発達障害と生きづらさの正体とは?~自閉症スペクトラム症、ADHDの理解と対処~
2025/10/14
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
「発達障害」「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー」「ADHD」という言葉は広まりましたが、現場でご相談を受けていると、依然として「誤解」が生きづらさを増やしていると感じます。
発達特性は目に見えにくく、残念ながら「好ましくない性格的特徴」と思われがちです。
そこでこのブログ、ではDSM-5-TR(精神障害の診断・統計マニュアル)に基づき、「自閉スペクトラム症(アスペルガー:ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)を、臨床の視点と日常で役立つヒントの両面から分かりやすく整理します。
ただし、正確な知識による安心と具体的な対応をお届けすることが目的ですので、医師のみが行うことができる診断は目的でないことをご理解ください
1.発達特性とは?

発達特性(発達障害)とは、先天的な神経発達の偏りによって、学齢期以前から注意・社会性・コミュニケーション・行動調整などに継続的な困難がみられる状態を指します。
知能の高低や性格とは別軸で、環境(要求の強さ・支援の有無)との相性により表れ方が大きく変わります。
そして診断ですが、公認心理師、臨床心理士が心理的テストによって発達障害の有無や程度は判断することはできますが、最終的な診断は医師(精神科・小児科等)が行い、心理検査・発達歴・学校/職場情報などを総合して評価されます。
2.自閉スペクトラム症(ASD)とは?~「人との関わり」が苦手になる理由~

それでは、ここでは発達障害の1つである自閉症スペクトラム症(アスペルガー症候群)についてお伝えしたいと思います。
2-1. 自閉スペクトラム症(ASD)の基本的な特徴
自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)は、生まれつき脳の働き方に偏りがあることで、対人関係やコミュニケーション、興味や行動の幅に特徴が見られる発達特性です。
「スペクトラム」という言葉は、「連続体」という意味で、症状の強さや表れ方が人によって大きく違うことを示しています。
そしてDSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル)では、自閉症スペクトラム症の診断は以下の2つの大きな特徴をもとに判断されます。
(1)社会的コミュニケーションの難しさ
これは、人との関わりや会話が、どこかぎこちなくなるのが特徴です。
例えば…
✔会話のキャッチボールが難しい(一方的に話す、反応が薄い)
✔表情や視線など、言葉以外のサインを読み取りにくい(相手の顔色や声のトーンを察するのが苦手)
✔人との距離の取り方が独特(急に懐いたり、逆に関心が薄かったりする)
具体例を挙げると、相手が冗談を言っていることに気づけず真に受けてしまったり、グループの中で「暗黙のルール」をつかめず困ってしまうことがあります。
(2)限られた興味や繰り返しの行動
もう1つの特徴は、行動や興味が「決まったパターン」に偏りやすいことです。
例えば…
✔同じ動作や言葉を何度も繰り返す(例:「常同的な行動」「エコラリア=言葉のオウム返し」)
✔ルーティンや順番が崩れると強いストレスを感じる(例:予定変更、通勤ルートが違う など)
✔特定のものに強くこだわる(例:電車、地図、数字などに異常な集中力を見せる)
✔音・光・匂い・服の肌ざわりなどに過敏または鈍感(感覚過敏・鈍麻)
こうした特性は「自分勝手」や「マイルール」と誤解されることもありますが、本人にとっては安心を保つための自然な反応であると考えることが重要です。
2-2.いつから見られるか
自閉症スペクトラム症の特徴は幼児期からあらわれるのが基本です。
つまり、「急にそうなった」のではなく、成長の過程で環境や人間関係の要求が増えたときに目立つようになります。
例えば、学校生活や社会生活が始まると、他人との距離感や柔軟な対応が求められるため、「生きづらさ」として表面化します。
あるいは、保護者や教師が自閉症スペクトラム症の特徴に気づき、それによって正式な診断…となることも珍しくありません。
2-3.困りやすい場面の具体例
自閉症スペクトラム症の方は、「あいまいさ」や「予測できない状況」が特にストレスになります。
具体的には…
✔グループ活動や会議で、暗黙の了解が多い場面
✔スケジュールの急な変更や、予期せぬ出来事への対応
✔強い音・匂い・光など感覚刺激が多い環境(例:人混み、蛍光灯の音)
✔興味のない作業への切り替え(例:「好きなことを中断して次へ」が難しい)
2-4.自閉症スペクトラム症の強みを活かすポイント
自閉スペクトラム症の方は、集中力・誠実さ・記憶力・パターン認識力など、特定の分野で抜群の力を発揮することが多々あります。
例えば…
✔データ分析や研究、プログラミングなど「論理的」「構造的」な作業
✔ルールが明確で繰り返しの多い仕事
✔興味のある分野に打ち込む専門性
また、手順を明確に示すこと、視覚的にサポートする(図やリストを使う)、予定を前もって伝えるなどの工夫があるだけでも、力を最大限に発揮できます。
3.注意欠如・多動症(ADHD)とは?集中できないのではなく「注意の配分が難しい」

では次に、注意欠如多動性症の詳細を見ていきましょう
3-1. ADHDの基本的な特徴
ADHD(注意欠如・多動症:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、注意のコントロールや衝動の抑制が難しい発達特性です。
これは単なる「不注意」や「落ち着きのなさ」ではなく、脳の「実行機能(計画・整理・切り替え)」のバランスに関係しています。
DSM-5-TRでは大きく分けて以下の2つが診断の中心です。
(1)不注意のタイプ
これは集中力が続かず、細かい部分を見落としたり、忘れ物が多いタイプです。
例えば…
✔課題や仕事を最後までやり遂げるのが難しい
✔指示や順序を間違えることが多い
✔忘れ物・紛失が多く、整理整頓が苦手
✔外からの刺激(音・人の動き)にすぐ気を取られる
ただし、「興味のあること」には驚くほど集中できることは珍しくありません。
これは「過集中」と呼ばれる状態です。
過集中は最終的には疲労に結びつために、良い面と悪い面がありますが、注意のスイッチが極端にオン・オフになる特徴です。
(2)多動性・衝動性のタイプ
これは落ち着いてじっとしていることが難しく、考えるより先に動いてしまうタイプです。
具体的に言いますと…
✔手足を動かさずにはいられない(貧乏ゆすり・ペン回しなど)
✔話を最後まで聞く前に口を出してしまう
✔順番を待つのが苦手
✔感情や衝動が抑えきれず、思ったまま行動してしまう
こうした傾向は成長とともに落ち着いていくこともありますが、大人になっても「頭の中が常に動いている」感覚として続く方もおられます。
3-2.ADHDの診断の考え方
ADHDの診断基準は以下の通りとなります。
✔6か月以上、家庭や学校・職場など複数の場面で症状が続くこと
✔12歳以前からいくつかの特徴がみられること
✔日常生活や仕事に明確な支障をきたしていること
✔他の病気(不安障害やうつなど)だけでは説明できないこと
3-3.困りやすい場面の具体例
ADHDの方は以下のような「困りごと」を抱えることが珍しくありません
✔複数の作業を同時に進める(段取りを立てるのが苦手)
✔締め切りや提出物の管理(後回しにしてしまう)
✔長時間の会議や授業(じっと座ることが難しい)
✔「あとでやる」ができず、行動が先走ってしまう
3-4.ADHDの強みを活かすポイント
ADHDの方には、発想の豊かさ・行動力・瞬発力・柔軟性があります。
ひらめきや直感で動くタイプの人が多く、創造的な仕事やスピードが求められる分野で力を発揮しやすいです。
4.自閉症スペクトラム症/ADHDの「困りごと」をやわらげるための工夫

ここからは、自閉症スペクトラム症やADHDを持っている方が「生きやすくなる」ための工夫をお伝えいたします。
これらはセルフケアとしても用いることもできますし、周囲の配慮の際に使えるものでもあります。
4-1. 予定を見える形にして安心感をつくる
見通しが立つことで、不安や混乱がぐっと減ります。
例えば…
✔カレンダーやホワイトボードで、1週間・1日の予定を見えるようにする。
✔予定の変更は、できるだけ早めに知らせて、代わりの案も伝える(例:『明日は会議がなくなったけど、代わりに資料整理をしよう』)
突然の変更は強いストレスになることがあります。先の見通しを伝えるだけで、気持ちの準備ができるようになります。
4-2. 指示は「短く・はっきり・具体的に」
あいまいな言葉は混乱のもとになります。
そのために「丁寧に書いてね」よりも、「3行でまとめて」「15時までに提出してね」のように具体的に考える・伝えることが有効です。
また話すだけでなく、メモやチャットでも伝えると安心です。
当事者の方が言葉の裏を読まなくていいように、できるだけ「誰が・何を・いつまでに」を明確にしましょう。
4-3. 感覚に配慮する
発達障害の当事者の方で音・光・においなどの刺激に敏感な方もあなりおられます。
そのため…
✔座る位置を出入口や人の動きが少ない場所にする。
✔イヤーマフやヘッドホンを使ってもいい環境にする。
ちぇく明るすぎる照明や強いにおいを避ける。
こうした「ちょっとした違い」が集中力に大きく影響します。
4-4. 仕事や課題は小さく区切って達成感を
一度に大きな仕事をやるより、「小さなゴール」を積み重ねる方が続けやすくなります。
例えば…
✔仕事を小さなステップに分けて、一つ終わったら「できた!」と確認。
✔短時間集中+休憩を組み合わせる(例:25分作業+5分休憩)。
このようにすることで、完了するたびに達成感を感じやすくなり、モチベーションが続きやすくなります。
4-5. コミュニケーションの工夫
当事者の方に対する対応は、注意したり叱るよりも、「どうすればうまくいくか」を一緒に考える姿勢が大切です。
つまり…
✔「なんでできないの?」ではなく、「こうすればうまくいくかも」と具体的に伝える。
✔良い行動を見つけたら、その場ですぐに短く褒める(例:『今の伝え方、すごく分かりやすかったね』というような言い方)
このようにすることで、小さな成功を積み重ねることで、自己肯定感が育ちます。
まとめ
自閉症スペクトラム症(アスペルガー)やADHDの方にとって、「わかりやすさ」「見通し」「安心できる環境」は何よりのサポートです。
これは大げさな特別対応ではなく、少しの配慮だけでも大きな安心につながります。
一人ひとり、あるいはご自身の特性を理解し、具体的な工夫で支え合うことで、学校も職場も、もっと過ごしやすい場所にしていくことができます。
「脳の特性を理解する」
ここから始めていきましょう。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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