繊細で疲れやすい方のための自己肯定感の育て方
2026/01/08
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みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
いわゆるHSP(Highly Sensitive Person)の方をはじめとする敏感な性質をお持ちの方は、どうしても「自分の外側からの刺激」に対する過敏性があるがゆえに、様々なものに振り回されがちになります。
特に人間関係では相手の表情や声色、そして空気の変化に気づきやすいため、気づかないうちに「相手基準」で自分を調整し続けてしまうということが発生しがちになります。
この状態が長く続くと、相手の機嫌を優先してしまう、あるいは自分の気持ちが後回しになる、頼まれたら断れず無理をする、そして疲れて余裕がなくなるという状況に至ってしまいます。
その結果、うまくできない自分を責める、つまり自己肯定感が下がってしまうんですね。
そのため、自己肯定感を上げるには自分自身の感情や価値観そして(これが重要なのですが)限界を基準に行動を選び直すこと、つまり「自分の軸を回復させる」ということが大切になります。
そこで、このブログではHSPをはじめとする繊細な方の自己肯定感を上げる方法についてシェアしたいと思います。
1.自己肯定感が下がりやすい「敏感さ」の特徴とは
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繊細さは、ざっくりと言うと「情報を細かく拾える脳の特性」です。
相手の表情や声色、その場の空気の変化や相手の微妙な反応、そして自分の内側の感覚といった「細い情報」を読み取ることが、繊細な方の特徴です。
これは決して欠点ではなく、うまく活用すれば対人関係でも仕事でも丁寧さとして活かされるものです。
しかし同じ特性が、疲労やストレス、過去の経験(傷つき体験や厳しい評価環境、家庭での緊張など)と結びつくと、心を守ろうとして「偏った使われ方」になりやすいという裏の側面もあります。
その結果、自己肯定感が削られていってしまうんですね。
ここで重要になるのは「偏り」です。
つまり、本来であれば気にしなくてもいい、あるいは意識的に無視するべきものを拾ってしまうという偏りがあるために、心が削られるという状態に至ってしまうんですね。
そこでここでは、よく起きる3つの偏りを「なぜ起きるか」「何が起こるか」「どう切り替えるか」で整理していきたいと思います。
1-1.偏り1:否定的な情報に対して注意が固定されやすい
これは具体例を挙げると、褒められたという経験は素通りされ、ミス等を指摘されたという事だけが残ってしまうというものです。
● なぜ起きる?
敏感な方の脳は、危険や拒否のサインを早く見つけようとします。
これは生存戦略として自然な働きであり、心理学的には「ネガティビティ・バイアス(否定的情報への偏り)」が関係します。
つまり…
褒められた=「今は安全」なので注意が向きにくい
指摘された=「危険の可能性」なので注意が張り付く
つまり、脳が「警戒状態」にあるため、ポジティブな情報を落としてしまうんですね。
● その結果どうなる?
こうしたネガティブなものに対する過敏性により、10個うまくいっても、1つの指摘が頭を支配する、ということが起ります。
また自分自身に対する評価も減点方式になりやすい、つまり自分に対する「ダメ出し」が増えてしまいます。
そのため、自分の良さの実感が育ちにくく、その結果自己肯定感の材料が残らないということになってしまいます。
● よくあるセルフトーク言葉
こうした傾向は次のようなセルフトークによく現れます。
✔「褒められたけど、たまたま」
✔「これくらいは、できて当然」
✔「指摘された=やっぱりダメ」
1-2.偏り2:「迷惑をかけない」が最優先になりやすい
この偏りは、頼まれると断れず、結果として限界を超えてしまい消耗するというものです。
● なぜ起きる?
敏感な方は、人が困っている様子や、不快感を抱いている様子、あるいは人が落ち込んでいるという状態に気づきやす性質を持っています。
そのため、「その人の気分が判断基準」となってしまいます。
その結果として、「相手をがっかりさせないこと」が自動的な目標になりがちです。
背景としてよくあるのは、断ったときに責められた、あるいは関係が悪化したという経験が、まず挙げらます。
また、成功体験が「他人軸」を生む要因になることもあります。
例えば、「いい子」「ちゃんとした人」でいることで安全が保たれたという養育期の経験、そして人間関係において周囲の空気を読んで先回りすることが評価されたという経験が、まさにそれです。
● その結果どうなる?
他人の依頼やニーズを優先する傾向が強いため、抱え込みが生じやすく、それが疲労となり余裕が消えてしまいます。
こうした背景があるため本来の丁寧さが出せずミスや自己否定が増えるという悪循環が生じやすくなってしまいます。
また「やってあげたのに報われない」という経験も多くなるため、どうしても人間関係がしんどくなりやすくなります。
加えて、自分の予定や回復が後回しになりがちになるので、消耗が慢性化してしまうという傾向もあります。
● よくあるセルフトーク
この偏りのある方の多くは…
「断ったら嫌われる」
「私がやらないと回らない」
「期待に応えない私は価値がない」
という発想を持ちがちになります。
1-3.偏り3:相手の感情を自分の責任にしやすい
不機嫌なのは私のせい?という相手のネガティブな感情を自分に帰属させてしまうという問題ですね。
● なぜ起きる?
敏感な方は、相手の表情・声のトーンの変化をすぐにキャッチします。
その瞬間、脳は原因を探します。
脳が原因を探すまでは良いのですが、ここで「機嫌が悪い=自分が何かした」、「空気が悪い=自分が整えなきゃ」という「自動変換」が起こりやすいんですね。
特に、過去に顔色を読まないと不利益があった環境では、この変換は「身を守る」ための賢い選択でしたが、今ではそれが自分自身を苦しめる結果になってしまっています。
● その結果どうなる?
こうした傾向を持ってしまうと、相手の機嫌の変化によって自分自身の心が左右されたり、「自分が何かしたのでは」という原因究明、つまり自分を責めることが増えてしまいます。
また、相手の機嫌の原因探しと自分自身への粗探しが始まるので、反すう思考(ぐるぐる思考)が増えてしまいます。
加えて、本人が不機嫌でない場面でも「いつ不機嫌になるのか?」という警戒を緩めることができないので、常に緊張がついて回ります。
● よくあるセルフトーク
相手の不機嫌さの原因を自分に求めてしまうため…
「私が何か悪かった?」
「早く機嫌を直してもらわないと」
「嫌われたかもしれない」
…というセルフトークが増えていきます。
1-4.敏感さは欠点ではなく「調整の対象」
ここで挙げた偏りは、どれも「性格がネガティブ」だからではありません。
むしろ、敏感な脳が安全を確保するために頑張りすぎた結果として起きている反応なんですね
ただ、その脳の安全確保の結果が、否定的なものに対して注意が張り付いてしまい、迷惑を避けるために抱え込みてしまう、また相手の感情を背負ってしまうということにつながってしまっています。
そのため、リカバリーの第一歩は、「私の性格はネガティブだ」という自己否定をしたり、あるいはそのレッテルを張るのではなく、「自分はそう動きやすい傾向を持っている」と良しあしの評価に関係なく理解するということです。
否定ではなく理解というスタンスを取ることで、調整という対策が取りやすくなっていきます。
2.他人軸から自分軸へ~自己肯定感を育てる4つの実践~
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今まで、敏感さによって生じる「しんどさ」についてみてきました。
ここからは、敏感さから抜けだし自己肯定感を育てるための具体策を紹介しますね
ここでのポイントは、「いきなり大きな前進を目指す」のではなく、小さく、しかし確実に自己肯定感の種を拾っていくことです。
2-1,.実践1:褒め言葉の「感度を高く」する(褒めログ)
自己肯定感が下がっているときほど、褒め言葉のようなポジティブな言葉を受け取る感度が弱まってしまいます。
そこで、誉め言葉…とまではいかなくても、相手からのポジティブな言動があった場合、それを「事実」として記録してみてください。
具体的には、「いつ・誰に・何を褒められた(またはポジティブな言動があった)」を書きます。
そして、つい癖で出てしま反射的な自己否定(『たまたま』『私なんて』)も一緒に書いてください。
● コツ:1行でOK。週に3件集まれば十分です。
「ポジティブな言動をされた記憶がない」と感じる方ほど、まずは「小さな」感謝されたことまで含めて探すと見つかりやすくなります。
こうすることで、自己肯定感につながる材料が徐々に集まってくるようになります。
2-2.実践2:「できたこと」を「結果」ではなく「行動」で数える
…タイトルの表現がちょっとイメージしづらいですよね(汗)
敏感な方は、どうしても評価(結果)で自分の価値を判断しがちになるという傾向があります。
しかし、自己肯定感を支えるのは「私はやれる・やれた」という感覚、つまり自己効力感です。
例えば、今日は体調が悪い中で、出勤したということや、嫌な気分でも、必要な連絡をした、断れない場面で、代替案を出せたという「できた行動」を数えることは自分自身の能力の現れとして自己肯定感につながります。
また、ちょっと余談ですが「休むことを選べた」ということも、立派な行動に含めてください。
頑張った、取り組めた「行動」を拾うほど、自分が選択した結果ということが詰みなさなるので、そこから自分軸が戻りやすくなります。
2-3.実践3:感情を否定しない
自己肯定感が低い方ほど、感情そのものをネガティブに評価しがちになります。
例えば、怒りを感じてはいけない、苦手や不安を感じるのは性格がネガティブだから…というものです。
しかし感情というものは、良し悪しではなく「自然な反応」です。
確かに、強すぎるネガティブな感情は問題ですが、否定的な感情が生まれること自体はしぜんなことです。
そのため、おすすめは次のシンプルな2ステップです。
①いまの感情に名前をつける(例:不安、疲れ、焦り、さみしさ)
②「そう感じたのは自然」と一言添える
意外かもしれませんが、感情を認めると行動の選択肢が増えます。
逆に、感情を否定すると、抑圧し続けたり自己否定が生じますので心の中の摩擦が増えて消耗します。
それよりも、否定的な感情をそのまま認める方が自然であり、そこから自己否定という自己肯定感とは逆のものが生じにくくなります。
2-4.実践4:「これが私」より先に「観察者の自分」を挟む
これはちょっとマインドフルネスやACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)の要素が入ります。
繊細な方は、自己否定が始まるとネガティブな思考や感情との「同一化」が生じがちです。
例えば、「ミスした=私はダメ」、「不安を感じる=私の性格に問題がある」「疲れた=私は弱い」というように、「ネガティブな感情や思考=私」となりやすいんですね。
そのため、ここに観察者の一言を入れます。
✔「自己否定が出てきた」
✔「不安が強まっている」
✔「今は疲労モードだ」
これだけで、ネガティブな思考や感情と自分の距離が少し広がり、次の行動がとりやすくなります。
なによりも、「ネガティブ=自分自身」という図式ではなく「ネガティブ=私の中に生じている一部」という図式になりますので、これも自己否定から自分自身を守ってくれます。
まとめ~敏感さを残したままでも、自己肯定感は育てられる~
HSPをはじめとする繊細さを持っている方にとって、その繊細さは「欠点」ではなく、扱い方次第で強みになるものです。
ただ、繊細さが自己否定を生み、自己肯定感を下げるのは問題があります。
そのため、自己肯定感を上げるコツは、大きく変わることではなく、小さなポジティブを拾い続けることです。
そのため、先述したように「ポジティブに対する感度を高める、できた行動を数える、そして感情を否定せず観察者の一言を挟む…。
一見地味ですが、しかしこうした積み重ねが自己肯定感を育んでくれます。
繊細さを武器にできるように、まずは自己肯定感をしっかりと上げてくださいね。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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