不安や緊張を和らげる心理テクニック~「心を落ち着かせるスイッチ」の作り方~
2025/12/15
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
日々、心理臨床をしている際、強いストレスを抱えている結果、メンタルに悪影響を受けている方とたくさん接しています。
そのため、ストレスに対する対処法は非常に重要なのですが、そのためには「そもそもストレスとは?」というところから始める必要があります。
実はストレスは、出来事そのものから自動的に生じるものではありません。
同じ環境にいても、平然としている方と強い緊張を感じる方がおられますよね。
この違いは、ストレスに対する脳の受け取り方が異なるからです。
もちろん、騒音や視覚的な情報量の多さ、そして落ち着けない職場環境など、負荷がかかりやすい条件は確かに存在します。
しかし、そうした中でもストレスを上手く受け流す方法はあります。
そこで大切になってくるのが、「ストレス反応が出たあと、どう回復するか」という点です。
その方法を習得するために、まずは脳はストレスに対してどう反応するのか、という点から見ていきましょう。
1.ポイントは「記憶」と「感覚」が同時に保存される脳の仕組み

私たちの脳は、体験を「出来事」として単独で記憶しているわけではありません。
特に強い感情を伴った体験は、その時の音や匂い、視覚的なイメージ、身体の感覚や動作といった感覚情報とセットで保存、つまり記憶します。
例えば、ある音楽を聴いた瞬間、当時の恋愛や失敗の感情が一気によみがえる、あるいは特定の匂いで、何年も前の情景が一瞬で浮かぶ、というような現象が生じるのは、脳が出来事を感覚情報とセットで記憶するためです。
こうした体験は、脳の基本的な働きであり、これを「アンカー効果」と呼ばれる現象です。
そして心理学では、このように感情や状態が、特定の刺激に結びついて呼び起こされる現象を
「アンカー効果(アンカリング)」と呼びます。
1-1.アンカー効果とは?
アンカーとは「錨(いかり)」のことを指します。
これを私たちに置き換えると、感情や身体状態が、ある刺激と連動して固定されると考えるとイメージしやすいかもしれません。
重要なのは、このアンカーは意識的に作ったものだけでなく、無意識にも形成されるという点です。
例えば…
✔緊張した場面で聞いた音
→その音を再び聞くと自動的に緊張する
✔強い不安を感じていたときの姿勢や呼吸
→ 同じ状態になると、再び不安が出やすい
こういったアンカーは、私たちが気づかないうちに脳に刻まれています。
1-2.ストレス時は「ネガティブなアンカー」が作られやすい
少しここで、脳の果たす役割をご説明したいと思います。
脳の基本的な性質として、「私たちを守る」ということに特化しています。
そのため、私たちを守るたに脳は危険な状態やストレスフルな状況を優先的に記憶するという性質を持っています。
そのため、強いストレスや不安を感じているとき、脳は「この状態を忘れないようにしよう」と、安全のために記憶を強化します。
その結果、場所や音、体の感覚、ちょっとした動作が、不安や緊張と結びついたアンカーとして残りやすくなるんですね。
「理由はわからないけれど、ここに来ると落ち着かない」
「この音を聞くと、なぜか胸がざわつく」
…というような反応反応がでるのは、アンカー効果によるものです。
1-3.この仕組みを「逆向き」に使うと…
ここで大切なのは、アンカー効果そのものは良い・悪いの問題ではないということです。
脳は、ネガティブな感情、そしてポジティブな感情、このどちらも同じ仕組みで結びつけます。
つまり、「安心・心地よさ・落ち着き」も、意図的にアンカーとして作ることができるということなんですね。
そのため、あらかじめ「安心しているときの感情 × 特定の感覚や動作」を結びつけておけば、強いストレス状態に入ったときでも、上手く回復しやすくすることができるようになります。
ここで問題となるのは、すでに緊張や不安が強まってしまった場合です。
そうした場面では、心拍が上がり、思考はどうしても狭くなりがちです。
そうした時は落ち着こうとしても対処が難しく、またポジティブに考えようとして逆効果になりがちです。
そこで役立つのが、あらかじめ「感情を呼び戻す合図」を作っておくことです。
2.心を落ち着かせる「感情のスイッチ」を準備する方法

ここからは、心理カウンセリングでも使われている「アンカー効果」を、日常でできる方法を紹介しますね。
(1)安心感や心地よさを感じた体験を思い出す
1日の終わりなど静かな時間にリラックスできた瞬間や安心した出来事、穏やかな気持ちになれる記憶を1つ選んでください。
その際、できるだけ、「そのときの感情」や「見えていた景色」、「聞こえていた音」を具体的に思い浮かべてください。
(2)心地よい感情が高まったところで「小さな動作」を加える
心地よさが十分に感じられたら、「普段あまりしない簡単な動作」を行います。
例えば…
✔指を軽く押す
✔手首に触れる
✔深く息を吐きながら肩を下ろす
…といったものです。
ここでのポイントは、自然で目立たず、安全な動作であることです。
これを数回繰り返すことで、脳は「その動作=安心感」と結びつけて記憶してくれます。
(3)ストレスを感じたときに、その動作を使う
では実際に緊張や不安が高まったときに、同じ動作をそっと行ってみてください。
すると、呼吸が整いやすくなったり感情のピークが下がる、またストレスと少し距離を取って考えられる、といった変化が起こりやすくなります。
これは脳に「落ち着いた状態」を思い出させる合図を送るものなんですね。
そして、それによってネガティブな感情を上手く扱えるようになりやすくなります。
まとめ:アンカー効果は「感情の近道」をつくる
脳は感情と感覚をセットで記憶します。
その性質をアンカー効果と言います。
ストレス時ほどネガティブな感情と感覚はセットで記憶され、「ネガティブアンカー」は強くなります。
だからこそ、落ち着いた状態のアンカーを事前に用意することが大切なんですね。
ただし、この方法は「ストレスを感じない人になる」ためのものではありません。
ストレスを感じるのは自然な反応であり、それがあるがゆえに私たちは問題のある状況から自分を守ることができるのです。
大切なのはストレスを感じない事ではなく、ストレスを感じても「早く戻ってこられる道」を作ることです。
そのため、今回ご紹介した方法は脳の性質を活かしたセルフケアと言えるでしょう。
心理カウンセリングでは、こうした「回復のスイッチ」を事前に用意することを、とても大切にしています。
ぜひ、上手くストレスを受け流せるようにして言ってくださいね。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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