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パニック症の「怖さ」を減らすには?~身体感覚へのエクスポージャーが役立つ理由~

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パニック症の「怖さ」を減らすには?~身体感覚へのエクスポージャーが役立つ理由~

パニック症の「怖さ」を減らすには?~身体感覚へのエクスポージャーが役立つ理由~

2026/01/19

 

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて、パニック発作という症状に代表されるパニック症(パニック障害)で苦しんでいる方も珍しくありません。

 

そしてパニック症の困ったところは、パニック発作そのものもそうなのですが、、「また起きたらどうしよう」という予期不安が生活をじわじわと狭めていく点にあります。

 

つまり、パニック症に対する予期不安が日常生活の行動の幅を狭め、そして、それがパニック発作ヘの脆弱性を高めてしまうというものなんですね。

 

こうしたパニック症に対するアプローチとしては、身体感覚に働きかけることが有効です。

 

そこで、このブログではパニック症に対するケアを身体感覚に焦点化したアプローチの効果を検証した重要な論文を参照にしつつ、パニック症へのケアについてシェアしたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものではありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.パニック発作に対する3つのアプローチと、その効果

 

 

 

今回ご紹介する研究では、パニック障害に対して異なる3つの心理的アプローチが比較されました。


目的は、「どのような関わり方が、パニック発作の改善につながりやすいのか」を検討することです。

 

比較されたのは、次の3つのアプローチです。

 

(1)身体感覚へのエクスポージャー(内受容感覚への曝露)+認知的アプローチ

 

(2)パニック障害向けに構成されたリラクセーション療法

 

(3)上の2つを組み合わせたアプローチ

 

それぞれのアプローチの特徴は以下の通りです。

 

1-1.身体感覚へのエクスポージャー+認知的アプローチ~「怖い感覚=危険」という枠組みを外す~

 

ご存じの通り、パニック発作では、動悸・息苦しさ・めまい・ふらつきといった身体感覚そのものが、恐怖の引き金になります。

 

多くの場合、身体感覚が出た瞬間に、「これは危険だ!」「倒れるかもしれない」「自分ではコントロールできない」といった解釈が自動的かつ瞬間的にに浮かび、恐怖が一気に強まります。

 

そのため、このアプローチではパニックに結びつきやすい身体感覚を、安全な状況で意図的に体験し直すという方法を取りました。

 

ここで重要となるのは、「無理に我慢する」「怖さを押さえ込む」ことではありません。


むしろ、「身体感覚は不快でも、必ずしも危険とは言えない」「恐怖は高まっても、自然に下がることがある」ということを、体験を通して理解し、「身体感覚→パニック発作」という図式をかえることにあります

 

これに認知的アプローチ、つまり「役に立つ考え」を組み合わせることで、「身体感覚=破局的な結果」という結びつきを、より柔軟に見直していきます。

 

1-2.認知的アプローチ~恐怖を増幅させる「自動的な解釈」を整える~

 

パニック発作では、身体感覚そのものもそうですが、その感覚をどう解釈すかによって恐怖は大きく左右されます。

 

研究で扱われた認知的アプローチでは、例えば次のような考え方に焦点が当てられます。

 

✔「この動悸は悪いサインだ」

 

✔「息が苦しい=窒息するかもしれない」

 

✔「めまいがする=倒れるかもしれない」

 

もちろん、こうした症状は医学的な確認を取ることが必要であり、それはなによりも優先されるべきものです。


それを踏まえた上でですが、身体感覚を即座に「致命的な危険のサイン」と決めつけてしまう思考のクセが、恐怖を加速させている場合があるんですね。

 

認知的アプローチは、こうした自動的な結論に気づき、破滅的な結果以外の結果についての可能性も検討できるようになることを目的としています。

 

1-3.リラクセーション療法~不安を下げる効果はあるが…

 

この研究では、パニック障害に合わせて構成されたリラクセーション療法も比較対象として含まれていました。

 

リラクセーションの特徴は、全身の緊張を下げる、また不安のベースラインを落ち着かせるといった効果が期待できる点です。

 

実際、研究でもパニック発作に伴う全般的な不安を下げる効果が示唆されています。

 

一方で、研究結果の中ではリラクゼーションの限界も見えてきました。

 

具体的には、習得には練習量が必要であり、かつすぐに効果が見られない、あるいは限定的であるため、途中でやめてしまう人(脱落率)が比較的高いという課題も指摘されています。

 

つまり、リラクセーションは有効な手段になり得る一方で、人によって合う・合わないが分かれやすいアプローチとも言えるでしょう。

 

1-4.研究結果のまとめ~結局、どれが有効なの?

 

この研究で明確になったのは、3つの治療アプローチはいずれも良い結果を示しましたということです。

 

…なんだ、じゃあどれをも使っても同じじゃないの?と思われるかもしれませんが、効果の愛用については少々異なる結果となっています。

 

具体的には「身体感覚へのエクスポージャー+認知的対処」を含むアプローチの効果が高く、治療後に非常に多くのが「パニック発作なし」という状態に到達しました。

 

この結果から示唆されるのは、単に不安を落ち着かせること以上に、「怖い身体感覚そのものへの向き合い方が変わること」が効果的という点です。

 

これはパニック発作の改善、とくに「発作が起きなくなる」という点に強く関わっている可能性です。

 

このように、パニック発作へのアプローチは一つではありません。


それぞれの方法に特徴と役割があり、どの要素を重視するかによって得られる効果も異なるため、まずはその当事者の方の状態を理解した上で有効なアプローチをとることが求められていると言えるでしょう。

 

2.セルフケアや臨床に落とし込むには?

 

 

先の「身体感覚へのエクスポージャー+認知的対処」は、いわゆる認知行動療法によって多く行われるアプローチです。

 

現在でもパニック障害に対して認知行動療法(CBT)が主要な推奨治療の一つであることは、後年のガイドラインやレビューでも繰り返し示されています。


その点を踏まえた上でセルフケアの在り方をご紹介しますね。

 

2-1.セルフケア(1):まず「発作=危険」ではなく「発作=誤作動でも起きる」を知る

 

パニック発作は本当に怖い体験です。

 

そのため脳は「二度と起きないように」回避と警戒を強めてしまいます。


ただ、この脳の警戒が問題なんですね。

 

具体的には、脳の警戒態勢が過敏であるため、身体に生じたちょっとした変化(鼓動、呼吸、ふらつき)を危険と見なしやすくなります。

 

ここでのセルフケアは、「知識の更新」です。

 

つまり…


「怖いけど、必ずしも危険の証拠ではない」


これは短いセンテンスですが、これが長い目で見ると回復を支える土台になります。

 

2-2.セルフケア(2):身体感覚への向き合いを「小さく」「安全に」練習する

 

先述したエクスポージャー、つまり「暴露反応妨害法」というものは、あえて不安な状況に身を置いて、「安全である」ということを脳が理解できるように促すものです。

 

ただ、この技法は先述した通り不安や恐怖の状態に身を置くため、自己流で強くやることは推奨されません。

 

しかし、日常でできる小さな練習はあります。

 

例えば…

 

①動悸や息苦しさが出たとき、まず逃げる前に10〜20秒だけ観察する

 

②「いま体が興奮してるだけかも」と言葉でラベリングする

 

③可能なら、座る・水を飲むなど安全確保をした上で、呼吸を「整えようと必死に操作する」より「通常の状態に自然に戻るのを待つ」

 

…というものです。

 

このように、「不安や恐怖からの回避という自動運転」を少しだけ緩める工夫が、恐怖や不安の感情を和らげる効果が期待できます。

 

2-3.セルフケア(3):リラクセーションは「万能」ではないので、合うものを使う

 

リラクセーションは役立つ一方で、研究では効果の限界が示されています。

 

ただ、一定の効果は期待できるため、実践して損はありません。

 

その際、「やってみたけど効果ない=ダメ」と考えるのは少々早計です。

 

そのため、以下の方法を行ってみてください。

 

✔時間を短くする(1〜2分から)

 

✔「完璧に落ち着かせる」を目標にしない

 

✔体の感覚(足裏、背中の接地)に注意を向けるなど身体的な感覚に働きかける

 

このような調整を行えば、リラクゼーション法も立派なセルフケアの1つとなります。

 

2-4.医療機関・心理カウンセラーの支援が必要になる場面

 

パニック症状がセルフケアで首尾よく解決されればよいのですが、しかし専門的な支援を求めた方がよい場合も当然あります。

 

特に次のような場合は、早めに相談することが必要です。

 

(1)初めての強い発作、または身体疾患の可能性が否定できないとき

 

動悸・胸痛・息苦しさ・めまいは、身体疾患でも起こります。


そのため、まず医療機関できちんと診察を受けることは、とても大切です。

 

(2)回避が増えて生活が狭まり始めたとき

 

例えば「電車に乗れない」「一人で外出できない」「職場に行けない」など、生活範囲が狭まっている場合は、専門医による治療や心理カウンセリングによるケアが必要な段階と考えてください。

 

(3)抑うつ、強い不眠、アルコール等の併用が出ているとき

 

不安が長引くと、睡眠や気分、対処行動(飲酒や過食など)にも影響が出やすくなります。

 

このような状態からセルフケアで回復を図ることには限界があります。

 

そのため、こうした場合も専門医による支援や心理カウンセリングが必要な段階と言えるでしょう。

 

まとめ:パニック障害は「怖いけど、修正は可能」

 

今回参照にした研究では、パニック症に対して、行動療法の複数条件が有効であり、特に身体感覚への曝露+認知的アプローチを含む条件で、治療後に非常に高い率の方が、以上がパニック発作なしだったことを示しました。


そして現在でも、パニック障害に対する認知行動療法は主要な治療選択肢として位置づけられています。

 

パニックの回復は、「発作が起きないようにする」ということも重要ですが、それと同じく発作が怖くても、生活の選択肢がきちんと維持されるということになります

 

ただ、先述したように必要なときは、医療機関や心理カウンセラーの力を借りてください。

 

一人で抱え込むのではなく、周囲のサポートも活用しながら、パニック症を乗り越えていきましょう。

 

参考論文

Behavioral Treatment of Panic Disorder

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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