロールする働きが特性として弱いために起こる現象です。

 

研究でも107名の成人ADHDを評価した結果、最も多く報告されたのがこの「不注意」に関わる症状でした。

 

1-1.不注意の具体例

 

● 気が散りやすく集中が続かない


例えば、仕事で資料を読んでいても、少しの物音や別の考えに気を取られ、内容が頭に入らない。結果的に「同じページを何度も読み返す」ということが頻繁に起こります。

 

● 物をなくす、忘れやすい


鍵や財布、スマホを探して家を出るのに時間がかかる。予定や約束をメモしても、メモ自体をどこに置いたのか忘れてしまうというのが典型例です。

 

これらは「だらしなさ」ではなく、ADHDの方の脳が持つ注意の維持や作業記憶の弱さが背景にあります。

 

● 長時間の作業に集中できない


レポート作成やデータ整理のような単調で時間のかかる作業を続けるのが難しいというものが分かりやすいかと思います。

 

また、途中で他の作業を始めてしまい、結局やりかけのタスクがいくつも残るというのも、大人のADHDの典型的な困りごとです。

 

1-2.子どもの頃との違い

 

子どものADHDで特徴的なのは「多動性・衝動性」が目立つことが多いというものです。

 

例えば、授業中に立ち歩く、順番を待てない、思いついたことをすぐ口にしてしまう、といった行動が典型です。

 

しかし、大人になるとこうした行動は社会的に抑制されることが多く、代わりに「落ち着きのなさ」が心の中の焦燥感やイライラとして現れることがあります。

 

つまり、子ども時代に外に出ていた「多動性」が、大人になると「内面的な落ち着かなさ」に形を変えるのです。

 

1-3.臨床的な視点から

 

心理カウンセラーとして臨床現場で感じるのは、「不注意」は本人だけでなく、仕事や家庭、人間関係に影響が出やすく、それでご本人や周囲の方が対応に困ってしまうことが多いというものです。

 

例えば…

 

✔約束を忘れることで信頼関係が揺らぐ

✔書類の提出が遅れ、仕事の評価が下がる

✔家事の段取りがうまくいかず、生活に負担がかかる

 

これらは当然「努力不足」では決してなく、ADHDの症状として説明できるものです。

 

だからこそ、本人も周囲も「これはその人の『特性』なのだ」と理解することが大切です。

 

2.ADHDのサブタイプとは?

 

 

ADHD(注意欠如・多動症)は一つの症状のまとまりではなく、大きく分けていくつかのサブタイプ(下位分類)に分かれます。

 

これは、どの症状が中心となっているかによって分類され、症状の現れ方や困りごとの傾向に違いが出ます。

 

今回参考にした成人を対象とした研究では、以下のような割合が示されました。

 

✔混合型(不注意+多動・衝動):62%

✔不注意優勢型:31%

✔多動・衝動優勢型:7%

 

つまり、9割以上が「不注意」を含むタイプでした。

 

これは「大人のADHDでは、不注意が中心的な症状になる」ことを意味しています。

 

2-1.サブタイプごとの特徴

 

それでは、ADHDのサブタイプの特徴を見ていきましょう。


1. 混合型(不注意+多動・衝動):62%

 

最も多いタイプで、不注意と多動・衝動の両方が強く現れます。

 

✔不注意の特徴

→集中が続かない、忘れ物や抜け漏れが多い。

✔多動・衝動の特徴

→落ち着かず気持ちがせわしい、相手の話を遮ってしまう、感情のコントロールが難しい。

✔臨床的意味

→不注意による生活の困難に加えて、人間関係や感情のトラブルが加わることが多く、支援では包括的なアプローチが必要です。

 

2. 不注意優勢型:31%

 

比較的落ち着いて見えるものの、集中力や記憶に関する困難が中心となるタイプです。

 

✔特徴

→物事を整理するのが苦手、課題や仕事を先延ばしにする、ぼんやりしているように見える。

✔社会的側面

→外見上は大人しく、問題が気づかれにくいため「努力不足」「やる気がない」と誤解されやすい。

✔臨床的意味

→目立たない分だけ支援が遅れるリスクがありますが、環境調整(タスク管理、リマインダー)によって大きな改善が期待できます。

 

3. 多動・衝動優勢型:7%

 

成人では少数派ですが、衝動的な行動や落ち着かなさが強く現れるタイプです。

 

✔特徴

→思いついたことをすぐに行動に移す、順番を待つのが難しい、感情の爆発がある。

✔社会的側面

→人間関係のトラブルや依存行動につながりやすいこともある。

✔臨床的意味

→感情的な衝動をコントロールするスキルを学ぶ支援が重要となります。

 

2-2.成人ADHDの特徴と「不注意」中心化

 

子どものADHDでは「じっとしていられない」といった多動性が目立ちます。

 

しかし大人になると社会的に抑制されるため、行動としての多動は減少します。

 

その代わりに…

 

✔頭の中が常に散らかっている感覚

✔気持ちがまとまらず焦燥感が続く

✔タスクを整理できず混乱しやすい

 

…といった「内面的な落ち着かなさ」や「不注意」として現れやすくなるのです。

 

2-3.まとめ

 

✔成人ADHDの9割以上は「不注意」を含むサブタイプ。

✔混合型は最も多く、幅広い困難を抱えやすい。

✔不注意型は外から見えにくいため支援が遅れがち。

✔多動・衝動型は少数だが、衝動的な行動や人間関係での困難が目立つ。

 

つまり、大人のADHDは「落ち着きがない人」というよりも、気持ちや行動がまとまらず、生活の中で混乱しやすい方として理解することが大切です。

 

3.臨床的な観点から考えるADHD

 

 

以上の内容を踏まえて臨床的な観点、つまりADHDのケアにどのようなことが重要かを見ていきたいと思います。


3-1. 不注意に焦点を当てた評価が大切

 

大人のADHDでは、子ども時代に目立った「多動性・衝動性」よりも、集中できない・忘れやすい・段取りが苦手といった「不注意」が中心になります。

 

これは職場や家庭生活に大きな影響を与え、本人が「努力不足」「怠けている」と誤解される原因にもなります。

 

そのため、支援やケアではまず「不注意」に焦点を当てることが必要不可欠です。

 

3-2. 併存症を見逃さない~併存症発症のリスクを理解する~

 

成人のADHDでは、不安障害やうつ病などの併存症が非常に多いことが知られています。

 

研究によれば、ADHDのある人の半数以上が何らかの精神疾患を併発するとも報告されています。

 

● なぜリスクが高いのか?

 

✔不注意による失敗体験や周囲からの否定的な反応 → 自尊感情の低下、抑うつ傾向

✔衝動性による対人トラブルや社会的ストレス → 不安障害の発症リスク

✔職場の業務管理の困難さ → 職場での評価低下や慢性的なストレス

 

つまり、ADHDそのものの症状が「二次的な困難」を引き起こし、それが別の精神疾患の発症リスクにつながりやすいのです。

 

3-3. 一人ひとりに合った対応

 

ADHDはサブタイプや併存症の有無によって症状像が大きく変わるため、個別化された支援が必要です。

 

具体的には…

 

✔不注意型

→タスク管理や記憶を補助する工夫(リマインダー、整理法)が中心

✔混合型

→不注意+感情の起伏が課題となるため、感情調整スキルやストレス対処法も重要

✔併存症がある場合

→不安や抑うつの治療とADHD支援を並行して行う必要がある

 

例えば、不注意型でうつを併発している方には「タスク管理」と「自己批判を和らげる認知行動療法」が効果的です。

 

混合型で不安の強い方には「感情調整スキル」と「不安管理」の両方を組み合わせるアプローチが必要になります。

 

まとめ

 

大人のADHDは「不注意」が中心で、サブタイプや性別によっても特徴が異なります。

 

研究は、ADHDを単に「落ち着きがない」と片づけるのではなく、注意の持続や情報処理のスタイルに着目する必要性を示唆しています、。

 

これは非常に重要なのですが、ADHDとは「欠点」ではなく「脳の働き方の違い」です。

 

その理解が、自分らしい生活の工夫や支援につながります。

 

もしもADHDでお悩みの場合は、ご自身がどのタイプなのか、そしてどのような支援やケアが必要なのかを理解してくださいね。

 

Presenting ADHD Symptoms, Subtypes, and Comorbid Disorders in Clinically Referred Adults with ADHD

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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