ネガティブな一言に振り回されない方法~脳の仕組みと心を整え自己肯定感を育む~
2025/11/22
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
私たちは、普段の日常の中でのコミュニケーションを通して、何百もの言葉を受け取っています。
でも、その中の「たった一つのネガティブな言葉」だけが胸に刺さり、一日中気持ちが沈んでしまうという経験をされた方も多いのではないでしょうか?
実際、ネガティブな言葉によって傷つく方は大勢おられます。
ただ、それは性格がネガティブであるということでは決してありませんし、また「振り回されすぎ」ということでもありません。
というのは、これはカウンセリングでよくお話しする事なのですが、人間の脳の構造そのものが、ネガティブな刺激に敏感に反応するようにできているからなんですね、
そこで、このブログでは…
✔なぜネガティブな言葉だけが心に影響を強く与えてしまうのか
✔その傾向からどう脱するのか
✔自分でできる具体的なセルフケア
…という内容を心理カウンセラー目線でシェアしたいと思います。
1. そもそも、脳は「ネガティブに強く反応する」ようにできている

脳は基本的にネガティブなものほど強く反応するという性質を持っています。
こうした性質を脳が持つに至った背景は進化の観点(進化心理学)から考えてみると分かりやすいかと思います
というわけで、いまから原始時代へ一緒に行きましょう(笑)。
私たちの目の前にいる原始時代の人間にとって「ネガティブな情報」は命を守るための重要なサインです。
というのは、例えば危険な足音や動物や人が持つ敵意ある表情や、理解が難しい状況の変化というものがあったとします。
それらのものは、命を危険にさらす脅威が迫っていることを示しています。
そして、原始時代の人間は自分の身を守る術を十分に持っていません。
そのため、リスク要因から自分を遠ざけるということが生存のためには必要不可欠となります。
よってリスク要因に敏感であるほど自分の命を守れるため、生き延びる確率が高くなるということが生じます。
つまり、リスクに敏感である人間の方が生存することが多くなるため、自然淘汰でリスク要因に鈍感な人間よりも、敏感な人間の方が生き延び、それが現在に至る、ということになるんですね。
さて、現在に戻ってきて私たちの脳を見ると、実は原始時代のころとさほど大きく進化しているわけではありません。
そのため、脳は自然と「ネガティブ優位(ネガティビティ・バイアス) 」という仕組みを持つようになりました。
これは、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶にも残りやすいという脳の傾向の事を指します。
こうした傾向があるため…
✔ 100個の言葉の中の「99個の普通の言葉」はスルーする
✔ たった1個の「否定・批判」だけを強く記憶してしまう
という現象が生じるのです。
2. ポジティブな言葉が「素通り」しやすい理由

私たちは日常で多くのポジティブな言葉に触れています。
「ありがとう」
「助かったよ」
「お!仕事が早いね!」
「その服、似合ってるよ」
…ただ、これを見て違和感を感じませんか?
「あれ、私ってそんなにポジティブなことを言われていたっけ?」と。
確かに、私たちは大なり小なり日常生活でポジティブな言葉を数多く受け取っています。
そして、こうした言葉は本来、自己肯定感や安心感を育てる大切な刺激となります。
ただ、多くの方がこうしたポジティブな言葉を「深く受け取れないまま流してしまう」ということをしてしまうのです。
それには、先述した人間の脳が持つ明確な仕組みが関係しています。
2-1.ポジティブな言葉が吸収されにくいのは「脅威ではない」から
先述したネガティブに反応しやすい脳の仕組みをもう少し詳しくみていきましょう。
脳には、原始時代から培ってきた「生存に関わる情報を優先して処理する」という性質があります。
そのため、脅威、つまり危険に関連する刺激は、一瞬で脳の扁桃体(恐怖や警戒を司る部位)が反応し、強い記憶として刻まれます。
ただ問題なのは、ネガティブな言葉は危険と結びつきますが、ポジティブな言葉は脅威がゼロです。
つまり、ポジティブな言葉は生存には直結しません。
そのため脳は、「これは自分を守るための重要な情報ではないよね」と判断し、処理の優先度を下げてしまうのです。
結果として…
ポジティブ→軽く処理して「素通り」
ネガティブ→深く処理して「強烈に記憶」
…という構造が生まれてしまうのです。
2-2.ポジティブな言葉が「流れてしまう」とどうなるか
この脳の偏りは、今の私たちにとっては、違う形で影響を及ぼします。
その影響をざっと見てみると…
✔褒められてもすぐ忘れる
✔「感謝された事実」が心に定着しづらい
✔小さな成功を喜べない
✔自信が育ちにくい
✔自己肯定感が上がらない
✔失敗や批判ばかりが目につく
…というものですよね。
このように、ポジティブが蓄積されず、ネガティブばかりが心に残るという状態になりやすいという脳の性質があるため、こうした影響が生じるのです。
これが、「他人のたった一言で落ち込む」という現象の背景です。
ポジティブな言葉は自己肯定感を育てる非常に重要な要素です。
しかし、脳はそのポジティブな言葉を拾ってくれません。
そのため、ポジティブな言葉が蓄積されにくいという傾向が生じ、それによって自己肯定感が育まれないんですね。
3. ネガティブな一言に過剰反応しないための「視点の戻し方」

ここまでで、脳はポジティブな言葉に対しては鈍感であるということをお伝えしました。
そして、ここからはネガティブな言葉に振り回されないために、自分でできるセルフケアの方法を3つご紹介します。
ステップ1:まずは「事実」と「脳の反応」を分けて考える
ネガティブな言葉で心が揺らいだとき、どうしても自己否定に直結しやすくなってしまいます。
ただ、次のような視点を持つことができると、どうでしょうか?
✔自分を責めるのは「脳の防衛反応」であり、自分がダメだからではない
✔ネガティブ反応が強いのは脳が危険と勘違いしているだけ
この再解釈だけで認知(考え)は変化しますので、それによって感情の振り幅や内容は大きく変わっていきます。
ステップ2:ポジティブな情報も「意識的に」取りに行く
これまでのご説明でお判りいただいたように、脳はポジティブを自然に拾ってくれません。
そのため、私たちは意識的にポジティブなものを取りに行く必要があります。
例えば、「嬉しかったことをスマホのメモに残す習慣を身につける」というように「記録」をつけることが1つの方法として有効です。
こうした取り組みによって、脳が持つネガティブ優位性を中和することができるようになっていきます。
ステップ3:ネガティブな言葉が「本当に自分の問題か」を検討する
ネガティブな言葉は、多くの場合は客観的ではなく、相手の主観的な判断に基づくものがほとんどです。
そして、それは客観的でないがゆえに、能力や価値が「客観的に」否定されたという訳ではありません。
そこで、自分自身にこう問いかけてみてください
「この言葉は、相手の問題? それとも私の課題?」
この質問によって、多くのネガティブ言葉は、冷静に見れば「相手側の問題」であることがほとんどであることが分かるようになっていきます。
それが分かると、ネガティブな言葉から自分自身を守ることができるようになっていきます。
まとめ:ネガティブな言葉に引きずられないために出来ること
繰り返しになりますが、人は誰でもネガティブに反応しやすい脳と共に生まれてきます。
そのため、私たちは本来、「ネガティブな人間」であり、それが自然な姿なのです。
ただ、それでは自己否定の嵐がやむことはありませんし、それによって自己肯定感は大きく下がってしまいます。
しかし、意識の向け方などを工夫することによって、心はポジティブな方向に整われて行きます。
提案として、まずは「そもそも私たちはネガティブなんだ」ということから始めてみるのはいかがでしょうか?
それによって、自分自身が持っているネガティブな思考に苦しむこと自体が減っていくことになるでしょう。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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