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不安が生じるメカニズム~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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不安の敏感さが心に与える影響とは?~「不安への不安」という仕組み~

不安の敏感さが心に与える影響とは?~「不安への不安」という仕組み~

2025/09/29

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、皆さんは…

 

✔夜、少し胸がドキドキすると「悪いことが起きるかもしれない」と不安が広がって眠れなくなる。

✔会議で手が震えると「みんなにバレたらどうしよう」と余計に緊張する。

✔仕事で小さな失敗をすると「自分はダメな人間だ」という強い不安を感じる。

 

ということはありませんか?

 

実はこれらには共通した心の働きがあります。


それが 「不安に対して不安になる」 というメカニズムです。

 

心理学では、こうした傾向を不安感受性(Anxiety Sensitivity)と呼びます。

 

これは、不安を感じること自体を危険だと解釈してしまうことで、不安がどんどん膨らんでしまう状態を指します。

 

そこでこのブログでは、大規模な研究で明らかになった「不安感受性と不安症状の関係」を踏まえながら、不安が強まりやすい仕組みをお伝えしたいと思います。

 

1.不安感受性とは何か?~「不安を怖がる心」のしくみ~

 

 

不安感受性(Anxiety Sensitivity)とは…

 

「不安を感じたときの身体や心の反応を、危険だと解釈してしまう傾向」

 

…を指します。

 

これは単なる「不安の強さ」ではなく、不安に対する「解釈や捉え方、考え方」の仕方に関わるものです。

 

例えば…

 

✔動悸 →「何かの病気かもしれない!」

✔手の震え →「人から変に思われるに違いない!」

✔緊張感 → 「自分はダメな人間だ!」

 

このように、身体の自然な反応を「危険」「恥ずかしい」「自己否定」ととらえてしまうと、不安は一気に増幅していきます。

 

その結果、本来であれば数分で収まるはずの不安が、「不安を不安が呼ぶ」悪循環に陥りやすくなるのです。

 

1-2.不安感受性と不安症状の悪循環

 

2019年に発表されたオランダの大規模研究では、2,000人以上を2年間追跡した結果…

 

✔不安感受性が高い人ほど不安症状が強い

✔さらに両者の変化は連動している

 

…ということが明らかになりました。

 

つまり、「不安感受性が強くなると不安症状も強くなる」という関係です。

 

これは、「不安そのもの」ではなく、「不安をどう解釈しているか」が症状の重さを左右していることを示しています。

 

例えば、動悸を「危険」と思うか「一時的な反応」と思うかで、その後の不安の広がり方はまったく違ってくるとイメージすると分かりやすいと思います。

 

1-3.精神疾患を悪化させる要因としての不安感受性

 

研究では、不安感受性が高い人はパニック発作、不安障害、うつ病の発症リスクが高いことも報告されています。

 

これは、不安感受性が単に「不安を感じやすい性格」ではなく、精神疾患の悪化要因となりうる心理的リスク因子であることを意味します。

 

例えば…

 

✔パニック障害

→「心臓がドキドキ=死ぬかもしれない」と解釈してしまい、発作を繰り返しやすい。

✔社交不安障害

→「手が震える=恥をかく」と考えることで、人前の緊張が悪化する。

✔うつ病

→「不安が強い=自分は弱い人間」という認知が、自己否定感を深めてしまう。

 

このように、不安感受性はさまざまな精神疾患に共通する「増悪因子」として作用する可能性があります。

 

2.研究結果から見えた不安が強くなるメカニズム

 

 

では、実際に「不安に対する不安」というものがどのように働くのか、研究結果を踏まえて解説したいと思います。


2-1. 不安感受性は基本的に安定していた

 

研究では、2,052名を対象に不安感受性を2年間追跡しました。

 

その結果、2年後の相関係数は0.72と高く、不安感受性が比較的「変わりにくい特性」であることが確認されました。

 

心理学的な特性の中で相関0.70を超える数値はかなり強い安定性を示すため、「不安感受性は一度形成されると長期的に持続しやすい傾向がある」と解釈できます。

 

これは、不安感受性が単なる一時的な気分や環境の影響ではなく、パーソナリティ的な特質に近い要素を持っていることを示しています。

 

そのため、カウンセリングの臨床でもセルフケアでも「その方の持ち味としての不安への敏感さ」を理解することが重要になります。

 

2-2. しかし一部の人では変化も見られた

 

先述しましたように不安感受性は全体的には安定していたものの、すべての人が同じように不安感受性を保ち続けたわけではありません。

 

ストレスの強い環境に置かれた人は不安感受性が高まる一方で、心理療法や薬物療法などの介入を受けた人は不安感受性が低下する傾向が見られました。

 

つまり、不安感受性は「変わりにくいが、不変ではない」ということです。

 

特に強いストレス体験(例:職場の過度なプレッシャー、家庭内の不和、身体的な病気など)があると、不安への敏感さが増幅されやすいことが示されています。

 

逆に、治療的な介入によって不安感受性が下がれば、その人の不安症状全体が和らぐ可能性があるのです。

 

2-3. 不安感受性が下がると、不安症状も軽くなる

 

さらに重要なのは、不安感受性の変化と不安症状の変化が連動していたという点です。

 

統計分析では、不安感受性が1ポイント下がるごとに、不安症状の指標が約0.52~0.64ポイント改善していました

 

これは…

 

✔不安に敏感でなくなること

↓ ↓ ↓

✔不安そのものの強さを直接的に和らげる

 

…という可能性を示しています。

 

言い換えれば、「不安に対する解釈の仕方を変えること」が、不安症状の改善につながるのです。

 

臨床的には、次のような意味を持ちます

 

✔パニック障害の方が「動悸=心臓発作ではない」と再学習できれば、発作の頻度や強さが下がる。

✔社交不安の方が「手の震え=恥ずかしいことではない」と受け止められれば、人前での緊張が和らぐ。

✔不安とうつを併せ持つ方も、「不安を感じても危険ではない」と理解することで、抑うつ感の悪化を防げる可能性がある。

 

2-4.不安感受性を「火災報知器」にたとえると

 

不安感受性は、家や職場、学校にある火災報知器に似ています。

 

火災報知器は、本来なら火事のときに鳴って命を守ってくれる大切な装置です。

 

しかし、もしこの報知器が過敏すぎるとどうなるでしょうか?

 

つまり…

 

✔ちょっと煙が出ただけで「火事だ!」と大音量で鳴る。

✔料理の湯気やお香の煙にまで反応して、しょっちゅう警報が鳴る。

 

…という結果が生じてしまいます。

 

このように過敏な報知器は、実際には危険でない場面でも「危険だ!」と知らせてしまい、私たちを不安にさせます。

 

不安感受性が高い方の心もこれと同じです。

 

つまり、本当は危険ではないのに、「危険だ」と解釈してしまうことで、不安の警報が鳴り響いてしまうのです。

 

2-5.過敏な火災報知器は調整できる

 

大事なのは、この「報知器(不安感受性)」は調整できるということです。

 

心理療法やカウンセリングで「これは本当に火事なのか?それとも料理の煙にすぎないのか?」と見極める練習をしていくと、報知器が少しずつ適切に反応するようになります。

 

そうすれば、本当に危険なときには役立ち、そうでないときには無用に不安をかき立てなくなります。

 

つまり、不安感受性とは、「過敏に鳴りすぎる火災報知器」のようなものです。


これは放っておくと不安が増幅し、パニックやうつなどの精神疾患を悪化させる要因になりえます。

 

しかし、適切な理解とサポートを通して調整していけば、「必要なときにだけ鳴る」報知器に近づけていくことができるようになります。

 

3.心理カウンセリングへの示唆

 

 

この研究結果は、カウンセリングや心理療法にいくつかの大切な示唆を与えてくれます。

 

(1)不安感受性はターゲットにできる

 

不安症状を和らげるには、不安感受性そのものを扱うことが効果的であるということが研究によって示唆されています。

 

たとえば認知行動療法では「認知再構成法」を用いて、不安を引き起こす思考のパターンを丁寧に見直していきます。

 

具体的には「動悸=心臓に問題がある」といった思考を、「動悸は不安や緊張の自然な反応であり、必ずしも危険を意味するわけではない」と再解釈するアプローチを行います。

 

こうした取り組みは、不安感受性を下げる狙いがあります。

 

(2)不安感受性は「変わりにくい」が「変えられる」

 

研究は「安定性が高い」と同時に「変化の余地もある」と示しました。

 

これは、カウンセリングや心理療法で焦点を当てることで、改善の可能性があることを意味します。

 

つまり、不安に敏感な心の傾向は自然には変わらないけれど、取り組み(セラピー)によって緩和することができるのです。

 

(3)自分の不安を「どう解釈しているか」が重要

 

「動悸=危険」「緊張=弱さ」といった思い込みは、不安を大きくしてしまいます。

 

セラピーでは、こうした自動的な解釈を安全に見直し、「不安のサインは危険ではなく、自然な反応である」と再認識できるようにしていきます。

 

このプロセスを繰り返すことで、不安に対する受け止め方が柔らかくなり、日常生活での安心感が高まります。

 

まとめ

 

不安が強い方は「また不安になってしまう」と自分を責めやすいものです。

 

しかし、それは「不安感受性」という心理的な傾向による部分も大きいのです。つまり「あなたのせい」ではありません。

 

この研究が伝えるメッセージは、「不安感受性は変わる可能性がある」という希望です。

 

例え不安を感じやすい心のクセがあっても、適切な理解と支援によって、少しずつ不安にとらわれにくくなることができます。

 

上手く不安とお付き合いをし、不安そのものを軽減できるようにして生きましょう!

 

参考論文

Anxiety sensitivity, its stability and longitudinal association with severity of anxiety symptoms

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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