シアワセになろうと頑張るほど苦しくなる理由~幸福感よりも充実感が大切な理由~
2025/11/13
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
「もっと幸せになりたいのに、なぜか幸せを感じられない」という方は珍しくないのではないでしょか?
仕事も人間関係も頑張っているのに、心の奥では「何か足りない」「もっと幸せになりたい」と感じてしまう…。
こうしたご相談は神戸・芦屋・西宮で心理カウンセリングをしていると、こうした「心の空白」のようなものが、よくテーマに上がってきます。
ただ、意外かもしれませんが、多くの方は幸せを求めていますが、その内容をよく見てみると、それは「幸せを求めているのではない」というケースが珍しくありません。
実は、私たちが求めているのは「幸福(ハピネス)」そのものではなく「充実感」、つまり自分の人生に意味を感じられる感覚なんですね。
「幸せ」と「充実感」は全く別の感情です。
「幸せ」は一時的に訪れる感情ですが、「充実感」は日々の選択と行動の結果、継続的に感じられるものです。
そして、「心の空白」を埋めていくために必要なのは「幸せ」ではなく「充実感」なんですね。
そして、困ったことに「幸せ」というものは、追いかけることによって精神的に疲弊してしまうという問題も潜んでいます。
そこで、このブログでは心理カウンセラーの視点から「幸せを追いかける」生き方から「充実感を感じる」生き方へと視点を変える方法をシェアしたいと思います。
1. 「幸せになりたい」が心を疲れさせる理由 ~ポジティブ至上主義の落とし穴~

「もっと幸せになりたい」
「前向きでいたい」
こうした願い自体はとても自然なもので、誰もが当たり前のように持っているものです。
しかし、心理カウンセリングの現場では…
「どんなに頑張っても幸せを感じられない」
「一瞬うれしくても、すぐに虚しさが戻ってくる」
…といった悩みを抱える方が増えています。
1-1.幸せは「状態」ではなく「瞬間」
心理学では、「幸せ」とは持続的な状態ではなく、一時的な感情状態と定義されています。
喜び・達成感・満足感といったポジティブな気分は、まるで天気のように変化していくものです。
つまり、皆さんが経験されている通り、「常に晴れの日」が続くわけではないんですね。
確かに幸福感は確かに心地よいものですが、しかし長続きするものではありません。
私たちの生活にはは恐れ・怒り・不安といった、幸福とは両立しにくい感情が必ず訪れます。
そして、いくらポジティブに物事を考えても、こうした感情とは無縁ではいられません。
つまり、幸せとは「手に入れたらずっと続く」ものではなく、さまざまな感情の中の1つとして一時的に訪れる「波のような変化」の一部、ということが言えるんですね。
1-2.「常に幸せでいなければ」という思い込みがストレスを生む
「いつも笑顔でいたい」「ポジティブでいなきゃ」という思考は、実は心理学でいうポジティブ至上主義」に陥るリスクを含んでいます。
つまり、ネガティブな感情を感じる自分を否定し「まだ足りない」「もっと幸せになりたい」と思い続けることで、かえって自己否定感が強まってしまうのです。
なぜなら、現状において「私は幸せではない」という考えを持つことは、必然的に自己否定につながりやすくなるからです。
しかし人の感情は、本来どれも自然なものですよね。
不安も怒りも悲しみも、「今の私に必要な感情」であるため、幸せを「その他の感情を否定して追い求めるのは効果的でも健全でもありません。
それよりも、様々な感情を受け入れながら、人生を豊かに感じるということが、心理学的に見た「心の健やかさ」なのです。
1-3.「幸せの持続」より「意味の持続」へ
幸福を「感じよう」とするほど、私たちは「今、幸せではない」と意識してしまいます。
というのは「感じよう」とするということは、今が幸せと感じられていないため、「幸せではない」という結論に至ってしまうんですね。
これは心理学的に「幸福の逆説」と呼ばれる現象です。
それよりも、「自分にとって意味のあること」「大切にしたい価値」に焦点を当てて行動すると、ポジティブな感情は結果として自然に生まれやすくなります。
つまり、「幸せを探す」よりも「意味を感じる・見出す」ことこそが、持続的な満足感と安定した幸福感を育てる近道なんですね。
2. SNSの「幸せの幻」が心を疲弊させる~比較のループから抜け出すために~

心理カウンセリングにおいて、SNSを見て落ち込んでしまうという方というのは珍しくありません。
というのは、SNSが「幸せの物差し」を大きく歪めているからです。
InstagramやX(旧Twitter)を開くと、キラキラした写真、楽しそうな投稿、成功を誇るストーリーが絶え間なく流れてきます。
それを眺めているうちに、私たちは知らず知らずのうちに「他人の人生」を自分の「比較対象」にしてしまうということが数多く発生します。
2-1.SNSがつくる「幻想としての幸福」
SNSの向こう側にいる方々は、SNSに「理想の自分」を投影しています。
そのため、そこに映っているのは現実というよりも、その方にとっての「なりたい自分」のイメージなんですね。
SNSで自分の不幸話をいう方は、幸せでキラキラした生活をしている方よりも情報は多くありません。
また情報としてはキラキラしたものの方が目立つものです。
しかし、そうした情報を発信している方が本当に幸せかと言えば、多くの場合は異なります。
そのため、SNSで目にする幸福は、あくまで編集された一瞬の断片でしかありませんよね。
しかし、私たちはそれを「他人の現実」と信じ込み、「自分はまだ足りない」「あの人みたいになれない」と思い込んでしまいます。
これが、自己肯定感を少しずつ削っていく心の仕組みです。
2-2.幸せを奪うのは「比較」ではなく「錯覚」
一般に「比較が悪い」と言われることもありますが、そもそも私たちは比較によって学び、成長する存在です。
しかし、比較が問題になる場合というのは「事実ではない比較」をしてしまうことです。
SNSにおける幸せの多くは「演出」や「理想像」であることが珍しくありません。
そこに自分の現実を重ねて落ち込むのは、まるで架空のシンデレラストーリーと競争しているようなものです。
そのため、他人と比較して自分を測る限り、幸せはいつも「そこにあるもの」ではなく、「どこか他の場所」にあることになってしまいます。
つまり、幸福の敵は「不幸」ではなく、他人が見せる幻を自分の現実と比べてしまうことなんですね。
2-3.「比較」をやめるのではなく、「視点」を変える
完全に比較をやめることは、人間にとってほぼ不可能ですし、比較には有益な点も多々あります。
ただ先述した通り、問題となるのは「比較対象」が間違っている場合です。
そして私たちは比較の「方向」を変えることはできます。
心理学では、これを「自己基準比較」と呼びます。
つまり、他人ではなく「昨日の自分」と比べることで、小さな成長や努力を実感でき、幸福感が回復しやすくなるんですね。
そして、比較のコツは「小さなもの」にするということです。
というのは、「小さなもの」の集合体が、私たちの生活を構成しているからです。
例えば…
✔「昨日より10分早く起きられた」
✔「今日は少しだけ丁寧に言葉を選べた」
✔「昨日より気持ちが落ち着いている」
こうした自己基準の比較は、内発的な充実感を高め、他者の影響を受けにくい「安定した心」に整てくれます。
3. 「幸福」よりも持続する感情 ~「充実感」について~

幸せという感情は、は外的な刺激や一時的な出来事によって生まれる短期的な感情です。
しかし、それとは異なり充実感は、自分の価値観に沿って行動し続けることで生まれる長期的な心理的満足です。
「幸福」と「充実感」は、似ているようで全く違うちがう感情です。
具体的に言うと、充実感とは、自分の価値観に沿って生きる過程の中で得られる深い満足感のことを指します。
つまり、幸福が「結果としての喜び」だとすれば、充実感は「過程の中にある安定した満足」だといえるでしょう。
違う観点から言うと、幸せとは「刺激依存型」であり、充実感は「意味依存型」です。
つまり、幸せが「得ること」で満たされる一方、充実感は「生き方」そのものから得られる満足を意味します。
例えば…
✔誰かに感謝されるために何かをするのではなく、自分の大切な価値(思いやり・誠実さ・貢献)に基づいて行動する。
✔結果よりも「自分がどうありたいか」という軸で生きる。
このように、自分の内側にある「価値」を指針に生きることが、心の安定と持続的な充足につながっていきます。
3-1.心理学で見る「価値に沿った生き方」と幸福の関係
私が専門としている心理療法の1つに「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT:アクト)」というものがあります。
この心理療法で重視されるのが、「価値に基づいた行動」です。
ACTでは、人の幸福は「苦痛のない状態」ではなく、「自分が大切にしている方向へ進むこと」によって得られると考えます。
この考え方は実に現実的かつ実践的なアプローチで、ポジティブ心理学が提唱する「ウェルビーイング(well-being)」の概念にも一致します。
つまり、「充実感」とは「幸せよりも深く、安定した幸福」の形だといえるでしょう。
3-2.「充実している人」の特徴
充実している方の特徴は、概ね以下の通りになると思います。
✔結果に一喜一憂せず、プロセスそのものを大切にしている
✔失敗しても「意味があった」と感じられる
✔自分の感情をコントロールするよりも、理解しようとしている
✔「誰かのようになる」のではなく、「自分らしくある」ことを重視している
こうした在り方というのは、必ずしも「いつも幸せ」な状態を意味しません。
時に悲しみや不安を感じる日も当たり前のようにあります。
しかし、「自分の生き方がぶれていない」という感覚が、心を支える力になっています。
この「内側の安定感」こそが、幸福とは異なる「持続する満足」、つまり充実感の正体なのです。
4. 幸せ「探す」のではなく、「つくる」生き方へ

私たちはつい、「幸せはどこかにある」と思いがちです。
例えば…
✔理想の仕事が見つかれば幸せ
✔パートナーに愛されれば幸せ
✔成功したら幸せ
✔収入が上がったら幸せ
確かに、こうしたものは好ましいことですし、私たちをポジティブにしてくれます。
しかし、これらの幸せはすべて「条件つき」です。
このような「幸せの条件づけ」は、心理学的に「条件的幸福」と呼ばれています。
条件的幸福の問題は、その幸福感が長続きしませんし、条件が崩れた瞬間に幸福も消えてしまうことです。
つまり、外的要因に自分の心が左右されてしまうのです。
4-1.幸せは「見つけるもの」ではなく、「育てるもの」
一方、「充実感」は内側から育てる感覚です。
自分の価値観に沿って行動し続けることで、環境や他人に左右されずに「静かな満足」を感じられるようになります。
つまり、充実感とは「誰かに与えられるもの」でも「外からやってくるもの」でもなく、「私たちのの選択の積み重ね」から生まれる幸福なのです。
まとめ
幸せを追うことに疲れたときこそ、「何が自分にとって大切なのか」を見つめ直し、そして明確にしてみてください
他人の基準ではなく、自分の価値観に沿って生きることが、外側の変化に揺らがない「穏やかな幸福」を作ってくれます。
幸せは「外に探すもの」ではなく、「内に育てるもの」です
つまり、幸せが私たちを幸福にするのではなく、充実感こそ私たちを幸福にしてくれるのです。
その第一歩を、自分の小さな選択から始めてみてくださいね。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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