株式会社ユナイテッド

幸せに関する心理学~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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シアワセになりたいなら、まず「苦しみ」に目を向けよう

シアワセになりたいなら、まず「苦しみ」に目を向けよう

2025/11/06

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

今日は「シアワセになるための逆説的な方法」についてシェアしたいと思います。

 

私たちはよく「もっと幸せになりたい」「今より気分を上げたい」と思います。

 

そして私たちはその方法を追い求めますが、実は「何が自分を苦しめているか」に丁寧に向き合う方が、シアワセになる方法を見つけようとするよりも効率的なんですね。

 

また私たち心理カウンセラーは実はポジティブ感情やポジティブ思考については、否定はしませんが、しかし一方で距離を取っています。

 

というのは、ポジティブな感情や思考は私たちを快活にする一方、ネガティブな側面もあるため注意が必要だからなんですね

 

そして、ポジティブな感情や思考…と考えると、多くの方は「ネガティブに目を向けてはいけない」と思いがちです。

 

しかし、実はネガティブなものにこそ、ポジティブなもの、つまりシアワセに対するヒントが隠されています。


そこで、このブログでは「シアワセになるために苦しみに目を閉じる」のではなく、「苦しみに目を向け、そこから自分を知りシアワセになる」プロセスをお伝えしたいと思います。

 

1.なぜ「苦しみ」を見るのか~「苦しみ」は避けるべきものではなく、自己理解とシアワセの入り口~

 

 

私たちが生活している文化では…

 

「ポジティブ思考で前を向こう」

「自己肯定感を高めよう」

 

…といったメッセージがあふれています。

 

もちろん、こういったメッセージは前向きな変化を促す大切な考え方です。


しかし、心理カウンセリングの臨床現場では、…

 

ポジティブであろうとするほど、苦しみを避けてしまい、かえって心が疲弊していく

 

…というケースが散見されます。

 

つまり…


「苦しみを感じてはいけない」

「落ち込む自分はダメだ」

 

…と思い込むことが、自己否定や慢性的な不安を強めることも珍しくないんですね。

 

そのため、心理カウンセリングではまず…

 

「自分が何に苦しみを感じているのか」

「どんな状況で息苦しさ・圧迫感を覚えるのか」

 

…を丁寧に理解することから始めることになります。

 

1-1.苦しみを「避ける」より、「観察する」

 

心理学の研究でも、「ネガティブな感情を避けようとするほど、逆に強く意識してしまう」という現象が確認されています。


たとえば、アメリカの心理学者ダニエル・ウェグナーが提唱した「シロクマ実験(White Bear Experiment)」というものがあります。

 

これは、被験者に「白いクマのことを考えないでください」と指示すると、かえって白いクマを何度も思い浮かべてしまうという結果が生じるというものです。

 

これは、人間の意識が「避けよう」とする対象に注意を向ける性質を持っていることを示しています。


つまり、苦しみを排除しようとするほど、脳はその苦しみに集中してしまうのです。

 

そのため、心理カウンセリングでは「苦しみを消す」ことではなく、「苦しみを観察する」ことを重視します。

 

1-2.苦しみの「原因」を特定するのではなく、「関係性」を見つける

 

多くの方は「なぜ自分はこんなに苦しいのか」という原因探しをします。


しかし心理学的には、苦しみから脱却しシアワセになるためには「原因を一つに特定する」よりも、「状況と行動の関係性を見つける」方が効果的だと言えます。

 

たとえば、ある架空のクライアントの例を挙げましょう。


その方は、「仕事が多忙で運動する時間がない」「疲労感が抜けない」と嘆いていたとします。


セッションの中で、日中の行動を一緒に振り返ると、「昼休みもデスクから離れずにメール処理をしている」「午後は集中力が極端に下がる」というパターンが見えてきました。

 

つまり、「疲労」や「モヤモヤ」は原因不明ではなく、「休息を取らない行動習慣」と結びついた脳が発するシグナルだったのです。


こうした場合、「昼休みに5分だけ外を歩く」「階段を使う」などの小さな行動を導入したところ、集中力が上がり、心身の疲労感が減少することが期待されます。

 

このように、苦しみは必ずしも「精神的な問題」から生じるものではなく…

 

行動・環境・身体との関係性から理解できる「心の反応」なのです。

 

だからこそ、苦しみを観察し、それが生じる「関係」に着目する必要があるんですね。

 

2.自分が書き出すことで「物語」を分解する~思考との距離を取り、価値へとつながる実践方法とは~

 

 

今までの内容を踏まえて、「では、どうすればよいのか」という問いに対して、私の専門であるACT(アクト:アクセプタンス&コミットメントセラピー)の観点から解説したいと思います。

 

私たちは日々、自分の内面で「物語(ストーリー)」を語り続けています。


「私はダメだ」

「また失敗した」

「どうせうまくいかない」

 

こうした自己評価の言葉は、単なる「思考」にすぎないのに、いつの間にか「事実」のように感じられることがあります。

 

では、なぜこれが「思考」にすぎなくて「事実ではない」と言えるのでしょうか?

 

例えば、同じネガティブな状況に陥ったAさんとBさんがいるとします。

 

Aさんはそのネガティブな状態に対して「私はダメだ」という「思考」を生み出しました。

 

しかしBさんは「まぁ、これくらいなら大したことはないでしょう」という「思考」を生み出しました。

 

つまり、思考の内容は人によって異なるということは、それが事実ではないという証拠なんですね。

 

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では、このような頭の中で繰り返される物語を「認知的フュージョン」と呼びます。


フュージョンとは、思考と自分とが「くっついてしまう」、あるいは「思考や感情に『巻き込まれてしまう』」という状態のことです。


つまり、「私はダメだ」という考えを「私は本当にダメな人間だ」という自己定義にまで拡大してしまうのです。

 

そのため、思考や感情にくっついてしまう、あるいは巻き込まれてしまうことを解決するために、そのシュージョンを解く、つまり「脱フュージョン」が必要なんですね。

 

2-1.書き出すことは「脱フュージョン」の第一歩

 

ACTの実践では、思考を書き出すという「脱フュージョン(defusion)」の方法をよく行います。


頭の中にあるとき、思考や感情は圧倒的なリアリティを持ち、感情と結びついてしまいます。


しかし、紙の上に書き出すと、それは単なる「言葉の列」という形に置き換えられます。

 

例えば…

 

✔「私は仕事ができない」
✔「いつも人に迷惑をかける」
✔「この先もうまくいかない」

 

…と書き出してみると、これらは「私の頭の中に浮かんだ文章」であって、「真実そのもの」ではないことに気づきやすくなります。


このとき、私たちの中では「思考を思考として観察する」というメカニズムが働いています。

 

つまり、書き出すことによっ…

 

✔自分=思考の内容ではない

✔思考=自分の中を「通過する言葉」でしかない


…と理解できるようになるのです。

 

この視点の転換が、「私はダメな人」という物語から離れ、「私は『ダメだと思う考え』を持っている人」という柔軟な自己理解へと導きます。

 

2-2.「物語を俯瞰」すると、苦しみの構造が見えてくる

 

ACTでは、人が苦しみを抱える原因を「体験との闘い」という概念で捉えます。


つまり、自分の中にある痛みや否定的な感情を避けようとするほど、苦しみはかえって強化されるということです。

 

例えば、「失敗が怖い」という思考が頭に浮かんだとき、多くの人は「そんなことを考えてはいけない」「考えないようにしよう」とつい抵抗してしまいがちになりますよね。


しかし、先述した「シロクマ実験」のように、そうするほどその思考はより強く意識に上がってきます。

 

しかし、書き出しながら思考を眺めると、「あ、また『失敗が怖い』という考えが浮かんだな」と認識できるようになります。


それは、「その考えをなくそうとする戦い」から、「その考えをただ観察する穏やかな姿勢」への転換が生じるんですね。

 

このプロセスによって、私たちは「苦しみの物語の中に生きる」のではなく、「その物語を眺めながら自分の価値へと進む」という平和で意義ある立ち位置を取れるようになります。

 

2-3.書き出すワークの実践例

 

では思考や感情への巻き込まれから脱する方法(脱フュージョンの方法)の1つである「書き出す」というアプローチをお伝えしたいと思います。

 

①紙を用意し、頭に浮かんでいる言葉を制限なく書く。
→例えば、「何もできない」「もう疲れた」「誰も助けてくれない」などが典型例です。

 

②書き終えたあと、声に出して読み上げる。
→「私は『何もできない』という考えを持っている」と、『考え』を観察するように読みます。

 

③その紙を少し離れた位置に置いて眺める。
→まるで映画の字幕を読むように、思考を「外側から眺める」アプローチをとります。

 

このワークは、「自分=思考」という誤った一体化をほぐし、思考を客観的に観察する「メタ認知的柔軟性」を育てる実践です。

 

2-4.書き出した先にある「価値」との再接続

 

ACTのゴールは、思考をなくすことでも、感情をコントロールすることでもありません。

 

なぜなら、今までお蔦しましたように、それは効果的でないばかりか、かえって状況を悪化させるからです。


では、ACTが何を目指すかというと…

 

「大切な価値(value)に沿って生きる自由を取り戻す」

 

というものです。

 

ネガティブな思考を紙に書き出して距離を取ったあと、次のように問いかけてみてください

 

✔「その思考があっても、私がが大切にしたいものは何だろう?」
✔「その不安を抱えたままでも、一歩進める方向はなんだろう?」

 

たとえば、「私はダメだ」という思考の裏には、「もっと誠実に仕事をしたい」「人に喜ばれたい」という価値が隠れていることがよくあります。


書き出すことは、思考を静めるだけでなく、その奥にある「本当に大切なもの」に再びつながる作業でもあるのです。

 

まとめ

 

ご紹介しましたように、「書く」という行為は、頭の中の混乱を整理するだけでなく、ACTの中核であり、シアワセを実現する方法でもある「心理的柔軟性を育む重要なステップです。


心理的に柔軟な姿勢を取ることができれば、意外な可能性やシアワセへの道筋が見えてくるようになります。

 

苦しみの裏側にはシアワセへと至る道があります。

 

そのため、優しくご自身の「苦しみ」に寄り添い、共感的に理解する視点をもってくださいね。

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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