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双極症(双極性障害)の早期発見について~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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双極症の「前触れ」とは何か?~早期発見のための初期前駆症状とは~

双極症の「前触れ」とは何か?~早期発見のための初期前駆症状とは~

2026/02/14

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

どの心の病もそうですが、早期発見ができるほど後の経過は良好になります。

 

そのためなるべく早く治療や支援につなげられるようにしたいものですが、心の病は目に見えないものなので早期発見は難しいものです。

 

しかし、心の病には「前駆症状」と呼ばれる「前触れ」があるものが少なくありません。

 

そこで今回は双極症(双極性障害)を例に前触れ、つまり前駆症状を見ていきたいと思います。

 

では、双極症の早期発見につながる前触れは存在するのでしょうか?

 

結論から申し上げると、双極症の前触れは存在するが、予測は簡単ではない、ということになります。

 

双極症は、ある日突然発症する病気ではありません。


多くのケースでは、数年にわたる「前触れ(初期前駆症状)」が存在する可能性があることが、複数の研究から示唆されています。

 

しかし同時に早期発見という観点で考えると様々な問題が存在することも事実です。

 

そこで今回は、双極症の前駆症状、つまり前触れついて研究論文を参照にしつつ解説したいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものではありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.双極症の「始まり」を考える~前駆症状とは?~

 

 

双極症は、ある日突然始まるわけではありません。

 

多くのケースで、診断に至る前に「それまでの安定した状態から少しずつ変化していく時期」が存在する可能性が示唆されています。


今回参照にしている研究論文では、この時期を「初期前駆症状」と呼び、「安定した状態から逸脱した最初の目立つ変化から、診断可能な双極症に至るまでの期間」と定義しています 

 

そして、この前駆期はさらに二つに分けられます。

 

✔遠位前駆期:比較的早い段階でみられる、まだ曖昧な変化

 

✔近位前駆期:発症直前に近い、より明確な変化

 

ここでの「近い・遠い」は双極症の診断基準を満たすタイミングを基準に、それよりも「遠い(遅い)」か、「近い(早い)」かでの分類したものです。

 

そして遠位前駆期では、「なんとなく様子が変わった」「最近不安定になった」という印象レベルの変化が中心です。

 

一方、近位前駆期では、軽躁や抑うつの特徴がよりはっきりしてきます。

 

1-1.よく見られる初期サイン

 

研究でで多く報告されている遠位前駆期(早い段階での『前触れ』)の症状には、次のようなものがあります 。

 

(1)イライラ・攻撃性

 

これは最も頻繁に報告された初期サインの一つです。


怒りっぽさ、かんしゃく、感情の爆発などが目立つことがあります。

 

特に子どもや思春期では「気難しい」「反抗的」と誤解されやすい特徴でもあります。

 

(2)睡眠障害

 

寝つきが悪い、夜中に何度も目覚める、睡眠時間が極端に減るなどが典型例です。


睡眠の変化は双極症の重要なシグナルであり、発症前から徐々に現れることが知られています。

 

(3)気分の波

 

これは文字通り、気分が安定せず、短期間で上がったり下がったりする状態を指します。


まだ診断基準を満たすほどではなくても、「振れ幅」が徐々に大きくなっていくケースがあります。

 

(4)抑うつ症状

 

無気力、悲観、集中困難、自責感などが、これに当てはまります。


また双極症の前駆期では、最初に抑うつが目立つことも少なくありません。

 

(5)軽躁的特徴

 

活動性の上昇、話しすぎ、アイデアが次々と浮かぶ感覚などが見られます。


ただしこの段階では、まだ周囲から「元気すぎる」程度に見えることもあるので注意が必要です。

 

(6)不安症状

 

過度な心配、神経質さ、分離不安などが、これに当たります。


不安は双極症に特異的ではありませんが、前駆期でよく報告されています。

 

これらを総合すると、論文は双極症の初期前駆症状の中核を「気分とエネルギーの調整困難」として、まとめることができるでしょう。


つまり、気分の振れだけでなく、「エネルギー水準のコントロールがうまくいかなくなること」が重要なポイントとなります。

 

1-2.症状はどのように進行するのか

 

研究では、発症に近づくにつれて次のような変化が示唆されています 。

 

✔症状が現れる頻度が増える

 

✔振れ幅や強さが増す

 

✔軽躁や抑うつの特徴がより明確になる

 

✔学業や仕事、人間関係など社会機能の低下が目立つ

 

つまり、最初は「なんとなく不安定」だった状態が、やがて「はっきりしたエピソード」として区別できるようになる、という流れをイメージすると分かりやすいと思います。


この「明確化の過程」こそが、前駆期から発症へ移行する重要な段階と考えられます。

 

1-3.しかし「特異性」は低い

 

双極症に限らず、心の病は早期発見がとても大切です。

 

そのため、双極症に限らず前駆症状に着目することは非常に大切です。

 

しかし、今回ご紹介している研究で最も重要な指摘は、「前駆症状の特異性は低い」という点です 

 

つまり、これらの症状は双極症に特有とは言えないということなんですね。

 

確かに、普段とは違う状態になっている、しかしそれが双極症なのかと言えば、必ずしもそうとは言えず、うつ病や不安症、発達等の問題である可能性も否定できないということです。

 

そのため、「前駆症状=双極症」という単純化された判断は避けるべきであり、このような慎重さは非常に重要となります。


つまり、「イライラしている=双極症になる」という単純な図式ではないということですね。

 

実際にうつ病においてもイライラや躁に似た症状が出ることもあります。

 

そのため、安易な自己判断をせず、「何かおかしいな」と思ったら医師の判断を仰ぎ、早期の対処を行うことが大切です。

 

また、前駆症状という「前触れ」についてご紹介していますが、実は一定数、何の前触れもなく突然双極症の診断基準を満たす症状がでてしまうという場合もあります。

 

こういったケースもあるため、繰り返しになりますが、何かおかしいと思ったら医師の判断を仰ぐということを意識してくださいね。

 

2.早期発見において心理カウンセラーが重視していることとは?

 

 

双極症の可能性を考える場面で、心理カウンセラーとして大切にしているのは、「一つの症状を見て結論を急がない」という姿勢です。

 

イライラ、睡眠不足、気分の落ち込みなどは、誰にでも起こり得ますし、うつ病や不安障害、発達特性、強いストレス反応とも重なります。

 

そのため、単発の症状に過剰反応するのではなく、「全体の流れ(パターン)」を見ることが臨床においては重要になります。

 

2-1.単一症状ではなく「パターン」と「変化」を見る

 

臨床において重要なポイントは、「何があるか」だけでなく…

 

どのように繰り返され、どれくらい続き、どれくらい生活に影響しているか

 

…ということです。

 

たとえば、気分の上下があるとしても…

 

✔数時間〜数日単位で波が繰り返されるのか

 

✔波が高いとき、活動量や発言量が目立って増えているのか

 

✔波が下がった時に意欲低下や自責感が強まるのか


といった「変化の型」を丁寧に捉えます。

 

また、発症前の前駆期では「以前と比べて明らかに違う」が手がかりになります。

 

本人や周囲が「最近別人みたい」「生活のリズムが崩れて戻らない」と感じる変化は、経過観察や専門評価につながる重要な情報になります。

 

2-2.「機能低下」があるかを重視する

 

もう一つの軸は、生活機能の低下です。

 

気分や睡眠の問題があっても、仕事・学業・家事・対人関係が維持できているかどうかで意味合いが変わります。

 

生活機能に対する悪影響としては、次のようなものがあります。

 

✔遅刻や欠勤が増える

 

✔衝動的な言動で人間関係にネガティブな影響が出る

 

✔お金の使い方が荒くなる、計画性が落ちる

 

✔休息しても回復しにくい(疲れが取れない)


こうした「生活上の困りごと」が強くなるほど、専門的な診断や治療、心理的支援の必要性は高まります。

 

2-3.診断と治療を勧める意義が高いサイン

 

特に注意して見たいのは、次のような組み合わせです。

 

✔繰り返す激しい気分の上下(短期間で上がり下がりし、周囲にも変化が分かる)

 

✔睡眠リズムの崩れ(眠らなくても平気な時期がある・不眠が続き日常生活に支障が出る)

 

✔説明しにくいエネルギーの暴走(急に活動量が増える、止まらない、考えが飛ぶ、衝動的になる)

 

これらは単独でも重要ですが、重なって現れ、かつ機能低下が見られる場合は、早めに精神科や心療内科などでの診断や治療につなげることが、安心と安全につながります。

 

まとめ

 

これまで見てきましたように、双極症には前駆症状が存在する可能性があり、それは主に気分とエネルギーの調整困難という特徴を持っています。


そして 症状は徐々に強まることがあるのですが、しかし特異性は低く、単純化して考えることは避ける必要があるということです。

 

双極症は当事者の方にとっては大変つらい心の病です。

 

そのため大切になるのは、まずはパターンを見ること、そして機能の低下を見ること、最後に早い段階で医師の診断と治療を求める、ということです。

 

早い段階で治療や心理的支援(心理療法)を行う事が出来れば、その分だけ対応もやりやすくなる可能性が高まります。

 

ぜひ、「何かおかしい」と思ったら、医師の診断を仰ぐ、心理カウンセラーに相談するなどの対処を行ってくださいね。

 

参考論文

Symptoms and signs of the initial prodrome of bipolar disorder A systematic review

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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