「ありのままの自分」でいられないのはどうして?
2026/01/26
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
私たちが生活している環境は、なかなか自分軸で生きる、つまり「ありのままの自分」でい続けることは難しいものです。
状況に応じて自分自身の振る舞いを変えることは悪いことではありませんし、むしろ社会性という観点では非常に重要です。
ただ、それによって息苦しさを感じる方も珍しくありません。
そして、そうした「他人軸」で生きることから解放されて「ありのままの自分」として生きたいと思う方もたくさんおられます。
そして、こうした場合に問題になりやすいのは、「ありのまま」でいられないことそのものではなく、その状態が長く続き、回復の手当てが追いつかないことです。
そこで今回は、「ありのままの自分」として生きるというテーマを考えてみたいと思います。
1.「ありのままの自分でいられない」と思ったときに気を付けたい、たった一つのこと

ありのままの自分でいることが難しい時、「結局、本当の私とは何者なんだろう?」という疑問が付いて回りがちです。
つまり、他人軸で生きることが求められすぎているために、「ありのままの自分」が見えなくなってしまっているんですね。
1-1. 「どれが本当の自分?」と迷うのは自然な反応
私の臨床でも、「家では優しいのに外では気を張る」「恋人の前だけ不安定になる」「人前だとつい周りに合わせてしまう」など、「場面で人格が違うように感じる」という悩みはよく聞かれます。
ここで覚えておきたい視点はシンプルです。
それは、人には「複数のモード(役割の自分)」がある、ということです。
私を例に挙げると、「夫としての私」「心理カウンセラーとしての私」「心理系の学会で上手く振る舞う私(実際に上手く振る舞えているかどうかは疑問ですが…)」という、「複数の私」が存在しています。
これは、それぞれの場面に応じて求められる役割が違うために生じるものです。
これらは「モード」という状態で考えると分かりやすいかと思います。
例えば、「自分を守るために防御態勢になるモード」や「他者合わせるために明るくするモード」「波風を立てないために黙るモード」などがありますよね。
これらのモードの中にある自分というものは、「必要があって立ち上がる適応の自分」だと言えるでしょう。
1-2. 性格は「一枚岩」ではなく、状況で表に出方が変わる
「自然体=生まれつきの性格だけ」と考えがちですが、実は性格には色々な要素が絡んでいます。
そして実際の私たちは、次のような要素が重なって「日々の自分」を形づくっています
✔気質(もともとの傾向):刺激に敏感・慎重・活発など
✔学習(経験で身についた型):怒ると関係が崩れた、断ると嫌われた、など
✔役割(期待される振る舞い):親・子・パートナー・同僚・友人・コミュニティの一員
✔目的(大切なものを守るため):関係を壊さない、生活を守る、相手を支える、など
1-3. 性格を「変えている自分」は、むしろ褒めてよい
「自然に自分らしく振る舞いたい」と感じてしまう方ほど、実は見落としている点があります。
というのは、振る舞いを調整している背景には、多くの場合、次のような価値があるからです。
✔大切な人を傷つけたくない
✔関係を壊したくない
✔自分の生活や役割を守りたい
✔場を落ち着かせたい
✔やるべきことをやり切りたい
つまり、自分らしさを犠牲にしているのではなく、大切にしたいもののために、振る舞いを選んでいるということなんですね。
ここは自己否定をするべきところではなく、「私はよくやっている」と評価してよいポイントではないでしょうか。
1-4. ただし、作った自分には「燃費の限度」がある
一方で、気質と逆方向の振る舞いを続けるほど、心身には負荷がかかります。
そして次のような状態が続くなら、回復が追いついていない可能性があります。
✔予定が終わったあと、どっと疲れて動けない
✔些細なことでイライラしやすい・涙が出やすい(出てしまう)
✔一人になると空しくなってしまう
✔人に会う前から気が重い(回避が増える)
✔自分が何を感じているのかがよく分からない(感情の鈍麻)
ここまでくると、「頑張れば何とかなる」ではなく、回復の仕組みを作ることが求められている状態と言えます。
1-5. 気を付けたい、たった一つのこと
では、社会生活の中で自分らしく振る舞えないという状況が続く場合、どのようにしたらよいのでしょうか?
答えは非常にシンプルです。
「素に戻れる時間と場所」をきちんと確保する
結論はこれです。
ありのままでいられないことを問題にすることも大切ですが、まずは戻れる場所を確保することが大切です。
そしてポイントは「気が付いたタイミングで休む」ではなく、「回復の時間を予定として確保する」ということが重要です。
2.今日からできる、「ありのままの自分」に戻れる場所を作るワーク

では、ここからは「ありのままの自分」を取り戻すワークをご紹介しますね。
2-1.ワーク(1)「役割モードの燃費チェック」(3分)
まず、いま一番頑張っている場面はどこかを明確にします。
例えば家庭や恋愛関係、友人や職場などですね。
そして、そこでの自分を一言で書いてください(例:明るい人、強い人、気が利く人)。
その後、その場面の消耗度を0〜10でつけます(10=かなり消耗)。
7以上なら、回復の確保を優先課題にしてください。
2-2.ワーク(2)「回復の三段階メニュー」を作る(5分)
回復のためには当然ですが、休むことが不可欠です。
そして、「休む」はこまめにとることで回復は早くなります。
そこで、次のように短距離・中距離・長距離で用意します。
✔超短距離(5分):深呼吸、温かい飲み物、目を閉じる、外気に触れる
✔中距離(30分):散歩、入浴、静かな場所で音を遮断、ストレッチ
✔長距離(半日〜):一人の時間、安心できる人と会う、自然や趣味に浸る
ここでは、自分の生活に入れやすいものを各段階で1つずつ選べば十分です。
2-3.切り替えを助ける「小さな儀式」を持つ
回復という観点で考えると、「他人軸の自分」から「ありのままの自分(自分軸の自分)に戻る」というへの切り替えの合図があると役に立ちます。
例えば…
✔家に入る前に深呼吸を3回
✔服を着替える・手を洗う
✔照明を落とす・音を止める
✔スマホを別部屋に置く
✔「いまは戻る時間」と短い言葉で区切る
重要なのは合図の内容ではなく、毎回同じ動作でスイッチを入れることです。
最後に
ありのままでいられないこと自体は、決して悪いことではありません。
私たちは状況や役割に合わせて振る舞いを調整して生きています。
それは社会的には非常に重要な意味を持っています。
ただし、「他人軸の時間」が続くと心は消耗していきます。
大切なのは「自然体でいよう」と頑張ることではなく、素に戻れる時間と場所を先に確保することです。
回復は気分任せにせず、短い休憩(5分)・中くらいの休息(30分)・しっかり休む時間(半日以上)を用意しておくと整いやすくなります。
もし回復を入れてもつらさが続くなら、環境や関係性の調整、支援につながることも心を守る一つの選択肢です。
セルフケアを行いながら、ありのままの自分でいられる時間を大切にしてくださいね。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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