心が電池切れのときの「低電力モード」~消耗期を乗り切るセルフケア~
2026/01/05
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みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて転職や異動、家庭内の変化や繁忙期、そして体調不良などといった心に対する大きな負荷が続くと、いつもの集中力や気力が出ないのは自然な反応です。
このとき大切なのは「頑張って通常運転を維持する」のではなく、一時的に強度を落として「変化によるストレスに対して持ちこたえる状態」に切り替えることです。
ここで役立つのが、皆さんご存じのスマホの省エネ機能のような発想、つまり低電力モードでしす。
この低電力モードの目的はシンプルで、疲弊してしまった結果、完全に動けなくなってしまう前に、疲弊を最小化して回復の余地を残す、というものです。
そして心の疲弊が生じている場合は、あえて「後回し」をするという選択も大切になります。
後回し…と聞くとネガティブに思えるかもしれませんが、しかし心を守るという観点から考えると、使う場面さえ間違えなければ、とても大切な選択肢なんですね。
そこで、以下では「心の低電力モード」と後回しについて解説したいと思います。
1.低電力モードとは「最低限だけを確実にやる」生活設計
低電力モードは、心理学的に言う「回避」という側面も確かにありますが、しかし実際は「心を守るためのエネルギー配分の設計」です。
心身が消耗している時期に「通常運転」を続けようとすると、電池が切れて完全停止(メンタルの悪化)につながりやすくなってしまいます。
そのため、あえて出力を落とし、最低限を確実に回すのが、低電力モードです
1-1.低電力モード~「生活を2つに分ける」発想~
では、低電力モードに入るための方法について解説しますね。
まず、低電力モードに入るときは、生活の全タスクを次の2つに振り分けます。
● 必須(止めると困る)
これは安全や心身の健康、生活の維持に直結するものです。
つまり完全に止めてしまうと、困りごとが連鎖して増えたり、後で回復がもっと難しくなる領域です。
具体例は以下の通りです
✔睡眠
→寝る時間の確保。これは必須です。もしも眠れないなら休む時間を確保してください
✔食事
→理想の食事よりも「食事をとることを欠かさず、決まった時間に食べる」というものです。
これは「決まった時間」が大切で、これがあることによて回復への余力が生まれるようになっていきます。
✔服薬や通院、そしてできる範囲での体調管理
→これも大切ですよね。ここを落としてしまうと後々の回復に悪影響を与えます。
✔仕事の締切・最低限の連絡
→個々の判断基準は「止めると損害が大きくなってしまうもの」です。
✔家事の中でも衛生に直結するもの
→ゴミ、洗濯の最低限、皿など、「衛生」に重点を置きます
✔子どもや家族、そしてペットの安全確保
→ここでの判断基準は「現状を維持する」というものです。
上記の必須の特徴は、「やらないと、困りごとが増える」ことです。
逆に言えば、「あとで困りごとが増えてしまい、過って負荷が生じる」ものでなければ、後回しにしても良い、ということです。
● 後回し(今じゃなくていい)
これ、やると良いけれど、今やらなくてもあまり大きく影響しにくいものです。
違う言い方をしますと、低電力期に無理してやるほど、電池を削って逆効果になりやすい領域だと言えるでしょう。
では、その具体例です。
✔完璧な掃除、片付け、整理整頓
→いわゆる「整える」系のタスクと言えるでしょう。
✔返信の丁寧さに重点を置く
→ここも省力化できます。長文や即レス、気遣いの厚みは簡易的にしても問題になりにくいと言えます。
✔SNSやニュースの追跡、情報収集の深掘り
→リラックスしているときにSNSを見る方も多いのですが、ブルーライトの影響もあるだけでなく脳が「情報処理モード」になるため、むしろゆっくりと休むことを選択するのが無難です。
✔義務感での集まりへの参加
→これも省力化できます。行きたい飲み会うやイベントでしたらよいのですが、疲弊しているときの人とのかかわりは想像するよりもストレスがたまるものです。
上記は一例ですが、後回ししてよいタスクの特徴は、「今やらなくても致命傷になりにくい」ことです。
この「致命傷になるかどうか」というものを判断基準に考えると良いでしょう。
1-2.ポイントは「やらない」ではなく「保留」にすること
低電力モードのポイントは、タスクを捨てることではなく、「一時停止して順番を変えること」です。
というのは、「やらない」だと罪悪感が出やすいですよね。
しかし「保留」だと、心は落ち着きやすく、回復が進みやすくなります。
ここが大きな違いです。
1-3.保留を成立させるコツ~後回しリストを作る~
頭の中に「やるべき」が残るほど、脳はずっと裏で処理し続けます。
少し脳の仕組みからご説明しますね。
「未完了」のタスクがあると、そのタスクは脳のワーキングメモリに残り続け、脳への負荷が残り続けます。
これは「ツァイガルニク効果」と呼ばれる現象です。
皆さんも、休んでいるときに「あ、あれをやらなきゃ」と思い出したという経験があるかと思います。
これはいわゆる侵入思考と呼ばれるもので、これによって休んでいるのに、脳は常に動き続けるという状態が発生してしまいます。
それがまさにツァイガルニク効果なんですね。
しかし、タスクに対して具体的な行動計画(いつ、どこで、どうなるか)を明確にすると、侵入思考とパフォーマンスの低下を下げることができると研究で示されています。
そのため、後回しは紙やメモに移して保管し、脳のワーキングメモリを開放することが大切になってきます。
その後回しリストの作成方法ですが、期限があるものは「◯日以降に着手」と書いたり、あるいは重要度が低いものは「やれたらやる」という程度にまで優先順位を落とす、という方法がおおススメです。
こうやってタスクを「脳の外に置く」だけで、反すう(ぐるぐる思考)は減っていき、低電力モードを円滑に維持することができるようになります。
2.低電力モードの「必須」は、量と質のバランス
こうした低電力モードで陥りがちなミスは「必須を増やしすぎる」ということにあります。
というのは、これは別のテーマですので深堀しませんが、心理的に消耗しているときほど「完璧主義」が影響力を強くしてしまうからです。
そのため、1つの目安として、その日やる必須を3つ程度に絞ることがコツです
つまり、まずは「必須」の量を可能な限り絞るという発想ですね。
そして質も重要です。
具体的には、必須の水準も、「合格ラインを下げる」ことが大切です。
例えば、次のように考えることができるでしょう。
✔自炊100点
→ コンビニや惣菜でも「食べたら合格」
✔掃除100点
→ ゴミだけ捨てられたら合格
✔仕事100点
→ 締切と最重要だけ守れたら合格
つまり、「雑になる」のではなく、回復のために量と質を調整して省力モードを維持するということです。
2-1.回復期に「まとめて取り戻せば十分」の意味
先ほどお話ししましたように、心理的に消耗しているときほど完璧主義が影響力を強くします。
そのため、「そもそも低電力モードになることが不安」という心理状態が生まれやすくなります。
しかし、ここが重要なのですが、重要度の低いタスクは「回復後に回収する」という前提があるということです。
つまり「計画的な後回し」と言っても良いでしょう。
そのため後回しにしたタスクは、回復したあとにきちんと処理し、その際は優先順位を付け直して、不要なら捨てる、あるいは頼める方がいれば依頼するという方法でタスクは回収可能です。
「あとで回収する」という前提があれば、安心して「低電力モード」に入ることができるようになります。
2-2.よくある落とし穴と対策
ここでの狙いは低電力モードに安心して入り、心と体を十分に休めることにあります。
そして繰り返しになりますが、低電力モードは「計画的な後回し」です。
その計画的な後回しが機能しない、つまり低電力モードに入ることができない「落とし穴」というものが存在します。
具体的には次の通りです。
落とし穴1:必須が多すぎて通常運転になる
→ 「必須3つ」ルールに戻し、残りは保留に回していきましょう。
落とし穴2:後回しが罪悪感になる
→これも陥りがちなものですが、 後回しを「あとで通常通りのパフォーマンスができるように休むための作業」という発想に切り替えてください。
保留はサボりではなく、回復の優先順位と考えるとイメージしやすいかもしれません。
落とし穴3:「今だけ」のはずがずっと続く
→ 本来は回復のための低電力モードが習慣化されると問題となってしまいます。
そのため、週1回だけ「回復度チェック」を考えて、例えば睡眠や食欲、集中力のどれかが戻ってきたら、必須を1つだけ増やして段階的な回復モードに入るようにして生きましょう
まとめ~低電力モードは「消耗して『動けなくなる』を避ける選択」~
消耗期は、無理に通常運転を続けるよりも、必須を絞り、基準を下げ、回復を優先するほうが結果的に早く整います。
つまり低電力モードにした方が、全体でみると早く物事が進んでいくんですね。
そのため、やることを減らすのは今後良いパフォーマンスを出すための作戦です。
「今は出力を落とす」と決めるほど、心身は守られます。
また必要なら周囲に共有し、協力してくれる方にも依頼をしましょう。
心理的に消耗して抑うつや不安がひどくなってからだと、回復が逆に大変になります
うまく低電力モードを活用してくださいね。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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電話番号 : 090-5978-1871
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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