株式会社ユナイテッド

HSPと孤独感について~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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HSPによって生じる「孤独感」を考える

HSPによって生じる「孤独感」を考える

2025/11/07

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

HSP(Highly Sensitive Person)という言葉はかなり知られていますが、しかしHSPであることによって生じる影響というものは、実は意外なところにも及んでいます。

 

またHSPと強い関連を持つのがSPS(Sensory Processing Sensitivity)というものです。

 

HSPに対する適切なケアを行うには、SPSの概念は必要不可欠です。

 

そこで、このブログではHSPの特性とSPSとの関係、そしてHSPによって生じる影響や強み・弱みについて解説したいと思います。

 

1. SPSとHSPとは?まずは基本から

 

 

私たちの中には、他の人よりも音や光、人の感情、場の空気などに強く反応する方がいます。

 

例えば…


「人よりちょっと疲れやすい」

「感情の波を受けやすい」

「人の機嫌にすぐ気づいてしまう」

 

…というものですね。


こうした「感じやすさ」を説明する心理学的な枠組みが、「SPS(Sensory Processing Sensitivity:感覚処理感受性)」です。


そして、その特性を持つ方をわかりやすく表現した言葉が、「HSP(Highly Sensitive Person:敏感な人)」となります。

 

つまり、HSPの方というのは、SPSの性質を持っている方というように考えると分かりやすいでしょう。

 

1-1.SPS(感覚処理感受性)とは

 

SPSとは、「外からの刺激(光・音・人の表情・言葉など)を深く受け取り、脳の中で丁寧に処理する傾向」を指します。


これは、いわば「心のセンサーが高性能」な方の特性といえるでしょう。

 

以下、その詳細についてご説明します。

 

● 具体的な特徴

 

✔感覚刺激への敏感さ
→照明の明るさ、騒音、香り、服の質感など、環境の変化を人より早く察知しやすい。

✔情動的な共感性
→他人の表情や声色から、感情をすぐに感じ取る。相手が悲しいと自分もつらくなるというような共感的な性質を持つ。

✔深い情報処理(深い内省)
→1つの出来事について、長く考え、感情や意味を深く掘り下げる傾向がある。

 

このように、SPSの方は「世界の刺激を過敏に受け取る脳の仕組み」を持っています。


それは時に疲労やストレスを感じやすい面もありますが、同時に深い洞察・思いやり・創造性につながる大切な資質でもあります。

 

研究では、成人の約30〜31%が「高SPS(高感受性)」に該当するとされており、決して少数派ではないことは強調しておきたいところです。

 

1-2.HSP(敏感な方)の捉え方

 

HSP(Highly Sensitive Person)は、「SPSという心理的特性を持つ方」を日常言語で表現した言葉です。


つまり、HSPという言葉は医学的診断名ではなく、「自分が人より敏感に感じる」ことを自覚する方々の総称です。

 

ここで大切なのは「敏感に感じる『自覚』」という点です。

 

つまり、周りの方にとっては何でもない刺激であっても、HSPの方にとっては、その過敏さは主観的なものとして感じられる、つまり実際に体験しているという意味で「事実」だということです。

 

HSPの方の多くは、次のような体験をされます。

 

✔「人混みにいるとすぐ疲れる」

✔「他人のちょっとした一言に傷つく」

✔「映画や音楽に強く感動して涙が出る」

✔「人の機嫌を察して自分の行動を変えてしまう」

 

こうした特徴から、「私はHSPかもしれない」と感じる方が増え、そして実際に私のカウンセリングルームにも多くの方がHSPの体験を訴えられます。


HSPという言葉は診断名ではないことは先述した通りですが、この言葉の本当の意義は、自分の感受性を理解し、否定せずに受け入れることができるという点にあります。


実際、心理カウンセリングの現場でも、「自分の感じ方を説明できた」という安堵を感じる方が少なくないのは、そのためです。

 

 1-4.SPS/HSPの「強み」と「課題」

 

HSPの方、つまりSPSの特性を持った方には、他の人にはない繊細な感性と洞察力があります。


しかし同時に、その敏感さゆえにストレスを受けやすく、疲れやすい面もあります。

 

ここでHSPの方のポジティブな面、ネガティブな面をまとめてみましょう。

 

● 強み(ポジティブな側面)

 

✔細やかな感性と観察力
→人の表情の変化や小さな違和感にすぐ気づく。周囲の人への気配りができる。

✔深い共感と理解力
→他人の痛みに寄り添える力が強く、カウンセラー・看護職・クリエイターなどで活かされやすい(対人支援においては共感力はコントロールする必要がある点は注意が必要です)。

✔美的感受性と創造力
→音楽・アート・自然の美しさに感動しやすく、創造的な発想を生み出すことができる。

✔意味を探す思考の深さ
→出来事を「なぜこうなったのか」と内省し、人生に深い意味を見出す傾向がある。

 

● 課題(ネガティブな側面)

 

✔刺激過多による疲れ
→光・音・人間関係の情報量が過多になりやすく、頭や心がオーバーフローしやすい。

✔他人に合わせすぎる傾向
→「相手を不快にさせたくない」と考えすぎて、自分の感情を抑え込むことがある。

✔孤独感・誤解されるつらさ
 自分の感じ方が周囲と違うため、「自分だけ浮いている」「理解されない」と感じやすい。

 

実際、2025年のNature誌の研究では、SPS(感覚処理感受性)が高い方ほど、「感情的な孤独(emotional loneliness)」を感じやすいという結果が報告されています。


これは「人とのつながりがない」わけではなく、「分かってもらえない」と感じやすいという心理的な側面を示しています。

 

2. HSPの方が孤独を感じやすい理由~研究が示す「深い感受性」と「つながりの難しさ」~

 

 

先ほど、HSPの方、つまりSPSの特性を持った方は孤独を感じやすいというお話をしました。

 

その研究結果がありますので、ご紹介したいと思います。


2-1.研究によって明らかにされた「敏感さ」と孤独の関係

 

2025年に発表された研究では、3,247名の成人を対象に、感覚処理感受性(SPS)と孤独感の関係が調査されました。

 

研究チームは…

 

「感情的孤独(emotional loneliness)」

「社会的孤独(social loneliness)」

「社会的隔離(social isolation)」

 

という3つの観点から分析を行いました。

 

そして結果として…

 

✔高SPS群(=HSPに相当する方々)は、「感情的孤独」のスコアが有意に高い

✔「社会的孤独」や「社会的隔離」との関連は見られなかった

 

…という興味深い傾向が報告されました。

 

つまり、HSPの方は「人と関わる数が少ないから孤独」なのではなく、「つながりの質」に敏感であり…

 

心の深い部分で理解されていない・理解してもらえない

 

…ということに孤独を感じやすいのです。

 

2.2 「人はいるのに孤独」~HSPの方が抱える「感情的な空白」~

 

HSPの方は、他者の感情や場の雰囲気にとても敏感です。


そのため、表面的な会話や関係では満足できず、「心が通い合う関係」や「理解される感覚」を強く求める傾向があります。

 

しかし現実には、周囲の人がその深い感受性を理解することは、なかなか難しいものです。

 

そのため、次のような心のすれ違いが起こりやすくなります。

 

✔「みんなと仲良くしているのに、どこか満たされない」

✔「自分の感じ方を話しても、『気にしすぎ』と言われてしまう」

✔「わかってほしいのに、うまく言葉にできず、距離を取ってしまう」

 

こうした経験の積み重ねが、「誰もいない孤独」ではなく、「分かってもらえない孤独」を生み出すのです。

 

HSPの孤独感とは、他者の中で感じる「埋めようのない隔たり」のようなものです。


それは、人を求めている証でもあり、深い共感や信頼関係を大切にしているからこそ生まれる繊細な痛みでもあるんですね。

 

2-4.「愛着」と「環境」が孤独を左右する

 

研究では、HSPや高SPSの方ほど、「不安型・回避型の愛着スタイル」を持つ傾向が報告されています。


つまり、子どもの頃や過去の人間関係で「安心して頼れる存在」を感じにくかった経験が…

 

「人と関わるのが怖い」

「頼ることに抵抗がある」

 

…といった思考・行動パターンを形成しやすくなるのです。」

 

愛着障害は養育者の接し方の問題と思われがちですが、HSPの方に限って言うと、元々持っている特性が大きく影響していると言えるでしょう。

 

そして敏感な方は環境から受ける影響がとても大きいため、もし過去に「否定された」「理解されなかった」という経験があると、その記憶が心に残り、現在の人間関係にも影響を及ぼすことがあります。

 

実際に心理臨床でよくあるのは…

 

✔相手が少し無関心に見えると、「嫌われたかもしれない」と不安になる

✔深く関わりたいのに、拒まれるのが怖くて距離を取ってしまう

✔自分を守るために感情を抑え、「感情表現を抑制」してしまう

 

…というものです。

 

このように、「つながりたいのに近づけない」というジレンマは、HSPの方が孤独を強める要因となります。

 

2-4. 孤独を和らげるための視点

 

私が心理カウンセラーとして感じるのは、HSPの方が孤独を感じやすいのは、単純な「過敏さ」ではなく、根本的な部分で人とのつながりを心から大切にしているからということです。

 

実際にHSPの方の多くは共感的かつ理解的であり、思いやりが深いのです。

 

そのため、HSPの方が孤独を和らげるには、「誰かともっとつながる」よりも先に、まず自分の感受性を理解し、尊重することが欠かせません。

 

つまり、自己理解と自己受容があるからこそ、他者との深いつながりが生まれ、孤独感が癒されるというものです。

 

そのHSPの方の自己受容の方法としては…

 

✔「私は深く感じる人なんだ」と受け止める

✔無理に合わせず、「穏やかさ」や「安心できる関係」を選ぶ

✔理解してもらえる人を少しずつ見つけていく

✔本当に理解しあえる人や心理カウンセリングなど、安心して感情を話せる場を持つ

 

…という方法が考えられます。

 

そうした積み重ねが、「分かってもらえない孤独「から「分かってくれる人がいる安心」へと変わっていくんですね。

 

まずは自己受容がスタートとなります。

 

そこから少しずつ前へ進んでいき、孤独感を癒せるようになって下さいね。

 

参考論文

Highly sensitive persons feel more emotionally lonely than the general population

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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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