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ADHDが持つ回復力~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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ADHDのレジリエンス(回復力)とは?~ポジティブな結果をつくる支えと要因~

ADHDのレジリエンス(回復力)とは?~ポジティブな結果をつくる支えと要因~

2026/01/09

 

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

ADHD(注意欠如・多動症)の方の多くは、その特性による生きづらさを強く感じておられます。

 

しかし、ADHDによる課題があっても、ご本人の工夫や周囲のサポートによって、より良く生きることも十分に可能です。

 

これは「レジリエンス(回復力)」という視点で見たときに、とてもよく説明できます。

 

ADHDに対する研究の多くは、そして臨床においてはリスク要因や機能不全の問題に焦点を当てられがちでした。

 

これは、ある意味当然のことで、ADHDの方の「生きづらさ」を解決するためには、機能不全の面に着目せざるを得ないという背景があるからです。


そうした研究や臨床の結果、発達や学業、対人関係や心理面での課題はよくわかっている一方で、「困難があっても上手く適応している方はどのようにして強さを獲得しているのか」という点についての視点は比較的少ないのが現状です。

 

そこでこのブログでは、Dvorsky & Langberg(2016)によるレビュー論文を踏まえつつ、ADHDとレジリエンス(回復力)について整理し、「個人・家族・社会」の三つの視点から具体的な要因や日常的なヒントをシェアしたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものではありません。

気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.ADHDのレジリエンスを育てる「保護因子」と「促進因子」

 

 

ADHDのレジリエンス(回復力)の研究では、「困難を抱えたときに、なぜある人は適応し、別の人は深刻な不調に陥ってしまうのか」という問いに対して、リスク要因だけでなく、それを打ち消す方向に働く要素が検討されてきました。

 

このとき着目されたのは以下の2つです。

 

✔保護因子
→リスクの影響を和らげる要素

✔促進因子
─ 適応や成長を積極的に後押しする要素

 

ADHDに関するレジリエンス研究でも、これらの因子が「個人・家族・社会(コミュニティ)」という複数の層で働くことが示されています。

 

1-1.個人レベルの促進因子~ポジティブな自己認知と自己効力感~

 

研究で個人レベルで最も一貫して重要だと報告されているのが、「ポジティブな自己認知」と「自己効力感」です。

 

では、自己効力感とは何かと言いますと、「困難な状況に直面しても、自分は何らかの方法で対処できる」いう主観的な感覚を意味しています。

 

これは「失敗しないという自信」ではなく、「失敗しても立て直せるという見通し」に近いものとお考え下さい。

 

研究では、自己効力感が高い方ほど、課題に直面したときに回避せず取り組みやすく、一時的な失敗を「自分の全否定」と結びつけにくい、さらにストレス状況でも感情の回復が早いといった傾向が示されてました。

 

1-2.ADHDの症状と「自己評価」は別の次元

 

ここで重要となってくるのが、ADHDの症状の強さと、自己効力感の高さは必ずしも一致しない
という点です。

 

つまり、同じような不注意や衝動性を抱えていても、「自分はダメだ」と感じ続ける方と「工夫すれば何とかなる部分もある」と考えることができる方とでは、その後の適応に大きな差が生じます。

 

論文では成功体験の蓄積や現実的な目標設定、自分自身の強みへの注目といった経験が、自己効力感を高め、結果としてレジリエンスを支えることが示めされました。

 

これは心理療法の臨床で重視される、「小さな達成を丁寧に言語化する」「結果ではなく努力やプロセスを評価する」「できなかった点だけでなくできた点も同じように扱う」といった支援とも深く一致しています。

 

1-3.家族レベルの保護因子~ポジティブな養育と家庭内支援~

 

次に重要になってくるのが、家族という最も身近な関係の影響です。

 

研究では、家族が一貫性のある関わりを持ちつつ、失敗をフォローし支える姿勢を示し、そして努力や工夫を認める関係性を築いている状況の重要性を指摘しています。

 

つまり、こうした家族のサポートがあることによってmADHDのある方は、ストレスに対して過剰に反応しにくくなります。

 

家庭内支援がレジリエンスに与える影響として、次のような関わりが示されています。

 

✔応援や励ましの言葉
→「結果」よりも「取り組んだこと」への承認が、自己否定の連鎖を防ぎます。

✔家庭でのルールや予測可能性
→明確で一貫したルールは、不安や混乱を減らし、自己調整を助けます。

課題を分解して取り組む工夫
→「一気にやらせない」「小さな単位で達成感を得る」ことが、成功体験の蓄積につながります。

 

こうした関わりが日常にあることで、感情の爆発や回避行動が減り、自己調整能力が少しずつ育つことが期待できます。

 

また家庭内でのサポートはご本人に大きな影響を与えますので、そうした支援は、成績や作業効率だけでなく、感情の安定や対人関係の持続、そして自己評価の安定といった、情緒面・社会性の基盤にも影響します。

 

その結果、困難な状況でも「一人で抱え込まなくていい」という感覚が育ち、長期的なレジリエンスにつながっていきます。

 

1-4.社会・コミュニティレベルの保護因子

 

ADHDを持っている方にとっては、学校・職場・地域などの人間関係も非常に重要です。

 

ADHDのある方が受容的な教師や上司、失敗を共有できる友人、さらには強みを活かせる役割を持てる環境に出会っている場合、心理的なダメージは蓄積されにくくなります。

 

1-5.長期的な影響

 

長期追跡研究では、社会的受容が高い環境にいる方ほど、学業成績や精神的健康が維持されやすことも報告されています。

 

これは、単に「支えてもらえた」という記憶だけでなく、「自分はここにいていい」「完璧でなくても良好な関係は維持できる」という基本的な安心感が内面化されるためだと考えられます。

 

2.レジリエンスを育てるための日常的なセルフケア

 

 

ここまで、ADHDの方のレジリエンスの要素をご紹介してきましたが、ここから見えてくるのは、日常のセルフケアの積み重ねによってレジリエンスが育っていくというものです。

 

そこで、ここでは「自分でできること」というセルフケアの観点から、レジリエンスを支える具体的な工夫を3つの視点からシェアしたいと思います。

 

2-1.自己理解と自己肯定感を育むセルフケア

 

まずレジリエンスの土台には、「自分をどう見ているか」「自分をどう扱っているか」という自己認知があります。

 

というのは、そもそも人は困難に直面したとき、どうしても「自分はダメだ」「この先、どうせうまくいかない」という、自分を責める方向に思考が傾きがちになる傾向を持っています。

 

そのためセルフケアとして大切なのは、その自動的な自己否定に気づき、視点を少し調整することです。

 

● 日記を使ったセルフケア

 

レジリエンスを育てるために有効なセルフケアの1つとして日記があります。

 

日記の内容は感情を吐き出すことも有効ですが、レジリエンスを育てるという観点で考えると、次のような書き方がおすすめです。

 

✔うまくいったこと(どんなに小さくても)

✔完璧でなくても「取り組んだ」こと

✔しんどい中で工夫した点

 

こうした記録は、「できなかった自分」ではなく「対処しようとした自分」に目を向ける練習になります。

 

● 「小さく認める」習慣の意味

 

自己肯定感というと、大きな成功や自信をイメージしがちですが、実際の自己肯定感とは「ハイパーポジティブ」な状態ではありません。

 

自然に自分自身を受容でき、そして自己否定に対して柔軟に対応できるという状態です。

 

そのため、セルフケアの観点ではむしろ、「小さく」「現実にできること」であり、かつそれを「継続的に承認すること」が重要です。

 

その観点から考えると、「これくらい当たり前」と流してしまいがちな行動にこそ、自己肯定感を育みレジリエンスを高める要素が詰まっています。


こうした行動をあえて言語化して認めることで、自分の中に「レジリエンスを支える声」が育っていきます。

 

2-2.家族や近しい関係の支援を「セルフケアとして整える」

 

セルフケアというと「一人でやるもの」と思われがちですが、実際には他者との関係の整え方も重要なセルフケアです。

 

特に家族やパートナー、親しい友人との関係、必要に応じて心理カウンセラーに相談できるという環境は、日々の心の消耗や回復に大きく影響します。

 

● ポジティブなフィードバックを増やす

 

ここで言う「ポジティブなフィードバック」とは、ADHDの方が他者に対して行う言葉がけです。

 

セルフケアなのに他者に対して?と思われるかもしれませんが、自分からこうした言葉を伝えることは、相手との関係を穏やかにし、また自分自身も「支え合っている感覚」を得られるという、双方向のセルフケアになります。

 

● 支援の「仕組」を一緒につくる

 

支援がうまく機能しない理由の一つは、「どう助けてほしいか」が曖昧なままになってしまい、具体的な行動に落とし込めないことにあります。。

 

そのためセルフケアとしてできるのは、どんなときに声をかけて欲しいか、手伝いが必要な範囲はどこまでかということを、あらかじめ言葉にしておくことです。

 

これは「依存」ではなく、自分の限界を理解し、ご本人にとっても周囲の方がにとっても無理を減らすためのセルフケアとなります。

 

2-3.社会的なつながりを保つセルフケア

 

そもそもレジリエンスは、孤立していると育ちにくいことが分かっています。

 

つまり、人とのつながりそのものがケアにつながるんですね。


しかし、だからといって多くの方と関わる必要はありません。

 

セルフケアとして大切なのは、安心できる人間関係があることです。

 

そしてその人間関係は受容的であり、また当事者の方の話に耳を傾けてくれるという関係が大切です。

 

ADHDの方の場合「人間関係疲れ」が生じやすい傾向があります。

 

そうした人間関係が存在することはある程度は仕方がないにせよ、同時に少し力が抜ける関係があることが、セルフケアのポイントです。

 

またそうした人間関係はADHDの方が持つ問題に対して解決を提示してくれる可能性を高めてくれるという効果もあります。

 

まとめ~積み重ねがレジリエンスになる~

 

ADHDの方がレジリエンスを獲得するための、即効性のある「特効薬」というものは残念ながらありません。

 

というのは、日々の経験の積み重ねによって、それが脳に記憶され、その結果レジリエンスが育つからです。

 

そのためには、自分を少し丁寧に扱い、人との関係を少し整える、また抱え込みを減らす・防ぐといった小さな工夫を積み重ねることが大切になってきます。

 

重要なのは、レジリエンスとは、「強くなること」ではありません。


柔軟に状況に対応し、回復しやすくなることを意味します。

 

まずは自己理解、そしてセルフケアを行い、レジリエンスを高めてくださいね。

 

参考論文

A Review of Factors that Promote Resilience in Youth with ADHD and ADHD Symptoms

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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