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なぜ認知行動療法は選ばれるのか?~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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なぜ認知行動療法は選ばれるのか?

なぜ認知行動療法は選ばれるのか?

2025/10/07

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

今日は私が専門としている心理療法である認知行動療法のエビデンス(科学的根拠)についてお伝えしたいと思います。

 

心理カウンセラーとしての専門性として、私は認知行動療法だけではなくACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)や来談者中心療法、交流分析(TA)のトレーニングを受けておりますが、しかし実際の心理臨床では認知行動療法、そして認知行動療法の第三世代であるACTを用いることが大半です。

 

その理由ですが、実際に臨床として効果がみられるだけではなく、エビデンス(科学的根拠)があるから、というものがあります。

 

そこで、このブログでは認知行動療法の科学的根拠を示した論文を踏まえつつ、その効果についてお伝えしたいと思います。

 

なお、このブログもそうですが、私自身が認知行動療法以外の心理療法のトレーニングを受けていることからもお分かりの通り、他の心理療法を否定する意図はないということをご理解いただけると幸いです。

 

1. 研究論文の概要:認知行動療法と他療法の比較

 

 

今回の記事は認知行動療法のエビデンス(科学的根拠)をお伝えするためのものですので、簡単に研究結果をご紹介いたします。

 

…ポイントだけをギュッと凝縮しましたが、読み飛ばしていただいても良いかと思います(笑)。

 

1-1.目的

 

認知行動療法が他療法(精神分析、対人、支持など)より効果的かをメタ分析で検証。

 

● 対象

→1972–2006年のRCT中心、26件(28論文)/約1,981名、不安・抑うつ・物質使用・人格・摂食など幅広い疾患。

 

● 比較

→認知行動療法 vs 非CBT(精神分析的、対人療法、支持療法 など)。

 

● 評価指標

→主症状(不安・抑うつ等)、全般症状、機能(生活・社会適応)。

 

1-2.主な結果

 

研究結果は「効果量」という指標を使って表します。

 

効果量(effect size)は、「治療によってどのくらい変化が起きたか」を表す「変化の大きさ」の目安です。


例えば、「治療を受けたグループ」と「受けなかったグループ」で症状の改善度を比べたときに、その差が小さいか、中くらいか、大きいかを数字で表します。

 

● 認知行動療法の効果の大きさは…

 

研究では、認知行動療法を受けた人たちは「他の心理療法」を受けた人たちに比べて…

 

✔治療直後では良くなる傾向がある(小〜中くらいの差)

✔半年後でははっきりと良くなっている(中くらいの差)

✔1年後でも効果が持続している(小〜中くらいの差)

 

という結果が得られています。

 

つまり、認知行動療法は他の心理療法と比べて「効果に劇的な違いがある」とまでは言えませんが、「効果については優位性がある」という結果になっています。

 

2. 認知行動療法の優位性が示す意味

 

 

先述しましたように、Tolin(2010)のメタ分析では、認知行動療法が他の心理療法に比べ優位に効果があることを示すことが報告されています。

 

では、なぜ認知行動療法は比較的高い効果を発揮しやすいのでしょうか。

 

その背後には、理論的に明確で、臨床実践と科学的検証を結びつけやすい特徴があります。

 

以下では、その3つの主要因について、理論的背景と実際のカウンセリング現場での意義を掘り下げて説明します。

 

2-1.明確な理論構造と手順の可視性

 

認知行動療法の核にあるのは、「思考(認知)」「感情」「行動」の三要素が互いに影響し合うという認知モデルです。


このモデルは、A.T.ベック(Aaron T. Beck)によるうつ病の認知理論に端を発し、「出来事(Activating event)→自動思考(Belief)→感情・行動(Consequence)」というABCモデルとして広く知られています。

 

たとえば、同じ出来事が起きても、「自分はダメだ」と考える人と「今はうまくいかなかっただけ」と捉える人では、感じ方も行動も大きく異なります。

 

認知行動療法では、この「思考のフィルター」を可視化し、クライエント様ご自身が自分の認知パターンを客観的に理解できるよう支援します。

 

また、認知行動療法は構造化されたセッション形式をとり、セッションの冒頭で目標を確認し、内容を整理し、終わりに振り返りと課題設定を行うという一定の流れを重視します。


このような可視性・再現性の高さは、治療のプロセスを科学的に検証しやすくするだけでなく、クライエント様ご自身が「自分が何に取り組んでいるのか」を理解しやすくする点でも非常に実用的です。

 

臨床的に見ても、構造が明確であることは、漠然とした不安や混乱を抱えるクライエントに「安心感」をもたらします。

 

「今、何をしているのか」「どんな変化を目指しているのか」が見える化されることで、治療への信頼感が高まるのです。

 

2-2.認知(考え)の変化と行動変化の併走

 

認知行動療法の大きな特徴のひとつは、「認知(考え・思考)面の介入」と「行動面の介入」を同時に進める点です。


理論的には、思考(認知)の変化が感情や行動を変える一方で、実際に行動を変えることが思考を変化させることも知られています。

 

これは双方向性モデルとして説明されます。

 

● 認知面への介入


代表的なのが「認知再構成法」です。

 

自動思考や非合理的信念を記録し、「本当にそう言い切れるだろうか?」「別の見方はないだろうか?」といった検討を通じて、現実的で柔軟な思考パターンを身につけていきます。

 

● 行動面への介入


行動活性化などを通じて、実際の行動を少しずつですが変えていきます。

 

たとえば、うつ状態で外出を避けている場合、「5分だけ散歩してみる」といった小さな行動目標を立て、それを積み重ねることで肯定的な経験を増やしていきます。

 

行動面の介入が効果を持つ理由は、シンプルに言うと「行動が変わると、感情や思考も自然に変わっていくから」です。

 

つまり、行動も感情と双方向で結びついており、行動を変えることが感情的・心理的問題の解決へと繋がっていくのです。

 

この「認知」と「行動」の両輪を回すアプローチは、思考の理解にとどまらず、実際の生活行動の変化を促す点で、他の心理療法(例:洞察中心療法や支持療法)と大きく異なります。

 

臨床現場では、たとえクライエント様が認知(考え)のゆがみを理解していても、「行動が伴わない」と回復が進みにくいケースが多く見られます。

 

逆に、小さな行動変化を積み重ねることで「自分でも変われる」という実感が生まれ、それが思考の変化へとつながるのです。

 

この「変化の循環」を意図的に作り出せる点が、認知行動療法の臨床的強みと言えるでしょう。

 

2-3.ターゲット設定とモニタリング:変化を「見える化」する

 

認知行動療法のもう一つの特徴は、「目標志向的であり、進捗を常にモニタリングする」ことです。


心理療法の初期段階では、クライエントとともに「明確で達成可能な目標(SMART目標)」を設定します。

 

SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性のある)、Time-bound(期限を設定)という原則です。

 

また、セッション間の取り組みや、気分・思考記録などを活用して、変化の過程を可視化します。

 

これにより、「できた/できなかった」ではなく、「どんな時にできたか」「何が助けになったか」という具体的データを基に振り返ることが可能になります。

 

このモニタリングによるフィードバックループは、行動変化を定着させる重要なメカニズムです。

 

自己効力感(self-efficacy)を高め、「変化は偶然ではなく、自分の努力で生み出せるもの」という感覚を支えます。

 

まとめ:エビデンス(科学的根拠)と、「その人らしさ」の間で

 

 

ご覧いただいたように、今回ご紹介した Tolin(2010)の研究は、認知行動療法が他の心理療法と比べて、特に不安や抑うつの改善において優れた効果を示す可能性を明らかにしたものです。


その一方で、すべての人に当てはまる「万能の療法」が存在しないことも同時に示しています。

 

しかし、そもそも全ての心理的問題に対して万能である心理療法は存在しません。

 

そのため、クライエント様の「その人らしさ」を踏まえて適切な心理療法を選択する必要があります(認知行動療法が専門である私が違う心理療法の専門的なトレーニングを受けているのは、まさにそのためです)

 

心理臨床の現場では、統計的な「平均値」よりも、目の前の一人のリアルな変化の方がはるかに重要です。


認知行動療法が有効であっても、ある人にはゆっくり進める支援が合うかもしれませんし、他の人には過去の感情体験を深く扱うプロセスが必要な場合もあります。

 

私が臨床で意識しているのは、「療法の枠組み」に縛られず、その人が抱える症状や困りごとに応じて、最適な方法を柔軟に組み合わせていくことです。


認知行動療法の構造化された手法は、確かな支えになりますが、それを生かすのは「人と人との対話」であり、「信頼関係」の上に成り立つものだと感じています。

 

そのため、心理療法を選ぶときは…

 

「どの心理療法が優れているか」ではなく、「どの心理療法がご自身に合っているか」

 

その点を重視してください。

 

エビデンスと臨床のあいだで、その人らしい回復をともに探していくこと。


それこそが、心理カウンセリングの最も人間的で、そして効果と希望のある部分だと思っています。

 

参考論文

Is cognitive-behavioral therapy more effective than other therapies? A meta-analytic review

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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