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毒親育ちが恋愛に与える影響とは~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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「毒親」の影響は大人の恋愛にどう現れるのか?

「毒親」の影響は大人の恋愛にどう現れるのか?

2026/02/17

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

恋愛をするたびに苦しくなる、どうしても不安が消えない、恋愛で同じ問題を繰り返してしまう…。

 

日々の臨床でこうしたお悩みに接することは珍しいことではなく、多くの方がどうしても連来が上手くいかないという悩みを抱えておられます。

 

そしてその背景には、現在の出来事だけではなく、これまでの人間関係の経験、とくに幼少期の親との関係が影響している可能性を考える必要があります。

 

私たちは成長の過程で、「人とどう関わるのか」「自分はどのように扱われる存在なのか」という感覚を学びます。

 

もしその学びの土台となる親子関係が不安定だった場合、大人になってからの恋愛や対人関係の中で、不安や混乱が生じやすくなることがあります。

 

実際に研究でも、毒親的な養育環境で育った経験が、成人期の恋愛関係の感じ方や行動パターンに影響を及ぼす可能性が示されています。

 

しかし同時に重要なのは、その影響は固定されたものではなく、理解と支援によって変化し得るという点です。

 

つまり、恋愛の苦しさの背景には過去の経験が関係していることがあり、そしてそれは適切な理解によって乗り越えていける可能性がある、ということなんですね。

 

そこで今回は毒親の影響を受けた方が恋愛でどのような問題を抱えるのかをシェアしたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものではありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.そもそも「毒親」とは何か

 

 

まずは、改めて「毒親」とはどのような存在なのかを見ていきたいと面ます。

 

「毒親(toxic parent)」は、単に身体的暴力や性的虐待のような「分かりやすい加害」だけを指す概念ではありません。

 

今回参照にしている研究論文では、毒親(または毒性的な養育)が、子どもの情緒発達や対人関係の土台に持続的なダメージを与えうることが論じられています。

 

この点を踏まえて「毒親とは何か?」を考えると、毒親(毒性的な養育者)とは、反復的な形で子どもに情緒的ダメージを与える養育者、ということが言えます。

 

つまり、子供の心に対してダメージを与えるということが重要になってくるんですね。

 

毒親のそうした言動の背景要因として、毒親自身が経験した虐待・ネグレクトだけでなく、精神疾患、依存、情緒的抑圧、過度な多忙さや不在などが含まれます。

 

つまり、子ども側から見ると「安心・保護・情緒的応答性」が十分に得られない環境が、広く射程に入っています。

 

ここで重要なのは、外形的には「ちゃんと育てている」ように見える家庭でも、毒親的な養育が生じる、ということです。

 

例えば感情の扱いが禁止される(泣くな・怒るな・弱音を吐くな)、罪悪感でコントロールされる、愛情を与えるという行為が条件付きであるという心理的な関わりが典型例として挙げることができます。

 

その時の子どもは「自分の感情を安全に持てない」という学習をしてしまう点です。

 

そうした問題の結果として、毒親育ちの方は自分自身の感情を持て余すようになってしまう、ということなんですね。

 

2.幼少期の経験が大人の恋愛に影響する理由

 

 

では、そうした毒親の養育を経験された方が、なぜ恋愛での大変さが生じるのかについてみていきたいと思います。

 

2-1. 愛着理論~親子関係が「内的作業モデル」をつくる~

 

毒親の問題を考える上で、愛着理論という枠組みがあると理解しやすくなります。

 

愛着理論では、乳幼児期~児童期の養育者との相互作用が、のちの対人関係における信念・期待・行動パターン(いわゆる内的作業モデル)に関係すると考えます。

 

そして研究においても、毒親環境で育った成人が、恋愛関係で不安定さや満足度の低下を経験しやすい可能性が示唆されています。

 

この視点で見ると、幼少期に「助けを求めても返ってこない」「気持ちを出すと叱られる」「相手の機嫌が読めない」といった経験が続くと、成人後の恋愛で…

 

✔見捨てられ不安(相手の反応に過敏)

 

✔親密さへの警戒(近づきたいのに怖い)

 

✔過度な依存 or 過度な回避


…といった両極端の調整困難が起きやすくなります。

 

これは「性格」というより、幼少期に安全を確保するために身についた関係戦略として理解すると臨床的に扱いやすくなります。

 

2-2. 社会的学習理論~「関係とはこういうもの」を観察で学ぶ~

 

毒親の問題を理解するためのもう一つの枠組みが、社会的学習理論です。

 

研究では、幼少期の観察やモデリングを通して、関係行動が学習され、成人後の親密関係に持ち込まれうることが述べられています。

 

例えば、家庭内で支配・服従関係、沈黙、感情の抑圧、無視などが「通常の関係」として反復されていると、これが恋愛に影響を与えます。

 

具体的には、当事者の方がが望むかどうかに関わらず、恋愛でも同じ型(距離の取り方、衝突の処理、権力バランス)を再現してしまうことに繋がるんですね。

 

「なぜかいつも同じ結末になる」という感覚は、この「学習された脚本」として説明されやすい領域です。

 

3.研究で抽出された中心概念~「深く傷ついているという感覚」~

 

 

この研究では、毒親のような家庭環境で育った大人14人に対して、詳しい聞き取り調査が行われました。

 

そして個別に話を聞くだけでなく、複数人で体験を語り合う場も設けられ、その内容を丁寧に整理しながら共通点を見つけていく方法が用いられました。

 

その結果、参加者に共通して見られた中心的な特徴として、「心が深く傷ついている感覚」が浮かび上がりました。

 

研究ではこの状態を核となる概念として位置づけています。

 

さらにこの「心の傷つき」は、大きく次の3つの領域に分けて整理されました。

 

1つ目は、自分が受け入れられているという感覚の傷つきです。


2つ目は、人との関係の中で安心して調整したり主張したりできる感覚の傷つきです。


3つ目は、人や関係を選ぶ力の難しさです。

 

つまりこの研究は、毒親環境の影響によって生じる心理的な問題を、単なる性格の問題ではなく、「受け入れ」「関係の調整」「選択」という3つの側面から理解できることを示しています。

 

以下では、その内容を具体的に見ていきましょう。

 

3-1.「受け入れられている感覚」の傷つき~愛される確信が育ちにくい~

 

まず前提として存在しているのが、毒親に育てられた当事者の方が、「そのままの自分でいても大丈夫」「自分には価値がある」と感じられる土台が傷ついている状態である、ということです。


毒親的な環境では、子どもが安心して甘えたり、気持ちをそのまま出したりすることが難しくなります。

 

そして「親の機嫌を損ねないようにする」「親の期待に応える」「家の中をうまく回す(大人の役割を引き受ける)」といったことが優先されやすくなります。

 

すると子どもは、「自分は存在するだけでは認められない」「役に立つときだけ大切にされる」という学びを持ちやすくなります。

 

● 恋愛で起きやすいこと

 

大人になって恋愛関係に入ると、この傷つきは次のように表れやすくなります。

 

✔愛されている実感が持てず、相手の言葉や態度を何度も確かめたくなる

 

✔不安が強まると、相手を試すような行動が出る(わざと突き放す、駆け引きをする、詰め寄る)

 

✔小さなすれ違いを「嫌われた証拠」と受け取りやすい

 

外から見ると「重い」「疑い深い」と映ることがありますが、内側では「受け入れられない痛みを避けたい」という必死さが動いている、と理解することが大切です。

 

3-2.「関係の中で調整する力」の傷つき~安心して主導権を持てない~

 

ここで言う「調整する力」というのは、人との関係の中で自分の気持ちをきちんという、断る、話し合って折り合いをつける、対等に決めるといったことです。

 

毒親育ちの場合には、この「調整する力」が働きにくくなり、「安全にできる」という感覚が育ちにくい状態になってしまいます。

 

毒親的な環境では、子どもが何かを選んだり主張したりすると、罰を受ける(否定される)、無視される、罪悪感を植えつけられる、などの形で封じられることがあります。

 

すると子どもは、以下のような両極端な生き残り方を身につけやすくなります。

 

✔「相手に合わせれば安全」→ いつも我慢して合わせる(そして抱え込んだ感情によって爆発してしまう)

 

✔「頼ると危険」→ 誰にも頼らず、全部一人で背負う

 

● 恋愛で起きやすいこと

 

こうした問題は、恋愛では次のように表れます。

 

✔相手の気分や要求に敏感になり、合わせ続けて疲れ切る or 爆発する

 

✔逆に、親密になるほど距離を取り、心を閉じる

 

✔「落ち着いて話し合う」よりも、「追いかける or 逃げる」、「強い側 or 弱い側」の関係になりやすい

 

ここで重要なのは、「支配したい性格」「支配されたい性格」という話しではないということです。

 

過去に安全がなく、関係の中で調整する練習ができなかった結果として、関係の技術が育ちにくかった、と捉えるほうが妥当ですし、回復へつながりやすくなります。

 

3-3.「選ぶ力」の難しさ~同じ恋愛パターンを繰り返してしまう~

 

ここで前提となるのが、相手の選び方や関係の続け方が、なぜか自分を苦しめる方向に寄ってしまう状態であるということです。

 

毒親的な環境で育つと、安心よりも緊張のほうが「いつもの状態」になりやすいことがあります(これは複雑性トラウマでも発生する現象です)。

 

その結果、大人になってからも、気持ちが振り回される不安定な関係や距離が極端に近い or 極端に冷たい関係、そして罪悪感や義務感でつながる関係を選択しがちになってしまいます。

 

これは頭では苦しいと分かっていても「なぜか落ち着く」「慣れている感じがする」と錯覚しやすくなるためです。

 

これは理屈だけで止められる問題ではなく、長年の慣れが関わっていることが多いため、自分自身でもコントロールが難しいという問題を生じさせます。

 

● 恋愛で起きやすいこと

 

上記のような背景があると、恋愛においては次のような流れが起きる可能性を高めてしまいます。

 

✔似た特徴の相手を繰り返し選んでしまう

 

✔関係が深まる場面で、同じ衝突が起きる

 

✔別れる → 後悔する → また似た関係に戻る(同じことが繰り返される

 

ここでの支援は、「見る目がない」と責めることでは当然ありません。

 

それよりも、自分がどんな関係を「普通」だと感じてしまっているのかを言葉にして、別の選び方を少しずつ体験し直していくことが現実的であり効果的です。

 

まとめ~毒親の影響は「性格の欠点」ではなく、関係の学びの結果として整理できる~

 

この研究が伝えているのは、毒親の影響を親密な関係を築くための土台が、育つ過程で傷ついたという形で整理できる、ということです。

 

そのため、受け入れられている感覚や関係の中で調整する力、そして人や関係を選ぶ力という3つが育ちにくかった結果として、恋愛で苦しさが出やすくなっているんですね。


そう理解できると、「責める」より「立て直す」方向に進めます。

 

恋愛の問題は誰にとっても重要ですが、毒親育ちの方にとっては、成人後に安心できる関係を得ることができる、つまり幼少期に得ることのできなかった関係を得るという意味で、さらに重要になります。

 

そのため、今まで見てきた内容を踏まえて、回復を目指していってくださいね。

 

参考論文

FAMILY POISON: A PHENOMENOLOGICAL STUDY OF THE ROLE OF TOXICPARENTAL INFLUENCE ON ROMANTIC RELATIONSHIPS

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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