心がしんどいのに「助けて」と言えないとき~心の不調で助けが必要になるタイミング~
2026/02/12
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
心がしんどい時、周囲の信頼できる方や医師、カウンセラーの支援を受けることは回復においてはとても重要です。
その、支援を受けたい・必要としているという発信を当事者の方が行う事を「援助要請行動」と呼びます。
そして援助要請が必要かどうかは、「つらさの強さ」もそうですが、「生活が回っているか」と「それが続いているか」で判断することが大切です。
ご本人が「助けて」と言えるとは限りません。
心が弱っているとき、しんどいとき、当事者の方はどうしても抱え込みがちになってしまいます。
また当事者の方は自分自身の心の「しんどさ」を後回しにし、誰にもそのしんどさを共有しないというケースも多々あります。
そのため、助けが必要な状態ほど当事者の方は気づかない、あるいは気づきたくないことも珍しくありません。
そのため、サインを「見える化」しておくことが予防になります。
そこでここでは、当事者の方が心の「しんどさ」を抱えているときに「助けて」といえること、つまり援助要請についてシェアしたいと思います。
1.心が弱っている人の「援助要請のサイン」に気づく方法

援助要請が必要な段階というものは、意外と目につきにくいものです。
当事者の方もなんとか踏ん張ろうと頑張っておられますし、それゆえに周りの方も当事者の方が抱えている問題を見落としがちになります。
そのため、以下の点が重要になってきます。
1-1.援助要請のサインは「言葉」より先に「変化」として出る
援助要請というと「相談したい」「つらい」と明確に言うイメージがあるかもしれません。
しかし現実には、以下のような状態が逆に目立つようになります。
✔いつも通りに振る舞おうとする(むしろ明るく見える)
✔「迷惑をかけたくない」「大丈夫」と繰り返す
✔具体的な困りごとではなく、疲労・不眠・体調不良として出る(私の言葉で言うと『体に来てしまう』という状態です)
このように、「助けて」という訴えではなく変化として現れることがほとんどです。
1-2.なぜ当事者は「援助要請が必要」と気づきにくいのか
ここは非常に重要です。
当事者の方が「助けて」と言えない・言わない、つまり援助要請行動が出にくいのは、よくある心理的・社会的な仕組みです。
具体的には以下のようなものです。
✔しんどさに慣れてしまう:不調が続くと、それが基準(通常)になり「この程度で…」と過小評価しやすい
✔評価・迷惑へ影響の恐れ:仕事を休まざるを得なくなる、評価に影響すると捉えられる不安がブレーキになる
✔症状そのものが判断力を奪う:睡眠不足や抑うつ、不安は集中力・意思決定を落とし、「相談先を探す」力すら削ります
✔気づきの偏り:たとえば抑うつでは、本人が自分の状態を言語化しづらい場合があります。
2.当事者の方が援助要請を検討した方が良いと判断される基準

では、どのタイミングで援助要請行動を取った方がよいのでしょうか?
以下は、NIMH(米国国立精神衛生研究所)の情報(抑うつの症状・受診の考え方)を元に、日常で気づきやすい形に言い換えたものをご紹介します。
当事者の方にとって「自分は援助が必要」と判断するのは、心のしんどさを自覚できない場合も多いので難しいものです。
そのため、以下のガイドラインを参考に検討してみてください。
(1)生活の土台が崩れてきた
□ 寝つけない・途中で目が覚める・寝ても疲れが取れない
□ 食欲が落ちた、または増えた(体重変化を伴うことも)
□ 体が重い、エネルギーが湧かない
(2)気分・思考が固定されてきた
□ 不安・落ち込み・焦りが続き、気が休まらない
□ 自分を責める考えが止まらない、悲観が強い
□ 集中できずミスが増える・判断が遅くなる
(3)人や活動から離れていく
□ 連絡が億劫、誘いを断ることが増えた
□ 以前は楽しめたことに興味が持てない
□ 役割(仕事・家事・育児・学業)が回らない
2-1.周囲向が当事者の異変を見逃されやすいための基準
次は周囲の方が当事者の方に異変に気付くための基準です。
まずはご本人が言葉にしないとき、周囲は「その人らしさの変化」を手がかりにします。
そして、以下の異変が生じたら援助行動を促した方がよいでしょう。
□ 返信が遅い・既読スルーが増える、約束を避ける
□ ため息、ぼーっとしている、遅刻や物忘れが増える
□ 口数が減る、逆に空回りして落ち着かない
□ 「自分なんて」「迷惑かけてばかり」など自己評価の低下がにじむ
2-2.相談(援助要請)を考える「基準」はこの3つ
いままで援助要請行動を取るべきガイドラインをお伝えしましたが、援助要請の必要性の有無を考える場合、以下のものがポイントとなります。
(1)期間:不眠や強い不安・落ち込みなどが2週間以上続く。
(2)機能:仕事・家事・学業・対人が回らない・明らかに質が落ちる。
(3)自力対処の限界:休んでも回復しない、対処が裏目(暴飲暴食・過度の回避など)になっている。
ここまで来たら「頑張って乗り切る」より、外部の助けを入れて回復速度を上げるほうが妥当ですし「自分に優しい判断」と言えます。
2-3.声のかけ方~相手の防衛を上げずに支えるコツ~
援助要請が必要な方というのはメンタルが落ちていますので、その結果「変化」に対して消極的になります。
そのため、医師の治療や心理カウンセラーの支援に対しては消極的になりがちです。
そうすると、援助要請をアドバイスしても防衛が働き逆効果になることがあります。
そのため周囲ができることは「説得」ではなく、安全に話せる場を作ることです。
推奨される手順としては以下のようになります。
✔観察を事実で伝える:「最近、眠れてなさそう」「以前より元気が落ちて見える」
✔決めつけずに聞く:「今、何が一番しんどい?」
✔具体的な手助けを提案:「一緒に病院・相談先を調べようか」「今日は家事を代わるよ」
✔継続する:「また明日も声かけるね」(単発で終わらせない)
✔支える側の限界も守る:抱え込みすぎない(必要なら第三者につなぐ)
まとめ
援助要請のサインは、言葉より先に「生活の変化」として表れる場合が少なくありません。
また当事者の方はは必要性に気づきにくい(慣れ・遠慮・症状で判断力が落ちる)という問題も抱えておられます。
そのため、援助要請の目安は 「2週間」「生活が回らない」「自力対処の限界」ということになります。
また周囲の方は説得より、「事実+質問+具体支援+継続」が有効です。
どうか、しんどさを抱え込まずに必要な助けを周囲から借りて、心を回復していってくださいね。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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