株式会社ユナイテッド

ポジティブ感情になるコツ~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

お問い合わせはこちら

シアワセは「ポジティブ」だけじゃない?「気分がいい」よりも「自分らしく感じる」ことの大切さとは

シアワセは「ポジティブ」だけじゃない?「気分がいい」よりも「自分らしく感じる」ことの大切さとは

2025/10/18

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

多くの方はポジティブな感情を好み、ネガティブな感情を嫌います。

 

これは当然のことで、ポジティブな感情は心地よいですし、ネガティブな感情は不快なものです。

 

しかし、「いつも明るくいなきゃ」「落ち込むのはダメ」と、自分の感情にフタをしているかたも多いのではないでしょうか?

 

しかし、「シアワセになるためには、必ずしもポジティブな感情である必要はない」という研究結果があります。

 

つまり、「幸せ」は単に「気分がいい」ことではなく、「自分が感じたい感情を感じている状態」のことを指すのです。

 

この考え方は、古代ギリシャの哲学者アリストテレスの「幸福とは、正しい感情を感じている状態である」という考えに基づいているのですが、それが心理学的に裏付けされたことになります。
 

そこで、このブログでは「シアワセ」と「ポジティブ・ネガティブ感情」の関係について考えてみたいと思います。

 

1.世界8カ国・2,324人を対象にした研究が示す「幸福の条件」

 

 

心理学者Tamirらが行った国際共同研究では、アメリカ・中国・日本・ドイツなど8カ国の方2,324名を対象に、「どんな感情を感じたいか」と「実際にどんな感情を感じているか」を調べました

 

その結果は…

 

✔シアワセな人は、「自分が感じたい感情」を感じていた人だった。

✔それは「愛情」や「感謝」といったポジティブな感情だけでなく、「怒り」や「悲しみ」といったネガティブな感情であっても同様だった。

 

…という少々驚きの結果が出ました。

 

つまり、たとえ嫌な感情であっても、「自分にとって必要だ」と感じる感情を体験しているとき、人は幸福を感じやすいというのです。

 

2.嫌な感情も「自分を守る大切な感情」

 

 

Tamirらの研究によると、「幸福とは『正しい感情を感じている状態』である」というアリストテレスの考えと同様に、人が自分にとって「必要だと感じる感情」を体験しているときに幸福感が高まることが分かりました。

 

つまり、怒りや悲しみといったネガティブな感情であっても、それが自分の価値観や状況に合致していれば、心理的には健全な反応なのです。

 

以下では、この研究を背景に「嫌な感情も自分を守るサイン」というテーマをより深く説明します。

 

2-1.感情は「悪者」ではなく「適応のための大切なツール」

 

Tamirらの研究で示された重要な発見は繰り返しになりますが、「人は自分が『感じたい感情』を感じられているときに幸福度が高まる」という点です。

 

ここでいう「感じたい感情」とは、心地よい感情だけではなく、「怒り」「悲しみ」「不安」などの不快な感情を含みます。


これらの感情は、生き延びるためのシグナルとして人間の進化の中で発達してきました。

 

つまり、「嫌な感情」にはすべて適応的な意味があります。

 

2-2.「怒り」~境界を守るためのチカラ~

 

怒りは、人が自分の価値や尊厳を脅かされたときに生まれる感情です。

 

心理学的には「境界を守るためのアラーム」であり、自分を大切にする感覚(セルフアサーション)と密接に関係しています。


Tamirらの研究では、怒りを「negative self-enhancing emotion(自己強化的なネガティブ感情)」と位置づけており、怒りを「正しい場面で感じられることが幸福に寄与する」ことが示されました。


つまり、怒りを感じること自体が悪いのではなく、「何に対して怒るか」「どう扱うか」が重要なのです。

 

そのため、怒りは自分を守るための境界線を知らせるサインだと言えるでしょう。

 

2-3.「悲しみ」~喪失を受け入れ、回復へと向かうプロセス~

 

悲しみは、失ったものや人との別れ、期待の崩壊に対して生まれる自然な感情です。


心理学的には、悲しみは「喪失を受け入れるための心のプロセス」であり、涙を通してストレスホルモン(コルチゾール)を排出し、自己回復を促す作用もあります。


Tamirらの研究の補足文献群では、悲しみを感じることが抑うつとは異なる「感情の整合性(emotional coherence)」に関わると指摘されています。


つまり、悲しみを避けようとするよりも、悲しみを「正しく感じられる」ことが、長期的には回復を早め、自己理解を深める道になるのです。

 

2-4.「不安」~未来に備えるためのエネルギー~

 

不安は「危険を予測するシステム」であり、未来に対して備えようとするための感情です。


過剰な不安は確かに苦しみをもたらしますが、適度な不安は私たちを不確実な未来に対して適切な結果を生み出すための行動へと駆り立てます。


つまり、「不安を感じる=弱い」ではなく、「未来を見据えて準備している」という自然な心理的機能なのです。

 

2-5.感情を抑えるほど「感じられなくなる」

 

怒りや悲しみ、不安を「感じてはいけない」と抑え込むと、脳の感情処理領域である扁桃体と前頭前野のバランスが崩れてしまいます。

 

そして、やがて「何を感じているのか分からない」状態(感情鈍麻:アレキシサイミア)に陥ることがあります。


Tamirらの研究でも、「感じたい感情」と「感じている感情」のずれが大きいほど、抑うつ傾向が高まることが示されました


このように、感情を否定することは、実は心のエネルギーを奪ってしまうのです。

 

2-6.幸せとは「感情をなくすこと」ではなく、「感情と調和すること」

 

この研究が教えてくれるのは、幸福とは「常にポジティブでいること」ではなく、自分にとって「正しい感情」を感じられている状態だということです。

 

つまり、幸福の秘密は「feel good」より「feel right」。

 

快い感情を追い求めるよりも、「自分にとって意味のある、望ましい感情を感じられているか」が幸福を左右するのです。

 

3.「幸せになる」とは、「自分の感情と仲直りすること」

 

 

今回の研究が教えてくれるのは、「幸せとは、いつもポジティブでいることではなく、自分にとって『正しい感情』を感じられていること」だということです。


つまり、「嬉しい・楽しい」といったポジティブな感情だけがシアワセではありません。


たとえ「怒り」「悲しみ」「不安」といったネガティブな感情であっても、それが自分にとって「正しい感情」であるならば、心の奥では満たされていきます。

 

その状態こそが本当の幸福なのです。

 

私たちはしばしば、「こんなことでイライラしてはいけない」「泣くなんて情けない」と自分の感情を否定してしまいます。


しかし、感情を否定すると、心は「分断された状態」になります。


「感じることを恐れず、自分とつながる」ことが、実は心の健康の基本なのです。

 

3-1.感情との「仲直り」が回復のはじまり

 

もし今、「自分の気持ちがよく分からない」「どうしても苦しい」と思っておられるのであれば、まずはその苦しさに名前をつけてあげてください。


「不安」「悲しい」「怖い」「孤独」…

 

どんな言葉でも構いません。


感情に言葉を与えることは、心の混乱を整える最初の一歩になります。

 

3-2.幸せは「感じる勇気」から

 

心理カウンセリングにおいても、あるいは臨床心理学的な観点からでも言えることですが、誰一人として「痛みを完全に消すこと」でシアワセになった人はいないということです。

 

むしろ、「痛みを抱えながらも、それを受け入れ、向き合うことができた人」ほど、穏やかで、自分らしい幸福を手にしています。

 

3-3.シアワセは「感情のコントロール」ではなく「共存」の中にある

 

誰しもが泣いてもいい、怒ってもいい、怖くてもいい…


それは、私たちがちゃんと「生きている証拠」です。

 

感情は、私たちが何を大切にしているかを教えてくれる大切な存在です。


そして、どのような感情も、私たちの一部であり、人生のパートナーです。

 

シアワセとは、嫌な感情を追い払うことではなく、「どんな感情も自分の味方として迎え入れられる」ことです。


その瞬間、心は穏やかに、自分の中心へと戻っていくことができるようになります。

 

参考論文

The Secret to Happiness: Feeling Good or Feeling Right?

----------------------------------------------------------------------
こころのケア心理カウンセリングRoom
兵庫県芦屋市浜芦屋町1-27   サニーコート浜芦屋302号
電話番号 : 090-5978-1871

お問い合わせはこちら


----------------------------------------------------------------------

この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

プロフィールはこちら

カウンセラー紹介

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。